ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

98 / 185
#087 『やぁってやるぜ!』

 12歳 μ月υ日 『決勝リーグ 一回戦 VSハヅキ 前編』

 

 まだほっぺを膨らませているラティを連れてバトルフィールドに行くと、既にハヅキはスタンバイしていた。

 モンスターボールを片手に、「サトシ君、いいバトルをしよう!」と声をかけてきたので、「やぁってやるぜ!」と返す。決勝リーグからはフィールドがランダムに選出されるが、今回は草原のフィールドだった。

 

 そのままルーレットで先行はハヅキに決まり、カクレオンを出してくる。ならばこちらも素直に相性を突いてヘラクロスを出した。

 カクレオンの特性は、技を受けるとそのタイプに変化する『へんしょく』と、夢特性の『へんげんじざい』があるが、まず『へんしょく』と見ていいだろう。下手な攻撃はこちらを不利にしかねないので、上手くバトルを組み立てなければいけない。

 

 どう攻めるか様子を見ていると、ハヅキが『ほごしょく』を指示してくる。それと同時にカクレオンが自分の体色を変化させて見えづらくさせてきた。

 この『ほごしょく』という技はフィールドの状況によって、自分のタイプを変える技でもある。今、フィールドは草原なのでカクレオンはくさタイプになったはずだ。

 

 ならば、むしタイプであるヘラクロスは相性有利と言える。『メガホーン』を指示するが、ヘラクロスは相手がどこにいるかわからないとばかりに辺りをキョロキョロしていた。

 マジか。カクレオンは体の色は変化しても、中心部分の赤いマークだけは消えないので、すぐに見つけられると思っていたが、どうやらヘラクロスは見事に目標を見失ったらしい。

 

 ニューサトシにはばっちりカクレオンが見えているので、そこに攻撃するように指示するも、やはり自身が見えていないと完璧に攻撃はヒットできず『メガホーン』を外していた。

 そのまま弱点である『サイケこうせん』の追撃を受け、おまけに追加効果で混乱まで引いたようで、ヘラクロスが何も出来ずにピンチになる。

 

 これはまずいということで、一度ヘラクロスを戻すことにした。正直、ピンチは想定していなかったが、こういうこともあるのがポケモンバトルだ。

 

 二体目として、クリスタルのイワークを送り出す。世にも珍しい全身クリスタルのイワークに会場中が沸き上がっている。大変気分が良い。

それに気分が良いだけではないのだ。こいつはこおり・いわタイプで、普通のイワークとは弱点が微妙に違う。

 しかし、イワーク相手にはみず技とハヅキは判断したようで、素直に『みずのはどう』を指示している。正直、くさ技を選択された方が厳しかったが、どうやら『くさむすび』は覚えていないらしい。

 

 俺のクリスタルのイワークの特性は『クリスタルボディ(命名オーキド博士)』だ。効果は、みず技を無効にし、ほのお技が効果抜群になり、弱点の攻撃を受けると攻撃と特攻が一段階上がる。

 みず技など起点にしかならず、無表情で『みずのはどう』を受け流し、そのまま追撃で『れいとうビーム』を指示した。

 

 イワークが『れいとうビーム』を撃ったということで、流石に動揺したようだが、カクレオンはかなりスピードタイプに育てられているようで、機敏な動きで『れいとうビーム』を回避していく。

 だが、フィールドが氷漬けになることで、隠れ場所を失い自然と姿が露わになった。上手く逃げていたカクレオンもフィールド全体が氷になると、これまでのように器用には動けないようで、完全に動きが止まった所に『れいとうビーム』が直撃する。

 

 現在、『ほごしょく』の効果でくさタイプになっているカクレオンに、こおり技は効果が抜群だ。

 流石に一撃では倒せないが、かなりのダメージを与えたはずである。同時に、特性である『へんしょく』の効果で、カクレオンがこおりタイプになった。

 

 とはいえ、それは想定済なので、今度はいわ技で攻める。『がんせきふうじ』を指示して、岩をカクレオンに向かって投げ飛ばした。

 ぶっちゃけ、ニューサトシは『がんせきふうじ』よりも威力のある『ストーンエッジ』派だが、この技はエッジよりも制御がしやすくコントロールが楽という利点もある。特に狙い通りの場所に岩を当てたいときは、『がんせきふうじ』の方が使い勝手が良い。こういう時こそ使いどころだろう。

 

 こおりタイプになったとはいえ、それですぐに氷の足場に慣れる訳ではない。カクレオンも頑張ってこおりの上を移動しているが、機敏さは格段に下がっている。

 向こうも『みずのはどう』で『がんせきふうじ』を相殺しようとしているが、流石にこちらはタイプ一致技ということもあって岩が水を突き抜けカクレオンに直撃した。

 

 これで、カクレオンのタイプはいわに変わり、『がんせきふうじ』の追加効果で素早が一段階下がる。

 こうなれば完全にこちらのものだが、ハヅキもまたここで一度カクレオンをボールに戻した。いい判断である。

 

 次に出してきたのはヘルガーだった。こちらがほのおが弱点だというのはばれていないと思うが、随分的確に弱点を攻めてくるな。

 

 突っ張ってもいいが、ここは一度クリスタルのイワークを戻してキングラーを出すことにした。ほのおタイプを想定して連れてきたのだし、ここで出さないとおそらく出番はない。

 俺がキングラーを出すと同時に、フィールドの中央が変化し、一部が水のフィールドに変わる。セキエイ大会と同じように、みずタイプのポケモンには配慮されているらしい。

 

 ハヅキは『かえんほうしゃ』を指示してきた。みずタイプにほのお技かと思ったが、どうも狙いはキングラーではない。

 どうやら、イワークが氷漬けにしたフィールドを溶かすためにヘルガーを出してきたようだ。足場が氷になるのは後々のポケモンにも影響が出ると判断したのだろう。

 

 とはいえ、その隙を狙わないはずがなく、必殺の『クラブハンマー』でダメージを頂いていく。

 しかし、フィールドを草原に戻すという仕事は終えたようで、ハヅキはヘルガーをボールに戻して再びカクレオンを出してきた。

 

 一度、ボールに戻っているので、カクレオンのタイプはノーマルに戻っている。『アームハンマー』を指示して、一気に勝負を決めることにした。

 

 ハヅキは再び『ほごしょく』を指示してカクレオンを隠し、くさタイプに変化させてくるが、流石にキングラーは相手を見失うようなヘマはしないようで、自慢の鋏をボディブローのようにぶつけている。

 効果抜群ではなくなったとはいえこれで決まったと思ったのだが、ギリギリで耐えたようでカクレオンが起き上がった。カクレオンの特性でタイプがかくとうに変化する。

 

 ハヅキはせめてキングラーだけでも持って行こうという狙いのようで、『10まんボルト』を指示してきた。

 弱点のでんき技を受けキングラーもダメージを受ける。おまけに一割の麻痺を引いたようで、キングラーの動きが鈍くなった。

 

 だが、これ以上カクレオンに好き勝手させる訳にもいかないので、『ハイドロポンプ』を指示して一気に戦闘不能に持って行く。

 正直、カクレオン一体にかなり振り回されたが、これでようやくハヅキのポケモンを一体戦闘不能に持って行った。

 

 ハヅキがカクレオンを戻すと、次にミルタンクを出してくる。アニメではミルタンクなんか使っていなかったような気もするが、既に組み合わせも変化しているし、完全に原作通りという訳ではないのだろう。

 

 ハヅキのミルタンクも、アカネと同じまるころ型のようで、『まるくなる』からの『ころがる』で一気に攻撃を仕掛けてくる。

 こちらも『アームハンマー』で迎撃を指示したが、麻痺のせいで上手く体に力が入らないのか、『ころがる』を受けきれずに弾き飛ばされた。

 

 下手に『ころがる』を連打されて調子に乗せるのも面白くないので、一旦キングラーを戻してメガニウムを送り出す。

 進化してから初めてのバトルだが気合は十分なようで、いつものように俺にのしかかってきた。おいおい、相手はあっちだぞ。

 

 バトルが再開されると、再びハヅキはまるころで仕掛けてきた。こちらは『リフレクター』で壁を張って攻撃を受ける。

 流石にアカネのミルタンクほど馬鹿げた火力はしていないようで、通常の『リフレクター』でも受けきれるくらいに攻撃力を下げられた。それでも、完全に受けきれたのは、やはりベイリーフからメガニウムに進化したからだろう。本当によくやってくれた。

 

 ミルタンクの『ころがる』を受けきると、そのまま『のしかかり』を指示する。流石に進化してからまだ日が経っていないので、『げきりん』は習得できていない。だが、それでも進化してパワーも上がったメガニウムの『のしかかり』は十分ミルタンクにダメージを与えていた。

 

 まるころが通用しないとわかると、ハヅキも攻め方を変えてくる。素直に弱点を攻めてくるようで、『ほのおのパンチ』を指示してきた。

 対するこちらは『どくどく』である。ほのパンを受けながら相手を猛毒状態に持って行く。猛毒状態になった以上、『ミルクのみ』で回復してもいずれ回復が追いつかなくなるだろう。

 

 ハヅキもこの状態のミルタンクで長期戦は無理と判断したようで、『はかいこうせん』を指示してきた。

 ノーマル技最強の特殊技である。ミルタンクは特殊があまり強い方ではないが、『ほのおのパンチ』が『リフレクター』で半減されたのを見て、特殊で攻めた方がいいと判断したらしい。特殊の低さというマイナスはタイプ一致の技の威力で押し切ろうという判断のようだ。

 

 本来なら『こうごうせい』で持久戦に持ち込むつもりだったが、流石に『はかいこうせん』はワンチャン戦闘不能に持って行かれかねなかったので、『ひかりのかべ』で特殊攻撃を軽減して受けきる。

 そのまま『のしかかり』でミルタンクを戦闘不能に持って行ったが、何だかんだメガニウムも消耗させられたな。

 

 本人はまだいけると元気に動き回っているが、客観的にも体力は半分くらい持って行かれている。下手に突っ張る利点もないので、ハヅキがミルタンクを戻すのと同時に、こちらもメガニウムを戻すことにした。

 

 ハヅキは次にハガネールを出してきたので、こちらは汚名返上のためにヘラクロスを送り出す。

 最初のバトルで翻弄された悔しさはここで晴らすとばかりに、気合を入れて角を振り回していた。

 

 ハヅキは開幕で『すなじごく』を指示してくる。毎ターン、最大HP1/8のダメージを与えながら交代を封じるじめん技だ。

 ヘラクロスが足を砂に取られて動けなくなる。飛ぶように声をかけたが、思いの外砂の掴む力が強いようで思うように動けないでいた。

 

 仕方がないので『つるぎのまい』で攻撃力を上げ、力づくで無理矢理突破させる。しかし、『すなじごく』を抜けて宙に上がった瞬間、『うちおとす』でヘラクロスが地面に叩きつけられた。

 倒れたヘラクロスが再び『すなじごく』で動きを封じられる。飛べば『うちおとす』で地獄へ逆戻りとは想像以上に面倒くさいコンボだ。

 

 だが、この程度でニューサトシを抑えられると思って貰っては困る。『つのでつく』で角を地面に刺すように指示し、技の勢いで『すなじごく』から無理矢理脱出した。羽を使って飛ばなければ撃ち落とされる心配もないだろう。

 

 そのまま勢いで『インファイト』を指示する。ハヅキも『アイアンテール』で反撃してきた。

 先にヘラクロスのインファイトが当たり、ハガネールにダメージを与えるも、流石に一撃では持っていけなかったようで、返しの『アイアンテール』で戦闘不能にされる。『すなじごく』のコンボの間に『リフレクター』が切れたのが痛かったな。

 

 しかし、それでもダメージは与えている。

 

 ヘラクロスを戻してキングラーを送り出す。麻痺が少し心配だが、ハガネールとの相性的にもキングラーには頑張ってほしい所だ。

 ハヅキが再び『すなじごく』を指示してきたので、『ばかぢから』を指示して無理矢理突破する。そのまま、『アームハンマー』で一気に勝負を仕掛けた。

 

 だが、麻痺のせいでキングラーのスピードが半減していることもあり、先にハヅキの指示した『アイアンテール』がキングラーに命中する。

 耐えられると思ったが、技が急所に当たったようで、一撃でキングラーまで戦闘不能になってしまった。これで互いのポケモンの数は互角である。

 

 こちらに残っているのはクリスタルのイワークに、メガニウム、カビゴン、リザードンだ。

 クリスタルのイワークは相性的にも出せないし、メガニウムも既に技を全て使っているのでハガネールに有効打は取れない。残された選択肢はカビゴンとリザードン、相性的にはリザードンだがバシャーモが出てくる前に体力を消耗させたくない。

 

 消去法で、カビゴンを送り出す。

 

 カビゴンはノーマルタイプだが、かくとうタイプの技も使える。当然のように使ってきた『すなじごく』を『10まんばりき』で無理矢理抜け出すと、『アームハンマー』で一気に攻撃を仕掛けた。

 また『アイアンテール』で反撃してくるかと思ったが、ハヅキはここで『だいばくはつ』を指示してくる。攻撃を仕掛けようとしているカビゴンに回避するすべはなく、そのまま爆発に飲み込まれてハガネールと共に戦闘不能になった。

 

 まさか、このタイミングで『だいばくはつ』とはな。まだハガネールも戦えるパワーを残していただけに完全に予想外の攻撃だった。

 

 俺とハヅキのポケモンが同時に三体戦闘不能になったことで、ここで五分間インターバルに入る。

 ハヅキを舐めていたわけではない。ただ、それでも俺がポケモンを三体失うほど追い詰められるとは思わなかった。改めて、こいつは原作でサトシ君を倒したサトシ君キラーの一人なのだということを感じる。

 

 厳しい状況だと言っていいだろう。

 

 だが、だからこそ楽しかった。

 

 いいぞ。これでこそポケモンバトルである。

 

 タケシがふと、「楽しそうだな」と声をかけてきた。どうやら、気付かぬうちに笑みを浮かべていたらしい。

 それを見たカスミさんが「笑ってるのはいいけど、勝算はあるんでしょうね?」と声をかけてくるので、「相手にはヘルガーがいるからな。状況は不利だ」とハッキリ返した。

 

 それを聞いたラティが「ラティがいく!」とまた訴えたが、事前にエントリーしたポケモン以外は参加できないのでご遠慮願う。またぷくーとほっぺを膨らませていたが、頭を撫でて適当に誤魔化した。

 

 五分間などあっという間に過ぎ、改めてフィールドに戻ると、ハヅキが俺の顔を見て何故か気を引き締めている。

 何かあったのだろうか? 別に何か特別なことをしたつもりはないのだが――

 

「……ギャラドスでももっと可愛げのある顔してるわ」

 

 そう言ったのは、後ろのカスミさんだった。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・第271話『バシャーモ再び! ハヅキとの戦い!!』より、互角のバトルをしている。
 ニューサトシが想定していたよりハヅキが強かった。追い詰められたことでスイッチが入ってきた。ヤバげな笑みを浮かべている。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲキッス Lv.47

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.47→48

 カビゴン  Lv.46

 ニョロゾ  Lv.45

 ヘラクロス Lv.43→44

 メガニウム Lv.43→44

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.43

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.43

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34


 ニューサトシやポケモン達の設定、サブキャラや作中の設定をまとめて欲しいという意見が来たのですが需要あります? あまり設定資料みたいなのを書いてもなぁと個人的には思うのですが。ちょっとまたアンケートをお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。