僕の運命アカデミア   作:乙子

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第10話~期末試験その1~

 

 

職場体験の一週間を終えまた学校での日々が始まる。

久しぶりに思えてしまう教室の扉を開け挨拶しながら席へ向かう、といっても右から二列目の一番前なので前から入るとすぐ席なのだが。近くの青山と尾白に挨拶して荷物を置くと挨拶に気付いたのか何人かが携帯を片手に寄ってくる。

 

「おはよー運命、見たよニュース!ミルコと大活躍しちゃってるじゃん!」

 

「そうだよ、なんでミルコと普通に巨大敵相手に戦ってるのさ、ミルコに初めての相棒か?なんて書かれてるし」

 

芦戸に耳郎がその携帯で記事を見せてくる。梅雨ちゃんとともに喋っていたようだ。

 

「おはよ、その巨大敵にはオレ手は出してないよ、ミルコの足場出してただけでさ」

 

「んじゃこっちのは?バニーマン」

 

次に金網の上でポーズするタイガーバニーのミルコとバニーマンのオレが映った画面が、流出した映像が記事に使われているようだ。

 

「うっ…別人デス」

 

胃痛を感じつつ応える

 

「いや、アンタ以外にこんなアーム出せる人いないでしょ、服装とかいつものだし」

 

「私も見たわ、カッコいいわよ、バニーマン」

 

「梅雨ちゃんまで…ぐぬぬ」

 

なんて話していると爆豪の席からは8:2のピッチシ髪を大爆笑している瀬呂と切島が爆豪をキレさせていたし、麗日は腹の底から息を吐きだして拳を振るっていた。

 

「尾白、麗日のあれって」

 

「あぁ、空手の息吹だね。ヒーローガンヘッドだっけ、独自の武術ガンヘッドマーシャルアーツ、コマンドサンボ系だと思ったけど結構他のも混ざっているみたいだね」

 

「今度手合わせ願うか」

 

「だな」

 

そこで声を大きくした上鳴がその三人に話しかける。

 

「ま、一番変化というか大変だったのは…お前ら三人だな!轟、飯田、緑谷!」

 

「そうそうヒーロー殺し!」

 

「…心配しましたわ」

 

各々が心配や安否で三人に声をかける。

 

三人も無事な事を示しつつ笑顔を見せる。

 

そして話はヒーロー殺し本人の生き様を紹介した今流行の動画の話に移る。

 

「アレ見ると一本気っつーか執念っつーかかっこよくね?とか思っちゃわね?」

 

「上鳴くん…!」

 

上鳴の不注意な、しかし本音の一言が漏れてしまう。

 

「あっ飯…ワリ!」

 

ヒーロー殺しには飯田の兄、ヒーローインゲニウムが大怪我を負わされていたのだ。

 

飯田はその一言を聞き左腕を眺めながら言葉を発する。

 

「確かに信念の男ではあった…クールだと思う人がいるのもわかる。ただ奴は信念の果てに”粛清”という手段を選んだ。どんな考えをもとうともそこだけは間違いなんだ」

 

ビシィイイイといつもの角ばった動きで右手を伸ばし

 

「俺のようなものをもうこれ以上出さぬ為にも!!改めてヒーローへの道を俺は歩む!!!さァそろそろ始業だ、席につきたまえ!!」

 

宣言する飯田は決意新たにヒーローを目指す意思を固めたようだ。

 

「なんか…すいませんでした」

 

上鳴も不注意というか考えずにものを言ってしまう所がある、ムードメーカー故の長所と短所だろうか。

 

 

 

 

 

 

 

そして本日も午前の授業を終え午後のヒーロー基礎学の時間となった。

 

 

「ハイ、私が来たって感じでやっていくわけだけどもね。ハイ、ヒーロー基礎学ね!久しぶりだ少年少女!元気か!?」

 

「ヌルっと入ったな」「久々なのにな」「パターンが尽きたのかしら」

 

普通の授業の入り方にボソッと言ってしまう皆、オールマイトの授業も初回程の感動がなくなったのも事実だった。いわゆるマンネリ…か

 

「職場体験直後ってことで今回は遊びの要素を含めた救助訓練レースだ!!ここは運動場ガンマ!複雑に入り組んだ迷路のような細道が続く密集工業地帯!5人4組、どこかが6人な!に分かれて1組ずつ訓練を行う!私がどこかで救難信号を出したら街外から一斉スタート!誰が一番に私を助けに来てくれるかの競争だ!!もちろん建物の被害は最小限にな!」

 

最後の被害の所で指を爆豪に指しながら笑うオールマイト。そしてオールマイトが電子抽選で行われた面子を読み上げ一組目が街外に散らばる。オレも一組目だった。職場体験で得たモノを試すのにぴったしの状況に少し楽しくなってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「緑谷、尾白、飯田、芦戸、瀬呂、運命か…クラスでも機動力良い奴固まったな」

 

「うーん強いて言うなら緑谷さんが若干不利かしら…」

 

「トップ予想は…やっぱ運命かな」

 

「だよなぁ、飛行がもう反則でしょ」

 

「瀬呂も狙えると思うんだけどなぁ」

 

「デクが最下位」

 

「飯田まだ完治してないんだろ、見学すりゃいいのに…大丈夫かな」

 

大モニター前でクラスメイト達が予想しながら見上げる。

 

そして告げられるスタートの音。

 

音と共に各々が個性を発動し移動を開始する。

 

「ほら見ろ!こんなごちゃついたとこは上行くのが定石!」

 

「となると滞空性能の高い瀬呂か運命か…ん?」

 

「運命ちゃん変身してないわ」

 

「え、でも空にいる…跳んでる?空を?」

 

個別カメラが捉える運命はいつもの変身姿ではなくヒーロースーツのままであった。そして運命は街中を障害物も空も関係無く走る様に縦横無尽に跳び回る。

 

その姿を爆豪は立ちあがり見つめる。

 

「アイツ、足場に何か作ってそれを推進力に変えてやがるッ!」

 

「あぁ、あれは風の刃か?翼の変身するときに背中に作ってるやつだな。器用な事しやがる」

 

轟もその姿を見つめ即座に分析する。

 

「運命さんは変身で飛行能力を得られると思っていたのですが…もう変身も必要ありませんのね」

 

「運命ちゃんはヒーローミルコの所で大分苦労したと言ってたからその成果ってところかしら」

 

「ミルコが運命との動画で空ピョンピョン跳んでたのはあの足場運命が作ってたからか!俺ミルコも空跳べるもんかと思ってたわ」

 

 

 

「っておい緑谷も街中の足場跳んですごい速度だぞ!」

 

「すごい!ピョンピョン…何かまるで」

 

爆豪の様な動きだと幾人かは思った。

 

 

 

「運命君!!」

 

「!?緑谷か!追いつかれるとは思わなかったよ!」

 

「君にだって僕は!追い抜いて見せ、あ」

 

「あ」

 

「あああああああああああああ!!」

 

「…足元よく見ろよー」

 

ズルっと滑り落ちていく緑谷を横目に要救助者オールマイトの所に一番にたどり着いたのは運命であった。

 

「流石だ運命少年!文句なしの一番だ!今まで見なかった移動方法だが?」

 

「えぇ、ミルコの所で一日ヒーローするのに変身は維持できなかったので省エネで速度落さない方法考えてこれになりました」

 

「グッドだ!先輩達から学びどんどん盗んで自分のモノにしていきなさい!」

 

「はい!」

 

「運命早すぎるでしょー、俺ノーミスで来たのに!」

 

「2着は瀬呂少年だな!十分早いぞ!GJだ!!」

 

それから尾白、飯田、芦戸、そして遅れて緑谷が到着し総評に入る。

 

「一番は運命少年だったが皆入学時より”個性”の使い方に幅が出て来たぞ!この調子で期末テストへ向け準備を始めてくれ!!」

 

「「「「「ハイ!!」」」」」」

 

 

 

2組目が準備している間に待機場所に残りの皆と意見を交換する。

 

「運命君はあの緑の刃を足場にして噴射みたいに暴発させてたよね、あれミルコの所で学んだの?」

 

「そうだよ、ミルコに街中で中々追いつけなくてさ、変身じゃあ追いついても燃費が悪すぎて一日持たなかったしでさ、どうしようかって悩んでたら九州でホークスと出会ってさ」

 

「ホークス!?ナンバー3の!?いくらミルコが全国回るタイプでもそんな確率で会っちゃうなんてすごいね、それでそれで」

 

「ちょっとホークスの活動も見せてもらってアドバイス貰って今の感じになったかな翼の使い方とか真似っていうほど似てないけど」

 

「ホークスの剛翼は一枚一枚自由自在に動いて途轍もない速度で事件や事故を解決するもんね、そっか、それを見て自分に合わせた使い方を生み出したんだね」

 

「緑谷も力の使い方変わったな、一点突破から上手く制限して身体全体って感じで」

 

「うん!フルカウルって名付けたんだ」

 

「お、カッコいいな!」

 

「まだまだ訓練中だけどね、さっきも君に追いついて追い抜こうとして着地と同時に跳ぼうとしすぎて滑っちゃったし」

 

「でも見えたならあとは数こなしていくだけだな。お、梅雨ちゃん達始まるな、誰が一番かなー」

 

「やっぱり梅雨ちゃ…蛙吹さんかな」

 

順位予想をしつつ会話は続いていく。

 

 

 

そして全ての組みが終わりオールマイトからの総評と激励で授業は終わった。

 

更衣室で男子が着替えていると

 

峰田が深刻そうに叫ぶ

 

「おい緑谷!やべぇことが発覚した!!こっちゃ来い!」

 

みんながそちらを向くと壁に貼られた紙がめくれて穴らしきものがあった。

 

「見ろよこの穴ショーシャンク!!恐らく諸先輩方が頑張ったんだろう!隣はそうだ!わかるだろう!?女子更衣室!!」

 

飯田が即座に駆け寄り静止する、が峰田は興奮状態で聞く耳を持たず穴を隠していた紙を破り取り覗こうと顔を近づける。

 

「オイラのリトルミネタはもう立派なバンザイ行為なんだよォォ!!八百万のヤオヨロッパイ!芦戸の腰つき!葉隠の浮かぶ下着!麗日のうららかボディに蛙吹の意外おっぱァアアア『ウンディーネ』」

 

目線を穴に合わそうとした峰田を突如水が全身を覆い足元から凍っていく。その瞬間穴から耳郎のイヤホンジャックが飛んでくるが氷に阻まれる。

 

「あれ?外した?」

 

「あー女子聞こえてる?峰田は氷像にしてこれから砕くからもう大丈夫だよ!八百万埋めれる?」

 

「聞こえています!こちらから塞いでおきます!!」

 

「運命お前、中々の速度の凍らせだったな」

 

「運命めっちゃ怒ってない?」

 

「梅雨ちゃんの事言うから…」

 

「君割と嫉妬深いんだね☆」

 

「笑顔のままなのがやべーな」

 

「砂藤、これ窓から捨てといてくれ」

 

「お、おう」

 

「ごめんなさい、ユルシテ…ユルシテ…ツメタイ…サブイヨ…」

 

パリンという氷が砕ける音が雄英中に響いたのはそのすぐあとだった。

 

 

 

 

 

 

次の日

 

午後の授業を終え帰りのHRの時に相澤は語りだす。

 

「夏休み林間合宿やるぞ」

 

「知ってたよーーーやったーーー!!!」

 

「肝試そーー!!」

 

「風呂!」

 

「花火」

 

「風呂!!」

 

「カレーだな…!」

 

「行水!!」

 

「自然環境ですとまた活動条件が変わって来ますわね」

 

「いかなる環境でも正しい選択を…か面白い」

 

「湯浴み『ノーム!』」

 

「峰田が土塊になったぞ!誰か外に投げとけ!」

 

「OKおりゃあああ!」「ぐわああああああああああああ!!」

 

「寝食皆と!わくわくしてきたああ!!」

 

林間合宿の言葉に皆が思い思いの楽しさを溢れ出す。

 

「ただし、その前の期末テストで合格点に満たなかった奴は…学校で補修地獄だ」

 

「皆がんばろーぜ!!」

 

切島の心からの叫びに皆が同意する。

 

「以上、運命は後で職員室に来い」

 

「?はい、わかりました」

 

言い終えると退出する相澤を見送り各々が帰り支度をする。

 

運命の隣の青山が本人曰くきらめく笑顔で見ながら声をかける

 

「ムッシュ何を悪さしたんだい?」

 

「悪さ前提はやめろよ何もない…はず…」

 

「フフッもっと煌めかないとね☆僕のように!」

 

「煌めき関係あるかなぁ?まぁ行くわ、じゃまたな青山。尾白、先に鍵持って体育館行っててくれ、終わったら行くよ」

 

A biento(またね) !」

 

「OK、後でな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして職員室へ向かう運命。ノックして入室するとすぐ相澤が立ち上がりどこかの部屋のカギを持ち同行を促す。

 

会議室と書かれた部屋に入りそこで待っていた二人に運命は強い既視感を思い出す。

 

根津校長とリカバリーガール、雄英の要の二人だった。

 

「やぁ運命君!元気そうでなによりなのさ!さぁ座りたまえ」

 

根津校長に促され相澤を含め三人に相対した運命。

 

「まずはミルコの所での職場体験を見事やり遂げてくれてありがとうなのさ!」

 

「ありがとう?感謝はこちら側だと思うんですが」

 

「実はな、プロヒーローミルコは今まで職場体験やインターンなど後進育成に関する事は一切行っていなかったんだ」

 

「彼女は自分一人で全て対処出来てしまうからね、事務所すら構えないスタイルは新しくもあるんだけど現状それでは困ることも多くてね。それが今年初めて職場体験受け入れの指名を出してきてね。それが君だったのさ。ヒーロー公安委員会も女性ナンバー1の彼女が実績を作れることに大層喜んでね、厳しい職場体験だったろうがよく耐えてくれた!」

 

「実績作りに貢献できたのは光栄ですがそれにしては候補先選ぶ時に進められませんでしたが…」

 

「まぁそこは大人の事情だからな、俺がせき止めといた」

 

「では何故今」

 

「アンタはミルコのヒーロー活動にほぼ付いていったね、それで戦闘も行ったらしいじゃないか」

 

突如リカバリーガールがお茶を飲むのを止め話しかけてくる。

 

「…ミルコから許可は頂きましたが」

 

訝しむ姿に笑顔でリカバリーガールが続ける。

 

「あぁ、良いんだ良いんだ、それについて怒ってるわけじゃないよ、むしろ逆さ、戦闘をして感じなかったかい?回復の必要性が」

 

「!?……はい」

 

「そうだろうそうだろう、ミルコみたいな特級の跳ねっ返りは無傷じゃいられないもんさ。あの子は慣れてるだろうけどあんたはそうじゃない。どうだい?回復術、アタシの下で学んで特訓してみないかい?」

 

「………」

 

考える運命に根津校長は続ける。

 

「君が回復術を秘匿しているのはわかっている、でも目の前で死にかける相澤君と13号君に使ってくれた。周囲に口止めをしてなお、ね」

 

「実務経験を経てその考えが変わっていないかってことの確認だ、どうだ?」

 

「実は前の体験からオレも同じことを考えていました。そして精霊達とも話して決めていたんです。これからは秘密にせず使っていこうと。いつまでもは隠しとおせないだろうなとも思ってました」

 

「英断だと思うぞ」

 

「こちらからも最大限のサポートをさせてもらうのさ、国や医療機関からの勧誘が凄い事になるけど全て雄英を、私と相澤君と通すと約束しよう」

 

「もちろん自分が行きたいなら医療関係に行くのも止めはしないさ、まぁ雄英に入った時点でヒーロー志望なのはわかっているが、ぶっちゃけ回復個性はそれだけで高収入だからな」

 

「そこはヒーロー資格を取ってからでも稼げるよ、私がそうだからね。私の年収知ってるかい?公開してないけど聞いたらちびるよ、ひゃっひゃっひゃ」

 

「トップには相応しいモノがついてくるのさ、色々とね!そう、そこで提案何だがリカバリーガールの下で訓練しないかい?」

 

「ここで保険医として経験を積むってことですか?」

 

「もちろんそれもあるさ、雄英でもそこらの病院より回数を積めるだろう。だがリカバリーガールは日本中の病院からラブコールを受ける存在でね、あのセントラルもその一つなのさ」

 

「セントラル!日本の医療研究関係のトップですよね、流石リカバリーガール!」

 

「当然外に出る時は護衛のヒーローも付くから安全さ!」

 

「とこういう流れだ、お前自身の勉強やヒーロー活動にプラスされるが回復術の経験を積める良い機会だ、やってみるか?」

 

「はい!お願いします!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして数日後

 

ヒーロー基礎学、USJにて災害救助の授業中

 

「くっしまった!?」

 

「大丈夫か緑谷君!ヒドイ怪我だ、瓦礫が腕に刺さっている!無理に抜かずこのまま保健室だな!先生!よろしいですね!」

 

緑谷が救助者役のオールマイトを救おうと張り切ってしまい結果腕に瓦礫が刺さってしまう、相澤はそれを見て待てをかける。

 

「いや、そのままで良い」

 

「このまま授業を続けさせるのは…」

 

「運命、治せるか?」

 

「ちょっと!?先生!!それは…」

 

芦戸、麗日、砂藤、障子、蛙吹、峰田、瀬呂が驚愕の眼差しで相澤を、次いで運命を見る。

 

他の生徒はその驚きが解らず首を傾げてしまう。

 

「はい、やってみます」

 

「運命!アンタいいの!?隠してたんじゃ」

 

「ごめんな、今まで隠し通してくれてありがとう、でももういいんだ。緑谷、ちょっと痛いぞ、我慢してくれ」

 

緑谷の腕に刺さった瓦礫を抜き去り即座に手を掲げる

 

「『ヒール』」

 

「いっつ…あれ、治った…これって回復!?そんな!君の個性じゃ…」

 

「個性地水火風じゃなかったのか?」

 

「虚偽だったってことか?いや、でも使ってたよな?」

 

「静かに、運命、良いな?」

 

「はい、オレの個性の話をするよ…」

 

相澤がクラスを沈黙させ、そして個性の事を、地水火風の精霊と契約し変身能力と回復術を得たこと、回復術は希少で自分が守れない内は隠し通そうと思っていたこと、前の職場体験で力量不足を感じ回復も練習するためにもう公開することに決めたことを運命は話した。

 

「精霊…だから姿が変わり膨大な力を出力していたと、腑に落ちました。精霊という存在がいるとするならば、ですが」

 

「前にお前が言った氷と炎の精霊がどうたらってのは冗談じゃなかったってことか…」

 

「精霊とかなんかすっげーゲームじゃん!!」

 

「てめェ結局力隠してたんじゃねぇか!!」

 

「やめろって爆豪!何で怒ってんだよ!」

 

各々が突然の告白に理解しようとする中、爆豪だけは怒りながら詰め寄る、切島が慌てて止めに入る。

 

「体育祭のどこで回復術使う余地があったんだよ?オレは全力だったよ、それに回復術はまだ慣れてないんだ、だからこうやって隠さないって決めたんだ」

 

「ふざけやがって…」

 

「もういいか、ということで運命の回復は言いふらす必要は無いが隠すことも無くなった、練習の意味も込めて怪我したら治してもらえ、もちろんお願いレベルだが」

 

「精霊に回復…ちょっとまだ整理が追い付かないけどとりあえずありがとう運命君!」

 

「緑谷が一番回復必要そうだよな、練習させてくれな」

 

「ははは、複雑だなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

放課後

 

保健室に向かうと数人の生徒が並んで座っていた。

 

リカバリーガールは入ってきた運命を呼び自分の隣に座らせる。

 

「さぁ、あんた用に午後の怪我の生徒をこの時間に集めておいたよ」

 

「はい、ではやってみます」

 

生徒達は訝し気にそのやり取りを見ていたが言われるがままに患部を出す。

 

「受け身を失敗して腕がボキっと…」

 

「腕の骨折ですね、いきます『ヒール』」

 

「おぉ、痛みが引いていく!」

 

「ちょっと触るよ、痛みは?」

 

「ないです!ありがとう!君は確か一年の…」

 

「はいはい、まだ並んでる子がいるからね。ペッツ食べて戻りな」

 

頭を下げて感謝して骨折の生徒は帰って行った。そして次の生徒が前に出てくる。

 

「対人訓練で避けきれなくて…」

 

「うっ、脚の裂傷ですね、『ファーストエイド』」

 

「治った、すごいね君…」

 

「ふむ、流れた血の分は戻って無さそうだね、しっかり食べてゆっくり寝なさい。次」

 

「む、火傷ですね?」

 

「個性の使い過ぎで…」

 

「わかりました、『ディスペル』」

 

「火傷跡まで!君は一体…」

 

「綺麗に治ったね、もし熱さが残ってたら明日また来なさい。はい次」

 

「個性使用で間違って毒草かなんか食べたみたいで身体の先端が痺れてて…」

 

「毒草ですか…いや、痺れ…わかりました『ディスペル』」

 

「動く、感覚もしっかりある!ありがとう!!」

 

「食べる個性なら食べるモノには十二分に気を付ける事、忘れないようにね」

 

「うぅ…肝に銘じます…」

 

「と、今日は少なめだね、とりあえず今いる全員は終わったね。よくやったよ」

 

並んでいた生徒達を帰し終え、リカバリーガールは運命に向き直る。

 

「ふぅー、やっぱり消費しちゃうな…」

 

「必要以上に消費したかい?何でだと思う?」

 

「え、今のでわかるんですか!?」

 

「あぁ、わかったさね。まぁそれも次の患者が終わったら話そうかね」

 

イスから立ち上がり保健室の奥の扉へ向かう。

 

「ん?隣室なんてあるんですね、準備室ですか?」

 

「それもあるがね、訳あり用さね」

 

保健室の奥の扉の先にはいくつかのベッドと仕切り、その中で一つ使用中のベッドがあった。そこには長身の金髪で骨と皮のようなやせ細った男性が寝ていた。

 

「この人ですか?」

 

「ほら起きな、時間だよ」

 

杖でボスンとシーツごと叩き起こす。

 

「はっ!リカバリーガール!それに運m「寝ぼけてるね」ゴフゥ」

 

「良いんですか?吐血しましたけど」

 

「さぁ患者の部位を見せるよ」

 

何故か喋り出した途中で顔を杖で叩き、有無を言わさず服を捲り上げ患部を見せる。

 

「ッ!!?」

 

見てしまい絶句する運命。

 

「ヒドイだろう?呼吸器官半壊、胃袋全摘出、度重なる手術で後遺症もある。さぁあんたが出来ることはあるかい?」

 

「……わかりました、全力で行きます神衣ウンディーネ!『ディスペルキュア』!!」

 

「おお!痛みが、長年続いていた痛みが消えていく」

 

「ふむ…」

 

「はぁっ、はぁっ、あ、ふらふらする。すいません、限界…」

 

「良いよ、そこで寝な。よくやったよ」

 

神衣を解き息を荒げる運命が後ろの使われていないベッドに倒れ込み、そのまま寝息を立てる。

 

リカバリーガールはそれを見届け、患者であった男性に話しかける。

 

「どうさね?」

 

「はい。いつも感じていた慢性的な痛みと呼吸する度に感じていた痛みが消えました」

 

「だが見るに胃や呼吸器官は治ってないね、欠損などの再生は無理か、状態異常の毒及び痺れは完治とまた尖った回復だね」

 

「ですがこれは凄い能力ですよリカバリーガール。これが精霊の力というものか…」

 

「この子が全部言ってるとは思えないけどね…まぁ今度は病院周りで確認がてら鍛えるとするかね」

 

「嬉しそうですねリカバリーガール、後継になりそうですか?」

 

「甘いこと言ってんじゃないよ、たった5人で気絶する子に雄英の保健室任せられるかい」

 

「その顔で言われても説得力がありませんよ」

 

「痛みが取れたからって無茶するんじゃないよ」

 

「思いっきり息が出来ることがこんなに気持ちいいことだったとは」

 

「この子起きたら帰すからあんたも仕事に戻りな」

 

「ええ、失礼します。あぁ彼に感謝を」

 

「皮と骨が言ってたって伝えといてやるよ」

 

「HAHAHA手厳しい、では」

 

骨と皮だった男性は筋肉隆々の日本ナンバー1のヒーローになり保健室を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の放課後

 

「今日は病院を回るよ、ついといで」

 

制服姿の運命とリカバリーガールが数人のプロヒーローと共に依頼のあった病院に到着する。

そこで院長含め上役達が一斉に出迎え歓迎を示す。皆が畏敬を示すその姿に荷物持ちの運命はリカバリーガールの積み上げて来たものの一端を知る。

 

「リカバリーガール、本日もお願いします」

 

「あいよ、まかせときな」

 

そんな院長達を軽く扱いながらいつものことのように病院の中に入り、次々にその個性を使い治癒していき、運命に知識と経験を積ませる。

 

「うっ」

 

「目を背けるんじゃないよ、あんたはこれを見て治さなきゃいけないんだ」

 

「ぐっ…はい」

 

「まぁ慣れさ、暫くハンバーグなんかは食べれないかもね、くけけけけ」

 

必死に目を背けないように、患部を見て回復を発動させるその若さに笑みを浮かべながら

 

「ふむ、病気は治せないようさね」

 

様々な容態の患者に回復を試させながらリカバリーガールはその日の訪問を終え雄英に帰る。保健室に戻り対面する。

 

「さて、今日は8人治せたね。なんでだと思う?」

 

「回復だけ使うってことが今までなかったので慣れてきましたかね、あと同じ様な傷口には初めての時より消費少なくなった気がします」

 

「そりゃあんたが傷口をしっかり見て治す過程を考えれたからさ。初日に骨折と判断して治した子がいたね?あれ実は骨折してなかったのさ、ヒビ程度だったのにあんたは患者の言うことを鵜呑みにして過剰回復をしてたってことさね」

 

「見ただけでわかってたんですか?」

 

「あたしがどんだけ骨折見て来たと思ってるんだい、解らない時は触診とかもするもんさ、あんたは理解しなきゃいけない、人体の構造を。慣れなさい。正しい理解が適正量の回復を導き、そうすりゃぁあんたの負担も減るだろうさ」

 

運命に語り掛けながらリカバリーガールはいつもの安心させる笑みではなく、相澤の様に壁を乗り越えて見せろと笑いかける。

 

「さぁこれからはビシバシ数をこなすよ、気張りな坊や。Plus Ultraさね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ママン

 

今日は隣の席の子が凄い秘密をサプライズで明かしてくれたんだ!

 

なんと地水火風だけじゃなく回復まで使えるんだって☆

 

彼はクラスメイトに恋をしてるし青春してるよね☆

 

…うん、学校での楽しい事、全部教えるよ…ママン

 

 

 

 

 

 

 

 

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