Mixingfate(交錯する運命) 作:nao_japan_fourth
ザフトのAA追跡部隊旗艦ヴェサリウス
艦内休息室では各パイロット達が各々休息を取っていたのだが彼らの休息を妨げる大声がした
どうやら喧嘩のようだ一人のパイロットが様子を見に行き近寄ってみると赤を着ている者同士の
喧嘩だった、見ると一人が廊下に片膝を着いていた
相手の男は同じ赤を着ている男達に止められている
「キラ、さっきの戦い方は何だ」
「何だって?ちゃんと足止めになったろう」
「なんだとう、お前が勝手にポジションから離れたからあの白い奴を逃したんだぞ」
「違うよイザーク達がもっと早く回りこめばイージスでし止められたんだ
自分達の動きが悪いのを僕のせいにしないでくれる?」
「ふ、ふざけるな、予定外の行動をした奴は誰だ、お前だろうが」
「だから何度も言ってるでしょう、あの時はそれが一番だと思ったんだよ君達の速度なら
追いつく筈だったんだ、あの一機が邪魔しなければあの白い戦艦は落とせていたんだ」
「プランを変更したなら何故連絡を寄こさない、それが当たり前だろうが」
「君達ならそれくらい判断できるだろう、何の為の赤だよ」
イザークの顔は次第に赤みが増してきている
「貴様が身勝手な事をしたからラスティーやミゲル達が死んだんだぞ
反省もせず同じ事の繰り返しかお前の頭は飾りかキラ」
「それは僕が馬鹿って言ってるの?」
「馬鹿、ふん、それ以下だ。」
「聞き捨てなら無いねその言葉、僕より臨機応変に対処する能力の劣る君に言われたくは無いよ」
「なんだとう赤の資格も無い奴がなにをほざいている」
再び殴りかかろうとするイザークを必死で止めるディアッカとニコル
険悪を通り越して最悪な関係に成るイザークとキラ
それを見に来ていたパイロットはイザークが叫んだ相手の名前を聞いて驚いた
(あれが噂の死神か嫌な所に配属されたな、母さん俺戦いが終わるまで生きてないかも)
そう呟きながらパイロットは休息室に戻った
そうキラ・ヤマトは味方からも死神と呼ばれている
彼が攻撃に参加すると戦果は確実に上がり敵にとっては死神以外の何者でもないのだが
ではなぜ味方からもそう呼ばれるのか?彼が参加した作戦には犠牲者が必ず出るからだ
もちろん戦いは敵がいるからこそ成り立つわけで敵も必死だから味方に犠牲者が出るのは
仕方無いが犠牲者の大半はキラの独断専行の煽りを喰って死ぬ事が多く前回のヘリオポリス
急襲戦でもキラが奪取し損ねた機体を破壊しようと攻勢限度を越えた為にミゲルや他の隊員達が
キラの意図を察知、援護に回る為に配置されていた位置より前進した所を発射態勢にいた
ストライクに攻撃されて回避する事も出来ず撃破されたのだ
(そして皆、MIAに認定された)
だがキラは無能者では無い、間違いなく有能だ、先程イザークに反論した彼の意図した作戦で
間違いなく敵を殲滅できた、臨機応変に対処する彼の能力は天才的と言っても違わないが彼は
自分を基準に考えすぎるし変更した事を自分が出来る事だから味方も出来る筈だと考えて仲間に
連絡すらしない、これでは連携作戦は成り立たずイザークが怒るのも無理は無い
トップで卒業したイザークはキラの思考した作戦が成功したら確かに撃沈できた事は理解してる
しかしキラの独断専行が許せないのだ
アカデミーに入隊した頃のイザークとキラは仲が悪かった訳ではないディアッカから見ればだが
むしろ仲が良かったかも知れない
だがキラの持つ自由思考に次第に付いていけなくなり二人の仲は悪化した
これで全ての面で優秀ならばイザークも認めていたかも知れないがキラは自分の好きな分野の
訓練や授業には積極的に参加するが苦手や嫌いな分野になると消極的すぎた
それでも赤を許されるのだからキラ・ヤマトの持つ才能が如何に優れているか分かる
実際得意なMS戦やシュミレーション、情報処理等は同じ赤の中でもダントツトップで2位は
全てイザーク、もっとも格闘戦・銃撃戦などの成績は赤の中でもキラは最下位だ
再び殴ろうとするイザークだが艦内に放送された次の言葉で止まる
《コンディションレッド・コンディションレッド、待機隊員は順次所定の位置に着け
クルーゼ隊は作戦室へ集合、コンディションレッド、繰り返すコンディションレッド》
その警報を聞いて全員が作戦室に集合する為にキラを除いてその場を離れた
一人残されたキラは仕方が無いと呟いてから作戦室に向かう
集合したメンバーが一人足りないのに気が付いたクルーゼだが
「キラはどうした」
「さぁ、またどっかで昼寝でもしているんじゃないですか」
ディアッカの答えに皆が笑う、そこへキラが入って来る
「遅いぞキラ・・・おまえ達、また喧嘩したのか」
「いいえ、別に」
「そうか」
クルーゼは赤5人が仲が悪いのに頭を悩ませていた
最初は利用できる人材を得たと喜んだが5人は仲が悪すぎた5人と言うよりキラと他の3人
ニコルはそれほど酷くは無かったがラスティーと一番仲が良くその死によってニコルもキラから
距離を置くようになった
彼等の顔を見ればすぐに分かったが今はそれど頃ではない事を思い出し仕方が無い黙殺しよう
皮肉だがクルーゼはキラの気持ちが良く分かる
上昇志向の強いキラだが当然ながら彼にはプラントに伝手が少ない
何故キラの上昇志向が強いのかはプラントに来た事情に由来していた、両親がナチュラルで
第一世代でもあるキラはオムニに居た頃コーディネーターで何事にも優秀な故か陰湿な苛めに
会っていたが理由はそれだけではない、コーディネーターだった事も確かに原因だがキラの
人を見下している様な態度にも影響していた、無意識だと思うのだがその様な言動もする為だ
同じコーディネーターのアスランは苛めが少なかったと言うより殆んど無い
アスランの成績は全科目でほぼ首席だったのに苛めに遭ってない事を考えればキラ自身の性格に
何か問題があると考えるのが普通だろう
そして表面的な友達は多かったが庇ってくれる程の親友と呼べる存在はいなかった
キラは苛めに反抗する形で上昇志向が強くなりプラントに移住しオムニの事を全て切り捨てた
ザラ委員から失った自分の息子代わりに歌姫との婚約をして欲しいと言う話に飛びついたのは
議長の娘である歌姫ラクスと婚約すれば上層部と繋がりが出来ると考えた事もあるのだろう
アスランとキラは同じコーディネーターだがそれほど親しく無い(そんな奴が居たな程度)
アスランの住居がある事故で壊れた為キラの住居とは学校を挟んで反対側だから親しくなる
機会も無く、キラはアスランがザラ委員の実子ある事すら知らないのだ
「国防本部から緊急指令だ、ユニウスセブン慰霊の為に訪れていた追悼団が行方不明になった
至急、捜索をせよとの命令だ」
その言葉を聞いてキラが不満を口にした、もっとも他の隊員も心の中は同じ考えだったが
「民間人の捜索に何故、僕たちが行かなきゃならないのですか」
クルーゼは彼らの不満もわかるがしかし国防本部からの命令は他の事は無視しても実行せよだ
「お前達の気持ちも分かる、だが今回は仕方あるまい追悼団には最高評議会議長の娘である歌姫が
いるからだがバロンシティーの月の姫も一緒に乗ってる、歌姫の要請で追悼団に加わって貰った
バロンシティーは重要な中立国だからな月の姫に何かあったら大変な事になる」
「ラクス嬢が」「ラクス様が」「ラクス・クラインが」「ラクスが」
突然、静かだった室内が喧騒に包まれる
「静かにそう言うわけだから判ったな推定宙域に付いたら直ちに捜索を始める以上だ、解散」
クルーゼはそう告げると部屋を出た
「そう言えばラクスがそんな事言っていたね」とやけに冷静な言葉を口にしてキラは部屋を出た
AAことアークエンジェルはザフトの追撃を躱し地球連合軍と合流する為細心の注意を払って
ある宙域に居たのだが民間人や捕虜達を乗せたので不足していた物資が急速に減っている
最重要なのは水だ、水が無くては人は生きていけないので乗員がある場所からなら補給できると
発案したがしかし何人かの乗員は反対した、その場所に入るのはあまりにも心理的に抵抗がある
反対した人間達にほぼ共通しているのはその場所が地球連合軍の罪の証であり、敵対者達には
神聖な墓標だ、しかし若き艦長は死んだ人間より生きている人間と決断し、そして彼等は見た
提案した乗員ですら後悔した自分達の仲間が行った愚かな行為の結果を、死の世界の姿を、
民間人で水の補給を手伝う為に名乗り出た女性達の中には吐いてしまう者もいた
そのうちの一人フレイ・アルスターは軍艦の生活に慣れず息苦しさを感じてたので外に出れると
思い志願したのだが
始めの内は平気だった巨大なコロニーを一瞬で崩壊させた地球連合軍を誇らしく思った
だから気楽に実験棟見たいな所にも入る、己の人生観が全て変わってしまうとも思わず
フレイの目へ最初に入って来たのは親子の遺体
シェルターに逃げる時間も無かったのだろう母親は小さな子供を抱えたまま死んでいた
思わず顔をそらすフレイに新たなものが目に入いったそれは女性物のバッグで先ほどの女性の
腕に巻きついていたバッグでそのバッグから何かが見え開けて見た目に入ったのは写真
親子だと思われる幼児と女性の写真と書類、特徴からしてこの遺体の女性のようだが子供は違う
写真の裏を見た時フレイは見なければ良かったと更に後悔する
記載されていたのはフレイと同じ国の出身者である事を示す名字や出身地を示す資料だった
そして書類を見たフレイは吐いただけではなく膝も震え出す、書類に書かれていたのは先ほどの
女性の正体で彼女はフレイの祖国では聖女の如く尊敬されてた女性である
守るようにしていた抱きかかえていた子供はコーディネーターだった
女性は祖国に子供を残してプラントに住む人々の為にと此処へ来て同胞からの攻撃から
コーディネーターの子供を守り死んだ
もう1組の親子らしき遺体も浮かんでいたがこちらは先ほどと違い女性はコーディネーターで
子供は如何見てもナチュラルである
この女性も先ほどの女性と同じように子供を庇って死んだ
子供を助けようとするのは本能の様なものなのかも知らない、そこにはコーディネーターも
ナチュラル無いのだ
その事に気が付いたフレイは己の中の何かが崩れていくのを感じ初めて連合軍の罪深さを知る
この農業用実験施設はナチュラルが多く暮らしていた地区だったのに連合軍は同胞をも無差別に
葬り去った
茫然としていたフレイに女性が声を掛けた
「フレイ、そろそろ集合の時間・・・フレイ大丈夫?」
フレイの友人ミリアリア・ハウは声を掛けても反応の無い彼女を見た
そして彼女の前を漂っていた遺体に気が付いてミリアリアも思わず顔を背けたが
彼女の視線が向いていたのは遺体ではなく手に持っている写真と書類、横から写真と書類の
内容を把握したミリアリアは彼女が受けたショックの意味に気がついた
フレイの親は地球連合軍事務方のトップでユニウスセブンに核攻撃を命令した幹部の一人だ
ショックを受けている彼女を放って置く訳も行かずミリアリアは手を引きながら集合地点に
向かうが偶然にも地球を遠望できる場所がありそこから地球が見える
だがその地球は錯覚だと分かっているが赤く染まっているように見えた
この罪の跡地の中から見える地球の姿がミリアリアには近い将来の姿に思えてしまう
かつて大西洋連合がまだアメリカ合衆国といってた頃にヒロシマとナガサキへ原子爆弾を投下
罪無き民間人を無差別に殺戮いや虐殺した、そして核兵器の恐怖が始まったのと同じ様に
地球連合軍はユニウスセブンへ核攻撃をした事で開けてはいけないパンドラの箱を再び
開けたのではと思えるミリアリアだった
集合地点に集まった人々は皆無言で中には泣いている人の姿もある
女性仕官の誘導で全員この場を離れた、どうにか必要な分の水を確保した一行だが暫らくは皆
気が重たかった
その頃、グリスターンは大変な事が起きていた
見張り役とレーダー監視員の二人が同時にミスをしてグリスターンに近寄ってくる彗星軌道の
デブリを見逃す、不運な事に護衛艦はグリスターンの後方で艦隊配置の変更準備をしていて
気が付かず、結果見逃したデブリがグリスターンに衝突、艦の損害自体は大した事無いのだが
人的損失が出た
デブリがグリスターンのブリッジの一部とブリーフィングルームを突き破り 最悪な事に緊急
事態への対処の為ブリーフィング中の会議室外壁へ衝突して艦長と副艦長、MSパイロット達
艦橋要員達が宇宙に放り出されてしまった
現在は緊急要員が応急措置をして気密スーツ着用ならブリッジに入れるようになるも至急修理を
必要としたが人員が足りない、何故ならデブリは護衛艦2隻にも連続して衝突し1隻の動力部を
完全破壊、残る1隻もグリスターンと同じくブリッジに衝突して完全に破壊されてしまう
艘艦不能になった2隻とも人員の大半を失いその被害はグリスターンよりはるかに酷い
幸いな事に民間人と話をしていたおかげでマイスとグラディスは難を逃れてたが護衛艦を含めて
生存者の中には二人より上位者がおらず下士官も数える程しかいない
(本来の指揮官である上級幹部はプラントの追悼団に帯同していた)
二人は熟慮の結果、護衛艦の廃棄を決め生き残った人達をグリスターンに収容した事により
ブリッジ要員は補充できたがそれでも人員が圧倒的に足りない
MSを搭載しない護衛艦タイプの為にパイロットもいない、MSの経験者も殆んどおらず
マイスとグラディスは経験者だったがマイスは現場を離れてから十数年経っていてまだMSが
実験段階の頃である、グラディスも実戦経験はザフト時代に少しだけあるだけだ
それでも現在必要とされている外部からのブリッジの修理は出来るがグラディス一人だけでは
相当な時間が掛かってしまうだろう
「そうだ少佐」
「何でしょうか中佐」
「確か工学部の学生が何人かいたな彼等に助けて貰おうか」
「確かに、ですが二人しかいませんよ」
「それでも力を貸して貰う。工学部ならモービルくらい操作した事は有るだろう」
「二人ともMSを操作した事がありますよしかも素質ありですが一人は無理だと思います」
「?どうして民間人のそれも学生がMSを操作した事があるのだ、それに無理とは?」
「軍志望でフェルム准将の息子ナイトファルト・フェルムは言わなくても理由は判りますよね
いま一人は乗ってくれるか分かりません、彼は軍隊と言うものを憎んでるかも知れませんから」
「?どう言う事だ」
「彼はレノア・リヒター博士の息子なんですよ」
「レノア・リヒター博士・・・そうか」
「彼が乗っているのは慰霊の為なんです、リヒター博士はユニウスセブンで亡くなりました
軍艦で行く事に決まった時は辞退して来ましたが幹部達に説得されて参加してくれたのです」
「そうだったのか、で経験があるとは?」
「彼、アスランという名前ですが生活の為に色々アルバイトをしていて私が管轄する基地でも
作業用モービル移動のアルバイトをした事があります、まったくの偶然ですがその時に故障した
MSを移動して貰ったのです、アスランは嫌でしょうがパイロットとしては一流になれますね
中佐はMSを初めて乗って動かせますか?」
「無理だなMSの原型を操作した事がある私でも今のMSは複雑でただの操作ができる位か」
「彼はバランス感覚がとても凄いですレクチャーしただけでMSを基地の反対側まで倒れないで
歩行していきました」
「それは凄いな」
「それにアスランがザフトに入れば間違いなく赤の力はありますよ、実力、素質とも」
「実力とはどういう意味だ確かに機械操作は天性かもしれないがそれだけで赤は無理だろう」
「アスランはアルバイトに追われながらも成績は常にトップクラス、アカデミーへの飛び級の話も
ほぼ確定していますしおまけに武術はマイ・キサラギの愛弟子です」
「キサラギ教官の養女のマイ・キサラギか武道の天才と言われてたな私も対戦した事がある
実戦ではないとは言え一度も触れる事が出来なかった」
「一ヶ月前に彼女と話をしました、アスランは既に自分より強いと言っていました」
「そんなに強いのか、素質ともとは?」
「アスランの父親は誰か知っていますか」
「今はじめて名前を聞いたのに知るわけがないだろう」
「アスランの父親はプラントのパトリック・ザラです」
「パトリック・ザラ、ザフト創設の中心的存在だったパトリック・ザラ国防委員か?」
「そうです」
「確かにあの方の息子ならな、しかし頼んでみてはどうだこのままでは如何にもならないぞ」
「分かりました頼んでみますが期待しないで下さい。それでアスランが乗るMSをどれにします」
「MSは専任登録制になっていたな実験機にしよう何かあっても破棄すれば良いからな」
アスランは貴賓室の中で一人ボンヤリしていた
ナイトやエルフリートに話しかけられても考え事をしていて上の空だった
他の誰も気にしなかったようだがアスランは先ほどの振動が気になっていた
グリスターン程の大きさの船が揺れたのだ外部で何かが起きているのではないかと思った
「アスラン、ナイト、二人共話があるから側に来てくれないか」
突然顔見知りのグラディス少佐がアスランを呼んだので少佐の方に向かう
ナイトも首をひねりながらアスランの横に並び歩き出していた
少佐の側に近寄ったら少佐は無言で通路へ出てくれと首だけで促したので二人はそれに従い
通路に出た
「すまんが二人とも何も言わずに着いて来てくれ」
アスランとナイトは何か嫌な予感がしたのだが素直に着いて行く
民間人立ち入り禁止区域に入って軍艦の頭脳とも言うべき艦橋の手前まで来た
そこには少佐より階級が上の軍人が待っていた
「君達がMSの経験がある工学部の学生か、私は現在この艦の責任者のマイス中佐だ
二人ともよろしくな」
「はぁ」「はい」
二人の反応はそれぞれだった
「実は二人に頼みたい事がある、まぁ口で説明するより見て貰った方が直ぐ理解できるか」
中佐はそう言うと艦橋に通じるドアを開けた、促されて内部を見た二人は絶句する
「いまから述べる事は機密事項になる二人ともそのつもりで居て欲しい、見た通りだ
デブリがぶつかって現在修理が必要だが人手が足りない、特に外部で作業する為の人間が
グラディス少佐しかいない状況だ、そこで君達の力を借りたい」
ナイトが中佐に質問する
「それは僕たちに修理を?」
「そうだ」
アスランも質問する
「旗艦の修理も出来ないほど護衛艦にもデブリが当たって被害が出ているという事ですか」
マイスは目を見開いてアスランを見つめそれからグラディスをみると中佐の反応に
グラディスが頷く
「そうだ護衛艦はすでに破棄をしたのだがMSを扱える人間達が護衛艦にはいなかった」
「つまりこの艦のMSパイロットの皆さんも?」
「そうだ、艦長や艦橋要員たちと共に今は彼らもデブリとなっている」
少し顔色が青くなったナイトが再び質問した
「僕たちの役目は少佐と共に外部からの艦橋修理ですか」
「ああ、頼めるか」
「もちろんですよ、なぁアスラン・・・・・・アスランどうした?」
ナイトがアスランに同意を求める為声を掛けたのだが何かを考えているようで
そしてアスランはマイスに再度質問した
「マイス中佐、他に何かあったのですね一箇所に主要な人達が集まるほどの事が」
「!」
この時マイスは少し恐怖を感じた、並みの指揮官ではたった一言でここまで推論できない
この少年の洞察力は頭抜けている、鍛えれば赤どころか白服になれるいやそれ以上だ
さすがにパトリック・ザラの息子だ
再びマイスはグラディスを見ると今度ばかりはグラディスも驚いている
「アスランと言ったかな君の名前は」
「はい」
「現在追悼団が行方不明になっている、デブリが衝突したのは捜索の為のブリーフィングの
最中だった」
中佐のその一言に二人は驚いた、何故ならナイトの父親はプラントの追悼団に加わっている
そしてアスランにとってもシャルが同じように加わっているからだ
「分かりました作業を手伝えばいいのですね、MSのフライトデッキへ案内をお願いできますか」
二人は心配していたのを拍子抜けするほどアスランが簡単に了承したので返ってびっくりした
もちろんアスランは心の中で葛藤はあったがグリスターンの事を特に気にしてはいなかった
それよりシャルの事が心配だった為にグリスターンを修理し早く捜して欲しいとただそれだけを
考えていたアスランだった
アスランに用意された機体は試験機を示す赤い色をした機体MS-RS07、バロン防衛軍が
ザフトより依頼されて内密に開発したMSがあり、そのMSを再設計したMSの実験機だ
何故?ザフトがバロンなどの小国にMS技術を提供してまで依頼したのか?
ザフト技術陣は壁に当たっていてそこでMS開発を別の角度から開発してみようと考えた
バロンは形式上中立国、そして地球連合や他の中立国の技術を吸収している事に目を付ける
ザフトはオーブや地球連合と同じ事を行っていたのだがオーブより条件的には良好だった
バロン防衛軍はコーディネーターが多いのでオーブよりも検証速度が速くまた的確に出来た
最新MS技術は機密だから提供しなかったが技術を提供した事は後に正しさも証明されるが
そしてMS技術を提供した事自体を後悔する事にもなる
なぜならバロンが作ったMSを基本にGAT-Xシリーズの技術とザフトの最新技術で作られたのが
ザフト最強のMSと言われるZGMF-X09B・ZGMF-X10A・ZGMF-X12T・ZGMF-X13Aなのだ
そしてZGMF-X10AとZGMF-X13Aを破壊したのはアスランの戦闘記録を参考としてバロンが
独自開発したMS BMS-X7Bだった
基本的な操縦方法をレクチャーされアスランとナイトはとりあえず練習を少しだけして
外に飛び出すが二人は始めての宇宙空間で操縦間隔が掴めずMS操作に慣れないせいもあり
あらぬ方向に行ってしまいそうに成ったがグラディス少佐の機転でどうにか艦橋外部に取り付く
こうしている間にもグリスターンはユニウスセブン跡地へ向かっていた
さすがに二人とも慣れない宇宙での作業で緊張していたが少佐の適切なアドバイスにより
作業を順調に進めて行き数刻後にはナイトが分担した作業を終えて戻っていた
アスランも受け持った区域の修理が終わりグリスターンに帰還しようとした時に中佐から
連絡が有る
新たにデブリが発見されたと、そして
「アスラン君MSのビーム砲で軌道を逸らしてくれないかグリスターンのシステム連結が
完了していないらからはまだ照準が出来ないのだ、すまんが頼めるか」
アスランは少し間を置いてから
「はい」
「そうかすまないなパネルにビーム砲の射出ポイントが表示されているから受け取ってくれ
少しの間艦を視認できない距離まで離れる事になるから方位には気を付けてな」
「わかりました」
そう言ってアスランはディスプレイに表示されている箇所まで行きビーム砲を受け取ると
デブリのある方向へ移動を開始した、その様子をモニーターで見ていた中佐と少佐は思わず唸る
余りにも簡単にビーム砲を受け取りデブリへ移動して行くアスラン
慣れない筈のMSで更に初めての宇宙空間での行動、基地で訓練を積んでも簡単に出来る事では
ないのだ、それをいとも簡単にやってのける宇宙空間でのバランス間隔と距離間隔に感嘆した
「少佐、彼がザフトのMSパイロットに成れば指折りのパイロットになれるぞ」
「そうですね、本人が望むかは別としてですが」
アスランは二人が自分の事をそんな風に話してる事と知らない
デブリが小さいながらも見えてきた既にグリスターンは計器でしか存在を認識できない距離で
幸いな事にビーム砲はエネルギーパック方式でMSのエネルギーを消費しないタイプだ
アスランはデブリが至近距離に近づくまでの間、自問自答していた
何故僕はあれ程母上に誓ったのにMSなんかに乗って操縦しているのだろう、でも宇宙を一人で
居るのは気持ちがいい、何も考えなくてもいいからなのかな
母上、MSに乗ってこんな落ち着いた気持ちで居る僕は可笑しいですか、いつか母上に会えたら
叱られますね、人を殺める為に作られたMSを操縦するなんてと皆の生還が掛かってますから
少しの間だけ許して下さい
デブリがハッキリと認識できる距離に近寄りビーム砲を構える
この時にアスランは少佐に言われた事を忘れ自動照準のスイッチをオンにするのを忘れ
そしてアスランは回転するデブリの中心位置を中々つかめず更に接近してしまい照準が合い
引き金を引くとビームは狙いを外れずデブリの中心を射った、崩壊するデブリに近寄りすぎてた
アスランは飛び散る破片に巻き込まれ避けるのが精一杯、一瞬の衝撃で気を失うアスランだが
直ぐに気が付きMSの被害状況を確認するが問題ない、ただグリスターンの位置が不明となり
連絡を取ろうと通信機をオンにしたその時グリスターンからではない通信をキャッチした
「・・・・れはアークエンジェル・・シーゲル・クラインの令嬢ラクス・クラインと
バロンのシャロン・シグナス嬢を保護している」
突然飛び込んで来た通信の内容にアスランは思わず
「え」
更に耳を傾けるアスランの元へ信じられない言葉が飛び込んで来た
「・・・当艦へ攻撃が加えられた・・・責任の放棄と判断・・・処理をするつもりで・・」
「な」
茫然とするアスラン、更にMSと思われる通信も聞こえた
「救助した民間人を人質に取る、それが地球連合の正義か」
その言葉を聞いた時アスランの中で怒りが込み上げて来る
彼等は僕から母上を奪っただけでは足りないのかそしてシャルまでも奪うというのか
許さない、必ずシャルは助けてみせる
アスランはグリスターンへ連絡も入れずエネルギーやビーム砲のエネルギー残量を確認後
通信が流れてくる方位へMSを向けた
それは彼自身が持つ宿命、やはり彼は運命から逃れる事はできないのか
後に地球連合・ザフト双方から怖れられ畏敬の念を持たれるMSパイロット誕生であった