ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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#081 『エキシビションマッチ 第四試合』

 12歳 μ月ρ日 『エキシビションマッチ カントーVSジョウト 第四試合』

 

 カツラのウインディとハヤトのヨルノズクのバトルが始まった。大空を飛ぶヨルノズクと地を駆けるウインディの戦いは、ウインディが静かに上空の獲物を狙っているという様子だが、流石に空を飛ばれると捕まえるのも簡単ではないようでじっくりと狙いを定めている。

 

 ハヤトは迂闊に攻撃を仕掛けて捕まるのを警戒しているのか、ヨルノズクに高度を取らせて様子見だ。こりゃ、なぞなぞが裏目に出たな。警戒心を高めたハヤトはヒット&アウェイで攻めるつもりだろう。

 カントーやジョウトのほのおタイプで空を飛べるポケモンというと、リザードンやファイヤーくらいだろうが、そんなポケモンを持っていればカツラは使っているはずだ。多分、裏にいるのはブーバーだろうし、どうやって上空のヨルノズクを捉えるのか楽しみである。

 

 カツラはハヤトの思惑を理解したようで、『とおぼえ』を指示している。攻撃を一段階上げる技か、どうやら積み技で威嚇するつもりのようだが、対するハヤトは当たらなければどうということはないとばかりの態度だ。

 逆にそちらがその気ならこちらもそうしようとばかりに、『めいそう』で特攻と特防を一段階ずつ上げていく。あまりにあっさり使うから気づいてない奴もいるかもしれないが、飛びながら『めいそう』を使うのは地味に高等技術だ。あのヨルノズクがしっかり育てられている証拠でもある。

 

 互いに積み技を交互に積んで、最大まで上げていく。こうなると、一撃のダメージは致命傷になりかねない。これまでのバトルと違って、下手をすると一撃で勝負が着くこともあり得た。

 

 どうやって空中にいるヨルノズクを捕まえるのか、それが勝敗を分けることになる。そう思っていると、カツラはにやりと笑って『リフレクター』を指示した。

 物理攻撃を半減する技だが、『めいそう』を積んだ辺り、ヨルノズクは特殊型だ。意味のない技をどうするつもりだと思ったのだが、カツラは『リフレクター』を空中に板を置くように多段展開し、ウインディが空を走るための足場として使ってきた。

 

 ウインディが『リフレクター』を足場にして、空を駆けていく。当然、予想外の戦術にハヤトは動揺する。咄嗟に『エアスラッシュ』を指示したが、ウインディは持ち前の機動力で攻撃を回避して、ヨルノズクの懐に潜り込んだ。

 そのままカツラは『ワイルドボルト』を指示する。与えたダメージの1/4のダメージを受けるが威力が90もある物理のでんき技だ。おまけに『とおぼえ』の効果でウインディは攻撃が最大まで上がっている。弱点技の高威力攻撃だ。これは決まったかもしれないな。

 

 ヨルノズクがウインディの一撃を受け、地面に落下していく。しかし、ギリギリで態勢を立て直した。直前で『こらえる』が間に合ったようだ。そうでなければ、おそらく勝負は決まっていた。

 

 しかし、『こらえる』を使ったということは、体力が残り一ということだ。当然、ハヤトはヨルノズクをボールに戻すが、カツラは状況が有利ということもあってウインディを突っ張らせている。

 

 実質、一体を無傷で戦闘不能にさせられたようなものだ。ハヤトが完全に不利な状況なのは間違いない。

 カツラの奇想天外な戦術は、流石にこちらでも予想外だったようで、凄腕トレーナーズもいろいろと議論していた。

 

「リフレクターを足場にするとは、これは上空戦の常識が覆るぞ。カツラ選手は時代を変えたかもしれない。上手くすれば、このリーグでも使える!」

「確かに凄いけど、通常の使い方と違う以上、簡単に真似できることではないよ。足場として使うなら、かなり訓練しないと使えないだろうし、今日明日でどうにか出来るものじゃないさ」

「そういえばサトシ君もカントーで、バリヤードに『ひかりのかべ』を多段展開させて特殊攻撃無効にしてたよね。エスパー技は応用がいろいろ効いて使い勝手がいいし、私も何か悪さできないか探してみようかな」

「いやー、流石はジムリーダーですね。僕にはとてもじゃないけど真似できないや」

 

 やっぱり、増えてるな。今度はお前かイエロー。

 

「シジマさんがエキシビションマッチに参加するから見学しろと言ってくれたんです。ただ、会場が広くて迷子になっちゃって。そしたら、こっちからラティちゃんの気配を感じたんで」

 

 ラティと一緒になって、「ねー」と笑っている。

 いや、別にいいんだけどな。試合をしっかり見るなら、ここにいる奴らはレベルが高いから解説には困らないだろうし。

 しかし、この調子で何人増えるんだ?

 いや、もうある程度の知り合いは出そろったし、もう増えることはないか。これ以上集まったらうるさすぎて周りから苦情が来るかもしれないしな。

 

 とりあえず、イエローもジムリーダーを目指すように言われているんだし、しっかりと試合を見ろと注意して視線をフィールドに戻すと、ハヤトが最後の一体としてピジョットを出していた。

 

 やはりピジョットか。俺と戦った時に見せたこだわりから見てもそうじゃなかいとは思っていたが、どうやってウインディを突破するつもりだ?

 

 ハヤトの次の行動を見ていると、『フェザーダンス』を指示して相手の攻撃を二段階下げてきた。まずは一撃必殺の状況をどうにかしようということだろう。

 だが、カツラもやられるがままではいなかった。

 再び、『ワイルドボルト』を指示して、攻撃を仕掛けていく。当然だな。わざわざ攻撃が下がるのを待つ理由はない。しかし、ハヤトも『かげぶんしん』で攻撃を回避した。カツラも即座に分身を消していくが、その間にハヤトも二度目の『フェザーダンス』で攻撃を下げている。

 

 攻撃が四段階下げられたこともあって、カツラも攻め方を変えてきた。『かえんほうしゃ』を指示して、遠距離からのダメージを狙っていく。

 流石に攻撃を避けながら『フェザーダンス』は使えないようで、ピジョットも必死に攻撃を回避していく。高度を取りすぎると、今度は技の効果範囲外になるので、下手に距離を取れないのだ。

 

 ダメージは受けていないが、攻撃をひたすら回避するというのは地味に神経を削る。目に見えない疲労がピジョットには蓄積しているはずだ。それはいずれピジョットの体を蝕むだろう。カツラはそれを狙っていると見た。

 

 だが、ヨルノズクがダウン寸前な以上、ピジョットに頑張ってもらう以外に道はない。とはいえ、回避や防御に技を割きすぎれば、今度は相手を倒せなくなる。ハヤトとしては、『かげぶんしん』のみでここを凌ぎたい所だろう。

 

 しかし、相手はジムリーダーの中でも、経験を積んだ曲者のカツラだ。何度も『かげぶんしん』を使えば、癖を見抜かれて本物をすぐに特定される。実際、三度目の『フェザーダンス』は使えたようだが、その代償として『かげぶんしん』は見切られたようで『かえんほうしゃ』の手痛い一撃を受けていた。

 

 見切られてしまった以上、もうハヤトは『かげぶんしん』を攻撃にも防御にも使えないだろう。とはいえ、攻撃力を振り出しに戻せたのは大きい。ここからが勝負とばかりに、ハヤトが気合を入れると、カツラはその気合を抜くかのようにウインディをボールに戻した。

 

 上手い。絶妙なタイミングだ。

 

 ハヤトはこの交代の間のせいで、気合のぶつけ所を失う上、ほぼ無傷のウインディを後ろに残すのはプレッシャーになる。

 小手先の技術だが、間違いなく有用な技術だった。これに気付いたのはこの会場に何人いる? 少なくとも、シゲル、ブルーは気づいているだろう。イエローはわかってなさそうだし、今度説明してやろう。これは本当に凄い技術だ。

 

 カツラがウインディを戻すと、最後の一体としてブーバーを出してきた。

 

 ウインディがいなくなったことで、『リフレクター』を使用した空中殺法は時間が経てば使えなくなるが、カツラが何も考えずにただブーバーを出したとは思えない。ハヤトも、前回のことを学んでかなり警戒していた。

 

 しかし、カツラはそんなハヤトの様子を気にする素振りすら見せずに、「ロングヘアーの少年と、スキンヘッドの少年が喧嘩を始めた。さて、原因はどーっちだ?」とクイズを出している。

 ハヤトは答えず、ジッとカツラとブーバーを視界に収めているが、カツラはつまらなそうに、「答えはロングヘアーの少年。何故なら『長髪』だから」と答えを口にした。

 同時に、ブーバーがピジョットを『ちょうはつ』している。くだんねーなぞなぞに技を絡めるとは予想していなかったようで、ピジョットがしっかりと挑発に乗ってしまった。

 

 ハヤトも「しまった!」と声を上げる。カツラはハヤトが様子見をしている隙を敢えて突いてきたのだ。おそらく、攻略した『かげぶんしん』はともかく、『フェザーダンス』による攻撃力低下を嫌ったのだろう。

 これでハヤトは技を二つ封じられたようなものだ。とはいえ、苦しそうな顔をしているがまだ目は死んでいない。「ピジョット、ど根性だ!!」と声をかけて、再び大空へとピジョットを飛び立たせた。

 

 おそらく、ハヤトはアンズとツクシのバトルのように一撃必殺を狙っているのだろうが、あの時は隙を作るためにアンズは変化技を駆使して状況を整えている。ただの一か八かでは同じ結果は得られないだろう。

 いや、だからこそ、カツラは変化技を封じてきたのか。少しでもハヤトに勝機を残さないために。

 

 しかし、このクイズと『ちょうはつ』の間に、ウインディが展開していた『リフレクター』による足場が消えた。それはハヤトにとって追い風のはずだ。

 

 と、思ったのだが、カツラはまだ隠し玉を持っていた。『テレポート』を指示して、ブーバーを一瞬でピジョットの真上に転送したのだ。前にオレンジ諸島でカンナとバトルした時に使われた戦術の応用版である。

 おまけに、ピジョットは下を見ていたせいでブーバーを見失っていた。すぐにハヤトが「上だ、ピジョット!」と声をかけたが、上を向く前にブーバーの『かみなりパンチ』が直撃する。

 

 そのままの勢いでピジョットが地面にぶつかった。想定外の一撃を受けたピジョットのダメージは大きい。

 

 いつもの「ど根性だ!」の声掛けで起き上がるピジョットだが、既にカツラのブーバーは『テレポート』で真正面まで移動していた。

 追撃の『かみなりパンチ』に対し、ハヤトは『ぼうふう』を指示する。二発目の『かみなりパンチ』を受けながらも、ピジョットはブーバーを吹き飛ばした。

 

 流石にタイプ一致でひこうタイプ最大の特殊技を受けると、ブーバーもダメージを受けたようで、カツラが『にほんばれ』を指示している。

 これで技を全て使いきったが、攻撃技は『かみなりパンチ』があれば十分ということか。代わりに、『にほんばれ』のせいで、『ぼうふう』は命中率が五割にまで下がった。遠距離からのワンチャンは潰れたと言っていいだろう。

 

 おまけに、ピジョットの体力はもう残り少ない。

 

 カツラもそろそろバトルを終わらせるつもりのようで、再び『テレポート』からの『かみなりパンチ』を指示していた。

 だが、まだ終わらんという気合と共に、ハヤトが「『ぼうふう』守の型だ!!」という指示を飛ばす。同時に、ピジョットが自身を包み込むように『ぼうふう』を展開した。イブキが使っていた全方位の防壁だ。

 

 しかし、この技は強力な防御ではあるものの、中にいるポケモンにもダメージが行く諸刃の剣である。体力の残り少ないピジョットで使うには自殺行為だ。

 

 カツラも下手に手を出してダメージを受けるつもりはないようで、『テレポート』をキャンセルして様子を見ている。

 だが、しばらくして防壁が解除されるとそこにピジョットの姿はなかった。流石のカツラも動揺を見せるが、まだ『ちょうはつ』の効果は解除されていないので、変化技によるものではない。つまりは――

 

「上か!」

 

 カツラが空を見上げると同時に、上空からピジョットが急降下してくる。カツラの声に反応してブーバーも空を見上げたが、ここで思わぬハプニングが起きた。

 サングラスを付けているカツラは気づかなかったようだが、今は『にほんばれ』の効果で日差しが強くなっている。特に意識せずに上を向いたブーバーは、その眩しさに目が眩んでしまったのだ。

 

 ピジョットの突撃を回避するために、『テレポート』を指示したカツラも、そこでようやくブーバーの様子に気付いた。

 しかし、ブーバーが体勢を整えて技を発動するよりも、上空から猛スピードで落下してくるピジョットの方が早い。

 

「決めろ! 『ギガインパクト』!!」

 

 前に俺のピジョットがジム戦で追撃をかけた時と同じ状況だ。ただ、あの時以上に落下の速度が合わさっていることで、ブーバーには想定を超えたダメージが与えられた。

 だが、『ぼうふう』で身を削ったうえで、上空からの突撃はピジョット自身にも大ダメージを与えている。ブーバーが倒れると同時に、ピジョットもまた地面に倒れこんだ。

 

 互いに倒れ伏したまま動かない。

 

 カツラとハヤトが声をかける。反応した両者が体を起こそうとしたが、「ど根性だ!!」の掛け声でピジョットは完全に体を起こし、ブーバーは前のめりに倒れた。

 審判によって、ブーバーの戦闘不能がコールされると同時にピジョットも倒れる。しかし、判定はジョウトの勝ちだ。運の要素もあったが、見事な逆転勝利である。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・エキシビションマッチ第四試合が開始された。
 カツラVSハヤト。アニメカツラのなぞなぞはなぞなぞというより親父ギャグに近いので表現が難しい。が、何とかなぞなぞをバトルに絡めたくて小学生のなぞなぞを必死に調べたのはここだけの秘密。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲキッス Lv.46

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.47

 カビゴン  Lv.46

 ニョロゾ  Lv.45

 ヘラクロス Lv.43

 メガニウム Lv.43

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.43

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.43

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34



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