前世一般男性の俺が牝馬になった日   作:なんちゃらクイーンの2008

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今回ウマ娘編ないです。

ウマパート短く、ヒトパート長めになってしまいました。
次回バランス取れるように頑張ります。

感想をくれる皆様、評価をしてくれた皆様、ありがとうございます。
これからも頑張りますのでどうぞよろしくお願いします。


4R.なんかちょっと中二っぽくない?

 俺は今日、自分の馬主になる人と初めて対面する。先日もじゃもじゃ……泉さんが言っていた人が俺を見に来るらしい。

で、俺は今フジムラにブラッシングをされながら馬主さんを待っているというわけだ。

 

「よかったな~まんげつ~美少女オーナーだぞ。若くてかわいい目のお嬢さんらしいぞ~、いいな~まんげつ~お前が羨ましいな~。代わってほしいくらいだなぁ~」

 

 いや、フジムラ。いざ馬になると大変だぞ? 経験者は語るぞ? 

それに俺、今は牝馬だから別に美少女がどうとかは別に……いや、でも確かにおじさんよりは美人さんのほうがいいな! 顔を押し付けて甘えるならおじさんより美少女のほうが絶対にイイ。

 

 フジムラが俺のブラッシングをちょうど終えた頃、牧場に見慣れない車が入り込んでくる。おっ、アレかな? 事務所からウレシノとスズイさんも出てきたし、そうっぽいな。

車から降りてきたのは、背の低いスーツ姿の女性で、ロングヘアーの可愛らしい人だった。小さい体をいっぱいに伸ばして深呼吸する姿は、人時代の俺が見たら一発で恋に落ちたに違いない。

 

「おお、聞いていた通りの美人さんだ。よーし、まんげついくぞぉ~」

「ブルルゥン(よしきた!)」

 

- - - - - - - - - - - -

 

 その日、私は地元の東京から遠く離れた地、北海道に来ていた。

理由はもちろん馬主デビューするべく自分の馬を買いに来たのである。

 

 自分でアパレルブランドを立ち上げ早数年、事業がうまく軌道に乗り、収入面でも安定し始めた私は、念願の馬主資格を習得。

子供のころに大好きだった競走馬トウカイテイオー。その産駒の馬主になるべく父を通して知り合った髪もじゃの調教師……泉さんの紹介でココまできたのだ。

 ――少なくなってきたテイオー産駒の中から何とか中央で走れそうな仔を探してくれという私の無茶ぶりを聞いてくれた泉さんにはいくら感謝しても足りないくらいだ。

 

 そして泉さんに紹介されたのがこのスズイ牧場。すぐに牧場長のスズイさんに連絡をとった私は、近いうちに牧場を訪ねてもいいかと交渉。

  元々泉さんから話を聞いていたらしいスズイさんは「いつでもおいで~待ってるよ~」 と笑いながらのんびりとした口調で私の頼みを快諾してくれた。

数日後、私は冒頭の通り北海道の地に足をつけていた。

 

 空港近くでレンタカーを借り、車を飛ばすこと数時間。スズイ牧場についた私はエンジンを切り車を降りる。

本土とは何処となく違う空気を、肺いっぱいに入れて伸びをすると長い運転の疲れもどこかへ消えていくようだった。

 

「んー……っと、さすが北海道……東京とは違って空気が澄んでいますね。周りが自然で囲まれているからでしょうか……?」

 

 周囲を見渡せば北海道の雄大な大地。広い放牧地に数頭の馬たち。

小さい牧場だと聞いていたが、それでも生産牧場というだけあって私にはとても広く感じた。

そして近づいてくる、二人のおじさん。ひょろっとした眼鏡のおじさんと笑顔のおじさんだ。おそらくあの人がスタッフさんと牧場長のスズイさんだろう。

 

「関口さんですね、どうもよろしくね」

「スズイさん……ですよね。今日はよろしくお願いします。そしてスミマセン。急に押しかけてしまって……」

「いやいや、いいんですよ。僕たちはね、馬を馬主さんに買って貰うのも仕事ですから……じゃあ早速見てもらおう、ウレシノ君、連れてきてもらっていいかな」

「はぁい、おおいフジムラくぅん、まんげつ連れてきてくれるかぁ~い」

 

 ウレシノ君と呼ばれたおじさんが、手を振って奥にいたフジムラと言う太り気味のおじさんを呼ぶとフジムラさんと一緒に1頭の馬が近づいてきて、私の目の前で止まる。

 

 その馬は奇麗な黒色でくりくりッとした目がキュートな馬だった。

体は少し小さく見えるが、足が長くスタイルのいい馬だとも思う。

 

「スズイさん……この仔ですか?」

「ええ、そうです。幼名はまんげつって言います。それに奇麗な青鹿毛でしょう? どうですかね、大人しくて賢い、いい仔ですよ」

「わぁ……撫でてみてもいいですか?」

「ええ、どうぞ人懐っこい奴なので喜びますよ」

「ブルルゥ……(ああ、撫でられると喜ぶぞ!)」

 

 まんげつは小さく鳴くと、私が撫でやすいように頭を伸ばしてくる。まるで私たちの会話を聞いているかのような反応に少し笑ってしまいそうになった。

手が伸ばしやすい位置まで下りてきた頭を、恐る恐る撫でてみる。すると気持ちよさそうにまんげつは目を細め、私に頭を押し付けてきた。

あまりにも可愛らしい反応で、私の心はすっかりこの仔にメロメロになってしまう。

この仔がいい、この仔しかありえない。

そう思った私は、スズイさんにこの仔を買わせて下さいとお願いした。

スズイさんは、ええ是非とにっこり笑う。

 

「じゃあ、関口さん。改めてまんげつに名前を付けてあげてください。幼名のまんげつではなく、競走馬としての関口さんらしい、まんげつにぴったりの名前を」

 

 名前、そうか私がつけるのか。それなら……トウカイテイオーとタキオンクイーン、テイオーは女の子にはちょっとカッコよすぎるよね、だからお母さんからクイーンを貰って。満月……英語のほうがいいかな、フルムーン、ルナ……だとおじいちゃんと被っちゃうか、じゃあ月をフランス語にしてラ・リュンヌ。うん、この2つを合わせて『クイーンリュンヌ』 英語とフランス語の合わせでちょっとアレだけど……うん、割としっくりくる。

 

「クイーンリュンヌ……この仔はクイーンリュンヌにします!」

「ブルルゥン(なんかちょっと中二っぽくない? 大丈夫?)」

 

こうして私は馬主としてのスタートを切ったのだ。




仕事の合間を縫って投稿してるので、毎回どうしても短くなりがちです。
その分投稿を増やせればいいなぁ、と思っています。

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