ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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#079 『エキシビションマッチ 第二試合』

 12歳 μ月ρ日 『エキシビションマッチ カントーVSジョウト 第二試合』

 

 アンズ、ツクシ、共にアリアドスを出してきた。

 まさか同じポケモン同士になるとは思っていなかった観客席も大盛り上がりを見せている。

 偶然かと思ったが、おそらくは違う。アンズは観客同様に驚きを表情に出しているが、ツクシはしてやったという顔をしている。多分、ツクシが狙ってこの状況を作り出したのだろう。

 

 意図的にこの状況を作り出したということは、おそらくツクシは事前にカントー勢の情報を入手していたということだ。その上で、アンズが使うポケモンの中で、被りやすいポケモンとしてアリアドスを出したと見ていい。

 同じ、むし・どくならスピアーやモルフォンという線もあったはずだが、アリアドスを選んだのは三分の一を当てに行ったのか、事前にポケモンの情報を仕入れていて当てられる確証があったのか、どちらにしろここまではツクシの思惑通りということだ。

 

 同じアリアドス対決だが、育成の方法が違えば当然動きも変わってくる。アンズはどくタイプとしてアリアドスを育てているだろうし、ツクシもむしタイプとしてアリアドスを育てているはずだ。

 むし、どくということはタイプ一致技は半減になるので、相手としては戦いにくいだろう。また、アンズはお得意の毒による搦手を封じられた。どくタイプに毒は効かないからな。

 

 こうなると、ツクシ有利か。

 

 どうやら、シゲルも同意見のようで、「毒を封じられた以上、むしポケモンとしての運用ではツクシくんが一歩上だろう」と呟いている。ツクシはむしポケモンのエキスパートだ。当然、付け焼刃で勝てる相手ではない。

 

 さて、どうなるかと思って見ていると、早速ツクシが仕掛けてきた。お得意の『いとをはく』で動きを封じようとしているようで、アンズのアリアドスの足を止めに来ている。

 対するアンズは一旦とばかりに、『かげぶんしん』を指示した。流石は忍者だけあって、『かげぶんしん』の数が多い。通常の『かげぶんしん』は多くても10体から20体、俺のポケモンの平均も大体12体前後だ。

 しかし、アンズのアリアドスの『かげぶんしん』は軽く30体はいる。当然、数が多ければそれだけ本物を見つけづらいということであり、この中から本物を見抜くのは四天王クラスでも難しいだろう。

 

 ツクシもそれならとばかりに、『いとをはく』に『クモのす』を合わせた範囲コンボで、アリアドスに追撃をかけていく。

 俺の時にもやった技だ。あれを受けると、素早が二段階下がるだけではなく、糸が体にまとわりついて動きを封じられる上、モンスターボールにも戻せなくなる。

 

 しかし、アンズもされるがままでいるつもりはないようで、『つじぎり』で糸を切り裂いていく。

 あの粘着性のある糸を軽く切断する辺り、アンズのアリアドスもなかなかやる。とはいえ、対処されるのは計算内だったようで、本物の位置を見抜いたツクシのアリアドスが『おんがえし』で真っすぐ攻撃を仕掛けてきた。

 

 懐き具合によって威力が高くなる『おんがえし』だが、当然のように威力は最大らしく、勢いよく攻撃を仕掛けていく。

 直撃した――と、思ったが、その瞬間、アンズのアリアドスが煙となって消える。『みがわり』だ。正直、いつ使ったのかわからなかった。それだけ、技がスムーズだったのだ。

 

 試合前や同じポケモンが出た時は動揺していたアンズも、いざバトルが始まるとスイッチが入ったようで、お得意の忍者スタイルでツクシに対応している。

 ツクシもこれは計算外だったのか、少し苦笑いしていた。だが、姿を現したアンズのアリアドスの姿を見てにやりと笑みを浮かべる。また何か仕掛ける気か。

 

 ツクシは最後の技として、『サイコキネシス』を指示した。アリアドスは何故かレベルでサイキネを覚える。どくタイプを持つポケモンにとって、エスパー技は弱点だ。使わない理由はないのだろう。

 しかし、アンズもまた最後の技として『サイコキネシス』を指示していた。エスパー技を抑えるにはエスパー技しかないという判断のようだ。

 

 力は拮抗しているようで、どちらのアリアドスも相手にダメージを与えられなかった。こうなると、隙を作るしかないが、ここでアンズの表情に動揺が走る。動こうとしたアリアドスがその場から動けなくなってしまったのだ。

 

 よく見ると、足元にさっき散らかした『いとをはく』の糸が落ちたままになっている。どうやらアンズのアリアドスはそれを踏んでしまったらしい。俺の時は落ちた糸は時間経過で消えていたが、本気のツクシのコンボではある程度の時間糸を出したままに出来るようだ。

 

 これはまずい。行動を封じられるのも問題だが、あの糸は交代封じの『クモのす』の成分を有している。一度、アリアドスをボールに戻そうとしたアンズだが、ボールの光が弾かれたのを見て苦い表情をしていた。

 

 足の糸を切って何とか動きを確保したようだが、素早は二段階下がり、交代も数ターン封じられた。

 とどめとばかりに、ツクシは一度アリアドスをボールに戻す。二体目として出してきたのはハッサムだった。むし、はがねタイプのポケモンだ。どくは無効な上、むしも半減、おまけにサイキネも半減で、有効打は『つじぎり』くらいしかない。しかも、その『つじぎり』もタイプ不一致な上、ハッサムははがねタイプ故に物理に強かった。

 

 どうやら、この状況を作り出すのがツクシの目的だったようで勝利を確信した顔をしている。

 確かに、技を全て使わされた上、動きを鈍らされ、有効打は不一致技一つでは逆転はほぼ無理と言っていい。アンズに残された勝機は、『クモのす』の効果が切れるまで何とか逃げるしかないだろう。

 

 しかし、そんな時間は与えないとばかりに、『バレットパンチ』を指示し、ハッサムが一瞬でアリアドスに突撃していく。

 タイプ一致の先制技だ。当然、特性は『テクニシャン』のようで、威力も底上げされている。ボディに重い一撃を受けて、アリアドスが苦し気な声を上げた。

 

 すぐさま『かげぶんしん』を指示するが、ツクシはすぐに本物を見つける。どうやら、足に残った微妙な糸の残滓で本物を識別しているようだ。流石の『かげぶんしん』もそんな細かい所まではコピーできない。

 ツクシが『つばめがえし』で追撃をかける。咄嗟に、『みがわり』で攻撃を凌いだようだが、『みがわり』は自身の体力を削って出す技だ。バレパンの一撃を受けているし、もう三回目は使えないだろう。頼みの『かげぶんしん』も封じられ、完全に打つ手なしである。

 

 アンズが再びアリアドスをボールに戻そうとするが、『クモのす』の効果はまだ続いているようで光が弾かれた。

 その間に、ツクシは『つるぎのまい』を積んで攻撃力を上げている。こうなれば、掠っただけでも致命傷になりかねない。

 

 だが、耐え忍ぶのが忍者と言わんばかりに、アンズは諦めなかった。『サイコキネシス』を指示して、少しでも長くハッサムの動きを封じようとする。

 しかし、ハッサムにエスパー技は半減な上、『つるぎのまい』で攻撃力も上がっていた。おまけにアリアドスは特殊の強いタイプではない。足止めは出来て一瞬、すぐにハッサムは動き出してしまった。

 

 ツクシは最後の技を使っていない。おそらく万が一を想定して残しているのだろう。『バレットパンチ』を指示して、とどめを刺そうとしてくる。しかし、先読みしていたアンズが『かげぶんしん』を指示し、何とか攻撃を回避していた。

 すぐに本物を見破られてしまうが、一撃を凌ぐだけでも十分と考えているのだろう。実際、思うようにとどめを刺せずに、ツクシも段々と焦っている。

 

 この辺りはまだ子供だな。

 

 交代されてもどくタイプ相手には優位なのだから、俺ならもっと腰を据えて戦わせる。無理に攻めるのはアンズの集中を高めさせるだけだ。『つるぎのまい』でプレッシャーをかけるだけでも大分変わるだろうに。ムキになって『つばめがえし』でとどめを刺そうとしている。

 

 対するアンズは冷静に、『つじぎり』で『つばめがえし』を弾いた。受けるのではなく、受け流すことで自身の受けるダメージを最低限に留めたのだ。

 しぶとい粘りである。だが、その甲斐はあったようで、三度アンズがボールの光をかざすと、アリアドスがボールへと戻って行った。窮地を凌ぎ、アンズもほっとした表情を浮かべている。

 

 対するツクシは失敗したという表情をしていたが、自身の有利に変わりはないとばかりに不敵な笑みを浮かべた。

 実際、ツクシの有利には変わらない。どうすると思ってアンズを見ていると、二体目にクロバットを出してきた。

 

 ツクシは『サイコカッター』を指示し、攻撃を仕掛けてくる。最後の技だ。弱点を突くために取っておいたようだな。

 だが、『サイコカッター』は威力70でギリギリ『テクニシャン』の特性範囲外だ。それでも『つるぎのまい』で攻撃が二段階上がっていれば十分という判断なのだろうが、アンズは『くろいきり』を指示してステータス変化を元に戻した上でクロバットの姿を霧の中に隠した。

 

 クロバットの姿を見失ったハッサムの足が止まる。これで、『つるぎのまい』は意味をなさない。後は攻撃技の組み合わせで打ち勝つしかないが、アンズはもう長期戦に持ち込むつもりはないようで一気に勝負を仕掛けてきた。

 

 クロバットに、『ちょうおんぱ』と『いやなおと』を組み合わせた音波攻撃を指示し、ハッサムを混乱させた上に、防御を二段階下げてくる。同じ混乱を誘発させる技なら、『あやしいひかり』の方が使い勝手は良さそうだが、『いやなおと』と組み合わせるために敢えてチョイスしたようだ。

 

 混乱によって、一瞬の隙が出来、態勢を立て直される前に、アンズが『ゴッドバード』を指示する。

 ひこうタイプ最大の攻撃技だ。威力140と絶大な攻撃力の代わりにタメがいるが、その隙は混乱が作ってくれた。ハッサムが自由を取り戻す前に、素早種族値130から繰り出される高速の一撃がハッサムをぶっ飛ばしていく。

 

 防御を二段階下げた上、どうやら急所にも当たったようで、ハッサムは一撃で戦闘不能になっていた。

 まさか一撃で勝負を決められるとは思っていなかったようで、ツクシも「うそー!?」と声を大にしている。

 

 対するアンズはほっとした表情を浮かべていた。実際、有利だったのはツクシだ。もし、攻撃が急所に当たるという奇跡がなければ、勝っていたのはツクシだっただろう。

 とはいえ、こういう運が勝敗を分けるのもポケモンバトルではよくあることである。ツクシも仕方ないとばかりの表情で、アンズの健闘を讃えていた。これで、カントー、ジョウト共に一勝で並んだ訳だな。

 

 アンズがベンチに帰ると、マチスが嬉しそうに背中を叩いている。敵を討ってくれたのが嬉しいようだ。アンズも困ったような笑みを浮かべているが、喜びの方が勝っているようで笑顔を浮かべている。

 対するジョウト側は、「いやー、負けちゃったー」と笑うツクシに、あれは仕方がないという同情の声が上がっていた。勿論、この距離での会話はマサライヤーを持つ俺だから聞こえるのであって他の人間には聞こえていないだろう。

 

 隣を見ると、シゲルが「今のバトルは、ツクシくんが中盤に――」といろいろご高説を垂れており、隣で良くわかっていないであろうラティがうんうん頷きながら聞いている。

 だけなら良かったのだが、いつの間にか先日知り合ったホウエン出身のハヅキまで合流していたようで、「しかし、そうするとアンズ選手がもしああ出た場合――」と議論を交わしていた。

 

 知らん間に仲良くなって、知らん間に意気投合している。まぁ、ラティは基本的に人懐っこいから余程不審者じゃない限りはウェルカムだからなぁ。特に今はタケシとカスミさんがいなくて寂しがっているし喜んでいるならいいだろう。

 

 こちらはこちらで賑やかに過ごしていると、三試合目の組み合わせが決まった。カントーからはエリカ、ジョウトからはイブキが選出されている。

 くさタイプ対ドラゴンタイプか。イブキはギャラドスも連れているし、みずタイプを複合しているポケモンが多いから完全にエリカ不利とは言えない。それに、くさタイプには多彩な変化技が多い。真正面からでは厳しくても、立ち回り次第でどうにでもなりそうだな。

 

 エリカとイブキが互いに礼をしている。イブキも活動的なタイプだが、アニポケ性格なのでガサツという訳ではないということもあり、その辺の作法はしっかりしていた。

 そのまま互いにボールを投げる。

 エリカの一体目はモジャンボ、イブキの一体目はギャラドスだった。初代や金銀時代ではモジャンボは存在しないが、モンジャラの進化方法が『げんしのちから』を覚えさせてレベルアップで進化な以上、持っていてもおかしくはないか。

 

 しかし、初見の人も多いようで、「あれはモンジャラ?」、「まさか進化系!?」と驚く声も多い。

 ケッ、くそ面白くもない。本番の試合ではニューサトシのトゲ様で会場中の度肝を抜いてやるぜ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・エキシビションマッチ第二試合が開始された。
 アンズVSツクシ。アニメでアンズが出てきていないので、性格をゲーム基準にするか、ポケスペ基準にするか悩んだ。結果、とりあえずどっちつかずになっている。ツクシに苦戦を強いられたが、最後は逆転勝利した。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲキッス Lv.46

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.47

 カビゴン  Lv.46

 ニョロゾ  Lv.45

 ヘラクロス Lv.43

 メガニウム Lv.43

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.43

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.43

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34


 ジムリーダー戦はどうやら不評なようで、テンポが悪いやら、カスミさんとタケシ以外は関りが薄すぎて見る価値がないというようなご意見がいくつか届きました。
 ただ、申し訳ありませんが、既に書いてしまっているので今から話を変えるつもりはなく、このエキシビションマッチありきでその後の話は作ってあるので、カットもしづらい状況です。
 ただ、読みたくない、早く本戦が見たいという方も多いようなので、土日月だけ10時と20時の二話更新で、サクッと進めてしまおうと思います。エキシビションも八試合あるので、一日一話だと一週間かかりますしね。これで来週からはリーグ戦をお届け出来ると思いますので、妥協して頂けると助かります。


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