一之瀬帆波といちゃいちゃしたいだけの話 作:砂糖
今回いちゃいちゃ少なめ。
「おはよう、帆波」
「おはよう藍くん!」
「かわいい」
「にゃ///恥ずかしいよ……」
入学2日目。寮のロビーで待ち合わせをして帆波と一緒に学校へ向かう。
そして毎日どうして帆波はそんなに可愛いんだ。今も繋いだ手はすべすべで強く握ったら壊れちゃいそうなくらい儚いのに、でもここにあるんだぞって言ってるくらい暖かくて可愛いし。
さっきだって、つい言ってしまった可愛いという本音にも手で顔を隠しながら赤くなった顔を隠していて可愛いし。
「天使って存在しないって小さい頃は思ってたんだ」
「え?急にどうして天使の話?」
「まぁまぁ。それでも、やっぱり帆波と会ったその日から天使は存在すると思うようになったんだ。————もしかして天使ですか?」
「藍くんっ!恥ずかしいから……」
また顔を赤くする。どうしてそんなにも可愛いのだろうか。うん、天使だね。あ、いや天使という言葉では足りない。きっと帆波という存在は言葉では表せないんだ。
「あっ、そうだ。これ貰ってよ」
「キーカード?」
「うん、俺の部屋のね。予備のキーカードなんだけど、帆波が自由に出入りできるようにさ」
「えぇ!?私が持っていいの?」
「いいに決まってるよ!」
予備のキーカードを無理やり持たせる。ふふっ、これで朝起こしてもらう作戦が使える。それか、目が覚めたら味噌汁のいい匂いがして、帆波が朝ご飯を作ってるって言う状況もある。
いやぁ、素晴らしいね、寮生活。実家の方だと無駄に金持ってるせいで使用人とか無駄にいるし。
「Bクラスどう?楽しそう?」
「うん。クラスメイトもいい人が多くてさ!すごく楽しくなりそうだよ!」
「俺も帆波と同じクラスだったらなぁ」
「それも、楽しそうだったね」
俺が背中を丸めて落ち込むと、手を繋いでない方の手で頭を撫でてくれる。うわぁ可愛いいいいいい。
「うちのクラスも、名前分かんない人ばっかりだけど楽しそうだよ」
「え!?藍くんって記憶力良かったよね?クラスメイトの名前くらい覚えなきゃ」
綾小路くんも、下の名前分かんないしな。また聞くとしよう。
「あっ、じゃあまた後でね!」
「うん、今日帆波が遊ぶ約束ないなら一緒に帰ろうね」
階段を登って廊下を歩くとDクラスはすぐそこだからそこで帆波と別れる。うぅ、なんて悲しいんだ。手を振りながら帆波と別れてDクラスに入る。
すぐ席に着いて、既に来ていた綾小路くんに声をかけた。
「綾小路くんの下の名前って……きみまろだっけ?」
「清隆だ」
「……すまん」
「水泳ねぇ。涼しくなるしけど終わった後になんか変な感じするじゃん?それに女子を見るのなんか恥ずかしいし。髪の毛とか濡れたままにするの好きじゃないからその後の授業とかきついじゃん。だから俺——————好きだぁー!水泳の授業は好きだー!」
「粟瀬くんは水泳の授業が好きなんだね。僕も好きだよ」
ニコニコと笑って俺の言ったことに返事をしてくれる。そう、彼は平田洋介。俺の友達だ。
今は入学から早一週間。体育の授業は水泳が行われることになった。
ここ高度育成高等学校は温水プールが存在しており、4月のまだ肌寒い中でも問題なく水泳ができる。
水泳はいいよ。なんか分かんないけど楽しい。
あ、一応補足で言うが、俺は女子や水着姿が見れるから水泳が好きなわけではない。
確かに女子の水着姿は良いが俺は帆波の水着姿にしか興味はない。そして幼馴染である俺は帆波の水着姿は毎年更新してる。だから、別に水着姿がレアというわけではないのだ。
「平田くんは水泳得意?」
「うーん、僕は授業でやる程度だからね。海はここ数年行ってなかったし特別得意ってわけじゃないよ」
「俺もそんな感じだなぁ。でも楽しみ」
プールへ移動しながら喋る。俺たち2人で喋っていたが周りには女子が集まっている。と、いうより同じグループというのか。
俺は無事(?)カースト上位のグループに入ることができた。綾小路くんもいるのかと思っていたが彼は意外に1人でいることが多い。たまに池くん達といるところを見るくらい。
「広っろ!すげぇ」
目の前に広がるプールはそれはそれは大きくて、金かけてんなぁと思います。
「ほんと最悪〜。男子ってどうしてあんなにキモいの?あ、平田くんたちは違うけどね」
きっと池くん達に言ったであろう言葉はそれはそれは酷いものだった。けどまぁ、当然っちゃ当然というか、大声でオッズ表って自分達で賭けされてたら愚痴も出てくるよ。
「あれ?軽井沢さんは見学?さっきも嫌いって言ってたもんね」
「そうみたい。多分上で見てるんじゃないかな」
上に設置されている観客席のような見学者ブース。かなり大人数の女子が休んだみたいだった。……あの見学者のうち半分くらいは直前で見学することを決めたんじゃないかな。池くん達のせいで。
そして、なんか知らないけどレースをすることになった。
もうっ、俺ってば今年の帆波の水着について考えてたからって先生の話は聞かないと!
「え?1位ってポイントもらえるの?」
「うん、先生が言ってたよ。粟瀬くんは自信があるの?」
「ポイントは大事だからね。1位を目指すよ」
そう、今年の帆波の水着は俺が決めよう。さりげないくらいにペアルックにするのも良いかもしれない。
やはりポイントは大切だ。この賞金で今年の水着が決まる。
「あれ、今一番だったのって堀北さんだよね。すっげぇ速いね」
先にレースが始まったのは女子で、今のレースで1番だった堀北さんはものすごく速かった。なんなら池くんとかより速いでしょ。
あれかな、凹凸が少ないから水の抵抗が少ないとか?……いかん、俺ってば最低。
「あれ?粟瀬くんもこっち来たんだ。みんなすごく速いよね。緊張しちゃうなぁ」
綾小路くんの方へ来て女子のレースを見ていると近くにいた櫛田さんが声をかけてきた。……櫛田さんは遅くはなさそうだけどめっちゃ速い訳じゃなさそう。
「うん、応援にね。櫛田さんも頑張って!」
「ありがとうっ!あんまり得意じゃないけど、全力で頑張ってくるね!」
可愛く拳を作りながら意気込む櫛田さん。帆波は美人も美少女もどっちもいけるけど、櫛田さんは美少女って感じだな。違いはなんだろうか。髪の長さとか?
「おい粟瀬っ!なに櫛田ちゃんのこと応援してるんだよ!俺が1番応援してるんだからなっ!」
「あぁ、変態の池くんじゃないか。俺に勝てないからってそう怒るなよ」
池くんをいじりながら女子のレースを見る。櫛田さんも俺の予想よりは速く泳いでいて、あれなら得意と言っても良いレベルだった。
だけど、最終的に女子の中で1位を取ったのは水泳部の小野寺さんだった。小野寺さんには、池くんじゃあボロ負けするね。
「綾小路くんってマッチョだね。筋トレが趣味とか?」
「さっき堀北にも言われたが……そんなにか?別に他のやつと変わらないだろ」
謙遜する綾小路くんだが、その肉体は全てを語る。筋肉でいうなら綾小路くんに勝てるのは高円寺くんくらいじゃないだろうか。
俺は綾小路くんと良い勝負くらい。いや、自分に甘くするなら俺のほうが上だね。
「綾小路くんも1位目指す?」
「いや、俺は目指せるくらい水泳が得意なわけじゃないからな」
「じゃあ俺がもらっおうかなーなんて。須藤くんとかも速そうだよね。高円寺くんだって未知数だし。平田くんだって速い。……知ってる?イケメンは水泳ができるんだよ。だから平田くんも速いよ」
「じゃあ、粟瀬も速そうだな」
—————綾小路くんは俺を惚れさせたいの?
え?無自覚に言ってる?えぇ?俺をイケメンって言ってるようなものだよね?
恐ろしい、恐ろしいよ綾小路くん。君は無自覚に人を惚れさせてしまうのか。俺に彼女がいて良かったな。
「……ほら、平田くんのレース始まったよ」
ジト目で綾小路くんを見た後、レースを見る。
やっぱり平田くんは速いね。後は、俺と同じレースの綾小路くんと須藤くんに気をつけよう。高円寺くんは未知数だから置いておく。
「おぉ〜、やっぱり平田くんは1位だったね。じゃあ、次行きますか」
俺たちの番になってレースが始まった。様子見でゆっくりと泳ごうと思っていたが思いのほかみんな速く手を抜くことなく1位でゴールした。
ふっふっふっ、帆波に釣り合うために努力を重ねた俺を舐めるなっ。優勝は俺のものだ!
「高円寺くん速いね」
「お、おぉ。予想外だけどまぁ、頑張るよ」
「僕も出場するけど、粟瀬くん達には着いて行けなさそうだな」
そして始まる最後のレース。
「イケメン達は俺が潰す。そして高円寺も俺が潰す」
「須藤くんが俺に勝つぅ?無理無理。圧勝してやるからさ」
須藤くんは敵じゃない。敵は高円寺くんただ1人だ。正直な話、綾小路くんには、負けそうな気がしてたけど彼は初戦敗退だったから驚いた。
「高円寺の勝ちだ。惜しかったな粟瀬」
「———っ……あぁー!くやしいっ!」
「そう落ち込むことないさ粟瀬ボーイ。私とこんなにも良い勝負ができたんだ。誇っていいことだよ」
この、金髪オールバックめ。ムカつく野郎だ。
だが負けは負け。しょうがないから高円寺くんには俺の水着を買ってもらおう。
そして、水泳の授業が終わった。