ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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#080 『エキシビションマッチ 第三試合』

 12歳 μ月ρ日 『エキシビションマッチ カントーVSジョウト 第三試合』

 

 エリカのモジャンボと、イブキのギャラドスがフィールドに並び立つ。みずタイプのポケモンにもしっかり考慮されているようで、フィールドの中央付近に水場が現れていた。どうやら、セキエイ大会同様、その辺りは対応しているようだな。

 

 開幕、エリカは『にほんばれ』を指示し、イブキは『あまごい』を指示する。まさかの天候技被りだが、スピードはギャラの方が上だし、後出しの『にほんばれ』が上書きするだろう。

 と、思っていたのだが、どうも天候技は上書きされないのか、それとも互いに力が拮抗しているからかはわからないが、雨雲から雨が降ったと思うと、雨雲の隙間から強い日差しが差し込んでいる。

 

 雨はまだ降っているし、効果としてはどちらも発動しているとみるべきか。どちらにしろ、予想外の天候になった。まさにお天気雨である。

 

 モジャンボの特性は夢特性を除けば、晴れの時に素早が上がる『ようりょくそ』と晴れの時に状態異常にならない『リーフガード』だが、エリカのモジャンボは『ようりょくそ』の特性を持っているようだ。

 

 あの巨体からは想像できない速度で、モジャンボがギャラドスに向かって突っ込んでいく。

 真っすぐ向かってくるモジャンボに対し、イブキは『たきのぼり』を指示した。みずタイプの技はくさタイプには半減だが、『たきのぼり』には追加効果で二割の怯みがあるから悪い選択肢ではない。この世界だと後攻でも怯む可能性があるからな。

 

 俺の時はでんきが四倍ということで、近づけない戦術を取っていたが、本来ならギャラドスは物理の方が強い。くさは、みずとひこうで等倍になるが故に、今回はそこまで弾こうとはしていないのだろう。

 

 エリカは『パワーウィップ』を指示した。モジャンボは特殊と物理の攻撃種族値の差がほぼないし、どちらも器用にこなせるポケモンだ。状況次第では特殊にスイッチもあり得るが、動きを見る限りどうもあのモジャンボは物理アタッカーっぽいな。

 

 モジャンボの全身のツタが鞭のようにギャラドスに当たる。だが、ギャラドスの特性である『いかく』で攻撃が一段階下がっているせいもあってか、そこまでダメージを気にした様子もなく、ギャラドスがモジャンボに体ごとぶつかっていく。

 どうやら、『たきのぼり』で怯みはしなかったようだが、ぶつかった勢いのままイブキが『ぼうふう』を指示して追撃をかける。ゼロ距離で弱点のタイプ一致ひこう技を受けて、モジャンボが苦しそうな声を上げながら吹き飛んでいくが、エリカも負けじと『ギガドレイン』を指示して体力を回復させてきた。

 

 想像以上に激しいぶつかり合いだ。

 

 正直、エリカの印象的に、もっと遠距離で華麗な戦いをすると思っていただけに、ここまで力技で対抗しているというのは驚きである。奇麗な花にも棘があるということか。

 

 一連の攻防が終わると、今度は様子見ターンに入ったようで、お互いに相手が動くのを待っているようだ。

 とはいえ、天候技による天気は長時間続かない。元に戻る前には動いてくるはずだが、果たしてどちらが先に動いてくるか。

 

 そのまましばらく睨み合いが続き、雨と日差しが若干弱まってきたと感じた瞬間、イブキが再び『ぼうふう』を指示した。

 対して、エリカは『リーフストーム』を指示して、相手の攻撃を相殺していく。ただ、『リーフストーム』は使用後に特攻が二段階下がる諸刃の剣だ。前にカツラがブーバーにマグマのエネルギーを与えて無限にオバヒを使うとかいうヤバいことをしてきたが流石にこのフィールドでは同じようなことは出来ないだろう。

 

 お互いの技は拮抗しているようだが、タイプ一致技、威力有利ということもあってモジャンボの方が押し返してきた。『リーフストーム』が『ぼうふう』を切り裂いてギャラドスに直撃する。

 ある程度相殺されたせいで威力はそこまでではなかったようだが、ダメージを受けたギャラドスが苦しそうな声を上げた。それを見て、イブキは一度ギャラドスを戻そうとする。エリカもまた同時に、モジャンボをボールに戻した。

 

 イブキはダメージ的な観点から、エリカは特攻ダウンを嫌ってのことだろう。イブキも、まだ技を一つ残していたし、これが最後の一体なら無理をしたかもしれないが、このバトルでは一体でもポケモンが戦闘不能になった瞬間負けになる。そう考えれば、まだ無理をする場面ではないと判断したのは当然だ。

 

 しかし、ギャラドスはやはりいいな。俺の赤いギャラドスは捕まえたのが少し遅かったことあってまだレベリングが完全には済んでいないし、多分この大会では使うことはないだろうが、いずれこいつも活躍させてやりたい。

 

 と、考えていると、近くの席では今のバトルについての討論をしているようでやけに賑やかになっていた。ハヅキが基本的に話し、シゲルがツッコミを入れているようだ。

 

「エリカ選手の『リーフストーム』は英断だった。あそこで『ぼうふう』を受けていたら勝負は終わっていただろうしね」

「そうかな? 僕なら、『まもる』で攻撃を凌いでいた。遠距離からの攻撃は『ギガドレイン』があるし、持久戦に持ち込めば不利になるのはイブキさんの方だ」

「でも、イブキさんはまだ技を一つ残してたし、守りを固めすぎたら後続が厳しくならない? 私もあそこは『リーフストーム』で良かったと思うけど」

 

 って、ブルー!? お前、いつの間に!?

 

「やっほ、サトシ君。来ちゃった☆」

 

 来ちゃった☆ じゃねーよ。お前、四天王になった癖にフットワーク軽すぎだろう。

 

「実はカントーとジョウトの四天王も全員来てるんだよね。本当はあっちの特別席で見てたんだけど、サトシ君とシゲル君見つけたからさ。こっちの方が面白そうかなって」

 

 シゲルとは初対面のはずだが、互いにセキエイ大会で試合は見ていることもあってすぐに意気投合したらしい。さらに、俺が試合に集中している間に、ハヅキとも仲良くなったようだ。

 お前ら陽キャが過ぎるだろう。いや、別に誰が誰と仲良くなろうと知ったことではないが、何で試合を重ねるごとに俺の周りに知り合いが増えるんだ。おまけに、ラティはブルーに撫でられてご機嫌だし訳わからん。

 

 もうなるようになれと思いながら視線を試合に戻すと、エリカが二体目としてキレイハナを、イブキが二体目としてキングドラを出していた。

 

 同時に、天候が元に戻る。しかし、即座に二人とも、『にほんばれ』と『あまごい』を指示して天候を書き換えた。再びお天気雨だ。

 イブキのキングドラは俺と戦った時は、特性が『スナイパー』だったはずだが、雨を降らせているということは別個体なのかもしれないな。対するキレイハナは夢特性でなければ『ようりょくそ』一択だし、天候によって特性が左右される以上、お互いに技を一つ潰してでも有利な状況を作ろうとしているのだろう。

 

 天候がお天気雨になったことで、お互いに素早が二倍になった訳だが、元々の種族値で言えばキングドラの方がスピードは上だ。

 しかし、今回は前のバトルと打って変わって、近距離戦の様子はなかった。イブキは『ふぶき』で遠距離から攻撃を仕掛けている。『ふぶき』は全体攻撃だが、特性でスピードが上がり、命中率が低めということもあって攻撃を回避しやすいらしく、華麗な動きでキレイハナが『ふぶき』をかわして行った。

 

 お返しとばかりに、『はなふぶき』が指示される。この技も『ふぶき』同様に全体攻撃だが、威力90と『ふぶき』よりも威力が低い代わりに命中率が高い。キレイハナのようにスピードで避け切るのは不可能だった。

 とはいえ、イブキの真骨頂はここからだ。『ぼうふう』を指示し、キングドラ自身を包むように風による防壁を展開する。俺の時には『たつまき』だったが、理論は同じ全方位シールドだ。これにより、花弁が風で吹き飛ばされた。

 

 とはいえ、無傷ではない。『ぼうふう』内のキングドラは多少のダメージは受けているだろう。

 それでも、『はなふぶき』の直撃を受けるよりはダメージは低いし、防御としてはかなりの性能だ。突破は容易ではない。

 

 と、思っていたのだが、エリカは『はなふぶき』と『はなびらのまい』を組み合わせた超火力コンボで突破を狙っていく。美しい花弁の乱舞が、イブキの絶対防御を貫かんとばかりに撃ち出された。

 単発は防げても、連続攻撃は防げないようで、大量の花弁が風の防壁を貫いてキングドラにダメージを与えていく。完全な力技で突破したな。

 

 しかし、代償は大きかった。

 

 キレイハナは『はなびらのまい』のデメリットで混乱状態になっている。どうやら、エリカはマチスのように混乱を解除できないようで、その隙をイブキは逃さなかった。

 上空から隕石が降るかの如く強力な一撃がキレイハナに襲い掛かる。『りゅうせいぐん』だ。イブキは特攻を下げるリスクを負ってでも、ここで勝負を決めようとしたらしい。

 

 ドラゴンタイプ最強の一撃が当たり、キレイハナが大ダメージを受ける。だが、その影響で混乱は解除出来たようで、ギリギリ持ち堪えたキレイハナへエリカが反撃の一撃を指示した。『ムーンフォース』である。

 ドラゴンタイプが苦手なフェアリータイプの一撃。受ければ、先程の高火力コンボでダメージを受けているキングドラに耐えられるはずがない。

 

 だが、イブキは冷静だった。

 

 向かってくる弱点の一撃に対し、『ふぶき』と『ぼうふう』のコンボという凶悪な攻撃で迎え撃とうとしている。

 どうも見た感じ、技同士の相性が良すぎるが故に威力が跳ね上がっているらしく、イブキのキングドラでも完全に制御は出来ていないようだ。しかし、それでも嵐のようなコンボが、『ムーンフォース』を吹き飛ばし、キレイハナに襲い掛かっていく。

 こおりとひこうの融合技は、『りゅうせいぐん』で特攻が二段階下がっていても尚、戦闘不能に持って行くには十分だったようでキレイハナが目を回して倒れていた。

 

 しかし、『ふぶき』と『ぼうふう』のコンボとは恐れ入る。あれだけの大技の組み合わせなど想像しただけでやばい。特攻が二段階下がっていて尚、制御に苦労していたのだ。あれの本来の威力はこんなものではないだろう。

 単純な技の威力なら、俺のオコリザルがやっている威力120の『げきりん』と『あばれる』のコンボも負けてはいないが、技にも相性があり、組み合わせ次第で、今回のように数字を超えた強力なものになるということだ。

 むしろ、イブキは制御を安定させるために、『りゅうせいぐん』を使ったのかもしれない。特攻を犠牲にしてもおつりがくる大技だ。その可能性は十分に考えられた。

 

 流石のシゲルもこれには驚きのようで、「まさか、こんな技の組み合わせがあるとはね……」と呟いている。

 ブルーも驚いてはいるようだが、「あれだけの技だと制御するのは至難の業だよ。完全にモノになるのは遠いね」と、俺と似たような感想を口にしていた。

 ハヅキは素直に「すごいな」とだけ口にし、語彙力のないラティがそれに続いて、「すごいすごい」と喜んでいる。実際、凄い技だった。エリカも素直に「参りましたわ」と白旗を上げてキレイハナを戻している。

 

 だが、イブキも追い詰められていたのは間違いない。本人も、「未完成の技だったけど、使わざるを得ない状況だったよ」と、エリカの健闘を讃えていた。

 これで再び、ジョウトが勝ち越した訳だが、まだまだ勝負はこれからという感じだ。実際、まだ後五試合残っているし、ここからカントーの連勝が始まってもおかしくはない。

 

 次のカードはどうなるかなと思ってモニターに目を移すと、カントーがカツラ、ジョウトがハヤトという組み合わせとなった。

 ほのおタイプとひこうタイプのバトルか。個人的に、カツラは俺に初めてチートを疑うレベルの異常な技を使ってきた腹黒爺というイメージがあるせいで、どうにもカツラの方が上のように思える。

 しかし、ハヤトにはど根性があるし、大空というフィールドを上手く使えば十分に勝機はあるだろう。

 

 カツラとハヤトがフィールドで互いに握手をすると、いきなりカツラが「火の中にいる生き物なーんだ?」と言って先制攻撃を仕掛けてきた。

 思わず、「は?」という表情を浮かべるハヤト。

 カツラお得意のなぞなぞだが、どうやらハヤトはいきなりすぎて状況を呑み込めなかったらしく、すぐに「ぶー、時間切れ」と言われていた。まぁ、普通のジムリーダーは唐突になぞなぞなんてして来ないからな。気持ちはわからなくもなかった。

 

 ちなみに答えは人らしい。火という漢字の中は人があるからか。くだんねー。

 

 もしかしたら、真面目過ぎるハヤトに、カツラは相性が悪いかもしれないな。結局、なぞなぞを仕掛けられたことすらわかっていないようで、「よくわからないが、俺は全力で行くぞ!」と言って、ヨルノズクを出してきた。

 対するカツラはウインディを出している。どうやら、なぞなぞおじさんの時間は終わったようで、注意深くハヤトの様子を伺っていた。これだからこいつは侮れないのだ。

 

 小手先の技が苦手そうなハヤトが、小手先の技大好きそうなカツラにどう立ち向かっていくか。このバトルもなかなか面白くなりそうだ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・エキシビションマッチ第三試合が開始された。
 エリカVSイブキ。ふぶきとぼうふうのコンボは前からずっと考えていて、技の組み合わせも相性次第でやばいことになるのを表現したかった。特攻二段階ダウン後、ムーンフォースごとキレイハナをワンパンしたのは相性もあるがそれだけ威力が高かったということ。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲキッス Lv.46

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.47

 カビゴン  Lv.46

 ニョロゾ  Lv.45

 ヘラクロス Lv.43

 メガニウム Lv.43

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.43

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.43

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34


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