ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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#086 『今日は無礼講じゃ。好きに暴れるがよい』

 12歳 μ月σ日 『予選リーグ 第一試合』

 

 朝、予選リーグの対戦表を見に行くと、H組に俺の名前があった。どうやら予選リーグでシゲルやハヅキといった奴らに当たることはなかったようで一安心である。

 そのまま試合が始まるまで一度部屋に戻ろうとすると、モエと名乗る少女が喧嘩を吹っかけてきた。どこかで見覚えがあると思ったが、このモエとかいう奴は俺が予選リーグで戦う二人のうちの一人である。

 

 俺の情報を調べるためにわざわざ来たということらしいが、試合前のバトルは禁止されているので、けしかけられたロコンを適当に受け流してお返しした。

 俺のマサラ式肉体言語術は受け流しの作法も一流なのである。それを見て、モエが何やら「うちはサトシはんみたいな燃える男が好きやねん」とか言い出した。カスミさんの目が何やら光をなくし、ラティが「むーむー」言い出したが、とりあえず無視して「試合で決着を付けよう」とだけ返す。

 

 モエが「うちが勝ったらデートやでー」とか言っているが、負けるつもりは毛頭ないので問題ないだろう。

 

 そのまま一度部屋に戻り、モエについて情報を探す。どうも、モエはほのおタイプを中心としたメンバーを取り揃えているようなので、俺もほのおに有利なポケモンをエントリーさせることにした。

 みずタイプとして、調子を上げているワニノコ。いわタイプとして、ウソッキー。最後に保険としてじめんタイプを持つドサイドンをチョイスする。最初の二体はジョウトで捕まえたメンバーになったが、レベルは十分に上がっているし、バトルでもいい勝負が出来るはずだ。

 

 午後になると、バトルフィールドに向かう。

 

 予選リーグは三対三の入れ替えありだ。セキエイ大会の予選と一緒である。ただシロガネ大会はセキエイ大会と違って同時にポケモンを出すのではなく、先攻、後攻をルーレットで決め、先攻のトレーナーがポケモンを出した後に後攻のトレーナーがポケモンを出すという圧倒的に後攻が有利なシステムとなっている。

 

 今回の先攻はモエで、マグマッグを出してきた。当然、こちらはワニノコを出す。

 ワニノコがいつも通りに元気に踊りまくっているので、そのまま『りゅうのまい』を指示して、攻撃と素早を一段階上げる。対するモエは『かえんほうしゃ』で攻撃を仕掛けてきた。

 

 当たる訳には行かないので、ワニノコが踊りながら攻撃をかわして行く。そのまま距離を詰めさせて『アクアテール』を指示した。

 モエは『かげぶんしん』を指示して、攻撃をかわしてくる。ワニノコが本物を見抜けずに困惑するが、「集中を乱すな」と声をかけると、落ち着いて再び踊り出した。

 

 背後に回ったマグマッグが再び『かえんほうしゃ』を撃ってくるので、『あなをほる』で地面に潜らせる。すぐにまた『かげぶんしん』で回避の構えを取るモエだが、その手はもう通じない。シジマがエキシビションマッチでやっていた音を頼りに本物を見つける方法で攻撃を仕掛けていく。

 マグマッグは『じしん』や『マグニチュード』を覚えないので、攻撃される心配もなく、そのまま地面からの一撃でダメージを与えた。

 

 追撃の『アクアテール』でさらにダメージを与える。マグマッグも弱点の二連発は効いたようで体をふらつかせていた。

 このまま一気に決めようかとも思ったが、流石にやばいと思ったようで、モエがマグマッグを一度ボールに戻す。次に出してきたのはエレブーだった。

 

 おそらく、みず対策に入れているのだろうが、ほのおタイプの弱点はみずタイプだけではない。

 俺もワニノコを戻し、でんきにもほのおにも通るじめんタイプであるドサイドンを送り出した。

 

 グリーンが先に出したせいで歓声は少し減ってしまったが、それでも十分な歓声が俺を包む。大変気分がいい。

 

 さて、相手はどう出てくるかなと思っていたが、どうやらモエはドサイドンの姿こそ見たことはあってもタイプまではわからなかったようで、『10まんボルト』を指示している。

 当然、じめんタイプを持つドサイドンにでんき技が効くはずもなく、返しの『じしん』でワンキルした。ことパワーにおいて、ドサイドンは俺のポケモンの中でもトップクラスだ。そこいらのポケモンでは相手にならん。

 

 モエは再びマグマッグを出してくるが、ワニノコとのバトルでダメージを受けているマグマッグが『じしん』に耐えられるはずがない。相手の『かえんほうしゃ』を余裕で受けて、一気に戦闘不能まで持って行った。

 

 これで三対一だ。もうドサイドンで勝てるが、それではウソッキーが可哀想なので、モエがマグマッグを戻すと同時にこちらもドサイドンをボールに戻す。

 

 モエの三体目はマグマラシだった。こちらはウソッキーを出して勝負を決めに行く。俺の手持ちにもマグマラシがいるからこそ、ウソッキーはマグマラシが何をしてくるかよく知っている。

 また、モエのマグマラシは俺のマグマラシよりもレベルが低いようで、そこまでスピードは高くなかった。そのおかげか、ウソッキーも余裕をもって攻撃に対応している。

 

 ウソッキーはワニノコほどではないが踊るのが好きなので、ワニノコ同様にリズムに合わせて攻撃を回避するのが得意だった。

 そのリズムを狂わせようと、モエも攻撃を仕掛けてくるが、ウソッキーは相手の攻撃すら自分のリズムに取り込んでいる。このレベルではウソッキーを攻略するなど夢のまた夢ということで、『ストーンエッジ』でさっさとマグマラシを戦闘不能に持って行った。

 

 これでモエのポケモンが全て戦闘不能になったことで、俺が三点をゲットした。ぶっちゃけ、勝った奴が勝ち抜けなので勝ち点とかあまり関係ない気がするがまぁいいだろう。

 

 

 

 12歳 μ月τ日 『予選リーグ 第二試合』

 

 予選リーグ第二試合はワカバタウン出身のジュンイチという奴が相手になった。調べた感じ、モエのようにポケモンのタイプに偏りはないようなので、ここはトゲ様のデビューを飾らせてもらうことにした。

 メンバーはトゲ様、マグマラシ、ゲンガーだが、おそらく余程のことがなければトゲ様一体で勝負は決まるだろう。

 

 いざバトルが始まると、先攻のジュンイチは一体目にマリルリを出してきた。あぁ、終わったな。

 

 こちらはトゲ様を出した。トゲピーはジョウトでも存在しているが、その最終進化系であるトゲキッスまでは流石に周知されていないようで、見知らぬポケモンに会場も大盛り上がりになる。

 

 大変気分がいい。ので、そのまま『エアスラッシュ』を指示する。ジュンイチは『こごえるかぜ』を指示してきたが、怯みを引いたようで攻撃に移れずにいた。運が無さすぎる。

 こうなれば、後はこちらのものである。『でんじは』を指示して麻痺と怯みで動きを封じていく。『でんじは』による麻痺と、『てんのめぐみ』の追加効果が二倍になるという特性で、『エアスラッシュ』の怯み率が六割。麻痺も含めると、確率的に相手は七割で行動不能になるが、体感だと全く動けていなかった。

 

 リアルな世界でのまひるみだし、もう少し動けるかとも思ったが、マリルリに何もさせないまま戦闘不能になっている。

 ジュンイチもひたすらに声をかけていたが、あまりに何も出来ないので流石のニューサトシも罪悪感を覚えるレベルだった。

 

 とはいえ、勝ちは勝ちである。公式戦で初勝利したこともあってトゲ様が大喜びしていた。長いこと日の目を浴びさせてやれなくてすまんかったな。今日は無礼講じゃ。好きに暴れるがよい。

 

 と、いうことで、このまま突っ張ろうとしたが、ジュンイチは二体目にレアコイルを出してきた。

 トゲ様の苦手なでんき・はがねタイプのポケモンである。とはいえ、多分スピードはこちらの方が上なのでこのまま突っ張れなくもない。どうするか悩んだが、今日は無礼講と言ったばかりだしこのまま突っ張ることにする。

 

 ジュンイチは『10まんボルト』を指示してきた。が、こちらは当然エアスラで動きを封じていく。麻痺がないので先程より動きを封じられない可能性があるが、今の所は上手く怯みを引いている。怯んだ隙にこっちは『わるだくみ』を積んだ。

 これで特攻が二段階上がったので、おそらく次の一撃で戦闘不能に出来るだろう。ジュンイチが続けて『10まんボルト』を指示すると同時に、こちらも『はどうだん』を指示する。

 

 相手の『10まんボルト』よりも先に『はどうだん』が命中し、レアコイルが戦闘不能になった。当然、『10まんボルト』はトゲ様に届く前に霧散し、トゲ様はダメージもなく大喜びである。

 

 ジュンイチもまさか一体のポケモンにここまで追いつめられるとは思わなかったようで、「頼むぞ!」と声を出しながら、最後のポケモンとしてメガニウムを出してきた。

 それを見て、ああもう99%負けねぇなぁと思ったのは内緒である。

 

 メガニウムとトゲ様の素早種族値は一緒だが、『でんじは』が通る以上、もはや勝負は決まったようなものである。

 残された向こうの勝ち筋は『くさぶえ』辺りの技でトゲ様を眠らせるしかなかったが、どうやら覚えていないらしい。まぁ、タマゴ技だし覚えさせるのは難しいからな。俺のメガニウムですら覚えていないしあるとは思っていなかった。

 

 悪あがきで、『つるのむち』を使って拘束してきたが、『でんじは』をまいたら拘束はすぐに緩んだ。そのまま『エアスラッシュ』連打で即戦闘不能に持って行く。

 

 これで二勝、勝ち点は六なので文句なく決勝リーグ進出決定である。三体抜きしたトゲ様がやったよと言わんばかりに抱き着いてきたので頭を撫でた。

 よくやったで。長いことお留守番させてすまんかったな。これからは思う存分、その力を発揮してくれと言うと、誰に似たのか極悪な笑みを浮かべている。カスミさん曰く、「アンタしかいないでしょ!」ということだが、前世の世界の住人が見たら卒倒するなこの顔は。

 

 控室に戻って試合結果を確認していると、どうやらシゲルやハヅキも勝ち抜きを決めたらしい。さて、確かアニメでは次の試合がシゲルだったような気がするが、果たしてどうなるかな。

 

 

 

 12歳 μ月υ日 『トーナメント組み合わせ表』

 

 決勝トーナメントの組み合わせを見に行くと、原作と違って対戦相手がハヅキになっていた。

 多分、俺もシゲルもアニメと違って、去年のセキエイ大会で高成績を残しているので、ベスト16でぶつけるのは惜しいと思われたのかもしれない。

 

 このトーナメント表を見るに、俺とシゲルは決勝戦まで当たらなそうだ。

 ツクシが言っていた顔を隠している奴は、真っすぐ行けば準決勝で当たる。強い奴とはもれなく全員戦えそうでとても気分が良かった。

 

 それと、ずっと気付いていなかったが、どうやらまたロケット団のムサシがリーグに参加していたようで、しれっと決勝リーグの組み合わせ表に顔が乗っていた。

 今大会はセキエイ大会と違って、事前にトレーナー登録をしなければいけない上、ジムにもバトルの記録が残るので、バッジを盗んで参加することは出来ない。つまり、あいつらは自力でジム戦をしてきたことになる。

 

 たまに襲ってこない日があるなとは思っていたが、どうやらジム戦をしていたらしい。

 思えば、機械に頼りまくって弱くなったと言った後から動きが良くなっていたし、あの辺からあいつらも襲う頻度が少なくなってきていた。つまり、そういうことだろう。

 

 とりあえず、対ハヅキのポケモンを準備するために、一度部屋に戻ろうと思ったのだが、丁度噂のロケット団を見つけたので話しかけた。

 

 向こうも、ばれちまったら仕方ないという感じでいろいろ話してくる。やはり、俺に弱くなったと言われた辺りに一度ワカバタウンに戻ってポケモンリーグの参加申し込みをしたらしい。

 バッジを集めるのはかなり苦労したようで、ムサシよりもコジロウがその苦労を語っていた。

 

 よく決勝リーグまで残ったなと感心していると、予選リーグの結果は一勝一敗の全員勝ち点が同数の延長戦で、ギリギリの決勝進出だったようだ。

 組み合わせを見るに、こいつらは俺より先にシゲルに当たる。多分、俺と戦うことはないだろうが、今回はちゃんと実力で参加しているみたいだし、「悔いのないバトルをしろよ」とだけ声をかけて部屋に戻った。

 

 そのままPCでハヅキのポケモンについて調べる。俺の記憶が正しければ、ホウエンのポケモンはバシャーモくらいで、他はジョウトのポケモンだったはずだ。

 決勝からは六対六のフルバトルである。バシャーモの相手は当然リザードンに任せるとして、他をバランス良く考えると、リザードン、キングラー、クリスタルのイワーク、カビゴン、ヘラクロス、メガニウム辺りだな。たまに満腹で眠ってしまうカビゴンがちゃんと起きていてくれることを願おう。

 

 暴君との約束があるので、どこかで出番を用意してやらなければいけないが、顔を隠している奴とのバトルまでは温存することにした。

 初見殺しをするなら、多分それが一番効果がある。とはいえ、俺のデータを調べればジム戦でミュウツーを使ったのはわかるだろうし、見たこともないポケモンを持っているというくらいの情報はばれていると考えた方がいいだろう。

 

 とはいえ、今はハヅキだ。転送装置のある階まで行き、オーキド研究所から選んだポケモンを転送して貰う。一番の懸念だったカビゴンもちゃんと起きているようで、やる気いっぱいという顔をしていた。

 

 ポケモン達の調子を確認していると、何やらラティがこのリーグの熱気に当てられたようで、突然「ラティも出る!」と言っている。いや、お前はレベリングもしてないし、注目されるとこの先の旅が面倒になるので「お留守番」と言ってカスミさんに渡した。

 

 手足をばたつかせて「やだやだやだやだ」とごねているが、ゴマゾウや赤いギャラドスもレベル的な問題で今回の大会はお留守番なのだ。ラティだけ特別扱いする気はない。

 しばらくは「やだやだ」と我が儘を言っていたが、結局は上手いことカスミさんに宥められて応援を頑張ってもらうことになった。しかし、あのラティがバトルをしたがるとは、流石はポケモンリーグということか。

 

 

 




 原作との変化点。

・第267話『予選リーグ! マグマラシ炎のバトル!!』より、ロコンと戦わなかった。
 常識的に考えて、リーグ戦以外のバトルは禁止されていないとおかしい。アニメでは試合前にゴマゾウで戦っていたが、ここはニューサトシの体術で戦いをスルーした。

・第268話『メガニウムVSフシギダネ! 草タイプの意地!』より、トゲ様が蹂躙した。
 感想欄でトゲ様の動きを全て当てられて、これ書く意味あったか? と、首を傾げた。

・第269話『決勝トーナメント! フルバトル6VS6!!』より、組み合わせがチェンジされた。
 ニューサトシやシゲルネオのセキエイ大会での成績がいいため、組み合わせが変えられた。

・第270話『ライバル対決! カメックスVsリザードン!!』より、組み合わせが変わったためカットされた。
 ハヅキと戦うので話がカットされた。

・ロケット団がリーグ戦に参加していた。
 多分誰も気づいていなかったと思うが、実は参加していた(ナ,ナンダッテー!?)。いつか、ロケット団のジョウトジムチャレンジを番外編でお送りしたいと思う。

・ラティがバトルに出たがった。
 熱気に当てられたらしい。レベル30では流石に使えないので、今回は出さない。やだやだ攻撃はスルーしている。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲキッス Lv.46→47

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.47

 カビゴン  Lv.46

 ニョロゾ  Lv.45

 ヘラクロス Lv.43

 メガニウム Lv.43

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.43

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.43

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34


 ニューサトシやポケモン達の設定、サブキャラや作中の設定をまとめて欲しいという意見が来たのですが需要あります? あまり設定資料みたいなのを書いてもなぁと個人的には思うのですが。ちょっとまたアンケートをお願いします。

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