一之瀬帆波といちゃいちゃしたいだけの話 作:砂糖
横並びで歩く。容姿がいいと言うことは、華があると言うことだ。
一人はストロベリーブロンドの髪を揺らせながら歩く、モデルかのようなスタイルを持つ美少女。
片やチェスナットブラウンの髪を靡かせながら、長身だが筋肉のついた理想とする体型を持つ美男子。
お互いの手が擦れる。気づいた男子は嬉しそうに笑いながらその手を取った。
「高校生だね。
手を握られ、恥ずかしく思うと同時に嬉し思う帆波と呼ばれたその少女。
強く握られた手を握り返しながら答えた。
「私も藍くんと同じクラスがいいな!」
一之瀬帆波のその言葉に
その耐久力はこれからの学校で生かされるだろう。
なぜなら、これから向かう学校はただの学校ではないのだから。
はぁ、俺が何したって言うんだよ。神に誓って言える。俺は徳しか積んでない。
「次は俺だね。俺の名前は
もし、俺が主演で映画に出るならアカデミー賞を取れるくらいの演技力で苛立ちを隠し自己紹介をする。聞こえる拍手は大きいから、完璧な自己紹介だったのだろう。
さて、なんで俺がイラついているのか。理由は簡単。大好きな帆波と違うクラスだったからだ。
ここは高度育成高等学校。めんどいから説明は省くがすごい学校だ。そして俺はその学校で1-Dに配属された。
ただDクラスになるだけなら問題はない。けど!帆波はBクラスなんだよ!なんでだよ!
帆波。一之瀬帆波は俺の彼女だ。可哀想な妄想じゃない。ほんとに付き合ってるさ。
俺が告白して、いいよって言ってくれて……なのに!なんで別のクラスなんだよっ!!!
何度でも言おう。俺は神に誓って言える。徳しか積んでないっ!!
「えー……えっと、綾小路清隆です。その、えー……得意なことは特にありませんが、皆と仲良くなれるよう頑張りますので、えー、よろしくお願いします」
俺の後ろの席の男子が自己紹介を終えてパラパラと拍手が起こる。
あ、俺もしとこ。流石にちょっと可哀想で合わせるように拍手をする。
まあ、今は可哀想な彼に免じて怒りを収めておくよ。
「粟瀬くん!一緒にカラオケ行かないー?」
名前は出てこないがいかにも女王といった風貌の女子が俺に声をかけてきた。……ポニーテールちゃんと呼ぼう。
ポニーテールちゃんの周りには男女数名が集まっており一軍と呼べそうなグループだった。と、言うことは。俺の学校生活は上手く始められたと言うことでいいですね、はい。
「僕も、粟瀬くんが来てくれると嬉しいな」
自己紹介を仕切ってた……あー名前が分からん。イケメンくんと呼ぼう。
イケメンくんも俺を誘う。だが、ここは断らせていただこう。確かにカラオケも楽しそうだが、今からBクラスに行かねばならんのだ。帆波の彼氏は俺だと牽制しなければ。
「あー、ごめっ。俺、ちょっと用事あるんだよね。また、明日にでも誘ってよ」
きっと爽やかな笑顔で断りを入れる。また誘うねーとありがたい言葉を聞いた後早足でBクラスへ向かった。
まだ、帆波は出てこないみたいだな。スマホも新しくなったから帆波のメールアドレスゲットしないと。
新しくなったスマホをいじりながら廊下で待つ。へー、やっぱ基本操作は一緒か。
「あっ!藍くん!」
手を振りながら近づいてくる彼女はそう。
「帆波っ!」
振っていた手をハイタッチした後、握って帆波と目を合わせる。うっわっ!かわよ!天使かな?天使だね!?
「一之瀬さん、彼氏?」
「あっ……えっと彼は幼馴染で……」
帆波と一緒に出てきた女の子が彼氏か聞くが、帆波は素直に答えるのが少し恥ずかしいのか、顔を赤らめている。
その顔がもう返事になっているが、帆波の言葉に続くように俺が答えた。
「うん、彼氏だよ。
帆波の肩を持ち俺の方に寄せながらそう言った。
俺の、とか今になって恥ずかしくなってきた……。だが、いい牽制になっただろう。それに帆波の真っ赤になった顔も見れたしね。
「えっと……藍くん。どうしたの?Bクラスまで来て」
「あぁ、この後一緒にどうかなーって」
「にゃ!?ごめんっ!私クラスの子と遊ぶ約束しちゃった!」
なにぬっ!本音は俺のことを優先してほしいが、束縛の激しい彼氏とはどうか……。それに俺たちは約束してたわけじゃないから、先約で言うならBクラスの方だろう。
しゃーない。目的である牽制はできたし、いいだろう。
「じゃあクラスの子たちと遊んできていいよ。あ、連絡先は交換しよ」
「うんっ!ごめんね、後で連絡する!」
かわいい帆波を見送りながら俺は考える。
えー、暇になったわ。どうしよ。イケメンくん達と遊べばよかったかな。いや、それだと牽制ができなかった。
まぁ、もらった10万で日用品でも買うかぁ。
そして、行き先はコンビニに決まった。
「ふぅ、節約は大事だよね。帆波とデートもするんだし……あ、次のデートは学校探索にしよう。ここの敷地は無駄に広いからね」
買い物を終えレジから出ると、確か俺の席の後ろに座ってた男子が床に散らばったカップラーメンを片付けてた。
「え?もうアルバイト始めたの?すごいね」
ついそう言ってしまい、その男子が振り向いた。おぉ、なんかすまん。その顔は「オレだってやりたくてやってるわけじゃない」って顔だろ。
「オレだってやりたくてやってるわけじゃない」
「ぶっ……あぁごめん、つい。えっと鷹小路くん?」
「綾小路だ」
「……すまん」
名前間違えたのは普通に申し訳ない。いやぁ、帆波のこと考えてて自己紹介とかなんも聞いてなかったから覚えてないんだよね。
「綾小路くん、なんでカップラーメン掃除してるの?極度の綺麗好きとか?それなら納得だけどさ」
「いや、……まぁそんな感じだ」
はぐらかされたのがなんとなくムカついたので、本当の理由を当てることにした。
えぇ、分かりましたよ。
なんか妙だなって思ってたけどやっぱどこにでもあるよね監視カメラ。髪型、アクセサリー自由の緩い校則と合ってないって言うか。
「へーへー、俺は手伝わないよ。そのカップ麺ってさっき先輩達と言い合ってた赤髪くんのやつのでしょ?監視カメラがあるからこそ、君は無視して帰ればよかったんだよ」
「言われてみればそうだが、須藤も……クラスメイトだしな」
「そこは友達って言おうよ。なんか寂しいよ?」
そういうと、綾小路くんは何を考えているか分からない目で俺の方を向く。
「綾小路くんは今から行くとこある?」
「いや、この後はもう寮へ戻ろうと思ってる」
「じゃあ一緒に行こうよ。片付け終わるの待ってるからさ」
綾小路くんはコクリと頷いてまた片付けを始めた。……え、なに今の首の動き。小動物みたいで可愛かったんだけど。
と、もうほぼ片付けが終わってたから数分もしないうちに終わって一緒に寮へ行くことになった。
「粟瀬は平田たちと遊ぶ約束をしてたんじゃなかったのか?」
「平田?……あぁ、ポニーテールちゃんのこと?」
「いや、平田は髪が短かったが」
むっ、じゃあ平田は誰だ。俺が分かるクラスメイトの名前は綾小路、君だけだ。でも綾小路くんの下の名前分かんないけど。
「彼女のとこ行ったんだけど先に約束されちゃってねー」
「もう彼女がいるのか。すごいな」
「はっはっはー。ちなみにすごく可愛いよ」
スマホを取り出して写真フォルダを開く。新しいスマホになったけど写真は移したんだよねー。
俺のイチオシの帆波の写真を見せる。
「確かに美人だな。以前からの知り合いとか?」
「幼馴染だよ。あ、可愛いからって惚れちゃダメだよ。俺の彼女だからさ」
ま、綾小路くんは人の彼女を取るような人じゃないとなんとなく思うが、一応言っておく。
綾小路くんってミステリアス系のイケメンだから警戒しないといけない。
喋りながら歩いていたらいつの間にか寮に着いていて部屋に行く。
運が良かったみたいで綾小路くんとは隣の部屋だった。
「お隣同士よろしくね。あ、そうだ。今から俺が部屋で声を出すから、綾小路くんは壁に耳を当てて声が聞こえるか試してくれない?」
「ん?まぁいいが」
大事な実験だよね。やっぱ防音がちゃんとされてないとさ、ね?
「あ、とりあえず連絡先交換しようよ。じゃ、部屋で喋るから」
お互いの部屋に行き大中小で喋ってみる。メールを送り確認してみると何も聞こえなかったそうだ。
ふむふむ。防音対策は完璧と。この学校は素晴らしいな。
綾小路くんにお礼のメールを送った後、ベットに飛び込む。
「ん〜!早くデートしたい!あ〜!帆波、好きだぁ!」
新しい枕に顔を埋めながら叫ぶ。なんと最高な学校生活なのだろう。
俺は未来が楽しみで仕方がなかった。