魔女と弟子の世界周遊記   作:アンドララベリャ

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第四話

目を開けると古びた木製の天井が目に入った。

どこかで小鳥が盛んに鳴いている。

窓からは朝の日光が燦燦と入ってくる。

眩しい。

古場は掛布団をひっかぶった。

古場は再び訪れた眠気に従って再び瞼を閉じた。

心地よいまどろみにしばし浸る。

古場はぼんやりとした頭でふと考えた。

(いつもの天井と違ったけど…………。僕おばあちゃんちにでも泊まったんだっけ………。)

だんだん意識が覚醒してきて状況を掴み始めてきた。

(昨日、僕は森で迷子になって、村を見つけて、泊まらせてもらえることになって………………。)

 

(女の子になってるのに気がつい、て?)

 

古場は、勢いよく起き上がった。

その途端金色の何かが視界をかすめた。

それは、古場の金色の髪の毛で、古場に昨日の出来事は夢でもなんでもなかったことを実感させた。

 

ズキッ

 

(つぅ~~~~~~~っ………………。)

まだ昨日の謎の頭痛は後を引いているようだった。

頭痛が収まると、古場はあたりを見渡した。

ヘンリはどうやらもうどこかに出かけたようであった。

机の上に無造作にパンが置かれている。

恐らく、古場のために親切にも残していってくれたのだろう。

 

古場はのそりと起き上がると椅子に座り、もぞもぞとパンを食べ始めた。

窓の外を見てみるとすでに日は高く昇っていて、時刻は昼に近づいているようだった。

食べ終わった古場はもう一度、今度は慎重にあたりを見まわした。

そして徐に手を胸元に伸ばした。

 

(うわぁ………………。 小さいけど、あるや。)

 

どうやらそこまで大きくなかったようだった。

それも昨日夜になるまで自分の変化に気が付かなかった原因の一つであろう。

 

(下は………………。また今度にしよう。)

 

少し現実逃避をする古場であった。

 

(それにしても、本当に女の子になっちゃったんだなあ。)

 

古場に実感がわいてきた。

しかし、もう混乱することは無かった。

寝て元気が戻ったのか、随分と心が落ち着いていたのだ。

古場は椅子から降りた。

そして、ベットのシーツがぐちゃぐちゃになっているのを見て、無意識に手を伸ばす。

 

その次の瞬間、ベットの上の掛布団やシーツがまるで生き物であるかのように動き、まるで今几帳面な誰かに整えられたかのようになった。

一拍置いて、古場は自分が何をしたのか把握した。

ひとりでに、ベットが整えられたのは、どうやら自分のやったことらしかった。

なぜ? どうやって?

古場は自分の頭の中をまさぐった。

と、すぐに何か異常なことが起きていると気が付いた。

 

(なにこれ、頭の中に色々おかしなことが入ってる………………。)

 

古場は自分がいつの間にか全く見覚えのないことを身につけていることに気が付いた。

_____例えば、それは魔法の呪文だったり。

_____例えば、それは使い魔の呼び出し方だったり。

_____例えば、それは武器の扱い方だったり。

いや、それらは見覚えがないわけではなかった。

むしろ、古場はそれらについてのめりこんでいたといってもいい。

しかし、それは現実でではない。

画面越し、つまり_______。

 

(なんで、ゲームの中のことが現実になってるんだよ………………。)

 

古場は、美しいグラフィックのゲームが全盛期であるときに、まるで時代に逆らうかのように、古いドットのゲームで遊ぶことが趣味だった。

そして、中でものめりこんでいたゲームがあった。

 

それは、海外のとあるレトロゲーム愛好家が作ったゲームだ。

学校で習った英語ですら怪しかった古場には、見たことのない文字で記されたそのゲームの内容はおろか、タイトルすらまともに読めたことがない。

なにしろ、日本での知名度は低くて、日本語翻訳などありもしなかったのだ。

古場と、無理やり誘った親友の村川ぐらいしか日本ではやっていないのではないかと妙に古場が自慢げに推測したほどだ。

しかし、純正ファンタジーを目標としたそのゲームは、非常に完成度が高くやり込みがいのあるものだった。

古場は、何とかセーブを繰り返し、ドット絵や登場人物の表情から内容を類推して、やり込んでいた。

文字通り、パソコンにかじりつく勢いで熱中してた時もあったっけなあ、と古場はしみじみと思い起こした。

 

(そういえば、その時の自キャラって、金髪碧眼で魔女のロールプレイしてたよなあ………………。)

 

古場は自分の昨日から着っぱなしの服を見下ろした。

 

(そういえば、最終的な装備もこんな感じだったような………………。)

 

古場は自分がどうやらゲームの自キャラになっているようだと悟った。

しかし、古場はもう何とも思わなかった。

自暴自棄というか、もう開き直ってしまったようだった。

 

(とりあえず、ヘンリさんを探そう………………。)

 

古場は、脇にかけてあった三角帽子をひっかぶり、扉を開けて、外に出た。

 

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