Mixingfate(交錯する運命) 作:nao_japan_fourth
クルーゼが陽動し隙を作ってもストライクのムウはキラの攻撃を見抜きすべてを躱されてしまう
コーディネーターのキラに比べればナチュラルであるムウの身体能力は当然ながら高くない
だがどんなに鋭い攻撃でも見抜かれていたら当たる訳も無く、ムウと同じ事が出来るクルーゼが
いなければキラは既に落されていたかも知れない
戦闘を開始してまだ数分しか経っていないのにキラは息を切らしていた
これには流石のキラも焦る、MS操縦に絶対の自信を持ってるキラにとっては屈辱でしか無い
何時もの様に周囲が静かになり周りが良く見えてたにもかかわらず落とせない
(いわゆる種割れ状態)
この状況になった時は負けた事が無いのにだ
それから少し時間が経った頃突然ストライクが後方へ移動して行くと言うより逃げ出した
クルーゼもキラもストライクの行動に驚いたが予定ではイザーク達が攻撃を開始した頃で
ストライクに救難通信が入りはAAを助ける為後退したのだろう
クルーゼ達は直ぐに追跡を開始するが追跡を始めて十数分後、信じられない事にイザーク達が
ボロボロの姿で現われた
「どうした、イザーク何があった」
「正体不明のMSから攻撃されました」
「お前達がそこまでやられるなんていったい何十機いた?」
「1機です」
「「1機だけ?」」
「はい」
イザークの言葉にクルーゼはもちろんキラも驚いて暫くは声が出ない
イザーク達3名は決して弱くない事を良く知るクルーゼ
この3人が1機相手にここまでボロボロにされ負けるなんて自分やキラですら無理だ
AAにまだMSが残っていたのかと想像したクルーゼはイザークに問い糾す
「連合の新型がまだ残っていたのか、そんな情報は無かったが」
だがさすがにクルーゼは冷静だった
しかしイザークから返ってきた答えは
「連合ではありませんパイロットはコーディネーター、しかも連合を憎んでいるようです」
「連合が憎い?それでどうしてお前達と戦う事になった」
「わかりません、ブリッツの機能より優れたMC機能で気が付いた時にはやられていました」
イザークはワザと焦点をぼかす様に言う理由は人質に成っている二人の為だ
あのパイロットが人質の二人を解放するまでは倒してはいけない気がしたからだが
あとはある目的の為
「あのパイロットは恐ろしく強い奴です、それこそストライクを操っているパイロットよりも」
その一言がキラのプライドを刺激した
「イザーク達が弱すぎるだけだろう、そんなに強いなら僕が倒してやるよ」
いつものなら直ぐに反発する筈のイザークは何も言い返さない
そんなイザークを気にもせずクルーゼの指示を待たずキラはイージスを加速して行く
そんなキラをクルーゼは無言で見送ったがしばらくしてイザークに声をかけた
「イザーク、おまえキラを態と挑発したな」
「隊長にはわかりましたか」
「どうしてだ」
「隊長、キラはそろそろ痛い目にあった方が良いと思います」
「キラが倒したらどうする気だ、ストライクのパイロットはどうしようも無いが実際のキラに
勝てる奴などそう多くはいないぞ」
「今のキラでは絶対に勝てません」
その言葉にクルーゼは信じられない顔をしたがいつも冷静な判断するイザークがそれほど言う
相手とはいったい
「おそらくアカデミーのビッツ教官と同じような強さです」
イザークの言葉にクルーゼは唖然とする
ザフトMSパイロット最強といわれるカルナルバ、それこそキラがいくら強いといっても
同じ機体で戦ったらまず勝てない相手がカルナルバである
「ただ」
「ただ何だ」
「MSパイロットとしての正規の訓練を受けていないと思いますから倒す手段は有ると思います」
「正規パイロットじゃないのにそんなに強いのかそいつ」
「まず間違いなく、おそらく格闘技か武術の心得がありそれもその方面では強い奴だと思ます」
「何故そう思う」
「あの馬鹿がMSのコントロールに関しては私より強い事は認めますがビッツ教官には勝てません
ビッツ教官とキラの差は何だと思いますか」
「ビッツは格闘術のエキスパートだな」
「あの馬鹿が一番苦手な格闘の分野です、私はビッツ教官に少しだけ指導してもらいました」
「そうかとりあえず俺はキラを追う、お前達は大分やられてるようだから判断は任せる」
クルーゼはイザーク達にそう告げてキラを追いかけていった
残された3人は撤退するかクルーゼ達の援護の為追うか相談する
「どうするんだよイザーク?」
「行くしかないだろう」
「どうしてですか」
「連合の本体が接近している、あのMSにはおそらくクルーゼ隊長やストライクでも苦戦する
そんな所を連合に攻撃されたら共倒れになる、見捨てるわけにも行かないだろう」
「でも、僕達には簡単な武器しか残っていませんよ」
「陽動くらい出来るさ」
「だな」
「はい」
結局、3機は遅れてAAに向けて移動を開始したのだが追いついたイザーク達が目にしたのは
信じられない光景だった
頭部と片腕を失くしたイージスと片腕を落とされたシグー、同じく片腕を落とされたストライク
3機とも武器が無くなってたがコクピット部分は無事だった
さらにAAが機関部を破壊され行動不能のまま流されている
まず到着したストライクがやられその前後にAAが逃げようとして機関部を破壊されたのだろう
次に到着したイージスと戦闘となりイージスがやられ最後がシグーの順番だろうが
あの3機相手にとんでもない奴だ両陣営を代表するパイロットを僅かな時間で叩き伏せた
しかしイザークにはあのMSの倒し方のヒントが理解りかけていた
軍人で無いからか深紅のMSは致命傷を与えてない
致命傷を与える処が判らないのなら無理だが、態とならそこを上手く利用すれば倒せるのではと
考えていた
コクピットのレーダーには月方面へ向けてボートらしきものが去って行く様子が捉えられていて
更には地球連合第八艦隊が接近する様子も捉えられている
まともな戦力が無いままでは戦えないし相手は無傷の艦隊である、勝てる理由も無いので退避を
優先し結局イージスとシグーを残りの3機で曳航する形となりヴェサリウスへ急ぐ
その最中にイザークはクルーゼに話しかけた
「隊長、あのMC機能は厄介ですね、キラの奴どころか隊長までも」
「あのMSパイロットはMC機能を使用していなかったぞ、キラと戦ってる時も使ってなかった
何か問題があったのだろう」
「使かって無い?まさか」
「キラが挑発する様な事をした見たいだな俺が着いた直後にイージスの頭部が吹き飛んだ」
「あれほど注意してやったのに挑発までするとは呆れた馬鹿だな」
二人の会話を聞いていたキラがイザークに反論するように言い返した
「目的が同じだったなんて思わなかったんだよ、第一イザーク達だって叶わなかったのだろう」
「言っただろう連合を憎んでいると俺は勝てなかったがディアッカ達は戦う前にやられたんだ
一緒にするな、どっちにしろお前は得意なMS戦で負けたのだ、上には上がいると言う事だ」
「MSの性能の差だよ同じ機体だったら僕が負けるわけが無い実力じゃないよ」
「「「・・・・・」」」
キラの反論に3人は救いようの無い奴と思った
クルーゼは流石に注意しなければ不味いと思いキラの性格を考えて外堀から埋めてゆく
「そうか同じ機体ならキラはビッツにも勝てるのだな」
「無理です、今の僕ではあの人には勝てません」
「ほう、ビッツには勝て無くてもお前は今の俺には勝てるのだな」
「いいえ勝てません」
クルーゼの詰問に近い問いにキラは正直に答えた
「だったら負けを認めろキラ、イザークの言う通りアイツの動き方はビッツと同じだった
俺もまるでビッツと戦っている様に感じた、そしてあの動き方は訓練された軍人では無い
軍人なら動き方を予測もできるが素人相手では予測も不可能だ、それでストライクの奴も
やられたのだろう、その辺りに強さの秘密があるかもしれないが順応する力は凄いぞキラと
戦ってた時より俺と戦った時の方がMSの腕が上がってた、MSパイロットとしての適正が
有るのだろうな」
「何時か戦う事になるかもしれません、作戦を考えて置かないといけませんね」
「なるべくなら戦いたく無い相手だな、そうだイザーク、歌姫はAAから脱出したようだぞ」
クルーゼの言葉に3人ともホッとしたがキラは複雑な顔をした
見捨てるつもりなど最初から無く敢えて危険な状況を作り出し姫を助けに現われる騎士の様にて
助け出すつもりだったとは言える筈も無い
作戦が成功していれば救う事が出来、そうなればラクスも自分を見直してくれる筈だと
(可哀想だがラクスは既に夢見る乙女を卒業してる、でなければキラと婚約してない筈だ)
それがストライクには勝てず、正体がわからない敵にイージスを傷つけられた
こんな敵は初めてで自分と戦っているように思えたのは不思議だ、しかも明らかに手加減された
イザーク達には強がりを言ったけど相手は自分より確かに強い
知らなかったとは言えラクス達が乗っていたと思われるボートを執拗に攻撃してしまった
ラクスはどう思っただろうか僕を許してくれるの?
時を少し戻そう
ザフトの3機が撤退して行き、所属不明のMSがAAの側に残った
とにかく味方だろうとマリューは思い通信回線を開けてMSに呼びかけたのだが
「危ない所をありがとうございます、どちらに所属しているのでしょうか宜しければ所属と姓名を
教えて貰えませんか」
「・・・」
「?」
回線は繋がっている筈なのに返事が無い
秘密部隊で正体を明かせないのかしらとマリューがそう思った時
「その戦艦の名はアークエンジェルと言いましたか」
「そうですが?」
「大天使ですか、卑劣な人間達が乗るには相応しくない名前ですね」
「な」
その言葉は電子ボイスで加工されていたが明らかに悪意を感じる
いつの間にか側に来ていたナタルが
「私はナタル・バジルール、聞き捨てならない事を言われたが所属を開示してから言うものだ
貴官の言動は軍法会議に掛けられてもしかたがない侮辱だ」
「卑劣な人間に名乗る名前は無い、僕は軍人じゃない何処にも所属などしていない」
その言葉にブリッジに居た全員が驚いた
軍人ではない人間がストライクは抑えていたけれど落とす事が出来ないほど腕が良いザフトの
パイロット達が操るMSを3対1でありながら撃退してしまったのである
「僕の要求は人質達を解放して欲しいだけだ、脱出ボートのひとつくらい有るだろう」
アスランはワザとシャルの名前を出さなかった、ここでシャルの名を出せば正体が明らかに
成るしシャル自身の身の危険が及ぶ、更にはバロンシティーも巻き込まれてしまうからだ
「あなたはテロリストね」
ナタルが声を荒げて詰問するように問う
「テロリスト?この僕が」
「当然です、民間人が軍人に武器で恐喝するテロリスト以外に考えられないでしょう」
「軍人が民間人を人質に恐喝することは良いのですか?」
「!仕方が無いでしょう我々が生き残る為です」
「あなた達にとっては民間人を無差別に殺す事も生きる為には仕方が無いのか」
「我々を侮辱する気、我々がそんな事する筈が無い」
ナタルの頭の中にユニウスセブンの事が掠めたがその言葉を肯定する訳には行かないのだ
「巫山戯るなお前達はそう言ってユニウスセブンを正当化する気か?そうなら破壊しても文句を
言えない筈だこの戦艦を操る人間は邪悪な連中だ、将来の為生きる為にはしょうがない自分達が
助かる為なら無関係の民間人も人質にするような最低の人間達だからな」
その言葉はブリッジに居た人間にとって痛いところを付いていた
「そんな事許される筈が無いでしょう、この船にはヘリオポリスの民間人が多く乗っているのよ
巻き込む気」
「ユニウスセブンよりましだ、そしてこの船は軍艦だ」
「それでも許されない事だわ、民間人が乗っている事を知っていて攻撃するなんて」
「よくもそんな偽善を言えるなお前達、民間人しかいなかったユニウスセブンを攻撃したのは誰だ
母上はユニウスセブンいたんだ、何の罪もない母上の命を奪った奴らの仲間だろうお前達は」
パイロットの言葉に皆黙った
このパイロットはユニウスセブンの遺族で有りいきなり攻撃されなかっただけでもましだ
そして説得は絶対に無理と悟る
「一回だけしか言わないからな、脱出ボートを用意し人質達を乗せて出せ、時間は30分以内だ
それ以上掛かったら船を破壊する以降通信しても無駄だ通信回線は切る、僕は卑怯者の貴方達と
違う約束を守れば攻撃はしない、以上だ」
「待って」
マリューが話しかけようとした時にはすでに回線は切れていた
余りにも条件が悪すぎた
ストライクは誘い出されているしこの艦には既にMSが残っていない、戦闘機を出しても
MSが相手ではすぐ落とされてしまうだろう
ユニウスセブンの遺族では交渉など出来る筈もない怪しい素振りを見せれば即座に攻撃してくる
「仕方が無いわね、ナタルはあの二人をデッキにチャンドラは捕虜にした兵士をデッキへ
捕虜にボートを操作してもらうわマードックはボートの用意を急いで準備をして頂戴」
マリューの言葉にナタルが
「いけません艦長、彼等は大事な」
「大事な何?人質それともゲスト?どっちなのかしら、それともあのパイロットが言う通り
私達は最低の人間なの?」
「・・・」
「軍人ならこの艦を拿捕すれば良いのにしないのは彼が民間人だからよ、だから逆に怒りを
制御できない、今は理性で抑えているけど彼にとって私達は仇の仲間なのよ、余り時間が掛れば
本気で船を落とす気だわ必要以上に会話をしないのは躊躇いを無くす為ね、時間ギリギリまで
使って駄目なら開放、それまでにストライクが戻ってこれば彼に任せて逃げるそれでは駄目?」
マリューの提案にナタルも納得するしかなかった
「了解しました」
ナタル達がブリッジから出て行った後、マリューは呟いた
「仕方が無い事か、艦長なんて引き受けるのじゃなかった」
「艦長、何か言いました?」
「なんでもないわ」
突然、士官服を着た女性と男の兵士に連れ出されラクスとシャロンは緊張したが
連れて行かれた先はフライトデッキそしてボートの中に入るように言われる
「どうしたのでしょう、開放してくださるのかしら」
「そう見たいですね、気が変ったのかな」
二人は状況の変化に付いて行け無かったが直ぐに他の人が入って来た
入って来たのはラクスに罵声を浴びせたナチュラルの女の子が青年を支えるようにしていた
もう一人はその時止めてくれた女の子で一緒に入ってきた青年をラクスは見て驚き
そして青年も驚く
「ラクスが何でここにいる?」
「ラスティー様もどうしてここに、そのお二人は?」
医務室に拘禁されていたラスティーはラクスが乗っていた事を知らなかったのだ
同じようにゲストルームで軟禁されていたラクスもラスティーの事は知らされていない
「このお二人さんはこの艦に乗っているのがもう嫌になったんだと」
「「・・・」」
フレイとミリアリアは無言だったが頷く
二人を見たラクスは始めの頃より刺々しさが無くなって何かが変わった感じがした
ラスティーの言葉に目が覚めたのだろうか?理由はそれだけではなかった
開放すると言って来た連合軍兵士が悪態を付きながら今の状況を説明したのだが余りに身勝手な
やり方にフレイとミリアリアは反発してこの艦を離れる事にしたのだ
(チャンドラではなく別の士官、チャンドラだったらもう少し温和に話をしていただろう)
ラスティーには急いでやる事がある、脱出ボートはその機能上中から閉めれば本格的な設備が
無ければ外から開ける事ができない、艦の連中の気が変わらない内に中からドアをロックしたが
この行動が結局彼等を助ける事になる何故なら艦が急に動き出したからだ
窓から外を覗くといつの間にかストライクが戻って来て正体不明のMSと戦っていた
アスランにMSがいきなり襲い掛かってきた、タイプとしては先ほどのザフトの3機に似てたが
明らかにパイロットはナチュラルに思える、
戦闘等はやりたくは無いけど仕方ないシャルを助ける為、あのザフト兵との約束だ歌姫も助ける
その時視界の片隅でAAが動き出すのが見えた
逃げる気か?
シャルを助けるまでは絶対に逃さない
ビーム砲を撃ちAAの機関部らしき所を破壊するがビーム砲エネルギーが切れてしまう
ついでに連動していたMCのエネルギーも切れた
素人の僕じゃ無理なのかMSに攻撃が当たらない
やがてまるで誰かが僕を導いてくれるように周囲がクリアーになり相手の動き方が判る様になる
マイさんが言っていた無心になれば見えないものも見えるようになる、これがそうなのか?
攻撃してきたMSの動き方がまるで子供のように見え、そして僕は剣を持つ方を切り落とした
ストライクの腕の部分が落とされた時にAAのブリッジでは皆が恐怖を感じた
ザフト兵が4機がかりでも傷つける事すら出来なかったフラガ大尉のストライクの片腕を
簡単に切り落とした正体不明のMS、この結果を見ればマリューの判断は正しい事になる
あのMSが本気で攻撃してきたらAAは5分も持たない、マリューは急いで脱出ボートを切り
離すように命じたが直後のAAに今一度の危機が訪れたザフトのイージスが攻撃してきたのだ
戦場に到着したキラはAAの破壊された所を見て最悪の誤解をする
正体不明のMSがAAを行動不能に陥いれ乗組員達はボートで脱出し当然人質のラクス達は
処刑されたかAAに残されたかのどちらかと判断した
まだ距離があったがビームライフルをボートに向けて撃つ
撃たれた事に気が付いたのはボートの操縦桿を握っていたラスティーである
「キラの馬鹿野郎、何を勘違いしている」
完全に回復したわけではないがそこはラスティーだ初弾は何とか交わしたのだがイージスは
ボートへ向け再びビームライフルを撃つ
機動性の劣るボートでは今度こそ駄目だとラスティーは思った
「誰だ状況判断もまともに出来ないキラのバカに赤なんか与えた奴は畜生恨んでやる」
ラスティーの叫びにラクスは振り返った、キラは独善的な所があっても実力でザフトの赤を
着ていると思っていたが幼い頃からラスティーの事を良く知っていて嫌っている人でも貶める
事を決して言う人では無いラスティーだ
その言葉はやがてラクスのキラに対する不信に繋がってゆく事になる
ビームは脱出ボートに直撃寸前に目前で拡散した
深紅のMSが自身のビーム砲を直撃コースの間に投げ付けビームはビーム砲に当たって拡散
ボートを助けたその行為を敵対行為と捉えたキラの逆上を誘った既に何時も以上に戦闘態勢が
出来ていた(種割れの事)
イージスの行動が理解できなく途惑うがビームライフルをボートへ向けて撃った事に怒った
《折角、助けようとしているのに何だこのバカは》
目的は同じなのに誤解が生んだばかばかしい状況、この時軍人だったら通信回線を開くと言う
選択肢が浮かぶのだが素人のアスランにそこまで求めるのは酷だろう(そんな時間も無いが)
キラは本当に強い、確かに特殊な力や特技を持つクルーゼやカルナルバ・ビッツには勝てないが
純粋にMS戦闘だけを考えればザフト軍パイロットの中では5本指に入るそれほど強いのだ
それでもアスランの動きが読めず更には敵の感覚に途惑ってしう
まるで自分と戦っているような奇妙な感覚、アスランはそんな事を判らず自由に攻撃した
そしてアスランは怒りに任せてイージスの頭部とビームライフルを持つ腕を切り落とす
それを見て驚いたのは二人、脱出ボートのラスティーと直前に戦場へ到着したクルーゼである
ラスティーはキラを赤と認めていないがMS戦や関係能力は赤以上の力が有ると思っていた
そのキラがアッサリと返り討ちだ、クルーゼもキラのMS戦能力自体に問題は無いと思ってた
ラスティー同様に驚くが敵のMSは再びイージスに向けて剣を振り上げ攻撃態勢に入った
(余程アスランはアタマにきたのだろう)
クルーゼはイージスを放って置くわけにも行かず牽制の為にビームを撃つが簡単に躱される
今の攻撃が敵対行動として認知されたようでクルーゼをも攻撃してきた何時ものように攻撃を
交わそうとするが予測不能の動きの為ストライクと同じ様にライフルを持つ腕を切り落とされ
更には剣をも切り裂かれる
ようやく落ち着いたアスランは脱出ボートに近寄りコクピットの窓から乗ってる人間を確認する
間違いなくシャルが居た、シャルの隣にはピンク色の髪をした女の子がいる
写真でシャルと一緒に写ってたプラントの歌姫だ、後はナチュラルらしい女の子が二人
なんでナチュラルが二人も?
そしてザフト兵らしき青年が一人いる負傷して捕虜になってたのだろう
僕は彼等と違う、とりあえずAAは約束は守ったわけだからAAは見逃そう
アスランは実際どうしようか迷った
ナチュラルの2人は計算外だがどうにかなる、問題はザフト兵と歌姫の存在だ
二人をグリスターンに連れて行けばバロンの人間とわかってしまう
そうかと言って助けた二人を置き去りにする訳にもいかない
アスランにはザフトと戦った為ザフトへ引き渡すという選択肢が頭に浮かばなかったのだ
イザーク達が居ればまだ何とかなったかも知れないが残念ながら彼等はまだ到着していない
やがて警戒レーダーが多数の移動物体を確認する
弾き出されたデータは地球連合艦隊と接近するMSが3機
アスランに迷っている暇はなく脱出ボートの後部に取り付き最大出力でボートを押しながら
宙域を離れる
その後、ザフトの哨戒部隊と遭遇し攻撃されたので全力でその場を逃げ出した
この宙域に第八艦隊が到達
地上降下が出来るAAだがある部分を致命的に傷つけてた、謎のMSの攻撃は機関部だけで無く
耐圧隔壁ブロックをも貫通していたからだ修理にはモルゲンレーテ社のドックか月の宇宙艦隊
基地でないと出来ないのでそのまま第八艦隊に収容された
ヘリオポリス崩壊の時ドックも壊れたので後は月基地へ向かうしか手段がなかった
月基地でヘリオポリスの民間人を解放後、AAは乗員の補充を済ませ第八艦隊に編入され
ストライクの技術資料は地球に送られた
余談であるがマリュー・ラミアスは自分が行った事を恥じて艦長職を別人に譲り、軍を退役し
祖国に帰ったが何者かに誘拐されて行方不明となる
戦争が終結してからある犯罪組織が摘発されたがその下部組織の売春組織で娼婦となってた
マリュー・ラミアスが発見され彼女はその後薬物中毒により死亡した
ナタル・バジールもやはり退役していた
謎のパイロットの言葉がやはり心に残っていたのだろうか軍人としてやってはいけない事を
恥じたのかマリューと同じように軍を退役したが祖国に帰らず月の独立都市バロンに移住する
後にどういう経過を辿ってそうなったのか判らないがナタルはバロン軍准将の妻となり
二人の子供を儲けている
その頃マイスとグラディスは焦っていた
デブリの軌道を逸らすために頼んだのだアスランが戻らないのだ
ビーム砲の出力レベルを間違えたのかデブリは吹き飛んだ事は確認できたのでデブリの爆発に
巻き込まれたのかも知れない、タイミングが悪い事にナイトファルトは薬を飲んで寝てしまった
グラディスが捜索に出ても良いのだがそれをやるとグリスターンの指揮系統に穴が開いてしまう
士官の数が極端に足りない現在のグリスターンではそれが出来ない
しかもアスランが何時戻って来るかも知れないからこの宙域から動く事も出来ない
地球連合軍とザフト双方の通信量が増えていると本国から連絡が来ていた
いきなり攻撃される事は無いだろうが不味い時期だ、アスランが行方を絶ってから
かなりの時間が経っている、やはり素人をMSに乗せたのが不味かったのか
艦長室で二人は今後どうするか悩んでいた時にブリッジから連絡が来た
Pi、Pi、Pi
「艦長代理、かなり遠距離と思われますがBWMS-RS07からの通信を受信しました
いかがしますか?」
「そうか無事だったか、それは良かった。・・会話が出来るようなら艦長室へ回線を廻してくれ」
だがマイスは何か嫌な予感がした
「それから回線は非公開で頼む、聞く権限は私とグラディス少佐のみとする」
「はい了解しました」
マイスの言葉にグラディスは首をひねる
「中佐、どうして非公開に?」
「何か嫌な予感がする」
そしてマイスの予感は的中した
会話が出来るようになるとアスランはとんでもない事を言ってきた、地球連合軍が民間人を
人質に取りザフトを脅したので救出しようとして地球連合軍と戦闘となり敵MSを一部破壊
更に軍艦も一部破壊したと言うのだおまけに誤解したザフト軍と戦闘になり撃退したと
さすがに最初は二人とも信じなかった
当たり前だ、初めて乗ったMSで素人がザフト兵相手に戦闘を行い撃退したなどと
信じる指揮官が何処にいる、これが地球連合軍相手だけならまだ信じる事も出来るのだが
ザフト兵を相手に素人が勝つなど不可能に近い
(ザフトレッド4人と白服の指揮官クルーゼ、地球連合のエース、エンデュミオンの鷹を倒しとは
誰も信じないだろう)
しかも捕虜や人質になってた人間と民間人2名を乗せたボートを連れていて如何すれば良いか
尋ねてきた時には信じるしかなかった、それも人質になっていたのは月の姫とプラントの歌姫だ
その事を聞いた時、二人は卒倒しそうになった
プラントの歌姫はバロンシティーでも顔を知らない人間が少ないほど有名で嘘の吐きようが無い
また本当だと余計な問題が生じてしまう、バロンシティーは表面上今度の戦争には中立の立場だ
成り行きといえ両陣営の軍艦やMSを攻撃したのがバロンのMSという事実をザフト兵や歌姫を
通じてプラントに知られる訳には行かない、ザフト兵に死者は取り敢えずいないみたいだから
ザフトには言い訳が出来るのだがアスランもその事を悩んで到着以前に連絡を寄こしたのだろう
アスランはまだボートの人間と会話をしていないそうだから彼の正体はばれていない
さすがにマイスもこの状況に追い込んだアスランを少し恨みたくなった
更に話を総合すると慰霊団は二人を除いて全滅したか捕虜になったかのどちらかだ
この艦に乗り組んでいる残りの慰霊団になんて説明するのかそれに慰霊団には
バロンシティーの上層部や軍関係者が乗り込んでいたもし彼等が死亡していればどう考えても
地球連合と当然断絶状態に成るもちろん非難されるべきは地球連合軍だが抗議をしようとすれば
その情報源を聞かれる、もっとも先に手を出したのは地球連合軍だから言い訳はできる
しかも慰霊団を攻撃するなんて彼等は決してやってはいけない事をしたのだから
とりあえずマイスとグラディスは傭兵時代に作られた軍の秘密基地が近くにある事を思い出して
そこへ行けと指示、グリスターンもそこへ向かう事にした
バロンシティー防衛軍の秘密基地
外観は廃棄されたように見せかけた小型のコロニーと言うより宇宙ステーションと呼ぶべきか
アスランが指定された信号を送ると偽装された入り口部分が開き、内部が見える戦艦が
5~6隻入るくらいの大きさのドックがあり、アスランはボートをドックの奥に押し込んだ
まったく事情がわからずラスティーはどうすれば良いのか困ってしまったが
現在このボートに居る5人の中では戦闘が出来るのは負傷している自分しかいないのだ
他の4人を守る為ラスティーは警戒を強めていた
外部に空気が供されて呼吸可能状態なるとMSからパイロットが降りてきてボートの前に来て
呼びかけて来た
「開けてくれないか」
意外に若い声だった
その声に月の姫が驚いて顔を上げる
ラスティーは慎重にドアの側によりドアを開け取り敢えずこのパイロットを抑えてしまおうと
攻撃を仕掛けたのだがアッサリと交わされ逆に押さえ込まれてしまう
「ザフトの皆さんはどうしてそんなに好戦的なのですか?あのMSといい、あなたといい」
パイロットスーツのフェイスを外そうとしたがそのパイロットに月の姫が抱きついた
「アスラン兄様、ヤッパリお兄様だ、ヤッパリ助けに来てくれた。来てくれると信じていた」
「こらこら、シャル」
「ム、失礼ね、チョッとくらい良いじゃない」
「本当にチョッとか?・・・それどころじゃないんだシャル少し離れてくれないか」
「ん~仕方が無い。マイさんがいない数少ないチャンスなのに」
抱きついていたシャルは離れたがシャルはアスランの片腕を取っている
そしてアスランはフェイスを外した
現われたのはまだ少年らしさの面影が少し残る青年
濃い藍色の髪に翡翠色の瞳が印象的な青年だった
その青年の姿を見た3人+押さえつけられてる1名(ラスティーのこと)
フレイとミリアリアは何故か頬が赤くなっていた
ラクスは視線を青年の目から外せない、翡翠色の瞳になぜか惹き込まれて行く事を感じていた
始めてあった筈なのに以前から知っているような不思議な感覚
そんなラクスをラスティーは青年に抑えられながらもラクスを不思議そうに見ていた
アスランは直ぐにラスティーを開放してから改めて名を告げた
「始めまして僕の名はアスランと言います、シャロンがお世話になりました」
挨拶の言葉を告げて顔を上げたアスランの視線がラクスの視線と重なった時
《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・めまして、アスラン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・の子供は紫になるのでしょ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・のですかザフトのアスラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・》
突然、アスランは見た事も聞いた事も無いビジョンと会話がまるでフラッシュバックの様に
頭に浮かび消えて立ち尽くす
《何だ今のは・・・幻聴?、それほど僕は疲れているのか・・・・・・・・・・》
ふと歌姫の近くに居た少女が目に入った
その少女は何かに怯えてるような今にも消えてしまいそうな感じがする
少女に声を掛けようとしたがアスランは意識を失い倒れた
あとがき
アスランはフレイ、ラクスと出会いましたがこれからどうなって行くのでしょうか