ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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#085 『エキシビションマッチ 第八試合』

 12歳 μ月ρ日 『エキシビションマッチ カントーVSジョウト 第八試合』

 

 ナツメ対ミカンちゃんの試合、どちらもメガシンカのテスター故にピンチになれば使ってくるだろう。

 相性的にははがねタイプはエスパー技を半減するので、ナツメの方が不利に見える。だが、それを補って余りある応用性がエスパータイプにあるのは、これまでの試合でも証明されていた。

 

 お互いにモンスターボールを構える。まずはこれまでのジムリーダー同様、相手の戦い方を見極めるための探りの一体目だろう。

 何が出てくるか、どういうバトルをするかを楽しみにしつつ、投げられたボールから出てきたのは、予想外にも互いのエースポケモンであるフーディンとハガネールだった。

 

 いきなりのエース投入に俺が動揺する中、ナツメとミカンちゃんは互いに視線をかわすと、止まることなくキーストーンを取り出す。おいおいまさか、このままメガシンカする気か!?

 

 と、いう俺の驚きを肯定するように、フーディンはメガフーディンに、ハガネールはメガハガネールにメガシンカする。

 当然、会場は前代未聞のメガシンカ対決に歓声が沸く。どうも、殆どのメンツはメガシンカが何だかはわかっていないようだが、とりあえず凄いことが起きているというので騒いでいるらしい。

 

 正直、こちらも顎が外れそうだった。あの二人、この一体で勝負を決めるつもりだ。

 

 ふと、周囲を見ると、シゲルが「いきなりメガシンカとはね。流石はエキシビションマッチの最後を飾るバトルだ」と二人を称賛したり、メガシンカを初めてみるハヅキが「メガ進化……?」と困惑していたりと大賑わいだが、四天王やチャンピオン連中は流石にメガシンカについても知っているようで特に驚いた様子はない。

 

 とはいえ、この世界でメガシンカ同士のバトルなど俺ですら見るのは初めてだ。二人がどういう立ち回りを見せるのかとても楽しみである。

 

 先手を取ったのはミカンちゃんだ。『すなあらし』を指示して、フィールドを砂塵で覆いつくしていく。

 メガハガネールの特性は『すなのちから』だ。天候が砂嵐の時、自分のじめん・いわ・はがねタイプの技が1.3倍になり、『すなあらし』によるダメージを受けないというもので、砂嵐状態でこそ最大の恩恵を受けられる。

 

 しかし、メガフーディンの特性は『トレース』だ。相手の特性と同じ特性になるので、今のメガフーディンは特性が『すなのちから』になっている。タイプ不一致なので最大の恩恵は受けられないが、砂嵐による継続ダメージは期待できないだろう。

 

 また、ミカンちゃんが『すなあらし』を指示するのと同時に、ナツメは『サイコフィールド』を指示していた。

 これでひこうタイプや『ふゆう』などの特性で宙にいない地面に足をつけているのを除いた全てのポケモンは先制技を受けなくなった上、エスパータイプの技の威力は1.3倍になる。これで、効果今一つによる半減はほぼ消えたと言って良かった。

 

 メガフーディンは特殊に強くて物理に弱い。メガハガネールは物理に強くて特殊に弱い。それ故に、互いに強化された一撃は致命傷になり得る。これはすぐにバトルが終わるかもしれないな。

 

 ナツメが『サイコキネシス』を、ミカンちゃんが『ジャイロボール』を指示し、高速回転したメガハガネールがメガフーディンに突撃する。だが、『サイコキネシス』により、その動きが止められ、徐々に勢いは下がっていく。

 しかし、ギリギリで『サイコキネシス』を振り切ったメガハガネールがそのままの勢いでぶつかって行った。ナツメが舌打ちしながら、『リフレクター』を指示して、何とかダメージを軽減させている。

 

 距離を詰めたミカンちゃんがそのまま『かみくだく』で弱点を攻めようとするが、舐めるなと言わんばかりに、再びの『サイコキネシス』でメガハガネールが吹っ飛ばされた。

 タイプ一致の『ジャイロボール』中ならともかく、通常の状態なら動きを止めるのは造作もないということだろう。ミカンちゃんも相手が簡単に勝負を決めさせてくれないとわかると、再び『ジャイロボール』の構えを取った。

 

 ナツメも『サイコキネシス』で勝負をつけるつもりのようで、メガフーディンがパワーを集中させている。

 

 ミカンちゃんが再度、『ジャイロボール』を指示し、メガハガネールが突っ込んでいく。

 だが、ナツメも『リフレクター』で相手の攻撃を下げただけあって、今度は確実にメガハガネールの動きを封じ込めた。

 

 そのまま『サイコキネシス』でじりじりとダメージを与えていく。最初に与えたダメージを含めれば、ダメージは逆転しただろう。このまま一気に戦闘不能まで持って行くとばかりに、ナツメが技を続けようとした瞬間、ミカンちゃんが最後の技として『アイアンローラー』を指示した。

 この技は場にフィールド系の技が発動していなければ使えないはがね技で、威力が130もある大技だ。現在、フィールドにはナツメが使っている『サイコフィールド』があり、それを破壊することで技は発動した。

 

 ミカンちゃんの技で『サイコフィールド』が破壊され、エスパータイプの技の威力が下がる。それにより、『サイコキネシス』の拘束が弱まり、メガハガネールがメガフーディンに強力な一撃を与えた。

 特性でパワーアップしているし、技の威力を考えれば、この一撃で決まってもおかしくない。

 

 しかし、『リフレクター』のおかげで、紙一重でメガフーディンは攻撃を耐えたようだ。ナツメは冷静に最後の技である『アンコール』を指示する。

 これにより、メガハガネールの技は『アイアンローラー』で固定されるが、あの技はフィールド系の技が発動していないと失敗するという厳しい条件があった。当然、メガハガネールは技を失敗し、その間に三度の『サイコキネシス』がメガハガネールを襲う。

 

 ポケモンを交換すれば、『アンコール』は解ける。だが、このバトルはメガシンカ同士の、互いのエースの一対一のバトルだ。

 公式にそんなルールがある訳ではないが、少なくともミカンちゃんはそう思ってバトルに望んでいたようで、メガハガネールをボールに戻さなかった。

 これはあくまで推測だが、もしナツメが同じ状況になったとしても、メガフーディンを戻しはしなかっただろう。

 

 そのままメガハガネールが戦闘不能になり、メガシンカが解除される。同時に、メガフーディンもメガシンカが解除され、元の姿に戻った。

 ミカンちゃんがハガネールをボールに戻し、「お疲れ様」と声をかける。ナツメもまたフーディンに「ありがとう」と声をかけてボールに戻していた。

 

 これでエキシビションマッチは終了だ。

 

 結果は4対4の引き分けだが、どの試合も手に汗握る素晴らしいバトルだったと言っていいだろう。

 カントー四天王もこの結果には満足したようで、良くあの状況から引き分けに持ち込んだものだと感心している。

 

 約数時間のバトルだったが、なかなか楽しめた。

 

 これから昼食休憩を挟んだ後、午後から選考会が始まる。どうやら、選考会は今日一日で終わらせるつもりのようで、かなりのハードスケジュールになりそうだ。

 だが、エキシビションマッチを見て、俺のモチベーションは最高潮まで上がっている。悪いが誰が相手でも負けるつもりはなかった。

 

 もうここに用はないので、ラティを連れて出ていこうとすると、ワタルを筆頭に声をかけられる。どうやら、ジョウト側の四天王は帰るようだが、カントーの四天王連中はこのままここに泊まるらしい。

 聞けば、俺が出るのを聞いて、急ピッチでスケジュールを開けたようだ。カンナやシバが試合を楽しみにしていると声をかけてきたので、「エキシビションマッチに負けない試合を見せますよ」と返した。自分で自分のラインを上げるのがニューサトシの得意技なのだ。

 

 そのままカスミさんやタケシと合流する。カントー側のジムリーダーはこのまま各ジムに帰るようだが、ナツメは試合を見ていくつもりのようでカスミさんやタケシと一緒にいた。

 

 試合の感想を聞かれたので、なかなかいい試合だったと返す。もし、ミカンちゃんがポケモンを交換してきた場合はどうするか聞いたが、裏にはヤドランを控えさせていたらしく、素直に弱点であるほのお技で攻めるつもりだったらしい。

 確かに、ヤドランはほのお技も覚えられる器用なポケモンだし、選出としては十分に有りだ。

 

 成程と思いながら飯を食いに行くと、噂をすればとミカンちゃんと遭遇した。どうやら、ジョウト側のジムリーダーは半数がリーグを見物していくつもりらしい。まぁ、リーグ中にジムバッジを求める奴なんか殆どいないだろうからな。

 

 見れば、ミカンちゃんの後ろにはアカネとツクシ、イブキの姿がある。ジムリーダーがこんな目立つところで飯食ってていいのかとも思ったが、こちらも三人ジムリーダーを連れているのでそんなに変わらなかった。

 

 ミカンちゃんが「一緒にどう?」と声をかけてくれたので、素直にお言葉に甘えることにする。

 アカネはやはりゲームと違って負けて泣くようなことはなかったようで、「負けたわ、カスミちゃん。あそこの『いたみわけ』は狙ってたん?」と気楽に話しかけている。ミカンちゃんもナツメにエキシビションマッチの話を振っていたが、このコミュ障は相変わらず俺以外への口数が少ない。

 

 しかし、ミカンちゃんがゲームと違ってなかなかにコミュ強なこともあって、意外と会話は盛り上がっているようにも見えた。

 タケシはタケシでイブキにメロメロになりながら、ツクシに『ステルスロック』戦術はフルパ向けだとダメ出しをくらっている。ラティもそれを聞いてうんうん頷いていた。

 

 俺もまた適当に会話に交じりながら、バトルに向けて神経を集中させていく。選考会は一対一のバトルだ。三回バトルのチャンスがあるが、全てに勝つつもりである。

 誰を選出するかも既に決めていた。

 一試合目はゼニガメ、二試合目はバタフリー、三試合目はカモネギに任せるつもりでいる。理由は意気込みだ。全員やる気がある中で、特に試合への意気込みが強い三体を選んだ。

 

 昼食後、俺は試合があるので会場へ向かうことにしたのだが、タケシとカスミさんはナツメやジョウトジムリーダーと一緒に見学するということで観客席へ向かった。

 ラティも一緒に行くかと思ったが、どうやら近くで応援したいようでベンチにいくと訴えている。本人曰く、「いっしょ」らしい。まぁ、拒否する理由はないので、静かにするようにだけ言って連れていくことにした。

 

 選考会は余程の持久戦にならない限り、一試合五分程度で決着がつくのですぐに順番が回ってくる。

 

 第一試合の相手はオオタチだった。ノーマルタイプなので、ゼニガメとの相性は普通である。まぁまぁ育てられていたが、特にてこずるようなことはなく、あっさりと一勝を決めた。

 

 第二試合の相手はゴーリキーで、ひこうタイプを持っているバタフリーが終始有利にバトルを進めている。結局、特に番狂わせが起きることはなく、そのままKOして二勝目を手に入れた。

 

 第三試合の相手はナッシーで、カモネギが二刀流で一方的に攻撃している。ぶっちゃけ、既に二勝しているので負けても問題ないのだが、負ける方が難しいくらい余裕でナッシーをボコボコにしていた。

 

 結局、三連勝で予選リーグに出場を決める。

 

 ラティは大喜びで飛び跳ねているが、ぶっちゃけ相手はそこまで強くなかった。やはり、本番は予選リーグからと言っていいだろう。

 予選リーグは三人一ブロックによる総当たり戦だ。その中で勝ち点が多い奴が決勝リーグに進むことが出来る。とはいえ、まだ全部の選考会が終わった訳ではないし、予選リーグの組み合わせは明日にならないとわからない。

 

 見れば、シゲルやハヅキも選考会は余裕で突破したようだし、他に相手になる奴もパッと見た限りはいなそうなので、一度部屋に戻ることにした。

 

 カスミさんやタケシも、ジムリーダーズを連れて俺の部屋に帰って来る。まさか泊まるつもりじゃないだろうなと思ったが、どうやらジムリーダー達も昨日まで使っていた部屋をそのまま借りているらしい。

 

 ツクシに今回の意気込みを聞かれたが、ぶっちゃけシゲル以外は相手にならないと思っている。ハヅキのバトルを見ていないのでまだ何とも言えないが、アニメでもそこまでレベルが違う相手ではなかったはずだ。

 俺の感想を聞くと、「余裕だねぇ」と返してくるので、逆にジムリーダー達に予選を見ていて強そうな奴はいなかったか聞いてみることにした。

 

 すると、ツクシから「あくまでサトシ君を基準にすると、やはりシゲル選手やハヅキ選手辺りかな。あぁ、後は名前はわからないけど一人いい動きをしてる選手がいたね」と返って来る。

 ほう? ジムリーダーから見て、動きがいいと思えるようなレベルの奴がいたのか。

 どんな見た目をしていたのか聞いてみると、どうも全身をローブのようなもので隠していたようで顔はわからなかったらしい。まぁ、不審者を参加させる訳ないし、何か理由があるのだろう。

 

 とりあえず、俺の知らない警戒に値する奴がいるということがわかっただけでも収穫だ。

 

 他にもムサルーナなる人物がなかなか魅せるバトルをしていたらしいが、強さは俺ほどではなかったようだ。一応、気には留めておくが、そこまで注意しなくてもいいだろう。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・エキシビションマッチ第八試合が開始された。
 ナツメVSミカン。開幕メガシンカバトルをさせたくて、このエキシビションをしたと言っても過言ではない。続きを長々と書いても蛇足になりそうだったので、メガシンカのみで決着をつけた。

・ジムリーダーやカントー四天王がリーグを見学していくことになった。
 カントーのジムリーダーは大半がエキシビション後、カントーに帰った。残ったのはカスミさん、タケシを除くとナツメのみ。ジョウトはツクシ、アカネ、ミカンちゃん、イブキ。ジョウト四天王は全員帰ったが、ワタルは残っている。カントー四天王はキクコやレッドも含めて全員残っている。

・選考会を余裕勝ちした。
 ニューサトシがパッと見た感じ、シゲルやハヅキくらいしか強敵はいなそうだったが、見知らぬ厨二病トレーナーが一人いたらしい。

・ムサルーナ、一体何サシなんだ?
 選考会は二勝一敗でギリギリ通過した。一敗は新人の台頭に焦ったニャースが出番を求めた結果だった。自信満々に出て負けたこともあって、敵だけでなく味方からもボコボコにされた。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲキッス Lv.46

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.47

 カビゴン  Lv.46

 ニョロゾ  Lv.45

 ヘラクロス Lv.43

 メガニウム Lv.43

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.43

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.43

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34


 明日からいつも通りの更新に戻ります。残り12話ですが、よろしくお願いします。



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