果たして私は、生きていたのでしょうか?
言いたい事も言えず、言われた事だけを繰り返すロボット・・・。物心ついた頃には既に自身を『道具』と決めつけ、諦めたフリをして目を逸らし、逃げ続けた。それが私の人生でした。
意思はあった、やりたい事も確かにあった・・・ですがソレを実行出来る実力も、行動も出来ず、何をどうすれば良かったのかも分からず流されて・・・
そんな私を、家族や誰かの顔色ばかり伺っていた私を『真面目』だと評価して話しかけてくる周りの人達と会うたびに自嘲していましたよ。よくもまぁ『そんな目』が出来るモノだと、ね・・・・・・。
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・・・
(・・・・・・それにしても、慣れって怖い・・・。)
新たな生を受けて15年・・・。
今世の母に勧められた横髪を後ろで纏めるハーフアップ。セーラー服に着替え、上から白いエプロン付けた後は朝ご飯の準備・・・こんな姿、前世の家族には絶対に見せたくない・・。
「お父さん、お母さん・・・そろそろ起きないと朝ご飯冷めちゃうよ?」
「「ふぁぁあああぁ~~~・・・・ぃ・・・・・・zzz」」
「ちゃんと着替えたら顔を洗って、歯磨きも忘れないでね?あっ、それとパジャマは洗濯するからカゴに入れといてね。ココに置いておくから。」
「いつも悪いわねぇ~、
「良い娘を持つと、気分がいいよねぇ~~zzz」
「・・・私は姉さんを起こしてくるから、ちゃんと降りて来てよ?」
「「あいあいさ~~~っ♪」」
口調が砕けがちなのは見逃して下さい。少なくとも見た目『だけ』は女の子ですからね、今の私・・・。違和感が無いよう、なるべく自然に接しているつもりですが正直な話・・・この年頃の娘はどんな態度で親と接するのか全く分からなかったので今でも手探りなこの現状。・・・というか2人共、また部屋を散らかしましたね?おととい休みを利用して片付けたばかりだったのですが・・・・・・。
「姉さ~ん、朝だよ? そろそろ起きて支度しないと―――」
「んごぉ~・・・すぴぃ~、ぅひひ・・・・ぐぅえ、へへへへへへ・・・♪」
返事が無かったので部屋に入ってみればクーラーと電気は付いたまま・・・。散乱した部屋には衣類にゲームに菓子袋。布団を蹴っ飛ばし、腹を出しながらイビキを掻いている姉の姿が映り、ちょっと思考が停止した・・・。
・・・取り合えず起こす前に、ゴミ袋でしょうか?
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・・・
姉の部屋を少し片付け、朝食の配膳を終えた後は両親と姉のお弁当を配り、洗い物とキッチンの清掃を済ませた後は家族揃ってコーヒータイム・・・。後は通学の時間までには洗濯と掃除機を掛ければ朝の日課は終了です。
「んぐっ、むぐ・・むぶ・・・ぷはあ~、ごちそうさんッ!!」
「お粗末様でした。・・・それと姉さん?口の周りが酷い事になってる。袖で拭いたら汚れちゃうよ?はいコレお手拭き。」
「さんきゅ~♪ついでにコーヒーもう一杯頼むわ。昨日の・・・何だっけ?あのクッソ苦くてスゲー濃いのが癖になるヤツ!」
「マンデリンのエスプレッソね? 豆の抽出から始めるから少し待ってて♪」
この人が今世における私の2つ上に当たる姉『
「でも湊に頼りっぱなしなのも親としてダメな気がするのよねぇ~・・・。そうだ♪ ねぇ湊、今日の晩御飯は久しぶりに私が作ってもいいかしら!」
「折角いい気分になってたのに台無しにするんじゃねぇよクソババァ・・・オレは『素材の味殺しまくったヘドロの親戚』なんざ二度と―――ッ!!」
その姉が言葉を閉ざし、冷や汗が止まらぬ程の威圧を放つ相手・・・。心臓を串刺しにされたような冷たい空気・・・殺気と言うのでしょうか?
ソレを現在進行形で放っているのが今世の母親こと『
・・・料理の腕に関しては非常に独創的と言いますか、個性的と言うべきか私が前世の記憶を取り戻す程度には強烈な見た目と味付けですね・・・。少なくとも『紫色の白米』が作れる人なんて初めて見ました・・・。
「・・・・・・それだったら、今日は2人で作ってみるのはどうかな??お母さんが自分からそう言ってくれるのは私も嬉しいし?一緒に同じ料理を作るのも1度はやりたかった夢だったし、ね・・・?」
『おいゴラ湊ッ!ババァに何やらせた所で時間の無駄なの分かってんだろッ!!良くて病院、下手こいたら俺達揃って三途の川送りだぞ!!』
『・・・最悪の場合、私が事前に用意した料理にすり替えるから大丈夫。だから姉さんは母さんの注意を引き付ける役を宜しく!』
『任せろ!』
性格も価値観も違い過ぎるハズの姉ですが、同じ屋根の下で暮らしていると多少の行動パターン、揉め事を回避する術であれば分かるようになりました。アイコンタクトによる意思疎通が出来る程度には、ね・・・。
「・・・湊がこう言ってるんだし、いいんじゃないかな? 私も2人が作った料理なら大歓迎だ・・・寧ろ今日の楽しみが出来たよ。」
「やだもぅ聡さんまで・・・そんな事言われたら・・仕方ないわね♪」
「それじゃ・・・買い出しや仕込みの事もあるし?何を作りたいか決まったらメールで送ってね、絶対に成功させるから!!」
そして助け船を出して下さったのが父親で一家の大黒柱でもある
前世に比べると賑やかで、やる事も、心配事も多い今世ではありますが・・。邪見に思った事はありません。寧ろ感謝しているくらいです。何でもない日常が『楽しい』と思えたのは、いつ以来か・・・私も・・・まだ笑う事が出来た。演技ではなく、本当の意味で・・・
勿論かつての家族は覚えていますし、忘れた事はありません。ですが・・・この人達も、私が出来る範囲で良い・・・支えになりたいと・・そう思える程度には、馴染んでしまったようです。
「散々振り回されたが? 一家のムードメーカーとなってくれた朱莉に・・・大人しく、反抗期も無かった湊も今年で15になるのか。時が経つのは早いものだ・・・。」
「いきなり何だよ気色悪ぃ・・・ついに頭イカれたかクソジジィ・・?」
「そういう訳じゃないさ。・・・ただ、2人の存在が私の中で大きくなり大切に想えば想う程、母さんが愛しいと思う気持ちが溢れて来るんだ。・・・それこそ出会った頃や結ばれた頃よりも・・・遥かに、ね・・。」
「・・・・・・・・・・・・そうかよ。」
机に頬肘を立てつつ素っ気ない返事で終わらせる姉ですが、アレは照れていますね。私も自然と頬が緩み・・・
「だからこそ・・・2人には話しておこうと思う・・・・。
・・・父さんは昔、魔法少女だったんだ!!」
真顔になった。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「「・・・・・・・・・・・・・・えっ??」」
・・・はて? 今のは幻聴、若しくは私の聞き違いでしょうか??思わずハモった姉の目が点になっている辺り心境は同じだとは思いますが・・
「・・・・・・やはり実際に見せた方が早いか。そうだ!どうせなら・・美野里、君も一緒にどうだい?久々に2人でやるのも悪くは無い。」
「勿論よ! それじゃ聡さん♪ せーっので行くわよ!!」
せ~~~・・・・・・のッ!!!」
お2人共・・・ノリノリな所で申し訳ありませんが全く付いて行けません。・・・・・・ですが・・・その・・何か、とてつもなく嫌な予感が・・・
「「 変 ☆ 身 !!」」
叫ぶと同時に2人の姿が『カッ!』と光り・・・・・・
「溢れる光は希望の力! 魔法少女フェアリーライト、ただいま参上!」
「昂る情熱で悪を討つ! 魔法少女フェアリーローズ、ただいま――!」
「誰 だ お 前 等あああああぁぁああああああ!!!!!」
光が収まると珍妙な装束に身を包んだ2人組みがビシッ!と謎のポーズを決めながら立っていました・・・いったい・・・何が、起きたのでしょうか?
母が立っていた場所には宝石のような輝きを放つ紅い髪と瞳を持つ・・・『とっても見覚えのある顔立ち』をされた、姉と同年代と思われる女性が微笑んでおり?父が居た場所には蜂蜜色の髪をツインテールに結んだ空色の瞳を持った中学生くらいの女の子、が・・・・? 空手部主将である姉の拳を指一本で、朗らかな笑顔で受け止めておりました・・。
・・恰好については・・・確か『ごすろり』、と言うのでしょうか?紅髪の方は赤と黒、蜂蜜色の子は黄色と白を基調としたドレスを纏っており?前世でプ〇キュアとか言う題目の子供向けアニメに登場する女の子が変身した姿と酷似しておりますが・・・。
「見事な踏み込みと、打ち込みだ。 何より迷いが無く真っ直ぐな拳だ・・・朱莉が天賦の才に溺れず、不断の努力を続けている事が私にも伝わるよ。」
「んなモン聞いてねぇんだよ!テメェ誰だ、どっから沸いて来やがった?!ジジィとババァはドコ行きやがったッ!!!」
「全く朱莉ったら・・・ホントに何言っているのよ?母さんが私で、目の前に居るのが聡さんに決まっているじゃない♪」
「信じられるかあああああああああああああああああ!!!!!!!」
私の言葉を代弁して下さっている姉ではありますが・・・その・・・私は・・どう反応すれば、良いのか・・・。
「ダメじゃない、幾ら親子だからって簡単に暴力を振るのは感心しないわ。少しは湊を見習いなさい。私達の姿を見ても動揺していないでしょう??」
「あんまりな展開に言葉が出て来ねぇだけだろーがッ!!よく見ろッ!・・・湊が『この世の終わり』みてぇーな顔になってんぞ!!テメェ等2人揃って味覚どころか頭の中までブッ壊れてんのか!!オレ湊のあんな顔初めて見たんだけどッ!!?」
一体どんな顔をしているのですか? 私は・・・いや、一先ずソレについては後回し、姉が私の分まで怒って下さっているのは分かるのですが、まずは止めなくては・・・そして落ち着かせて話を・・
「普段は幾ら粗暴に振る舞っていても、朱莉は周りをよく見ている。
そして手が届かない所は湊が補う・・・互いを信頼する、良い関係だ・・。
流石は・・・私『が』産んだ娘達だ!!」
「・・・・・・・・・・・へ?・・・・え??・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・嘘・・・・・・だろ・・・・・・?」
・・・・・・もっと聞きたくなかった。 姉さんの顔が、絶望に・・・・
えっ? いま・・・なんと・・・・いったの、ですか??
わたし・・・『が』? ・・・・・・むすめ・・・『たち』・・??
「・・・・・・か・・・かあさんは・・・・・おんなの、ひと・・だよね?」
「当ったり前じゃない♪ あの時の母さんは『ちょっとした事情』して身体がボロボロになった状態から漸く動けるようになったばかりだったからね。本当は後3年は病院暮らし確定だったんだけど?聡さんったら私に『生やして』まで包み込んでくれて・・・」
おかしい・・・さっきから、ろれつが・・・・・まわらない・・・
・・・いってることが・・・わからない、あたまが・・・・こばんでいる・・
「確かに当時は・・・我ながら思い切った決断ではあったが?結果として、私達は良い家庭に恵まれた訳だ。
・・・さて、そろそろ本題に入ろうか。テレビで見ているとは思うが最近『妖魔』の動きが活発になっていてね。父さん達にも復帰して出撃するよう、国から指示が出てしまった・・・
家に戻れない日もあるだろう・・・そして朱莉と湊にも私達と同じく・・・退魔の力を宿している事が発覚してしまった・・・だが心配する事は無い。父さん達としては、2人には自分で選んだ道を歩いて欲しいからね。政府が何を言ってきた所で・・・・・・
・・・・・・ん? 湊、どこか具合でも悪いのかい??さっきから妙に顔色が優れないようだが・・・。」
「何の意味もなく心に負ったドデカい傷に耐え切れなくなっただけだろーが!みなとおおおおおおおおおおおおおお!!!生きてるか??!まだ死ぬんじゃねぇぞ!大丈夫だ、姉ちゃんが付いてるからな!!」
「・・・・・ね・・・ねぇ、さん・・・・ごめん・・・ね・・?ねぇさん、だって・・・・つらい・・のに・・・」
「こんな家、今すぐ家出して2人で暮らそう!!安心しろ!!お前1人くらい・・・オレが何とでもしてやらあ!!」
平和とは、続かないものなのでしょうか・・・?遠くなっていく姉の言葉を聞き取りながら、そんな事を考えていました・・。
TS娘から産まれたTS娘を書いてみたくなった。
特に意味はありません。