前世一般男性の俺が牝馬になった日   作:なんちゃらクイーンの2008

5 / 7
仕事が忙しくて投稿が遅れました(4日ぶり2回目)
今回も競走馬パートのみです、短いのは許して(懇願)

誤字報告、大変助かります。ありがとうございます。


22/01/09
本文の馬同士の会話シーンを一部修正しました。

ただ、馬は滅茶苦茶喋るし、レースと勝ち負けをなんとなく理解してるってことで、よろしくお願いします。


 


5R.どうよ、サイコーにいい感じだろ?

 馬生とは早いもので気づけば俺はもう2歳になっていた。

そして俺は今日、生まれ故郷の北海道を離れて、関西は栗東の泉さんの厩舎に預けられる。これを入厩と言うのだと確かフジムラが言っていたはずだ。

泉さんは俺の馬主である関口ちゃんの親父さんと、顔馴染みらしくそのコネもあって俺を快く受け入れてくれたらしい。これもフジムラが言っていた。

 

 で、俺は20数時間に及ぶ長い馬運車の旅を終え栗東トレーニングセンターに来たわけだ。

俺が馬運車から降りると、関口ちゃんと泉さんが俺を出迎えてくれた。

関口ちゃん久しぶり~撫でてくれよ~と俺は関口ちゃんに頭を押し付ける。

馬の姿だと公然と美少女に甘えられるからお得だな!

 

「ふふっ、クイーンは甘えん坊ですね。よしよし」

 

 関口ちゃんは優しく俺の頭を撫でてくれて俺は至福の時を味わうのだが、その横から同じように手がヌッと伸びてきて俺の頭をワシワシと撫でる。

 

「いよぉ~し、無事についたなぁまんげつぅ。ああいや、今はクイーンリュンヌだったか。わはは」

 

 ちょっと泉さん俺の癒し時間を邪魔しないでくれよ、関口ちゃんとは滅多に会えないんだぞ! 泉さんはこれからは毎日嫌でも顔を合わせるんだから、今ぐらいはさぁ!

 

「わはは、はしゃぐなはしゃぐな」

 

 違わい! 俺は美少女に撫でられたいのであっておじさんに撫でられたいわけじゃないんだよ!

 

「いやぁしかし、思ってたより元気だなぁ。初めての長距離輸送だから調子を落としてると思ったんだけど……うん、大丈夫そうだねぇ」

 

 輸送……退屈ではあるけどね、流石に。まあ俺は前世が人だから、そんなにストレスも感じなかったしなぁ、調子を落とすほどじゃない。馬の体のおかげで立ったまま寝ることもできるしさ。

よし! ちょっと調子のいいとこ見せてやるか。

俺はその場で軽くステップを踏んで見せる。どうよ、サイコーにいい感じだろ?

 

「……コッ、コイツァ……驚いた」

「先生……これって()()ですよね……」

「あっ、ああ……()()だろうねぇ……」

 

 驚いた顔でしばらく俺を眺めていた泉さんはにやりと笑う。

 

「コイツは……ひょっとするとひょっとするかもしれないぞ、関口君。コイツはデカいとこを取れるよ、重賞……G3、G2どころじゃないG1だってイけるさ」

「本当ですか!? 先生!」

「ぼかぁねぇ関口君、今までそこそこの数の馬を預かってきたけど、こんな感覚は初めてだよ。この馬ならOP戦までは何とかいけるな……みたいなのは今までもあったけど。正直今ので確信した、たまたまかもしれない偶然かもしれない、でもそれ以上に僕は今、運命を感じた」

「先生にそこまで言ってもらえるなら、私も安心できます」

「わはは、ソイツはよかった。クイーンもよろしくなぁ、お前には泉厩舎念願のG1を取って貰うからなぁ。これからはビシビシお見舞いするぞぉ~」

 

 俺はいったい何をお見舞いされるんだろうか……調教か? 調教だな?

 

 その後、関口ちゃんは俺を沢山撫でまわし満足すると、泉さんによろしくお願いしますと言って帰っていった。

そして俺は自分の部屋となる馬房に入れられる。馬房の大きさはスズイ牧場とそんなに変わらないんだな。しばらく馬房を見まわしていると隣の馬房から声を掛けられた。

 

「やあ、お嬢さん! 初めましてだね、僕はヤマノオーサマ、よろしくね!」

「アッ、ハッ……ハジメマシテ、よろしく……お願いします」

「慣れない環境で緊張してるのかな? まあまあ、力を抜いてくつろいでよ! 今日から君もここに住むんだからさ!」

「アッ、ハイ、くつろぎます、ハイ」

「まあ、最初は緊張しちゃうよね~分かるよ~僕もそうだったし!」

 

 実は俺はいまだボッチ気質が抜けず、馬相手だと上手く喋れないのだ(激ウマギャグ)しかしヤマノオーサマ先輩はその後も上手く喋れない俺相手に色々な話をしてくれた。

いい先輩を持てた事に俺は感謝するのだった。

 

「僕は何度かレースに勝ったことがあるよ!」

「エッ……スゴイですね……」

 

 先輩は何気に凄い先輩だった、俺も調教頑張ろう……!

 

  

 

 

「おい、泉。さっき来てたの関口さんのトコの娘さんか?」

「安田くぅん、仕事中は先生とかテキって呼びなさいよ、何回も言ってるだろぉ?」

「悪い悪い、で! クイーンリュンヌって言ったか。走るのか、あの馬は? 血統的には期待できないんだろ?」

「安田君、君はアレだね? 相変わらず馬を見る目が育たないねぇ? ぼかぁねぇ、関口君に感謝しているんだよ。クイーンは間違いなくG1をとるよ。何なら牝馬三冠だって夢じゃないね、そう思わせるだけの何かが、あの馬にはあった。ぼかぁ運命を感じたね」

「お前……オーサマが来た時も同じ事言ってなかったか……」

「わはは、気にするなって! 今回はマジだよ! わはは!」

 

 

 

 

 俺が入厩してから2ヶ月くらいが立った、競走馬の生活はヤバかった、マジで。

朝早くに叩き起こされ調教、調教調教……調教の日々。

馬の体は早起きを苦としないけれど、元人間の感性で言えばもう少し寝かせてほしいところだ。

あと単純に調教がきつい……坂路を連続で走らされた時は本気で死ぬかと思った、高低差32Mは伊達ではなかったよ……。

ただ泉さんは俺の脚を考えてくれているのか普段はCW――ウッドチップコースやプールなどの脚に負担がかかりにくい調教を選んでくれている。ありがてぇよ。

 

 いいことがあるとすれば同厩舎の馬友達が増えた事だろうか、ヤマノオーサマ先輩やウミシギ先輩と言った馬達だ。先輩達は俺の併走相手をよくしてくれる馬達で、俺をよく鍛えてくれている、まあ併走とはいえ負けるのは悔しいから頑張って追いかけるんだけど……未だに追いつけた事はない。いつか先輩たちの前を走れるぐらいに強くなりたいものだ。

 

 そして今日も調教を終えた俺は調教後のシャワーを楽しんでいた、調教で掻いた汗や全身に浴びた土汚れをシャワーで洗い流してもらえるこの瞬間は至福の時である。

 

『あーそこそこ、そう鬣のトコ。そこは自分じゃ掻けないからさ。あ~キモヂィ~』

「クイーンちゃん本当にシャワー好きだねー。よしよし、じゃあ蹄洗わせてねー」

『あい~頼んます……』

 

 で、今俺を洗ってくれているのが厩務員の小松ちゃんだ、小松ちゃんは俺の担当なのかよく面倒を見てくれる、小松ちゃんはシャワーもブラッシングも丁寧で愛情をもって接してくれるのがよくわかるから俺もうれしくなるんだよな。

育成牧場のフジムラもよくやってくれていたが、どうせなら若い女の人のほうがいいからなぁ~、ごめんな~フジムラ、お前のことは忘れないよ。

 

 しかし俺はいつ競走馬デビューするんだろう、泉さん曰く調教タイムはかなりいい時計が出てるらしいし、ゲート試験はだいぶ前に一発合格した。

俺のデビューは遅めなんだろうか? 今の俺がどこまで通用するのか、そろそろレースに出てみたいんだよなぁ。

 

「そういえばクイーンちゃん、デビュー戦の日決まったんだね~頑張ろうね~」

『えっ、もう決まってたの? 俺聞いてないよ? いつ走るの俺』

「はい、シャワー終わり、体拭くよー」

『ねえ、いつ走るの!?』

「はーい、うれしいうれしいねぇ~」

『ダメだ、馬語じゃ伝わらねぇ! んも~気になるじゃんかよぉ~!』




評価、お気に入り、ありがとうございます。

感想もお待ちしておりますので、よろしくお願いします。

次回は新馬戦を予定しております。




  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。