ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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#069 『必要なのは、絆』

 12歳 κ月τ日 『ポケモンを操作する類の機械は許せん!』

 

 ちょっと目を離していた隙に伝説ポケモン達がロケット団のパチモンに誘拐された件について。

 

 いや、俺も悪かったけど、流石にあれだけの人数いてまさかラティまで連れていかれるとは思わんやん。親ルギアもこれにはブチ切れ案件だったが、絶対助けるからとりあえず落ち着けと物理でわからせた。

 とはいえ、俺も余裕がある訳ではない。ラティは見た目人間のように見えるがあれで準伝だ。何かの間違いで正体がばれればどうなるかはわからなかった。

 

 いや、焦るな。冷静になれ。ラティには前もってこうなるかもしれないことは話してある。伝説のポケモンを連れて歩くんだ。それくらいの危機になる可能性だって考慮していただろう。

 

 とりあえず、後を追わなきゃ話にならない。聞けば、相手は水中に逃げたようだ。一応、ミニルギアと水中で遊べるようにということで、ルカが置いて行ってくれたダイビング用のスーツがあったから、後はみずタイプのポケモンに先導を任せつつ先に進むことにした。

 相手が逃げて行った先はわからないが、連れているのが伝説のポケモンなら話は別だ。うちには伝説のポケモンが放つ特殊な波長を捉える最強のポケモンがいる。

 

 そう、ミュウツーの脳内ナビによって、俺達は真っすぐ攫われたラティ達を追いかけていた。水の都でラティを探した時もこれを使えばよかったと今更ながらに思うが、たまたまその時の反省が生きた形である。

 

 しばらく泳いでいると、奴らの海中基地らしき場所を発見した。当然のように内部に侵入していく。

 どうやら防衛システムらしきものはついていないようで、俺達の侵入で警報は鳴っていない。まさかこんな海の中に侵入者が来るとは思わなかったのだろう。不用心だが、こちらにしてみれば有難いことだ。

 

 そのままラティ達が囚われているであろう部屋まで向かうと、檻のようなものに入れられたラティとミニルギアを見つけた。どうやらラティの正体はまだばれてはいなかったようで、カノンの姿を維持している。

 おまけに、防音設備がしっかりしているようで、部屋に入るまでルギアやラティの声は外に聞こえていなかった。ならば、多少雑に壊しても大丈夫だろうということで、力ずくで檻をこじ開けていく。

 

 しかし、流石に逃走防止の対策はしていたようで、檻が壊れた瞬間、基地内部に警報が響き渡った。

 

 まぁ、既にラティもミニルギアも救出しているので問題はない。後は追っ手を壊滅させてやればいいだけだ。何せ、俺達はタマムシゲームセンター地下のアジトやシルフカンパニーを占拠していたロケット団を壊滅させた実績がある。ヒロシ君は少し不安そうにしていたが、この程度の海中基地くらいなら問題なく壊滅させられるだろう。

 

 出口に向かって走っていると、目の前からロケット団のしたっぱと、ヤマトとコサンジ、それと博士っぽい見た目をしたおっさんが走ってくる。博士っぽい奴が、ワシのルギア捕獲作戦がどうのこうの言っているが、こちとら大事なラティを連れていかれてキレちまってるんだわ。

 

 今の手持ちである、ピカ様、リザードン、ベイリーフ、マグマラシ、ワニノコ、バンギラスを出す。バンギラスは捕まえてから初の実戦だが、前にロケット団に操作されていた頃を思い出したようでやる気十分といった様子だ。

 ジョウト御三家もこの旅で強くなっているし十分戦えるだろう。そのまま下っ端を一蹴して前に進むと、ヤマトとコサンジが妙な機械をつけたデルビルとカポエラーを出してきた。

 

 どうも博士っぽい奴曰く、ポケモンの怒りを増幅させて無理矢理力を引き出す装置らしい。絶許である。ニューサトシはそういうポケモンを傷つけるような装置が大嫌いなのだ。

 

 ダークボールで、潜在的な力を無理矢理に引き出されたバンギラスは、特にその苦しみがわかるようで、先ほど以上に怒りを露わにしていた。

 

 この装置はダークボールの劣化品のようなもののようで、バンギラスのように強制的に潜在能力を引き出される訳ではないようだが、怒りに狂ったポケモンなど見ていて悲しいだけである。

 リザードンによってカポエラーが、バンギラスによってデルビルが一撃の下に沈められていく。

 

 俺のバンギラスはダークボールによって潜在能力を引き出されているが、これは強制的にレベルを上げられているわけではなく、努力値を無理矢理振られたような状態だと俺は思っている。

 そもそもバンギラスに進化するにはレベル55という膨大なレベルが必要だ。そこまでレベルが上がれば、レベルによるパワーアップは難しくなってくるだろう。だが、ダークボールが通常を超えるあれだけのパワーを与えたことを考えると、レベルではなく努力値に作用したのではないかと思ったのだ。

 

 オーキド博士曰く、物理攻撃と特殊攻撃が通常のバンギラスを遥かに超えているらしい。おそらく、ゲームのように努力値が攻撃と特攻に極振りされているのではないだろうか。

 

 実際にこの世界に努力値があるかどうかわからない。数字は目に見えないし、種族値や個体値なども数値化されている訳ではないからだ。これは、あくまで理屈をつけただけに過ぎない。極振りによって、攻撃性能が上がっているのだとすれば、あれだけのパワーも納得だしな。

 

 なので、俺のバンギラスはとりあえず超絶攻撃が強い。怒りでちょっと強くなったくらいのポケモンでは相手にならないだろう。

 博士っぽい奴が「ワシのナンバナンバー5が……」と意味不明なことを言っていたが、お仕置きとしてバンギラスの『はかいこうせん』をお見舞いした。タイプ不一致な上、バンギは攻撃よりも特攻の方が低いし、死にはしないと思う。そのままロケット団のパチモンもやなきもちーにして海中基地から脱出した。

 

 ただ、バンギラスの『はかいこうせん』がヤバい所に当たったようで、俺達が脱出してから少しすると、海中で大爆発が起こっている。

 まぁ、こちらに被害はないし、俺しーらない。ってことで、無事にラティとミニルギアを助けて、ミニを母ルギアに返した。ロケット団に狙われたということで、二体も別の場所へ移動するつもりのようだ。

 

 もう会うこともないだろうし、手を振って別れる。ヒロシ君も今回のことをレポートにまとめるということで、一旦お別れになった。さて、これでようやく伝説の勇者の修行場に行けるぞ。

 

 

 

 12歳 κ月υ日 『修行と言えば滝!』

 

 銀岩島の奥の奥、森の中を歩いて丸一日。ようやく、それらしき場所に辿り着いた。

 何故そこが修行場だとわかったかというと、何故かうずまきカップの時の神官サマが居て「お待ちしておりました。勇者様」と言われたからである。ヒエッ。

 

 この女、まさか俺が来るのを先回りして待っていたのか? ルギアの件で一日潰したから、その間ここに一人で? だとしたら、完全にホラーな件。

 いや、気にしたら負けだ。

 とにもかくにも修行を始めよう。とりあえず、目の前には巨大な滝がそびえ立っている。修行と言えば滝だ。丁度メンタルを鍛えたかったし、精神修行の定番である滝は有難かった。

 

 隣で神官サマが、「かつて勇者はこの滝で――」と詳しい説明をしているが、まぁ気にしたら負けだ。

 

 早速、滝に打たれてみる。本来なら何か作法があるんだろうが、気にせずダイビングエントリーだ。

 気付いたらリザードンが勝手にボールから出ていたが、リザードンは水に弱いし、見学でもいいんだぞ? と、思っていたら、そんなもん知らんとばかりに俺に続いて滝へ入って来た。ストイックな所は完全に俺に似てしまったようだ。

 

 冷たい水が全身を包み込む。水の勢いがかなり強いので、慣れない人だと痛みを感じるかもしれない。が、ニューサトシもリザードンもこの程度で根を上げるほど軟ではないので、静かに心を清めていった。

 

 段々と体温が下がっていき、頭がクリアになっていく。正直、我慢できるが大変であることに変わりはない。難しいことを考える余裕はないので、心を無にして、ありのままを受け入れる。

 

 そのまま30分程滝に打たれていると、何となく隣にいるリザードンの鼓動というか脈動というか、伝えるにはニュアンスが難しいが、何となく心みたいなものがわかるようになってきた気がした。

 いつもきずな現象でシンクロするのと近い感覚だが、微妙に違う。こう意識や感情ではなく、精神的なものが見える。何となく、隣にいるリザードンのことがわかるのだ。

 

 そのまま集中すると、リザードンもまた俺の状況を感じ取れているのがわかった。時が進むにつれて、互いの状態が手に取るようにわかってくる。限界状態だからこそ、見えるものがあるというが、これがそうか。

 

 その感覚をモノにするため、さらに30分程打たれていると、カスミさんから「いい加減出てきなさい!」とお声がかかった。まぁ、一時間も滝に打たれていたら流石に心配にもなるか。

 

 何となく、何かを掴んだ気がしなくもないがまだ朧気だ。少し休憩した後、もう一度滝に打たれる。しかし、結局それ以上のことを見つけることは出来なかった。

 まぁ、そんな簡単に何でも出来れば苦労はない。

 キッカケは見つけたし、後は実戦の中で答えを探していこうと思う。何だかんだ付き合ってくれた神官サマにお礼を言って、銀岩島を後にすることにした。

 神官サマが是非また赤岩島によって欲しいと迫ってきたが、いい加減ミカンちゃんとのジム戦もしたいので丁重にお断りする。おそらく、もうここには来ないだろうが、「またいつか会いましょう」と言ってお茶を濁しておいた。

 

 

 

 12歳 κ月χ日 『グリーンはいないようだ』

 

 タンバシティに寄って様子を見ていこうと思ったのだが、グリーンの姿がなかった。どうやら、ジムリーダーの件についてポケモン協会に呼び出されたらしい。

 

 出来ればもう一度バトルをしたかったが、そういうことなら仕方なかった。相変わらず、ひーこら言っているイエローに「頑張れよー」とだけ声をかける。さて、気を取り直してアサギへ出発だ。

 

 

 

 12歳 κ月ψ日 『アサギシティ ジム戦 VSミカン』

 

 待ちに待った時アサギジム戦である。

 アカリちゃんも元気になったようで、ミカンちゃんも存分にその実力を見せてくれそうだ。本来であれば、前回本気メンバーを使ってのジム戦だったので、今回はレベリングメンバーを使いたいところなのだが、個人的にミカンちゃんとは全力バトルをしたかった。

 申し訳ないがレベリングメンバーには次のチョウジまで待って貰うことにする。今回も全力バトル回だ。バトルはいつも通りの三対三、ジムリーダー側の制限なしでバトルをお願いする。

 

 しっかし、前回会ったときも思ったが、ミカンちゃんも随分と勝ち気な性格をしているな。ナツメやアカネのようにアニポケはゲームとジムリーダーの性格が違うことがままあるが、ニューサトシはゲーム版のシャキーンを照れる大人しいミカンちゃんも好きだったりする。

 とはいえ、バトルに性格は関係ない。

 全力バトルだ。何を出してくるか。ミカンちゃんといえばハガネールだし、他のはがねタイプを考えれば、コイル系やハッサム、エアームドなんかがいてもおかしくないだろう。

 

 こちらは、素直に相性を突くという意味も兼ねて一番手にリザードンを出した。修行で見つけた感覚を掴みたいというのもあるが、本気のほのおタイプでリザードンに勝る奴はいないということも大きい。

 ミカンちゃんの一体目はレアコイルだった。

 相性でいえば、向こうもでんきタイプを持っているので五分だ。開幕で『10まんボルト』を撃ってきたので、当然のように回避していく。室内なので、大空を飛んで悠々と回避は出来ないが、それでも飛行技術を駆使して攻撃をかわす。

 

 想像以上に俺のリザードンが動けるので、ミカンちゃんの表情から余裕が消えた。まだ攻撃はしていないが、回避の動きだけでリザードンのレベルを感じ取ったらしい。つまり、ミカンちゃんもそれだけの強さを持っているということだ。

 

 反撃とばかりに『かえんほうしゃ』を指示するも、『かげぶんしん』で攻撃を回避される。そのまま『10まんボルト』に繋げて前後左右から攻撃を仕掛けてきた。

 これが全部実体なら恐怖だが、本物は一つだ。攻撃に合わせて、『ほのおのうず』を自身の周辺に展開することで、相手の攻撃を防ぐ簡易的な防壁とする。攻撃が来た方向から自ずと本物が判明したので、そのまま『フレアドライブ』で一気に直接攻撃を仕掛けた。

 

 リザードンの速度が想像以上だったのか、『かげぶんしん』による回避が間に合わず直撃を受けている。しかし、特性が『がんじょう』のようで一撃では沈まなかった。反撃とばかりに、ゼロ距離で『トライアタック』を撃たれ、追加効果でリザードンが氷状態になる。一瞬だがリザードンの動きが止められた。

 

 しかし、レアコイルが瀕死寸前であることに変わりは無い。『フレアドライブ』で氷を溶かし、そのままとどめを刺そうとしたが、向こうの反撃も間に合ったようで、ミカンちゃんも『でんじほう』で一か八かこちらを戦闘不能にしようとしてきた。

 だが、本来『でんじほう』は命中率の高い技ではない。ギリギリで攻撃を回避し、レアコイルを戦闘不能にまで持って行く。とまぁ、これだけ見ると余裕そうに見えるが、実は距離が近すぎて完全に避けきれなかったようで、かす当たりしたダメージと、『でんじほう』の追加効果でリザードンが麻痺状態になっていた。

 

 トラアタのダメージに、『でんじほう』のかすダメと麻痺。致命傷とまでは行かないがなかなか手痛い状況だ。とはいえ、リザードンに退く気は無いようで、問題ないとばかりに仁王立ちしている。

 対するミカンちゃんはレアコイルを戻すと、フォレトスを出してきた。ハッサムやエアームドに比べるとあまり使われないイメージだが、こいつも確かにはがねタイプだったな。

 

 ぶっちゃけ、忘れていたくらいにゲームだと使われないポケモンだ。どんな動きをしてくるか読めないので、とりあえず『ほのおのうず』で動きを封じようとしたが、『こうそくスピン』で攻撃を弾いてきた。

 そのまま『ボディパージ』で自身の素早を二段階上げてくる。こちらが麻痺しているので、スピードに関してはフォレトスに上を行かれただろう。

 だが、むし・はがねタイプのフォレトスはほのお技が四倍になる。迂闊に手を出せば、返しの一撃でワンキルだ。仮にフォレトスの特性がレアコイル同様『がんじょう』だったとしても、フォレトスをミリに出来るならおつりがくる。

 

 こちらはまだ無傷なポケモンが二体居るのだ。ミカンちゃんも、これ以上のダメージは取り返しの付かない状況になるというのはわかっているようで、遠距離から『がんせきふうじ』を指示してきた。

 こちらの弱点であるいわ技だ。直撃を受ける訳には行かないので、『かえんほうしゃ』で相殺していく。タイプ不一致の攻撃ということもあって、十分に相殺することが出来た。

 

 ミカンちゃんも単純な攻撃では通用しないとわかったようで、『がんせきふうじ』の岩を『こうそくスピン』で弾いて飛ばすという荒技を仕掛けてくる。

 弾かれた岩が先程以上のスピードでこちらに迫ってくるので、流石に『かえんほうしゃ』だけでは防ぎきれない。『ほのおのうず』の壁も簡単に突破される以上、もはや択は一つしか無かった。『ブラストバーン』で攻撃を相殺、そのまま逆にフォレトスを飲み込んで戦闘不能にしていく。

 

 しかし、やはり特性が『がんじょう』だったようで、一撃では戦闘不能になっていなかった。こちらは究極技の反動で動けない。その隙を突いて、ミカンちゃんは『だいばくはつ』を指示してきた。

 

 動けないこちらに避けるすべは無く、フォレトスの自爆攻撃がリザードンに直撃する。流石に戦闘不能になるかと思ったが、リザードンはギリギリで立っていた。だが、膝を付いており、いつ倒れてもおかしくない状況である。

 とはいえ、これでミカンちゃんは二体戦闘不能になった。フォレトスをボールに戻すと、最後のポケモンであるハガネールを出してくる。

 

「いくらほのおタイプがはがねタイプに強いとはいえ、まさか私のポケモンがこうまで一方的に倒されるとは思わなかったわ」

「そこまで一方的でもないですけどね、俺のリザードンも限界近いですし」

「でも、まだ戦えるって目をしているわ。そんなリザードンを含めて三体を相手しようと思うと、流石に私も本気を出さないと無理そうね」

 

 そう言って出してきたのはキーストーンだった。

 ナツメの件もあったし、ジョウトでも誰かしらテスターになっているかもとは思ったが、まさかミカンちゃんとはな。

 

「知ってるみたいね」

「何人か知り合いが使ってるんで」

「じゃあ、説明はいらないわね。紡ぐ絆が、新たな力をこの手に掴む――メガシンカ!!」

 

 ミカンちゃんのキーストーンに反応し、ハガネールがメガハガネールへとメガシンカする。

 同時にリザードンがこちらを向いた。わかってるって、このまま黙って負けるつもりがないことくらい――

 

「そっちがメガシンカなら、こっちはきずな現象だ。いくぞ、リザードン!!」

 

 リザードンと気持ちをシンクロし一つになっていく。同時に、リザードンの肌が赤く染まり、炎の繭に包まれて行った。ここまではもう意識して発動出来る。問題は、この先だ。

 

 ここから一段階、先に行ける。

 

 銀岩島でリザードンに窘められたことで、ようやくわかった。俺は、ずっと俺自身が変わらないと意味がないと思っていたが、それは間違っていたんだ。

 きずな現象は、俺とリザードン、二人の力である。俺だけが頑張っても意味がない。もっと信じなきゃいけなかったんだ。リザードンはずっと信じていてくれた。

 

 前に俺が倒れたのは、グリーンのメガリザードンに動揺して、負けたくない、もっと強くなりたいという気持ちが強くなりすぎてリザードンとのシンクロがぶれたからだ。だからパワーを制御できずに暴走した。

 今まで制御できないと思っていたのも、俺が全てを一人でやろうとしたからだ。二人でやらなければいけないことを一人でやって成功するはずがない。もっとリザードンを信じること、必要なのはただそれだけだったんだ。

 焦ることは何もない。俺とリザードンが真に一つになれば、自ずと結果は付いてくる。俺が信じる俺じゃない、リザードンが信じるリザードンでもない。俺が信じるリザードンと、リザードンが信じる俺が、この先には必要なんだ。

 

 滝に打たれた時、リザードンの心を知れた。

 

 限界状態だったからこそ見えたあの境地。あれこそが、一つになるために必要な最後のピースだ。

 今までは意識や気持ちがシンクロしていたが、ここから先はもっと深く、全てを一つにする必要がある。あの時の感覚を思い出しながら、心技体の全てを一つにしていく。

 

 信じろ。

 

 必要なのは迷わない心、信じあう強さ。俺だけでも、リザードンだけでも駄目なんだ。俺達二人で、強くならなければ意味が無い。試されているのは、互いを信じあう気持ち。即ち、絆――

 

「――今こそ、一つに!!」

 

 ――心技体の全てが一つになり、俺とリザードンが互いに信じあう力が、俺達を次のステージへと連れていく。

 炎の繭が弾け、炎の四枚羽となる。通常の羽と含めて六枚羽。前回の姿と同様、これが完全なるきずな現象だ。

 今までは視界がリザードンの見ているもののみしか見えなかったが、今では俺とリザードン、両方の視界が見えている。マルチタスク必須で、頭が混乱するが、やけに意識はクリアだ。

 また、不完全だった前の状態と違って、完全に一つになったからか、精神的な負荷はともかく、肉体的な負荷はかなり減っている。しかし、リザードンの底知れぬパワーはこれでもかというくらいに感じ取れた。

 

「これは、メガシンカ……!?」

「いえ、別物です。ですが、この状態の俺達はメガシンカポケモンよりも強いですよ」

 

 とはいえ、これまでのバトルのダメージが大きい。痛みのフィードバックは相変わらずだから、リザードンが戦闘不能直前なのが良く分かった。

 

「すみません。ミカンさん、一撃で決めます。『ブラストバーン』……いや、『ブラスターバースト』!!」

 

 この姿になったリザードンのみが使用できる究極技。『ブラストバーン』を超える技。即興で名付けた俺達だけの技。それこそが『ブラスターバースト』。

 炎の四枚羽の先に炎の球体が生まれ、口前の球体と合わせて五つの炎が放たれる。ミカンちゃんが咄嗟に『まもる』を指示したが、炎の波動の一撃が当たると同時に『まもる』が消え、残り四つの炎がメガハガネールに直撃した。

 

 まさか、『まもる』すら突破するとは予想外だ。

 

 後から知ったことだが、この世界では連続技は『まもる』や『みきり』では防げないらしい。ゲームだと、最初の一撃を防ぐと技が不成立になるが、この世界だと連続技の開始を潰しても技が止まらないので、『まもる』で攻撃を防いでも続きの攻撃を防ぎきれないのだ。

 どうやら、ミカンちゃんも知らないことだったようで呆然としている。図らずも、『ブラストバーン』が『ブラスターバースト』に変化したことで、技が炎の五連撃という連続技に変化したのが上手く嚙み合ってしまったらしい。

 

 おまけに、メガハガネールにメガシンカしたことで、特性が『すなのちから』になり、『がんじょう』のように耐えることが出来なかったのか、メガハガネールが一撃で戦闘不能になり、ハガネールへと戻っていく。

 同時に、こちらもきずな現象を解除したが、正直完全にものにしたおかげか、体感ではまだ変身していられるような気がした。とはいえ、敵も居ないのにきずな化し続けても意味が無いので元の姿に戻っている。

 

 そのままリザードンをボールに戻したが、まさか切り札のメガハガネールが一撃で倒されるとは思わなかったのか、ミカンちゃんが言葉もなく立ち尽くしていた。

 声をかけるとハッとしたようにハガネールを戻していたが、ぶっちゃけ今回のバトルは初見殺しと言って良いだろう。こちらは相性有利なポケモンを使っていたし、アニメでもゲームでも存在しないきずなリザードンとオリジナル究極技を使ったのだ。

 

 実際、きずなリザードンになっていなければ、即座にリザードンは戦闘不能になっていただろうし、残りのポケモンももっと苦戦させられただろう。最悪は負けもあったかもしれない。勝てたのはきずなリザードンに動揺してミカンちゃんが後手に回ったからだ。

 

 しかし、勝者が敗者に何を言っても嫌味にしかならないので言葉にはしない。そのまま、「まだまだ私も未熟ね」と苦笑いするミカンちゃんから、スチールバッジを受け取った。これで六つ目だ。後二つでジョウトリーグに出場できる。

 

 次はチョウジジムだ。アサギから正反対にあるから一度エンジュに戻る必要があるな。全力バトルが二度続いたし、次は育成メンバーでのバトルにして貰おう。ウソッキーや金角のカイロスの公式デビュー戦だ。

 

 

 




 原作との変化点。

・第221話『囚われのルギア!』より、ニューサトシが海底基地を壊滅させた。
 アニメでは捕まってしまうが、ニューサトシ一行が大暴れして基地を壊滅させた。ポケモンを操作する類の機械を使っていたのでニューサトシも遠慮せずに、人間に向かって『はかいこうせん』を指示した。誰しも一度は聞いたことがあるカイリューはかいこうせん現象である。

・第222話『ルギアとの約束!』より、ニューサトシがミニルギアを助けたため内容がカットされた。
 とりあえず、ルギア親子は無事にどこかへ行った。

・滝行をした。
 何故か、神官サマがいた。精神修行の定番だが、実は熱中し過ぎて死にかけた。カスミさんが無理矢理上げなければ死んでいた。が、おかげで、何か掴めた。

・第223話『飛べホーホー号! アサギを目指し!!』より、ニューサトシが船を待ったためな言いようがカットされた。
 アニメのサトシ君はいち早くアサギに戻りたがるが、ニューサトシは普通に待ったため、ホーホー航空のハヤブサに出会わず内容がカットされた。

・第224話『アサギジム! VSハガネール!!』より、きずな現象を完成させた。
 今までは気持ちだけだったが、心技体の全てを一つにし、互いを信じあう絆が次のステージへの扉を開いた。今まで完成しなかったのは、心技体が一つになっていなかった上に、ニューサトシが全て自分で何とかしようとリザードンへの信頼を忘れていたから。

・究極技が専用技になった。
 ブラストバーン五連撃、相手は死ぬ。オリジナル技。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.54→55

 ピジョット Lv.51

 バタフリー Lv.51

 ドサイドン Lv.53

 フシギダネ Lv.51

 リザードン Lv.56→57

 ゼニガメ  Lv.51

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.51

 エビワラー Lv.51

 ゲンガー  Lv.52

 オコリザル Lv.51

 イーブイ  Lv.50

 ベトベトン Lv.50

 ジバコイル Lv.50

 ケンタロス Lv.50

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.50

 トゲチック Lv.44

 プテラ   Lv.51

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.45→46

 カビゴン  Lv.45

 ニョロゾ  Lv.44

 ヘラクロス Lv.40→41

 ベイリーフ Lv.40→41

 マグマラシ Lv.40→41

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.40

 ワニノコ  Lv.40→41

 ヨルノズク(色違い) Lv.40

 カイロス(部分色違い) Lv.40

 ウソッキー Lv.40

 バンギラス Lv.55


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