Mixingfate(交錯する運命)   作:nao_japan_fourth

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Mixingfate 第05話

 プラント国防委員会、パトリック・ザラ委員執務室

 パトリック・ザラはクルーゼと連絡を取っていた

「わかった歌姫は取り敢えず連合から逃れたのだな」

「・・・」

「それで何者か見当が付かないのか」

「・・・」

「エザリアの息子が・・・そうか」

「・・・」

「それから今回の件に関して査問委員会が開かれる事になった至急本国へ戻るように」

「・・・」

「いや、国防部会ではない。ザフトの査問委員会だ」

「・・・」

「わかっている君達の責任を追及する為ではない。その謎のMSと行動、能力について調査する為

 だから全員出席するように」

「・・・」

「クルーゼ、気を付けて戻れよ、連合の艦隊がその宙域に出没しているらしいからな」

「・・・」

 

 そこで回線は途切れた

 パトリック・ザラは少しの沈黙の後、後ろを振り返り窓際の席に座っていた男に話しかけた

「クライン議長、ラクス嬢はどうやら連合の手からは逃れたようです」

「そうかありがとうパトリック。いつも君には迷惑をかけてしまうな」

「議長、・・・・シーゲル、私は当たり前の事をしただけだ。今回の事は民間の慰霊団でも

 護衛を付けなかったザフトのミスそれにラクス嬢はまだ行方不明だ」

「ラクスの事は仕方がないとまだ諦める事もできるが問題はバロンの月の姫だ、友好と親善だった

 慰霊団への参加が・・・仔細な情報はまだ入ってこないが慰霊団の何人が無事でいられるか

 最悪のケースも考えなければ、もし月の姫に何かあったら重要な中立国を失う事になるかも

 しれない」

「シーゲル、バロンの月の姫もおそらくラクス嬢と一緒にいる筈だ。エザリアの息子が問題の

 MSパイロットと話をしたようでラクス嬢の事を頼んだらしい、所属不明のパイロットの目的は

 確認できたわけではないが月の姫を救出する事だったらしい」

「所属不明のMSはバロンの関係者が操縦している事になるな、それなら月の姫も無事だが

 それはそれで不味い事になりそうだ」

「バロンの関係者と決まったわけではないが目的が同じだった者を勘違いで攻撃したらしいのだが

 もしもバロンのMSだったらバロンに高性能のMSを作る技術があったと言う事になる」

 現在の戦闘はMSの優劣で決まってしまう事が多くクルーゼ隊が使用しているMSも元は

 オーブが開発したMSである、バロンは中立国と言えど開発されたMSが強力すぎるのは

 プラントの為にはならないのだ

 だが二人はザフトの開発陣がバロンと共同でMS開発を進めていた事をまだ知らなかった

 

「パトリックこんな時に話す事ではないとは分かっているがラクスが無事ならあの二人の事だが

 そろそろ次の段階に進めてはどうかと思うのだ」

「次の段階とは結婚と言う事か?私は早すぎると思うぞキラもラクス嬢もまだ何か足りない

 気がする」

「何が足りないと言うのだ、二人ともあと一押ししてやる人間がいないだけだと思うが」

「シーゲル、お前は身内のことになると目が曇る。」

「どういう意味かな」

「ラクス嬢は迷っているキラの事を嫌っている訳ではなさそうだが只の結婚相手としか思ってない

 私にはそれだけの様な気がするのだ、ただ結婚すれば良い訳ではないだろう」

「理由は」

「それを聞く所を見るとお前だって気が付いているのではないのか」

「ラクスは優しい子だ私の立場を思って婚約の話を受けてくれた、確かにラクスはキラ君の事を

 決められた婚約者としか見ていないが何があってもキラ君と結婚するそれは間違いない」

「シーゲル、私とレノアが上手くやれて居た頃、時折レノアと二人でラクス嬢と遊んだ事がある

 その頃ラクス嬢が良く話してくれたよ、私の望みはレノア様の様な素敵なお母様になりたいとな

 キラとラクス嬢の間に子供が出来ない事を婚姻統制局の検査結果でお前も知っているだろう」

「ラクスはその事も承知の上でキラ君と婚約した、今さら不平を言うような娘ではないぞ

 プラントでは子供のいない夫婦など沢山いるだろう」

「我々から見ればラクス嬢はまだ子供だぞ、理性で理解できても感情は別物だろう」

「それでは何故キラ君を婚約者に推薦したのだ、推薦したのはパトリックだろうが」

「キラにはプラントに柵が無いからな万が一二人が不和になっても何とかなる、エザリアや

 タッドの子供でも良かったがあの二人の子供だと困る事になる」

 その時、パトリックの秘書官が飲み物を持って来たので話は中断した

 コーヒーを置いて秘書官は退室して行った

 シゲール・クラインはコーヒーを飲んでから再び話し出した

「パトリック、本音を言うと私はアスラン君をラクスの結婚相手に期待していたのだぞ

 アスラン君とラクスを婚約者にしようとエザリアやタッドに推薦された時は内心喜んだ本当だ

 だからお前の方から断られた時は半分本気で怒った、コーディネーター同士の中で二人は

 最高の組み合わせと言う検査結果の報告を婚姻統制局から聞いた時は本当に悔しかった

 私も父親だからなラクスが孫を産んでくれる事を期待していたのだレノアもラクスの事を

 可愛がってくれていたのになんで反対したのか」

 流石に話がレノアの事になるとパトリックも複雑な表情を見せた

「今だから言うがレノアもラクス嬢とアスランの婚約自体は反対ではなく最初は乗り気だった」

 パトリックが意外な事を言うのでシーゲルも驚いた

「どう言う事だパトリック?お前達が離婚したのは子供達の婚約話が原因ではないのか」

「レノアから俺に政治家を止めるようにと何度も言われてた、アスランを政治家や軍人にしたく

 無いからラクス嬢との婚約話が持ち上がった理由が強硬派と穏健派の対立を緩和する為と

 知った時、俺がそれを利用して政治的地位の向上を考えたと思ったのだ、確かにそう言う考えが

 有ったのも事実だが私に私欲は無かったレノアも理解していた筈だが納得しなかった

 政治家を止めてくれと何度も言われたよ、それからはシーゲルも知っている通りだ」

「そうだったのか始めて聞いた。そのレノアも亡くなってもう3年か」

 二人は、元気だった頃のレノアを思い出していた

「婚約の話を潰してくれた事、今ではレノアに感謝している」

「どう言う意味だ」

「アスランとラクス嬢が婚約又は結婚していれば必然的に私の地位は上がっただろうしそして

 レノアを失えば憎しみで暴走していた筈だ」

「それが何度も国防委員会委員長就任を辞退している理由かパトリック」

「今でも地球連合に対する憎しみは消えてないからな、冷静に連合を見る事が出来るまでは自分を

 信用できない、だから今の地位より上になる心算は無い」

「強硬派はエザリアを中心に勢力を拡大している次の改選では強硬派が逆転するかもしれない

 それを抑える事が出来るのはパトリック、お前しかいない」

「大丈夫だあの二人は俺たちと同じだ。無謀な事はしない筈だ」

 プラント独立の為に戦った仲間の顔が浮かんだ

「アスラン君も今ではもう16歳か大きくなったろうな」

「・・・」

「何故レノアが亡くなった時に引き取らなかったのだ?」

「遠まわしに関係者に頼んでアスランに聞いてみたが断ってきた、今はどんな生活をしているかも

 知らんよ、アスランの事は忘れる事にした」

「それはアスラン君を政治家や軍人にしたくないと言ったレノアの意思を尊重しての事か」

「そうだ」

 それだけでは無くパトリックはレノアに似ているアスランを見たくなかったと言うのが

 本音だとシーゲルには判っていた

「先日バロンアカデミーの代表が来た時に会談する機会があってな偶然だがアスラン君の話が出た

 最初はアスラン君と同じ名前の子だと思ったが苗字まで同じだから判ったのだが

 パトリックよアスラン君は今度特進でアカデミーに入学するらしい、代表に名を覚えられる程

 アスラン君は優秀らしいな」

「そうか」

 パトリックがそう答えてから二人は沈黙。やがてシーゲルは部屋を出て行く

「今更どんな顔をしてアスランに逢えと言うのだ、逢えるわけが無いだろう」

 そう呟いてパトリックも部屋を出た

 

 アスランが目覚めた時、自分が何故病室で寝ているのかわからなかった

 何処からか歌声が聞こえてくる、妙に懐かしさを感じる歌声だ

 起き上がり周りを見るとベッドの脇でシャルが椅子に座りアスランもたれ掛けながら眠っている

 シャルが看病していてくれていたようだ

 慣れない戦闘行為などしたからどうやら疲れで倒れた見たいだな

 それに興奮もしていたみたいでシャルの無事を確認したら気が抜けたのかも知れない

 ふと思い出したのはプラントの歌姫と視線があった時の妙なビジョン

 あれは何だったのだろうか意識を失う前に見たものはただの幻覚だったのか

 そして最後に見たのは燃えるような髪をした女の子の碧眼の瞳だ意志が強そうに見えても

 今にも消えてしまいそうな儚い瞳だった、その儚さに声を掛けようとしてからの記憶が無い

 その時、病室のドアを叩く音がして二人の女の子が入って来た

 プラントの歌姫と先ほど考えていた女の子だ

「シャロンさん、時間ですよ」

 歌姫が起こそうと近寄ってきたので

「そのまま寝かせてやってくれませんか、シャルも疲れているようですので」

 口に人差し指で静かにと合図してから

 シャルを起こさないようにそっとベッドから離れた

「大丈夫ですか、アスラン様」

 歌姫は僕を心配してくれているようだ

「あ、心配をおかけしました」

 そして視線が合った

 《・・・ラン、お友達と話し・・・》

 まただ、また話した事のない会話が頭の中に浮かびそして再び頭痛がしてきた

「シャルを頼みます」

 アスランは歌姫にそう告げて病室から逃げるように出る

 歌姫は病室に残ったがもう一人の女の子が一緒に着いて来た

「大丈夫なの?まだ顔色が悪いわよ」

「ありがとう僕は大丈夫、少し疲れただけのようだから」

「そうよかったわ、あの子心配して二日も寝ていないの」

「え、僕は二日も寝ていたの」

「いいえ今日で五日目よ、あの子はよほど心配らしくてすぐに病室に来てしまうの

 始めは薬で眠らさせていたのよ、だから交代で見る事にしたの」

「そうか皆には迷惑かけてしまったな、君にも、え~と君の名前は?」

「そうだったわね、私はフレイ、フレイ・アルスター」

「こんな時に変だけど、似合っている名前だね」

「あら、意外とプレイボーイさんだったのね」

「ち、違うよ、意識を失う前に君の瞳を見た、意志が強そうなのにとても儚く感じたんだ」

 アスランは無意識に女の子の心をくすぐってしまう事が良くあり

 しかもアスランの容姿は好みの差はあるだろうけど女の子にとって標準以上でフレイにとっては

 最良の好みに近かい容姿であった

 言われたフレイは自分の顔が赤くなるのを感じていたが何とか押さえ込むのに成功した

 ヘリオポリスで多くの男性達に声を掛けられた経験が豊富でプレイガールとも言われてるフレイ

 アスランには自分の事がそう見えたと思った

(もっとも経験が豊富と言っても実はフレイが男と付き合った事は無く噂が先行してるだけだ

 プライドが高かった所為もあるがそれ以前にフレイの心を揺り動かす男がいなかったのだ

 親からの強制で婚約者となったサイともデート等した事が無い)

 たぶん自分をその様に見てくる男の人は初めて、いままでその様な事は言われた事が無い

 男達は自分の容姿しか見てくれない、婚約者のサイもやはり表面の私しか見ていない

 月の姫からこの青年の母親の事を聞いた、それこそ青年の母親はプラントと地球連合の戦争に

 全く関係ないはずの人だったのにユニウスセブンで亡くなったらしい

 でもアスランと言う青年からはナチュラルに対する憎しみはあまり感じられない

 私を見る目はただの女の子に対する目、何故だろう私達が憎い筈なのに

 ユニウスセブン攻撃を指示した人の中には父が居た、そして自分は何も知らなかった

 父が死んだのだから私には勿論ザフトに対して憎しみがあるけれどザフト=全て悪い人達では

 無い事も知った

 だから本当に悪いのは誰?地球連合とプラントのどちらが悪いのかと言うのは無意味な事で

 今は戦争の起きた理由を知るべきだと思っている

 

 アスランは目的があった分けでは無く行く宛もないまま無言で歩いていた

 何故か歌姫の近くに居ると頭が痛くなるから、ただ歌姫の側に居たくなかっただけだ

「何処へ行くの?」

「いや、どこと言うか何処へ行けばいいのかわからない、それにここは何処?」

「酷い、知らないで歩き回っていたの?私だってここを知らないのに迷子になったの?」

「ごめん僕は軍人じゃないからここの構造がわからない、本当に迷子になった見たいだ」

 フレイはさすがに心細くなったからか前を行くアスランの左腕に右腕を絡めた

 一瞬、アスランは途惑った顔をしたがそのままにして歩き続けやがて二人は広い場所に出た

 人がたくさん集まっていたので現在位置を聞こうとして声を掛けた

 振り返ったのは二人

 一人はナイト、もう一人は捕虜になっていたザフト兵だったがナイトの様子が少しおかしい

 いつもは陽気なのに暗い感じがした

「ナイトどうかしたのか」

 ナイトは、フレイを少し睨んだが頭を振ってから話し出した

「あなたに罪は無いのにごめんねお嬢さん、アスランもう大丈夫なのか」

「ああ大丈夫だけど、どうした何があったのかナイトらしくないな」

 横からザフト兵が声を出した

「当たり前だろう、父親が死んだんだ平静でいられるはずが無いだろう」

「叔父さんが、・・・・ぁ」

「気が付いたか、ラクス達が乗っていた慰霊団の事をプラント政府が発表を先程した生存者は

 二人を除けば誰もいないもっとも二人とも行方不明の扱いだが」

「なんで、二人ともここに無事で居るじゃないか」

「そんな事公表できる訳が無いだろう、連合は事故を連合の所為にしていると非難しているのだ

 慰霊団を攻撃したのは誤解にしろ事実、この事を連合の市民達が知ればどう思う

 証人の二人が居ると知れば問答無用で消しにかかるに決まってるそんな事になったら

 バロンも巻き込まれるだろう」

「じゃあ君達はプラントに戻れないのか」

「俺はおそらく死亡扱いだから仕方が無いがラクスはプラントに月の姫はバロンに暫らくは

 戻れない」

「僕が悪かったのか、僕の所為なのか」

 黙っていたナイトが首を振りながら

「違う、アスランが二人を助けなければ事実は闇に葬り去られていた

 おかげで親父の事もわかった」

 その時、フレイがアスランの腕を強く抱いた

 アスランがフレイを見ると泣きそうな顔をしていた

「ご免なさい」

 以前のフレイからは信じられないくらい素直に謝った

 だがナイトから返ってきたのは

「君の所為ではないよ、立場が逆だったらザフトだって同じ事をするだろう」

「ちょっとまてナイト、ザフトはそんな事は絶対しない」

「そうじゃない後始末の事だよ、俺だってザフトが慰霊の為の人達を攻撃するなんて

 思った事は無いさ」

「そうか、そうなら良いが」

「それでは彼女達は?フレイやもう一人の女の子の事はどうする気なのかな」

 アスランが質問したが、答えが返ってきたのは前の二人ではなく後ろからだった

「二人には悪いが歌姫と同じ、ついでに言えば月の姫もな」 

 振り返ったアスランが見たのは憔悴した顔のグラディスだった

 その後ろにはマイスもいた

「グラディス少佐、どうしてですか彼女達こそ関係ないでしょう」

「彼女達には悪いが立場は同じだ、歌姫と月姫の二人と彼女達が一緒に出た事は当然連合も

 知っている、彼女達の居所が知られたら同じ結果になる、その方が二人の為にも良いし

 了解もすでに取ってある」

 フレイの顔を見るとアスランに向けて頷いてみせる

「私達はあの船から3人の方々のあとを勝手に付いて来ました、私もミリー、

 いえミリアリアもその事に後悔はしていません、私たちの事で迷惑は掛けたくは有りません」

「そう言うことだ、それにしても歩き回って良いのかアスラン、突然倒れたとラスティー君から

 聞いた時は心配したぞ」

「ラスティー?誰の事ですか」

「挨拶もまだったな、俺の事だよろしくなアスラン」

 ザフト兵が名乗り出た

「あ、よろしくアスラン・リヒターです」

「それは聞いたよ初めてあった時にな、それにしても君は強いな負傷していたとしても簡単に

 俺の事を押さえ込むのだから」

「少しは格闘技をやっているから」

「そうは言ってもな例え怪我をしていても軍人でザフトレッドの俺が何も出来なかったからなぁ」

「「「 え 」」」

 ラスティーの言葉にアスランとフレイを除く3人も驚いた

「どうしたの皆さんザフトレッドがそれほど珍しい?中佐も少佐も赤だったと聞きましたが」

「そうじゃない、そう言えばまだ正式な所属と名前を聞いていなかったなラスティー君

 軍機なのは分かるが教えてもらえないか」

 ラスティーは迷った、確かに彼等は中立国の人間で待遇も悪くはない

 そしてザフト以上に自由な雰囲気がラスティーには合う

 結局、スッカリなじんでしまっていた楽天的なラスティーは正直に答えた

(勿論、軍機に触れないよう)

「ラスティー・マッケンジー、第xxx期ザフトアカデミー卒業順位は4位のザフトレッド

 クルーゼ隊に配属しヘリオポリス奇襲作戦にて死亡と判定されていると思う、多分」

 ラスティーの答えにやはり黙ってしまった3人、意味がわからないのは

 アスランとフレイの二人だけ

「アスランが退けたのは俺の仲間だしかも簡単に倒したじゃないかそれほど驚く事はないでしょう

 MSで戦闘操縦したのは初めてだったのだろうアスラン、ザフト最強部隊と言われていたのに

 素人に簡単にやられるとは情けないなぁ」

 ラスティーの言葉にさらに驚いたのはマイスとグラディス

「ちょっとまてラスティー君、クルーゼ隊のザフトレッドを4人も本当にアスランは退けたのか」

「ザフトレッドは4人だけどクルーゼ隊長まで倒したんですよアスランはね

 それだけじゃないです連合のパイロットは多分エースクラスのパイロットだと思いますよ」

 マイスとグラディスは今度こそ気を失うかと思った

 今のが事実だとすれば、ザフトと簡単に接触も出来ないザフトのクルーゼ隊は

 ザフト出身者の多いバロン防衛軍にもその存在が鳴り響いている、彼等にも面子がある筈だから

 下手に接触したら今度こそ倒そうとしてくるのは間違いない

 (そんな事は無かったのだがマイス中佐も混乱して判断を誤った。無理も無いけど)

 そしてバロン本国に帰国もできない現状

 本国経由で歌姫とラスティーを送還しようと思っていたがそれも出来ない

 二人は全ての道が塞がれた気がした、マイスとグラディスはお互いの顔を見てから

 少しため息をした

「どうしますマイス中佐」

「指令室に戻って少し頭を冷やそうか少佐」

「そうしますか」

 二人の士官は周囲の人々に挨拶する事すら忘れて基地の指令室に向かう

 代わりに二人の女性が現われた、エルフリートとフレイと共にボートに乗っていた女の子だ

「ここに居たのフレイもラスティーさんも、何か有ったの?」

「どうしたのかしら、お二人ともこの世の終わりのような顔をしていたみたいだけど」

 離れて行く二人を見ながら話しかけてきた

「ラスティーさん、薬の時間ですよ軍医の人がすぐ来てくださいといっていました」

「ありがとうミリアリアさん」

 本来はフレイの役目だったのだがアスランと一緒に居なくなったからミリアリアが代わりに来た

「ナイト、少しは落ち着いた?」

「ああ、エル心配かけた。まだ気持ちの整理が付いていないが何とか大丈夫だ」

「こう言う時は何かで発散するのが一番よ、私も付き合って上げるから行きましょう」

 エルは心配そうにナイトに寄り添い出て行こうとしたがそのエルにミリアリアが声を掛けた

「エル、私はどうすれば?」

「ぁ、ミリーごめんね、悪いけど二人にしてくれない」

「分かったわ」

 ミリアリアはナイトに向かって黙って少し頭を下げた

「君も気にしなくていいよ、君達の所為じゃないから」

 ナイトはエルと一緒にこの場を去った

 残されたのは4人、去った二人がこれからどうするのか想像できたのは2人

 理解出来なかったのはアスランとフレイだが正確にはアスラン一人だけ何も分からなかった

(フレイはなんとなく想像はできていた)

 そしてアスランとフレイ、ラスティーとミリアリアが組む形となった

「そう言えば君の名前も聞いていなかった」

「そうだったわね、私の名前はミリアリア・ハウよろしくねアスラン、エルとは幼馴染

 フレイの親友よ」

「こちらこそよろしく」

 笑顔で答えるミリアリアにアスランはミリアリアと握手をしようとしたが何故か体が動かない

 フレイがアスランの左腕を取っていたので前にいけなかったのだ

 フレイは笑顔でミリアリアを見ているが笑顔なのに何故かもの凄く怖く感じるアスランだった

 ミリアリアはそんなフレイを見ると苦笑いしながら近寄り、アスランに聞こえないよう

 そっと声を掛ける

「大丈夫よ、今はまだ興味が無いから」

 その言葉にフレイの顔が少し赤くなる

 そんなフレイの様子を見たミリアリアはフレイと知り合って3年になるけど

 こんな事は初めてだった、出会って間もない青年にフレイが寄り添っている

 フレイは今まで恋と呼べるほどの恋愛などした事が無かった筈と思う

 フレイの性格は良く分かっている、繊細で優しい子だけど身を守る為いつも無意識に

 王女様のように振る舞っていた、そのフレイが素直に反応してくる

 まさか一目ぼれ?、恋愛感情を越えた何かをフレイから感じる気がする

 

 ラスティーが医務室に行くといったのでアスランも病室に戻る事にしたがある事を思い出した

 3人をその場に置いて近くに居た兵士に案内をしてもらいグリスターンに向かい

 私室に置いてあった物を手に再び3人が待つ場所に戻り病室に向かった

 

 寝ているシャロンの頭を優しく撫でながらラクスはアスランと言う青年の事をボンヤリと

 考えていた、どこかで逢った気がするのに思い出そうとしても思い出せない

 ラクスは5歳以下の記憶は年相応に覚えているのに6歳の頃の記憶だけが何故か曖昧で

 思い出せない、その思い出せない記憶の中で逢った事がある気がしたラクスだった

 アスランも5歳の頃の記憶が何故か曖昧で二人とも10年前の記憶が無いに等しいのは偶然?

 実はこの二人幼い頃に合っていた、最もお互いの記憶に残るほどでもなく父親・母親同士が

 親しい友人だから不思議ではない

 

 

 ひょっとして私を避けているのですか?先ほどのぎこちない態度は一緒に居たくないという

 感じでした、アスラン様のお母様はプラント対地球連合の戦争に巻き込まれてユニウスセブンで

 被害にあわれ亡くなられたと聞きました、父はプラントの指導者で一方の当事者ですから

 嫌われて当然ですね、

 何故でしょうアスラン様の事を知りたいと思います、今までその様な事を思った事がありません

 キラ様にもその様に感じた事がありませんでした

「お兄様~マイさんばかりずるーい」

 突然、シャロンが声を出したので思わず撫でていた手が止まり、ついでに思考も止まってしまう

「・・・・」

 寝言だったらしい

 ラクスはふとシャロンとアスランの関係にも興味を持った

 シャロンに兄弟姉妹はいないと聞いている、でもシャロンがアスランに示す態度は本当の

 兄妹以上で、そしてもう二人同じような人がいるらしい

 シャロンは無意識に政治的なもの戦略的なものを正確に捉える事が出来る子だそして何時も

 毅然としているシャロンがアスランの前に出るとただの妹になってしまう関係が羨ましいと

 そんな事を考えていたらシャロンが目を覚まし暫らくボンヤリとしていたがアスランが

 居ない事に気がついた

「あれ、お兄様は?」

「シャロンさんの事を頼まれて出て行かれました」

「酷い私を置いて行くなんて」

「仕方がありませんわ、シャロンさんは寝ていましたから」

「む~、アスランお兄様は一人にしておくと危険なのに」

「???何が危険なのですか?」

 シャロンの言葉に疑問しか浮かばないラクスだった

「だってお兄様を一人にしておくと直ぐ女の子が寄って来るの」

 ラクスはシャロンの言葉に笑いそうになる、ようするに妬き餅なのだ

 確かに印象的な青年であり自分の心も揺れている事はわかっている

「大丈夫ですわ、ここには女の子があまり居ませんでしょう」

「いるわ、ラクス様にあの二人の女の子がいるもの」  

「あら、言いましたでしょう私には婚約者が居ましてよ」

 ラクスの言葉にシャロンはジッとラクスを見つめた、無言で見つめられているとラクスは

 隠しているものが出てきそうになり目をそらす

 慌てて目をそらしたラクスにシャロンは

「ふ~ん、やっぱりラクス様もお兄様のことが気になる見たいね」

 反論しようとした時に当のアスラン達が入って来た

 それもフレイと並んで来たからシャロンの機嫌が悪くなる

 シャロンの機嫌が悪い事にアスランは直ぐに気が付いた

 だからシャロンの側にきて頭を撫ぜながら

「シャル起きていたのか、ごめんな疲れている様だったからラクスさんに頼んだけど」

 シャロンは頭を撫でられただけで機嫌が良くなったが追求する事を忘れない

「お兄様、私が居たこと忘れていたの」

「だから忘れたわけじゃないってば、本当だぞシャル」

「ふ~ん、フレイさんと仲がよさそうで良かったねお兄様♪」

「ふ、普通だろ」

「そう?始めて見たわ、お兄様のにやけた顔♪」

「ど、どこも、にやけてなんかいないだろう」

「ふ~ん♪」

 アスランとシャロンの会話を聞いていた残りの4人は笑い出すのを堪えていた

 まるで本当の兄妹みたいだと皆思ったのだ

 そうアスランはマイやシュン以上にシャルに弱かった

 だがアスランはこの状況から逃れる為の秘密兵器を取り出した

「ほら約束のペットロボットだこれを取りに行っていたんだよ」

 渡されたのは銀色に輝く丸い球体のモノだった

「ほんとうれしい。名前はなんて言うの」

「ハロだ、可愛がってくれよシャル」

「よろしくね、ハロ」

 声を掛けられた銀色ハロは

「ハロ、シャル元気、シャルアソボ」

 そう喋りながら病室の床の上でシャロンの周りを跳ねている

 それを見ていた4人の内、女の子3人が羨ましそうに声を出した

「可愛いわね」

「私も欲しいな」

「ハロですか、可愛いですわね」

 だがラクスの言葉にまるで反応したようにアスランの手に残されたピンク色をした同じものが

 突然、アスランの手から飛び出した

 飛び出したピンクのハロはラクスに近寄りラクスの周りを跳ねている

「ハロ~ラクス」

 「「「「「 え 」」」」」

「あ」

 驚いたのはラクスだけではなかった

「あ」と声を出したのはもちろんアスランだ

「ラ~ク~ス、ア~ソボ」

 ラクスは驚いたがハロのかわいらしさに手に抱いたりダンスをしているようにも見える

 そんなラクスを見ながらシャロンがアスランに聞く、聞くというより詰問に近い

「お兄様どう言う事なのか説明してくれます?手が早いのにもほどがありますよ

 あったばかりの女の子それもプラントのアイドルで歌姫のラクスさんにだなんて」

 詰問に近いのに何故かシャロンはそれほど怒っていないように見えるのは不思議だが

 他の3人も何故?という感じでアスランの答えを待っている

「手が早いって、ち、違う偶然だよ、テストに使って消すのを忘れてただけだよ

 ハロをテストしていた時にシャルがくれたDDMが手元に有ったから」

 アスランの答えにDDMを渡した本人のシャロンだけは納得したようだが複雑なのは

 フレイだった

 当然だろう気になるアスランが偶然とはいえ女の子にプレゼントしたようなものだから

 アスランの性格からしてどう見てもピンクのハロのデータを消去など出来るはずがない

 必然的にピンクのハロはラクスのものになるからだ

「ふ~ん、アスランは女性の喜ばし方を知っているなぁ。俺も見習わなくては」

「ち、ちょっとラスティーさん、喜ばし方ってそんなつもりじゃ」

「う~んアスラン、そのラスティーさんと言うのは止めてくれないかな、呼び捨てでいいよ

 年だってそれほど変わらないだろう?それに君達とは永い付き合いになりそうだから」

「?」

 この時、ラスティーはただ漠然とだがここに居る人達と行動を共にする気がしていた

「それにしてもラクスがあんなにはしゃいでいるのを見るのは何年振りだろうな」

「と言うとラスティーさんは」

「ラスティーだってば」

「ラ、ラスティーはラクスさんをご存知なのですか」

「敬語も止めてくれなんとなく身体がむずむずする。幼馴染だよ家が近くて子供の頃は

 よく遊んだな、でもラクスが婚約する前に俺はザフトに入隊して暫らく逢わなかったが

 まさかラクスの婚約者が同期は思わなかったけどね」

「え、ラクスさんは婚約なさっているの」

 フレイの質問だが嬉しそうだ、当のフレイも婚約しているのにその事を忘れてる

「まぁラクスの意思じゃない政治的という奴だ、ラクスの親父さんとザラ国防委員の策略だな」

 その言葉にアスランの笑顔が消える

 ザラと言うのはプラントでは珍しいと言うより現在は一人しか居ない苗字なのだ

 アスランの父親であるパトリック・ザラしかいない筈だ

「うん、どうかしたかアスラン」

「その、もしかしてザラ国防委員とはパトリック・ザラですか」

「アスラン知っているのかそうだパトリック・ザラ国防委員だよ、まぁあの方は有名だからな」

「そうですか」

 父上はまだそんな事をしているのかとアスランが思い暗い顔をしたので

 ラスティーが誂う

「なんだ、アスランはラクスが気に入ったのか残念だったな」

「違います、プラントの事を考えていただけです」

「そうか本当に?」

 

 

 基地の司令室でマイス中佐とグラディス少佐は先程報告された事実に困惑していた

「次から次へと問題が起きるのだ、非科学的だが私達は呪われているのかなグラディス少佐」

「そう思いたくもなりますね中佐」

 脱出してきたラスティーとラクス、フレイとミリアリアの基地内移動用IDを作成しようとして

 遺伝子検査を命じたのだが二人が困惑してる理由は手元にある遺伝子検査報告書の内容である

「何でラクス・クラインとフレイ・アルスターのデータが同じなんだ」

「容姿も声質も全然違うのに、でも何度も検査を繰り返した結果だそうですよ中佐」

「計算上100億分の一回位でしか起きない筈がよりによってなんでこんな時に起きる

 コーディネーター同士やナチュラル同士なら納得もできるがコーディネーターとナチュラルでは

 実際、200億人必要と言う事だなんぞ」

 二人は頭を抱えてしまった

 ラクス・クラインのプラント送還やザフトへの接触も駄目、本国へ連絡は取れても戻れない

 この基地には大隊規模が一年間活動できる資材やエネルギーが蓄積されてるからまだ良いが

 自分達より階級の高い人間は居ずおまけにグリスターンに居る民間人は政治的にも地位が低い

 全て自分達に罹ってくる、普通なら逃げ出したくもなる

「アスラン君が悪い訳ではないがこうなると恨み言の1つも言いたくなる」

「そうですね、本国も不用意な連絡はするなと言ったまま回線が繋がりませんから本国からは

 増援を寄こすとは言ってましたが当てにはなりませんね、そろそろ決断する時期に来ていますが

 どうします中佐?」

「そうだがアスラン君は拒否するだろうな」

「ええ、でも私達全員が生き残る為には彼の力は必要です」

「全ての責任は私が取る非常事態に於ける指揮官権限にてアスラン・リヒター、ナイトファルト・

 フェルム両名を本日より軍属とする」




フレイとラクスですが贖罪的な気持ちが強くてアスランの事を今はまだ男として見てません
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