Mixingfate(交錯する運命)   作:nao_japan_fourth

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Mixingfate 第01話

 独立自由都市バロンシティー

 

 バロンシティーは元々ある国の王が統治権の放棄と交換条件で月へ移住する為に作られた都市だ

 その王は事故により死んでしまい王の一族は祖国を離れる事を嫌って相続権を放棄した

 王は自由主義者でコーディネーターやハーフコーディネーター達に対する偏見もないから

 プラントに不満を持つコーディネーターや地球連邦に不満を持つナチュラルが自然に集まり

 大規模な都市国家が出来、バロンと呼ばれる事を好んでいた死んだ王に敬意を表すために

 バロンシティーと言われたのが始まりだとされている

 

 バロンハイスクール

 授業を終えて教室を出たところでアスランは呼び止められた

「アスラン少しの間だけ時間有るか」

 アスランをそう言って呼び止めたのはルーム担任のヤマダ教諭

 そのままアルバイトに向かおうとしていたアスランは腕時計を見るとまだ余裕があった

「はい、大丈夫です」

「ここでは不味いから教員室で話そう」

「分かりました」

 アスランはヤマダ教諭の後を付いて行きながら何か失敗したかな?と考えていた

 教員室に入り席に座るとヤマダ教諭はアスランにも座るように促しアスランは素直に席に着いた

「君が申請していた例の件だが先程返事があった」

「どうだったでしょうか」

「OKだ、一ヵ月後に面接と試験を行うそうだ」

「ありがとうございます、先生」

「君の実力だよ、君みたいな優秀な生徒を手放す事になるのは残念だが生徒が望む道に進める事は

 教師にとって嬉しいものだ、とにかく一ヵ月後の試験頑張れよアスラン」

「はい、本当にありがとうございます」

 アスランはそう言って教員室を出ようとしたが再び呼び止められた

「そうだアスラン、教授から連絡があってなお嬢さんがまた熱を出したそうで今日の家庭教師は

 中止だと伝えるのを忘れていた」

「またですか、わかりました」

 アスランはそう言って教員室を出た

 教授の娘は我が儘で元々病弱だったのだがアスランが家庭教師になるまで何人か家庭教師を

 していたが機嫌が悪いとすぐに仮病を使う

 アスランが家庭教師になってあまり我が儘は言わなくなったのだがそれでも時々仮病を使う

 原因は彼女と彼女の義母の確執が殆んどだった、アスラン自身は彼女に嫌われていないが

 家庭教師の日には彼女の義母が何故か一日中家に居るので彼女は不機嫌に成り癇癪を起こし

 今日みたいに仮病を使うのだ教授もアスランの所為でない事を知っているからただ熱を出した

 としか連絡を寄こさないのだ 

 

 突然アルバイトが中止となったから時間が余り今日は他のアルバイトの予定も無いアスラン

「そうだ久しぶりにマイさんのところに顔を出すか久しぶりにシャルの顔も見れるしシュンさんに

 逢えるかもしれない」

 アスランはそう呟いてマイ・キサラギが住む家に向かう

 

 彼の名はアスラン・リヒター16才

 プラント出身のバロンハイスクールに学ぶ学生で元はオムニシティーへの留学生だった

 12才の時一時的にプラントの父親の元へ母親と共に戻ったのだが1年もしない内に両親が

 離婚してしまう

 原因はプラント実力者の娘とアスランとの政治的な婚約話らしい、その事でレノアが激怒して

 大喧嘩の末に離婚、アスランは婚約話の相手が誰かも知らず名前すら知らない、そして母親と

 プラントからバロンに引っ越したのだがアスランが14才の時ユニウスセブンに出張していた

 レノアは地球連合の核攻撃に巻き込まれて行方不明となる

 プラントの父親の元に帰る選択肢もあったが自分の意思でバロンに残った、幸いレノアは住居と

 多額の遺産を残したから生活する事には特に問題は無く知り合いでバロンハイスクール理事長の

 推薦等で学費等は免除となっている、理事長は他の援助も申し出ていたが残された遺産には手を

 つけたくなかったから生活費くらい自分で稼ぐとアスランはアルバイトをしている

 最近は理事長から養子にならないかと持ちかけられている

(シャルと兄妹か出来れば婚姻前提の婚約する事を望んでいるらしい)

 アスランは常に首席を争うほど優秀、また彼はスポーツ分野においても優れており特に格闘技は

 優秀だ、格闘技と言っても剣道や古武道、合気道などで最近は弓道も始めている

 アスランは最初、格闘技などやるつもりは無かったのだがマイに挑発されて始めたのだ

 流石にシュンには勝てないが今ではマイとは互角(実際は無意識に手加減していたのだが)

 妹のように可愛がっているシャルが男達(元ザフトの兵士だったらしい)に襲われた時には

 全員を叩き伏せたのだが

 男達は全員二ヶ月以上の重傷で男達も武器を持っていたので罪に問われる事が無く、この件で

 彼に喧嘩を仕掛ける人はいなくなる

 おかげでシャルに手を出そうとする不良もいなくなったが後で嫌と言うほどマイとシュンに

 説教された

 

 マイの家へ向かう途中でアスランはナイトファルト・フェルムとエルフリート・クロイセンに

 出会った

 二人はデート中のようだ

「ようアスラン、これからアルバイトか?」

「こんにちはアスラン」

 二人はいつものように挨拶をする

 ナイトファルトはバロンシティーの軍関係の実力者の息子だが気さくな人柄で結構人気者だ

 またアスランに良くバイトの話を持ってくる友人でもありプラント出身者のコーディネーター

 だが恋人のエルフリートはナチュラルだったりする、エルフリートはマイの知人でシャルとも

 仲が良い

「いや今日のバイトは中止、マイさんの所へ久しぶりに顔を出そうかなと思っていたんだ」

「久しぶりって、たった三日だろうが」

「あら、マイさんは今日は道場の方にいるわよ」

「そうそう、何かマイさんのおじいさんが地球から来たとか言っていたからな」

「そうか、おじいさんが道場に来ているのか、止めたおじいさんの訓練はきついからな

 道場に顔を出すと特訓に付き合わされるこのままシャルにでも逢ってから大人しく帰るか」

「は、は、残念だったなシャルちゃんも道場に行った見たいだぞアスラン」

「なんでシャルまで」

「シャルちゃんがマイさんの弓道って言ったかしら、その練習を見に行ったみたい」

「帰ろ」

 マイさんどころかシャルまでいないのじゃしょうがない、シュンさんは居るのか居ないか何時も

 不明だし道場におじいさんまでいて3人が揃っていて笑顔だったら怖いので逃げるのが一番だ

 

 シャロン・シグナス、通称シャル、バロンハイスクール理事長の孫で妹の様に可愛がっている

 ハーフコディネーターの少女、音楽科でピアノを専攻、プロデビューも果たしておりプラントや

 地球にも「月の姫」の呼び名で知られている

 

 アスランが引き返そうとした時にナイトファルトが呼び止めた

「そうだアスラン一週間後空いているか?良いバイトの話があるんだが」

「一週間後?・・駄目だよユニウスセブンの跡へ行く事になってただろう忘れたのかナイト」

「あ、すまん忘れてた」

「ごめんねアスラン、ナイトはバカだから」

「どういう意味だそれはエル」

「事実を言ったまでよ」

「いいよ二人ともそんな事で喧嘩なんかするなよ、じゃぁな二人とも」

 アスランは二人にそう告げて引き返していった、それを見送ったエルがナイトを叱る

「もうナイト、今度アスランに会ったら謝りなさい」

「なんで」

「アスランのお母さんはユニウスセブンで亡くなったのよ」

「ぁ、アイツに悪い事しちゃったな」

「気が付いた?ユニウスセブンの跡へ行く事は元々ナイトのお父さん達が言い出したことで

 シャルちゃんも慰霊の為の演奏をするのよ、プラントの歌姫も来るらしいし貴方も私も

 参加する予定でしょう」

「そうだったアイツ、辛いだろうな」

「でも大丈夫かしら」

「なにが」

「プラントと地球の戦争の最中にそんな所へ行って」

「大丈夫だろう、プラントの皆には同胞の墓標だぞ連合だって慰霊に訪れる人間を攻撃なんて事

 するわけが無いさ、たとえコーディネーター相手だってそんな事すれば

 地球連合内部で批判されるだろ」

「でも何か嫌な予感、オーブのコロニーにもプラントが何かするって噂があるから」

「それこそまさかだろう、オーブは中立国だぞ」

「ヘリオポリスには友達が居るのよ」

「大丈夫だって、それより急がないと映画始まっちゃうぞ」

「そうね、行きましょう」

 二人は映画を観るために去った

 

 二人と別れて暫らく歩いていたアスランは悪寒がした、ついでに呼び止める声もする

「アスラン」

 アスランは聞こえない振りをしてそのまま行こうとしたが遅かった

「わしを無視して行くつもりか?いい度胸じゃの坊主」

 嫌々振り返ったアスランの目の前には笑顔(怖い)のイチロー・キサラギが居た

「あ、おじいさん、お久しぶりです、何時こちらへ」

「ワザとらしいな坊主、少したるんどるようじゃから鍛え直してやる付いて来い」

 アスランは言い訳などをしていたが有無を言わさず引きずられて行く

 アスランが連れ込まれた場所はシャルとマイが住んでる理事長宅の隣にある道場

 バロン軍の兵士も皆マイ目当て良く通ってくるがそんな兵士は三日と続かない

 マイの恐ろしさを見ると皆逃げ出してしまうからだ

 マイ・キサラギ 18才 

 現在、バロンアカデミーの大学院で心理学を学ぶ学生

 双子の弟シュンと16才の時バロンアカデミーに入学して僅か一年で特進で大学院に進む

 腰まで届く黒いストレートの髪、漆黒の瞳に雪の様に白い肌、整った顔立ち才色兼備の美女(?)

 おまけに古武道や剣道、合気道などを幼い頃から祖父に教えられた護身術をも完璧にこなす

 文武両道とは彼女の事を言うのだろうでも恋人はいない、理由は男嫌いだからと噂されている

 両親がバロン軍と道場の行き来ばかりしていて娘の身を心配して友人の理事長に預けたのだが

 心配なんかする必要は無いだろうマイはとんでもなく強いのだから、更にはマイ以上に強い

 シュンもいるのだから

 そんな彼女だが欠点もいくつかある、ひとつはアスランとシャルを溺愛している事

 男嫌いの筈がそんな態度をアスランにだけは示さない

 初めてあった時にはマイに抱きしめられてしまったくらいだ、その後も時々抱きしめられる

(羨ましい?彼女のようにスタイルの良い女性に抱きしめられたら男にとっては拷問に等しい)

 おかげでアスランは多くの男達に睨まれたりしている、尤もアスランも男扱いされてないけど

 アスランはマイが住むシャルの家に泊まることが時々あるが下着姿でアスランの前を平気で

 彷徨くなど日常茶飯事だった

 もう1つはおしゃれに無頓着な事で同じ種類の服ばかり持ってる所為も有るだろうけど同じ服を

 一ヶ月くらい着てる事もあるもちろん洗ってはいるだろうけどね

 あと1つは多分すぐに分かるだろう

 

 幸いな事にマイとシャルは別棟にある弓道用の道場に居る

 

 今日は剣道みたいと思っていたらイチローが小さい木刀を二本持ち、アスランに普通の木刀を

 渡した

「おじいさん?」

 アスランの問いにイチローは

「今日は異種試合じゃ、坊主の剣が少しでもわしに触れたら坊主の勝ち。ほれ、始めるぞ」

 イチローの言葉にアスランは慌てて構えた

 右手の小太刀を正眼に構え左手の小太刀をやや下げ気味に構える、左右に動くアスランの動きに

 合わせ微妙にイチローも正対するように動く、常に正眼の小太刀の先はアスランの喉を指してる

 僅か数分の事なのにアスランの額からは汗が出ていた、本来小太刀を得意にしているのは

 アスランだが踏み込む事が出来ない、イチローの構えに隙がなさ過ぎて小太刀が大きく見える

 アスランは頭の中で考えた、そしてイチローの癖を思い出した・・・でも、その手は誘いだ

 ・・・・・・!そうか

 アスランとイチローが対峙してる時にマイが道場に入って来たが真剣なアスランは気が付かない

 アスランが動き木刀の中心をワザとずらして右手の小太刀に受けさせイチローが左手の小太刀で

 腹を掃うように横に動かし木刀の付け根をずらしてそれを受け半円のように振り下げた時

 マイが持っていた木刀を投げ付けた

 その木刀はイチローの小太刀とアスランの木刀に当たった

「こら、マイ邪魔するでない」

「勝負あり、おじい様。そこまでです」

「・・・そうじゃな、命拾いしたの」

「・・・」

「?」

 アスランには二人の会話の意味がわからなかった

「だが以前よりは少しマシな目になった」

「・・・」

「アスラン今日はお帰りなさい。シャルも演奏会の打ち合わせに行った、シュンも久しぶりに

 アスランに会いたいと言っていたからねあとで夕食作りに泊まりに行ってあ・げ・る・わ♪」

 マイのその一言を聞いたアスランの顔色が変った

「あ、今日は夕方から一件バイトが入っているから遠慮します」

「そう?残念ね。気を付けて帰るのよアスラン」

「は、はい。ではおじいさんありがとうございました」

 アスランは二人に告げるとあっという間に逃げ去ったが残された二人は沈黙した

「おじい様、今のはアスランの勝ちでした」

「そうじゃ・・・あの坊主は何処まで強くなるのやら、そら恐ろしいな」

「私は既にアスランに勝てません、私と対峙した時は無意識に勝ちを譲ってくれているのです

 アスランは身を守る時、大切な人を守る時にしか本気になりません」

「武道の天才と言われたお前がな、僅か二年でわしが年月を掛けて到達した技量をものにした

 ワシでも勝てんようになったわ、坊主はコーディネーターだナチュラルだなど関係無い

 ワシがお前に教えた全てをすでに吸収している上に閃きが凄いのだ

 アスランこそ天つ才じゃな」

「天つ才・・・それがアスランにとって良い事?」

「だが坊主は・・・なにか迷っているようじゃな」

「迷っている?」

「マイ、お前は理由を気が付いているな」

「!」

「どうじゃマイ」

「?」

「坊主をお前の婿に・・・・」

 

「アスランは私の肉親と同じでしょ祖父様だって知ってる筈よ」

「なんじゃその目はわかった、わかったからそう睨むでないお前は坊主の事になると直むきになる

 ワシはノミの心臓じゃから弱いんじゃぞ」

「何処がです、アフリカ象よりも強~い心臓の癖に」

「ヒ、ヒドイ孫じゃな」

「そう言うなら年寄りらしくお茶でも啜って日向ぼっこでもしていて下さい」

「・・・・・・」

 祖父と孫の口喧嘩は何時もの様に祖父の無言の負けで終わりマイは出ていったがイチローは残る

「天つ才か・マイよ、坊主の才能が世に知られれば利用しようとする奴が現われる

 その時坊主を引き止める事が出来るとしたら家族だけぞ、わしにとってアルテス、エリーと違い

 血は繋がっていなくともお前は可愛いのだぞマイよ、坊主の結婚なんて人の道から外れる事は

 判っている、判っているがマイよ、それでもお前は自分の選択を後悔するかもしれないぞ」

 

 あの二人も何でマイとシュンを預かったのだろう

 幼い時から髪の色や瞳の色まで薬で変装させてマイとシュンがかわいそうだ

 それに坊主はプラントにいると言っていた筈なのにおかげでマイとシュンは坊主と

 出会ってしまった

 

 マイの実の母親と逢ったのは10年前だ武術の講義の為にプラントに行った帰りの事で

 専用ボートが故障して漂流、修理をしようとして寄った廃棄コロニーで二人の男女と会った

 二人には双子の子供が居たのだが子供を育てる環境ではない

 雰囲気からして二人が夫婦と思えなかった事からアマリとシーラが二人を説得した

 幸い年齢が近い子供がいた二人は双子を養子として彼等から預かった

 名前・容姿・年齢も偽った(偽ったと言うより誤解した、双子とも5歳に見えなかったから)

 

 マイとシュンは年齢は15歳だがとても15歳には見えず20歳くらいに見られる事も有る

 

 二人とも両親の良い所ばかり受け継いだのだろう

 わしが教えた事は短期間で全て吸収しアマリとシーラも持てる全てを教えたおかげでマイは

 武道の天才少女と呼ばれるようになった、もっともシュンの方が強いのだが武道より学問や

 芸術の方が好きらしい

 二人は特進で大学に入学、マイは心理学をシュンは実の母親の影響か戦略学を専攻していた

 二人を預けている所のシャロンとも本当の姉妹や兄妹のように仲が良いが二人共シャロンと

 同じ年齢だ

 マイとシュンを預かる時に女性からある秘密を教えられた

 ある男の子の名前とマイとシュンの関係、彼女が何故我々に教えたのか疑問は残ったが

 今になってみれば彼女はひょっとしてこの日が来るのが判っていたのかも知れない

 

 アスラン、マイ、シュンお前たちはどうなって行くのか運命は変えられるのか

 

 

 蛇足ながら

 武道のみならシュンに勝てる人間はバロンに一人しかいない

 キサラギ夫妻の部下でありイチローの弟子でもあるアラン・ジィーノと言う男だ

 訓練センターで主に戦略論や戦術論を教えているがこの男がデタラメに強い

 二人を相手にしても身体に触れる事すら出来ない

 MSの操縦もザフトの赤出身で防衛軍の現役エースが5人がかりで対峙しても

 15分もかからない内に全員が倒されてしまった

 ザフト兵最強と呼ばれるザフトアカデミィー教官ビッツの再来と言われているほど強い

 しかしアラン・ジーノと言う男は正体不明で彼には過去の記憶が無いのだ

 アマリ・シーラ夫妻がコペルニクスに出張していた時に偶然、遭遇して連れ帰ったのだが

 記憶喪失の為にキサラギ夫妻が預かる形となった

(彼の名前は着ていた服のイニシャルをヒントにキサラギ夫妻が付けた)

 彼が持つ知識や技能、技術はザフト出身者だと思われるがプラントに紹介しても該当者無し

 最初はただの雑用係だったのだが訓練センターの講義中に突然に教官の教え方が悪いと言って

 口論となりシュミレーション戦を戦わせたら戦術・戦略とも教官達が完全に敗北してしまった

 その教官の教え子達が再びMS戦を挑み敗れたので教官として採用された

 

 完全な自治権と軍備を認められた独立自由都市バロンシティーは有能な傭兵組織等を吸収して

 防衛軍を組織した

 現在、防衛軍基地では慰霊団護衛の為の編成準備中だった

「小隊規模しか護衛を付けてはいけないとはどうしてすか慰霊団を守る為の護衛部隊が

 それだけの戦力ではすぐに遣られてしまいます、例えザフト出身者が多いと言っても

 うちの部隊は新兵ばかりなんですよ」

「グラディス少佐、君の言う事は私にだってわかっているさ」

「ならば、どうしてですか」

 さすがに護衛部隊の編成責任者のグラディス少佐は上官であるマイス中佐に喰って掛かった

「上層部が地球連合を刺激したくないそうだ」

「マイス中佐、私は納得できません」

「少佐、納得できないのは私も同じだが上層部の決定事項だ」

「・・・了解しました」

「ただし新型艦の使用を許可されたぞMSもMS-RS07を一機と現行型を6機の使用を

 認めさせた」

「不味いのではないですか例のオーブのMS技術とザフトの技術を融合させた機体

 ザフトと共同で作ったMSを改良したと言う」

「大丈夫あの機種は実験機だからな、それに新型艦は高速でいざという時は逃げろ

 実験機は破壊して証拠は残すなという命令だ」

「それにしたって」

「機密事項だが新型艦はザフトが開発中のE型高速戦艦の1.5倍は出るそうだ」

「え、噂のE型高速戦艦の1.5倍?」

「ああもっとも火力は同等らしい、ついでに言うとMS搭載能力は2倍以上だ誰にも言うなよ」

「はい・・・名前は」

「グリスターンと言うそうだ、意味は確か薔薇園と言ったかな」

「薔薇園ですか戦艦にはそぐわない名前すね」

「それと今回は輸送艦やクルーザーは使用しない事になった、グリスターンと護衛艦二隻だけだ」

「では彼等は何処へ、・・・まさかグリスターンへですか」

「そうだ上層部も何を考えているやら、小隊規模の護衛に新兵の部隊何かあったら如何する気だ」

「そうですよまったく、わかりました了解します」

 

 この事は防衛軍上層部の油断だったが彼等を責めるのも間違いであろう、追悼の為の慰霊団が

 攻撃されるなんて思ってもいなかったからだ

 まさか慰霊をする為に訪れる人々を攻撃する事など普通は考えない

 例え軍艦であろうと追悼の為の民間人を攻撃する事になるのだ

 何処の国でも決して許される筈が無い

 自国民に対する無差別攻撃の許可証を敵に与えるようなものだ

 

 

 

 プラント、ザフト軍基地

 数日後に迫った秘密作戦の為の打ち合わせが行われていた

「ミゲル達が陽動をする、キラは一番機をイザークは二番機ディアッカは三番機ラスティは四番機

 ニコルは五番機を確保せよ、時間的にはギリギリだが落ち着いて行けば大丈夫だ。質問は?」

 皆無言

「よし、皆大丈夫だ訓練どおりにやれば成功するお前達にはその力がある、以上解散だ」

 

 皆はバラバラに出て行った

 一人残された男は窓の外を見ながら呟いた

「皮肉だなキラ・ヤマトが部下とは最高のコーディネーターの力とやらを利用させてもらうか」

 部屋を出た少年達は皆、赤い戦闘服を着ている、ザフトのエリートの証だ

「なぁイザークこれからどうする」

「訓練に決まっているだろう」

「やっぱりそうなるわけ」

「何だ不満か」

「なぁ、いくらシュミレーションでキラの奴に負けたと言っても・・」

「負けた訳じゃない、あれは絶対機械の故障だ」

「潔良くないですよイザーク」

「そうそう」

「黙ってろニコル、ラスティーも」

 イザークは一人離れて歩いているキラ・ヤマトを睨みつけながら声を掛ける

「キラ・ヤマト、訓練に付き合え」

 振り返ったキラ・ヤマトは?と言う顔をした

「なぜ?今からラクスに会いに行くんだけどイザーク」

「馴れ馴れしく名前を呼ぶな、ふん軟弱者には用は無いとっとと行けよキラ・ヤマト」

「そうなら声を掛けないでね、君達には訓練は必要だろうけど僕には必要ないものだから」

 キラの答えにイザークが顔色を変えたがニコル、ディアッカ、ラスティ等が慌てて止める

 その様子を見ていたキラは何も言わずに基地を出て行った

 残された4人はと言うと

「イザーク、止せよ。キラが強いのは確かなんだから」

「ふん、奴が強いのはMS操縦とシュミレーションだけだろうが」

「アカデミーの成績はそれでも上位でしたよキラはだから赤を着ている」

「どうせ事務官連中が婚約者の父親に負けたのだろうさ、教官達だって不思議がっていただろう」

「そうだよな、ラスティーの言う通りに決まっているんだよ」

「みんな、同期なのにどうしてキラが嫌いなの?」

「ニコル、お前はあの成績で仲間と認めるのか」

「・・・でも」

「アイツが全ての教義で優秀なら例え嫌な奴でも認めるさ、だがアイツは何だ好きな教義は

 自分から進んで受けるくせに嫌いな教義は適当にしか受けていない、おまけにMSの集団戦法は

 無視、個人の技量だけで済まそうとする確かにアイツに素質がある事は認める

 本気を出せばかなり強い事も認めるがあんな奴が赤なんて認めるか」

「そうだな」

「俺もそう思う」

「・・・」

 ニコルはため息をついた

 内心、彼自身もそう思っていたからだ

 そうしてイザークが怒りながらシュミレーションルームに向かうと

 残されたニコル、ディアッカ、ラスティは慌てて着いて行く

 

 アプリリウス市にある閑静な高級住宅街にひと際大きい屋敷

 現プラント最高評議会議長シーゲル・クラインの家だ

 突然尋ねて来たキラにメイド達は驚きながらも今ラクスが居る場所へ案内をする

「ラクス様、キラ・ヤマト様がお見えになりました」

「キラ様が?如何したのでしょう、今日はお会いする約束の日ではなかった筈ですのに

 ・・・とりあえず、こちらへ」

 少しの間があってからバルコニーへキラ・ヤマトが姿を見せた

「やぁラクス、暇になったから来たよ」

 いつもの如くキラは自分の都合でしかラクスの元へは顔を出さない

 自由を求めるキラの姿にラクスは思った、キラ様にとって自由に代わるものは無いのですかと

「キラ様、暇になったとは?先程イザーク様に電話をしましたら訓練だと仰っていましたが?」

「彼等には必要なんだ、彼等は弱いからね」

「イザーク様が弱い?」

「ラクスの幼馴染だから余り言いたくないけど彼等はMS戦やシュミレーショんで僕に勝った事が

 無いから訓練が必要なんだよ」

 キラの言葉にラクスは軽い反発を感じながらも頷き

 キラは自分の婚約者で近い将来夫のなる人だからあまり波風は立たせたくない

「それで本日は如何しました?」

「ちょっと重要な任務をする事になったから暫らく会えないんだ

 ラクスが寂しい思いをしちゃぁいけないと思ってね」

「そうですか、それでは気を付けて言ってらっしゃいませ」

「それだけ?」

「他に何か有りまして?」

「もう僕達16才だよ、キス位してくれてもいいんじゃない」

「なにも他の方々の真似などしなくても宜しいですわ、それにまだ結婚していません」

「ラクスは少し硬すぎ、もっと自由に生きなきゃ駄目だよ」

「私も近いうちにユニウスセブンの慰霊祭に参加します、その準備が忙しくて余り暇もありません」

「そうごめんね。じゃぁ帰るよ僕は」

「任務の成功と無事の帰還をお祈りしています、本当にお気を付けて」

「うん」

 キラは嵐のように来て嵐のように去った

 ラクスは未来の夫の後姿を見ながらため息をついた

 確かに自由に生きる事は大切です、でも本当の自由とは何でしょう?私にはまだ分かりません

 キラ様の事を理解できれば答えが出るのでしょうか?

 キラ様との婚約を父様に頭を下げられて頼まれたので承知しました

 父様が言うのには強硬派の人々を懐柔すると言いました

 私に婚約の話が来たのは二度目で一度目の方は婚姻統制局のお墨付きの方だったらしいのです

 その方だったら宜しかったのに私も女ですから子供を産みたいと思うのは我侭でしょうか

 でも何時の間にか話し自体が消えてしまい二度目がキラ様で初めてお会いした時は

 自由に生きようとする方だと思いこの方ならと思いましたがなぜか違和感も覚えるのです

 いけないのは判っているのですが心まではどうにもなりません

 何時の日にかキラ様を理解できる大人に成りたいと思いますラクスはそう呟きながら慰霊の為に

 歌う歌の練習に集中していく

 

 ラクスはまだ知らない

 ユニウスセブン慰霊の為に向かった先で運命の出会いをする人物がいる事に

 その出会いがラクスにとって幸福なのか不幸なのかそれはわからない

 ただラクスの生きていく道を変えてしまう出会いとなる事を

 

 キラは基地へ向かうエレカの中で考えていた

 ラクスが自分に向ける目、あれは結婚を約束した女の目では無い

 ラクスは何故僕を理解してくれない?何故僕を認めない?

 赤を纏い、ザフト最強のクルーゼ隊に所属する僕キラ・ヤマトの事を何故認めない?

 

 最高評議会議長の娘、プラントの歌姫ラクス・クライン、彼女に相応しいのは僕

 自由を得る為の力を持つこの僕だけなのに

 政略結婚が嫌なの?プラントの婚姻統制だって同じ様なものなのに例え政略結婚だって

 良いじゃないか、僕達は選ばれた人間なのだから

 ・・・・・・ザラ委員に頼まれたからラクスと婚約したけど間違いだったのかな?

 例えラクスが僕を分かってくれなくても結婚するのは決まっている事だ

 名前だけの夫でもいいさラクスと僕には子供が出来ないのだから

 そんなことを考えながらキラは基地へ向かった

 

 

 アスランは家に帰ったが迎えてくれる家族はいない

 夕食をを作りながら漠然と考えている内に料理は出来てしまった

 良く見れば少年が一人で作ったにしては良く出来ている

 友人達の中では有名だがアスランの料理の腕はかなりのものだ

 もっともアスランの料理が上手いのはマイのおかげだが

 どうしてか?

 マイはシュンと一緒に良く泊まりに来る

 以前は料理を作ってくれたのだが才色兼備・文武両道のマイにも欠点がある

 なぜか料理に関してだけはロールキャベツを除いて壊滅的な料理しか作れない

 マイが個性的(?)な料理を食べさせてくれ己の生命活動の危機を感じ自分で作る様になった

 

 シュンがマイの料理をどうして平気で食べれるのか今でも謎だ、ヤッパリ双子だからか

 (そんな馬鹿な)

 マイは今でもシュンと一ヶ月に一度は泊まりに来るがに注意されたのか下着姿で彷徨く事は無い

 それでも料理はアスランが作るけどね

 料理が出来上がりシャワーを浴びてから夕食を食べる

 食事が終われば趣味の工作の時間、いつもの行動パターン、

 

 今は動くペットロボットを2体製作中で完成まじかであとは対象人物のデータを入れるだけ

 とりあえずシャルに白を1つ

 ピンクはマイさん駄目だワザとじゃなくても反射的に弓矢の的か木刀のエジキになりそうだな

 簡単には壊れないけど・・・そうでもないか

 マイさんは木刀でヘルメットを割ってしまう人だからなぁ

 シュンさんは僕と同じでこういう事が好きだから改造されてしまいそうだな

 アスランがそんな事を思い浮かべながら考えていた時、机の上にあった音楽雑誌が目に入る

 シャルがくれたものでプラントでしか発行されていない雑誌だ

 プラントの歌姫ラクス・クラインの特集が組まれている

 以前シャルと共演した時の事が載っていてDDMが付きで歌とインタビューが見れて聴ける

 シャル曰く歌姫はまるで不思議な国の王女様見たいと言っていた

 とりあえず試験するだけなら後で消せばいいから歌姫のデータで良いか思い

 シャルと歌姫のデータと音声を入力し終わった

 

 寝る前のひと時ふと窓際の写真に目が行く

 そこには母レノアと幼い自分の並んだ写真があった

 決して他人には見せないがアスランの心の傷は簡単には癒えない

 アスランには母レノアの死を今でも受け入れる事が出来ない

 出来ないでいるから余計に傷が深くなる、でも彼を責める事など誰が出来るだろうか

 突然、奪われた小さな幸せを認めることが出来ない少年の心、

 父親は母親の死にも一度しか連絡してこなかった

 離婚したと言っても嘗ては愛していた妻なのに父親のアスランに対する姿勢も心の傷を

 深くしている原因でもあった

 

 母上、アカデミーへの特進が面接試験に受かったら認められそうです

 マイさんにシュンさん、シャルも喜んでくれると思います、母上も喜んでくれますか?

 そう言えばグラディス少佐が母上に花をくれました母上の部屋に飾っておきました

 少佐も良くアルバイトを紹介してくれます

 先日、基地の作業用モービル移動のバイトの時にMS運転の基本を教えてくれて少し筋が良いと

 褒められました

 分かっていますよ母上の嫌いな軍人には成りませんが何かあった時に皆を

 守る為にも全てを吸収していたいのです

 僕がマイさんから武道を教えて貰っているのは軍人に成って母上の仇を取る為だと

 皆には誤解されているようですがマイさんが僕に教えてくれるのはそんな事の為では無い事は

 分かります、教えてもらい始めてから落ち着いて人を見ることが出来るようになった気がします

 母上は生きていますよね今は戻れないだけですよね、僕は母上が戻って来るまで何時までも

 待っています

 アスランはいつもの様に心の中でレノアに語りかけてからベッドに入り眠りに着いたが

 その頬には涙の跡が見えた

 「母上、なぜ・・・・・」

 寝言だったのだろう、アスランの呟きは途切れた

 

 

 平穏な日常はすぐに崩れる

 数日後アスランは地獄の中にいた、アスランが平穏な日常に戻ることは出来るだろうか

 そしてその地獄の日々の中で友人となる男の命が失われる事など

 今のアスランは夢にも思ってもいないだろう

 

 

 ザフトは無警戒だったオーブ領のヘリオポリスを予定通り強襲した

 順調に作戦を推移させていた彼らの前に立ち塞がる男がいる

 5機のオーブ製MSの内、4機のみ奪取に成功したが残る一機は失敗

 残る一機には既にパイロットが搭乗していたからだ

 機体はGAT-X105ストライク、ナチュラル用にカスタマイズした試験OSを搭載した機体だった

 搭乗者はムウ・ラ・フラガ大尉

 エンデュミオンの鷹と呼ばれる大西洋連邦のエースパイロット

 彼自身はMSパイロットではなかったが上層部の命令により適正試験の為に訓練をしていた

 

 フラガに適正が有ったのがザフトもヘリオポリスにも不幸な事になる

 陽動に出ていた部隊の何人かが死亡したり捕虜になったり

 その原因は奪取部隊の一人が突出した為で援護に出た陽動部隊の何人かと奪取部隊の一人が

 発射体勢にいたフラガの前に飛び出す形となり回避も出来ず倒されてしまった

 突出した一人はそれでも攻撃を止めず無差別に軍事工場を攻撃しこの無差別攻撃は

 ヘリオポリス崩壊の引き金を引く事になった暫らくしてザフトは引き上げ

 フラガも崩壊するヘリオポリスからの脱出の為に用意された新型戦艦に捕虜となった

 ザフト兵士と少数の民間人達と共に乗り込んだ

 

 その戦艦の名前をアークエンジェルと言う




 あとがき
 批判的に書いていますけどキラの扱いが作者にしては比較的まともかな?
 本編をまるっきり無視しているように見えますが本編で死ぬ人は基本的にこの世界でも
 例外を除いて退場するようになります(たぶん)
 長編になるか短編で終わるかは作者次第と言う事で気長にお願いします
 グリスターンは中世ペルシャ語で薔薇園と言う意味ですが特に意味はありません
 アスラン・リヒターのリヒターは英語ではライト、ドイツ語ではリヒト、
 明るい、または輝く等の意味があります

アマリ・シーラ・イチローの正体は朝日ソノラマ刊ガンダム最初期小説の人間関係と逆シャアの
結末に準じていますので誰か直ぐお判りに成ると思いますから敢えて書きません
(イチローの正体だけは無理かも笑)

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