僕の運命アカデミア   作:乙子

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第13話~林間合宿その2~

 

 

 

林間合宿3日目

 

個性伸ばしの訓練を始めて二日目も前日に引き続き二属性神衣の維持と制御を行っていた運命は遠くの個性伸ばし訓練場所からマンダレイのテレパスを受ける。

 

『運命君、イレイザーが呼んでるから中央広場まで来て』

 

「っ!これびっくりするな~」

 

突如響くテレパスにビクッと肩を震わせながら内容通りに中央に飛ぶ。

 

するとそこにいたのは呼んだ相澤と補習を受けていた切島、芦戸、上鳴、砂藤、瀬呂が、へろへろになりながら、少し近くの簡易トイレ付近に青山と麗日がふらふらになりながらいた。

 

「ん、運命か。こいつらに一発回復入れてくれ。試したい回復があるって言ってただろ?丁度いい機会だ」

 

「俺ら実験動物かよ…」

 

「疲労も回復できんのか?」

 

「瀬呂お前それ根津校長の近くで絶対言うなよ、恨みかブラックジョークかわかんねぇお小言連発されるからな」

 

「そうですね、確かに丁度いい状況ですね。神衣『ノーム、ウンディーネ』」

 

空中から降りて来た運命がその場にいる全員の真ん中に降り立ち二属性神衣を変更する。

 

「出た、新技二色変身…」

 

「相変わらずド派手だねー運命は」

 

「ポニテは二個にならんのやね、ちょっと残念」

 

胸の前に両手を合わせ集中した運命を中心に大地に近くの全員を含む大きな魔法陣が展開される。

 

「『広がれ活心の輪、再生の歌と共に!フェアリーサークル!』」

 

魔法陣の中心に複数の白き花が咲き乱れ、範囲内の対象に光が吸い込まれて行く。周囲もその幻想的な光景に思わず息を呑む。

 

「俺も範囲に入れてくれたか、助かる」

 

「めっちゃキレーじゃん!今度さっきの花の中で自撮りしていい!?」

 

「いや、芦戸そんな風に使ってやるなよ…」

 

「おぉ、何かスッキリして力出て来た!サンキューな運命!」

 

「偶然おったウチらにもありがとう運命君って大丈夫!?」

 

「はぁ、ぜぇ、……これが範囲回復の使用感か…きつ…」

 

神衣を解除し両手両膝を地面につきながら呼吸を荒げる運命。回復してもらった麗日が駆け寄ろうとするも相澤に制止される。

 

「いい、お前は訓練を続けろ麗日、運命の訓練でもある。お前らも少し回復しただろう、気合入れていけ」

 

「「「「はい!」」」」

 

訓練に散る生徒を見ながら少し呼吸を整えさせる猶予を与えてから声をかける。

 

「そして運命、お前には特別訓練追加だ」

 

「はぁ、はぁ、特別、訓練?」

 

「そうだ、お前の地水火風。そのマルチな個性を同時に訓練するには相手がいない。だがここには土の個性のスペシャリストがいらっしゃる」

 

「つまり…」

 

「私が相手ってことさ!」

 

一段下のフィールドで食材などのトラックから荷下ろししていたピクシーボブが土流を操作し運命の近くに降り立つ。

 

「ピクシーボブ!」

 

「回復に制御で疲れただろう、戦闘で一度リフレッシュしてもらおうと考えてな。ここでは被害が大変な事になる。少し遠目の場所で可愛がってもらえ」

 

そう言うと相澤はその場にいる者達に原点を思い出させと訓練の効率化を図る。

 

「ラグドール!マンダレイ!というわけであっちにいるから必要ならすぐ呼んでにゃー!」

 

「はいはい、せっかくの若い子とのお楽しみだもんね、精々精気吸わせてもらいなさいな」

 

「R18守るのニャー!」

 

二人の声に手を振りながらピクシーボブは運命と自分を乗せた土で人がいない場所へ移動を開始する。

 

「さぁ少年、あのバスの時から君がレベルの高い土使いでもあることは分かってた、だからこっちも本気でやってあげよう。かかって来な!」

 

「ピクシーボブ、貴方の周りには土の微精霊達がたくさんいるのが見えて最初びっくりしました。こんなにも精霊に愛され愛している人がいるなんて、轟以来ですよ…挑ませてもらいます!神衣ノーム!」

 

周囲に人がいないことを確認し合図も無く二人は土を操作する。

 

地面を触り瞬時に23体の土魔獣が生まれ空から前後左右から突撃を開始させるピクシーボブ。

 

同時に運命も足を地面にめり込ませ20本の土柱を生み出し魔獣を貫き崩壊させる、そして大地のアームを制御し上空の3体を殴り壊す。

 

「ヒュー、やるね君」

 

「土魔獣の制御は凄いですけど物はもう見ましたよ」

 

「流石あの生意気ラビットに師事した子ね!生・意・気!!」

 

それはバスの時に見た土砂の大崩落、一面土の攻撃に運命はアームと同時に地面を殴りつけ地面を崩壊させ大量の土を巻き上げる。

 

上からの土砂が下からの土砂で相殺され辺り一帯に地面が吹き飛ぶ。

 

互いに視線から外れ、次の攻撃の為に力を練り上げる。

 

「さぁ今度は防げるかしら!土の槍よ!」

 

100本程の土の槍がピクシーボブの周囲に浮かび上がりその切っ先を運命に向け一斉に射出される。

 

「『万有傅く膝下に エアプレッシャー!』」

 

だがそれらの土槍は全て運命の手前に発生した重力場に負け地面に突き刺さり崩れ去る。

 

「まだまだ行くよ!こういうのはどうかな?『射出』『オールレンジ』」

 

「ッ!?足場を!?くっ!アームよ!」

 

先ほどの運命のように土の柱を運命の真下に展開させ空中に強制的に射出させる、そして空にいる運命に向けて大地から土塊が無数に飛び上がり全方位から投げつけられる。

 

一瞬空中で態勢が崩れた運命は防御回避かを選ばせられ大地のアームを自身の身体程に巨大化させ自分を包み込み殻と操作する。

 

土を操作しその殻へ何度も何度も攻撃を加えていたピクシーボブは壊れる事のないその殻への攻撃を止めて再度土を操作し自分の下の大量の土を隆起させそれを作成する。

 

「堅いね!それでこそ土だ!でもこういうのは体験したことないでしょ?『大魔獣』!!」

 

「……無茶苦茶しますね」

 

殻を外し空中に浮かんだまま運命がさらに上を見上げるほどの巨大な土の魔獣が生まれていた。ビルで言えば20階ほどだろうか、100mは越してないくらいかという現実逃避が浮かぶほどに大きなソレを前に運命は冷や汗が流れる。

 

「いっくよー薙ぎ払えー!!」

 

「ぎゃあああああああ!死ぬーーー!」

 

足は無く腕が二本と顔らしき所にピクシーボブが乗っているそれの片手の一振りで大地がえぐれ風圧で木々が吹き飛ぶ。

 

大きく避けても風圧で吹き飛ばされる運命はなすすべなく飛び回るしかない。

 

一度振り回された後の腕に追いつき顔付近にいるピクシーボブにアームを射出して攻撃してみるも顔の土を操作され防御される、そしてすぐ逆の腕がまた運命を狙う。

 

「ほらほらープルスウルトラはどうしたー?」

 

「くっ…何かないか…」

 

避けたあとの風圧で距離を取りながら思案し、視界の端に見えるそれに気づいてしまう。

 

(あの作られた崖って確か梅雨ちゃんが訓練してる所じゃ…この距離では風圧だけでも被害が!?)

 

大魔獣から逃れようと距離してしまった先では蛙吹が訓練していた崖だと確認してしまう、蛙吹がいるかは見えないがあっちの方面に被害を与えるわけにはいかないと一気に力を練り上げアームに込める。

 

左から来る大魔獣の右腕に向けて渾身の力で叩きつける。

 

「『剛腕一閃!地神・玄舞』!!オラオラオラオラオラオラオラオラァ!!!」

 

「やるにゃん!ここで足止めて撃ち合うなら私も全力でぇえええええええ!!」

 

大地のアームと己の拳で目の前の壁とも思える巨腕を乱打する。全力で殴り抜き衝撃を止めたがさらにピクシーボブは大地から土を補充しさらに腕を大きくして押し切ろうとする。

 

「ぐぁあああああああああああああああ!!力がっ、足りないいいいいいいいい!!!!」

 

(なら足せば良いだろ!神衣ノーム・イフリート)

 

地の神衣から強引に火を足し威力を倍増させる。一気に増えた負担に身体が爆発しそうになりながらもここを通すわけにわいかないと雨が降るなか見たあの笑顔を思い出す。

 

 

 

【雨を浴びると気持ちいいのよ?】

 

 

 

「守って見せる!!Plus Ultraああああああああああああああ!!」

 

大地のアームに火炎が纏わり一気に大魔獣の腕を吹き飛ばす。

 

全力を吹き飛ばされ驚愕するピクシーボブに大音量のテレパスが入る。

 

『…ーボブ!流子!!あんたやりすぎでしょ!!訓練場に近づき過ぎよ!!!』

 

「え、あ!?やっば!!!」

 

集中し過ぎでテレパスにようやく気付いたピクシーボブが動きを止め位置を確認する。

 

直撃はしないがもう近くにまで崖の訓練場が見えていたのだ。

 

力を出し切ったのか運命がゆっくり大地に落ちていくのを残った手で掬い上げ顔まで持ってくる。

 

変身が解け大の字になり激しく胸を上下するその姿にピクシーボブが気づく。

 

「君まさか撃ち合ったのは後ろに被害行かさないため…?」

 

「ヒー、ローはっ、守る、もん、でしょ?」

 

「この子…」

 

『二人とも聞こえる?近くの子はもう避難完了させたから大丈夫だけど、もう戻っておいで!』

 

「なんだ、良かったぁ……」

 

そのテレパスを聞き満足そうに眠った運命を見ながらピクシーボブは土を操作し大魔獣のサイズを小さくしていき土流として訓練場まで戻る。

 

「もう少し若かったら本気で狙ったかもね…若い子も育ってるねぇ」

 

ネコの手を模したグローブで寝てる運命の頬をぷにぷにと押しながら笑うピクシーボブであった。

 

このあとマンダレイに滅茶苦茶怒られたのは言うまでもない話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして本日の訓練を終え回復も終え、夕食を食べ片づけも終えた所で生徒お待ちかねのイベントが始まる。

 

「肝を試す時間だーー!!」

 

「「「「試すぜー!!」」」」

 

と一番楽しみにしていたと身体全体で表現する芦戸が腕を突き上げながら叫ぶ。

 

そこに相澤が水を差す。

 

「その前に大変心苦しいが補修連中は…これから俺と補習授業だ」

 

「ウソだろ!!?」

 

笑顔一変死刑宣告されたかのように悲鳴を上げながら飛んで来た相澤の捕縛布で拘束された補習対象の5人が引きずられて連れていかれる。

 

「うわああ堪忍してくれぇ、試させてくれぇ!!」

 

「すまんな、日中の訓練が思ったよりおろそかになってたのでこっちを削る」

 

その凄惨な姿に皆目を伏せた、そして3秒後忘れて肝試しに興味を移した。

 

そしてプッシーキャッツから肝試しのルールとコースが説明されくじ引きで組み合わせが発表される。

 

様々なペアが決まっていき、運命は8組目で緑谷がペアとなった。

 

「運命君!一緒だね、よろしく」

 

「チェンジ」

 

「えええ!?」

 

「お互いの為に梅雨ちゃんと代わって来てくれ、オレが麗日と代わっても良い、な?」

 

「ぼ、僕は別に麗日さんが良いとは言ってなくて、でも一緒だったら良いなとは思ってたけど、でも向こうもそう思ってくれるかはわからないし。でもでも運命君はチェンジって言ってくるし、蛙吹さ…梅雨ちゃんともお似合いの二人だしあれ、これお邪魔虫なのは僕の方じゃ…あれれおかしなこれは僕が最高のヒーローになる物語のはずで…」「皆がヒーローになる物語だぞ」「ひゃっ!?ごめん運命君よくわからないけどそうだよね!!」

 

運命と緑谷がペア変更を考えているとその他のペアも同様だったのか交渉をしている。

 

峰田が八百万と組みたい下心の為に青山に懇願し、爆豪が轟と離れたいために尾白を脅していたりしつつも変更は一切許可されずそのまま続行となった。

 

そして4組目がスタートし5組目の麗日と蛙吹が準備の位置につく。

 

そこに緑谷を伴い運命が話しかけに行く。

 

「次梅雨ちゃん達だね、頑張って」

 

「私は平気だと思うのだけどお茶子ちゃんがもう怖がってて、大丈夫かしら」

 

隣で緑谷と喋っている麗日を見ながら言う。既に入っていった組から悲鳴が響き渡っていてそれがより不安感を煽る。

 

「私より運命ちゃんの方が怖いのダメそうじゃない?」

 

「精霊を見慣れてるオレが幽霊を怖がることは無いと思う、まぁ今回はB組だけどね」

 

「それは同一視して良いのかしら?あ、胃薬は持った?常備しておいた方が良いわ」

 

「…お姉ちゃん!ハハハ、姉属性見せてくるね、どんな時も胃薬は常備することにしてるから大丈夫!」

 

等と会話しているとスターターのピクシーボブが声をかけてくる。

 

「はいはーい、お話してる所申し訳にゃいけど出発の時間よ!ケロケロキティとウララカキティGO!」

 

「「いってらっしゃーい」」

 

緑谷と運命の言葉に軽く手を振って二人が森へ入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして雑談していると運命がいち早くソレに気付く。

 

「炎の気配!?プッシーキャッツ!火事です!!東側!!」

 

「何っ!?真か運命!」

 

「東?本当だ!黒煙よ!コースにかかってるかも!!テレパスで全員避難させるわ!ボブは土で被害軽減を…ってピクシーボブ!?」

 

全員が火事の方を向いているとピクシーボブが何かに引き寄せられるかのように逆側へ吹き飛びそこに立っていた巨漢の男の長物で強打され頭に血を流し昏倒する。

 

どう見ても友好的な存在ではないその二人にプッシーキャッツが即座に前に立つも峰田が絶望の叫びを放つ。

 

「何で…!万全を期したハズなんじゃ!!何で……敵がいるんだよォ!!!」

 

『皆!!!敵二名襲来!!他にも複数いる可能性アリ!動けるものは直ちに施設へ!!会敵しても決して交戦せず撤退を!!』

 

即座にマンダレイのテレパスで皆に情報が伝わり動く準備をする。

 

その間にも敵二名は気絶したピクシーボブに包帯で巻かれた武器をゴリと押し付ける。

 

「ご機嫌よろしゅう雄英高校!!我ら敵連合開闢行動隊!!」

 

ギャハハハと高笑いをするトカゲの異形の敵。長髪サングラスの大男も笑いながら話しかけてくる。

 

「この子の頭潰しちゃうかしらどうかしら、ねぇどう思う?」

 

「させぬわこのっ!」

 

プッシーキャッツの大男、虎が怒りを隠さず言うとトカゲの敵が両者を止め語り出す。

 

ステインの思想に乗っ取り生殺与奪は決められる。

 

保須市でステインと関わった飯田が応えるがトカゲの敵はステインの意思を紡ぐ者『スピナー』と名乗り背後に担いでいた武器を取り出す。

 

そして戦闘が始まりマンダレイがスピナーを、虎が大男にかかっていく。

 

マンダレイも後方の生徒達に叫ぶように告げる。

 

「皆行って!!良い!?決して戦闘はしない事!委員長引率!」

 

「承知致しました!行こう!!」

 

そこで緑谷が皆に先に行くように促し戦闘場にいるマンダレイに伝える。

 

自分は洸汰の場所を知っていると、そして頷いたマンダレイを見て即座に個性を発動し跳び立とうとする。

 

「緑谷!一人で行けるか!?」

 

「運命君は宿舎に!君だ!君しか山火事を消せるほどの水を出せる人はいない、それに回復役もお願い!こっちは僕に任せて!すぐ戻る!!」

 

必死の形相の緑谷はそれだけ言うと返事を見ずに跳びさって行く。

 

運命はそれを聞き緑谷の跳んで行った方角を見やる。

 

「運命君!早く!」

 

「悪い飯田!忘れ物!すぐ戻るから宿舎行っててくれ!」

 

そう言って今までいた方角に走る運命を飯田は止めれなかった。

 

先ほどの広場に戻った運命は気配を消し近くの木に隠れ戦闘を見守る。

 

マンダレイがスピナーを、虎がマグネという様々な犯罪を犯した敵であるということを喋りながら敵の武器を殴り落とし掴み合いに移行した。

 

その場にいる全ての者が膠着した瞬間。

 

その瞬間に個性を発動した。

 

「おいマグネ!下の猫が!?」

 

「確かに気絶させたはずよ!?」

 

気絶していたはずのピクシーボブが土の柱で飛ばされその先で運命が受け止める。

 

「ピクシーボブ確保!戻って回復させます!頼みましたよ!!」

 

「「ナイス!」だ運命!後で我が抱擁してやる!!」

 

「また今度で!神衣シルフ!」

 

緑の剣の翼を生やし高速で飛んでいく運命。それを見てスピナーとマグネはニヤリと笑う。

 

「「あれが運命クロス」」

 

戦闘は激化していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空を飛ぶ運命は木の上に立ち止まりその場でぐったりと気絶しているピクシーボブに回復を使う。

 

「頭部に酷い傷だ…これは早く治しておかないと『キュア』」

 

傷口を塞ぎ出血を抑え内部に回復を通していく。

 

苦しそうだった顔が少しずつマシになっていき、回復を終える。

 

これであとは宿舎に戻るだけだと再度飛び上がり移動していると下で半裸で洸汰を連れた緑谷と担任の相澤を見つけすぐに降りる。

 

「先生!緑谷!洸汰君!無事…じゃねぇなその腕」

 

「運命君!それにピクシーボブも!良かった救助してくれたんだね!」

 

「先生!ピクシーボブは頭部に強い衝撃で昏倒しました、回復はもうかけたので命は大丈夫だと思います!」

 

緑谷と運命の状況を理解し何が一番大事かを考え決定する。

 

「お前ら…よし、ピクシーボブと洸汰君は預かる。運命は緑谷の足となって回復もしながら同行しろ。飛べるなら早いはずだ、そして終わったら即座に戻って来てくれ。回復のお前が皆の命の最終ラインだ。緑谷、マンダレイにこう伝えろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

再度プッシーキャッツと敵の戦闘場に戻った運命と緑谷は巨大な剣の塊のようなものを振り回すスピナーに勢いのまま跳び蹴りを食らわし武器を破壊する。

 

「マンダレイ!洸汰君ピクシーボブ無事です!相澤先生からの伝言です!テレパスで伝えて!!」

 

そしてテレパスで一帯に伝えられる。

 

『A組B組総員プロヒーローイレイザーヘッドの名に於いて戦闘を許可する!!』

 

「あと、もう一つ、いや二つ!」

 

運命の移動中の回復で辛うじて拳を握れるほどに回復した緑谷が運命の背から飛び降り火事の方へ走り出す。

 

「敵の狙い、少なくとも、かっちゃんと運命君が狙われてる!これもお願いします!運命君は早く戻って!」

 

「かっちゃんって誰?待ちなさいちょっと!」

 

「かっちゃんは爆豪勝己です!それとオレ…?」

 

困惑する運命達に即座に脅威を判断したマグネが緑谷に襲い掛かろうとするがスピナーに止められる。

 

ステインの意思を尊重し緑谷出久は生かすと語る隙だらけのスピナーにマンダレイが渾身の蹴りを当てる。

 

そして追加されるテレパス

 

『敵の狙いの二つ判明!生徒爆豪勝己と生徒運命クロス!この二人はなるべく戦闘は避けて!!単独では動かないこと!!』

 

スピナーを拘束するマンダレイにマグネと戦い続ける虎。

 

運命は困惑しながら思案する。

 

(加勢か、施設に戻るか、皆を助けに行くか…どれが正解だ…考えろ、考えろ)

 

「運命君は戻って!ここはすぐ終わらせるから!」

 

「施設に戻るのはやめといたら?」

 

「貴様何を言う!?」

 

マンダレイの言葉に従いそうになるもマグネの言葉に動きを止める。

 

それを見て歓喜の顔で言葉を続けるマグネ。

 

「空飛ぶ個性を捕まえるなんて簡単じゃないのは分かってるわ、だから向こうから来てもらうのよ」

 

「行くわけないだろうが!!」

 

「いいえ来るわ、だって貴方大事な人(・・・・)がいるんでしょう?」

 

「お、お前何を言ってる…」

 

「聞くな敵の言葉だ!!」

 

「若いって良いわね、青春だもの…蛙吹梅雨、蛙の個性の女の子、恋って素敵ね」

 

「きさまぁあああああああああああああああああああああああ!!」

 

「乗るな運命!!」

 

「『魔神拳・双牙』『三散華・追蓮』『双撞掌底破』!!!」

 

虎と戦っていたマグネに突撃し拳を、脚を振るいダメージを与えていく。

 

「強いわねあんた、それに良い顔してるわ、ゾクゾクしちゃう!!痛っ!!?」

 

「『イフリート』、『シルフ』、『ウンディーネ』、『ノーム』!!」

 

炎が、風が、水が、土が連続してマグネにダメージを与えその姿をボロボロにしていく。マグネも避けて致命傷を避けるだけで反撃は出来ない。

 

「吐け!何が目的だ!?彼女に何をした!?答えろ!!!吐けば治してやる!!」

 

様々な攻撃をしかける運命にマグネは余裕を崩さない。サングラスが吹き飛ぶもその目はまだ余裕があった。

 

「ねぇ良いの?ここにいて…彼女どうなっちゃうでしょうね!?」

 

狂気的に笑うマグネに追いついた虎が再度攻撃を加え今度は追い込んでいく。

 

「虚言だ、聞くな」

 

「…すいませんオレ行きます!」

 

そして風の神衣を纏い虎が止める間もなく飛び去って行く。マグネはそれを見送りさらに煽る。

 

「運命!?速すぎる…マンダレイ!」

 

「ええ!また追加ね!間に合えば良いけど…」

 

『敵の狙いさらに判明!生徒蛙吹梅雨!』

 

「子供も守れないってヒーローって無力ね」

 

「貴様っ!ここで仕留める!!」

 

「お願い、無事でいて…」

 

まだ戦闘は終わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

広場を飛び出した運命はまずは火事の現場を見やり雨が降り注ぐ様に天候を操作する。

 

過度な自然への干渉は精霊達に禁止されているが今回は止められないようだ。

 

雨雲を集めて雨を降らす、これで皆が助かって欲しいと祈りながら。

 

そして上から次の場所へ移動しようとするもその判断に迷う。

 

(氷が見える、轟と爆豪だろう、あの二人なら強い、オレが優先すべきは…このガスだ!)

 

そしてガスが円状に広がっているのを確認し誰かが戦っているのか銃声が聞こえ中央に降り立ち一気にガスを舞い上げる。

 

「『風よ』!!」

 

「ガスが!?全部だと!?何故だ!?」

 

「驚いてる場合かよテメェはよ!!」

 

「しまっ!?」

 

渾身の一撃で学生服を着た敵を殴り倒したB組鉄哲と拳藤が降りて来た運命を見つける。

 

「助かったぜ運命!」

 

「良いタイミングだったよ!」

 

「大丈夫か二人とも!よくガスマスクなんてあったな」

 

「八百万に作ってもらってよ、そうだ運命!塩崎と骨抜がガス吸っちまってよ!すぐそこだ!来てくれ!!」

 

「この敵は私が見とく、二人を助けて」

 

「……速く行こう」

 

運命はすぐ近くにいたガスを吸って気絶している塩崎と骨抜を回復させすぐに次に飛んでいく。

 

すると近くに頭から流血する八百万とB組泡瀬を見つける。

 

真横に降りる運命に泡瀬は身構えるがすぐに警戒を解く。

 

「八百万!それに泡瀬、大丈夫か!?すぐに回復させる!」

 

「八百万を先にしてやってくれ!」

 

「わかってる『キュア』お前もだ『ファーストエイド』傷は治したけど…」

 

「…う、んめいさん」

 

血だらけの八百万が何かを伝えようと口を動かす。

 

「聞こえてる、何が言いたい?」

 

「て、てきは役目を果たして、撤退に、入りました、発信機は付けましたが、まだ、間に合うはず、ここと逆側、轟さんたちの、方へ」

 

「!?わかった!泡瀬、このまま頼むぞ!!」

 

即座に飛び上がり氷が見える方向へ飛んでいく、そこには大破壊の後と氷と、白い歯のような鋭利な物が散乱しており激しい戦闘があったことを物語っている。

 

それは途中で終っておりその周辺にも誰もいなかった。

 

運命はさらに上空へ飛び上がり俯瞰する、皆が、蛙吹がどこにいるか必死に目を凝らしながら飛ぶ、そして空へ燃え上がる蒼炎を見つける。

 

そこへ最高速で向かうと障子、緑谷、轟が敵数人と戦っていた。

 

速度そのまま蹴りを炎を出している皮膚が継ぎ接ぎの男に食らわせ吹き飛ばす。

 

「運命君!!」

 

「ようやく来やがったな主賓、遅いじゃないか」

 

顔にマスクを付けたシルクハットの男が突如現れ運命に両手を広げて頭を垂れる。

 

「スピナー、マグネ、ガスの学ランはもう倒したぞ、後はお前らだけだ、投降しろ」

 

おそらく倒されているスピナー、マグネの事も言い脅しをかける運命。

 

「ヒュー、カッコいいねお前状況わかってんのか?」

 

蹴飛ばした敵が戻ってくる。その継ぎ接ぎで分かりにくい顔で笑顔を作る。

 

そこに悠々歩いてきたマスクがポケットから小さな珠を取り出し告げる。

 

「ここに入ってるの誰かわかるかい運命君?」

 

「……緑谷、誰攫われた?」

 

「くっ…常闇君とかっちゃんと……蛙吹さん」

 

「………最悪だな」

 

「さてヒーロー科主席の運命クロス君、君の大事な大事な蛙吹梅雨はここにいます。月並みだが人質交換をしようじゃないか!人の恋路を邪魔するおじさんで悪いね~」

 

「止めろ運命、そいつらが素直に返す訳ねぇだろ」

 

「そうだ、敵の言葉など信用できん」

 

轟と障子が必死に言い返す。

 

「おいおい酷い言い草だな、ヒーローなら人の言うこと信じろよ。俺らが欲しいのはお前だ、女は別にどうでもいい。お前が来ないならこの女がどうなるかなんて言うまでもないよなぁ?」

 

「………守れないなら天変地異起こしてやるからな?マスク」

 

「くくく、そりゃ怖いな」

 

コロコロと珠を弄びながら言う敵に運命は変身を解き歩き出す。

 

静止する声が身体の中の精霊達から、そして緑谷達から響く。

 

左手を出すマスクに手を伸ばす運命。そこに黒き靄が敵の背後に発生する。それはUSJで見た個性。

 

「ワープの…」

 

絶望の声が響く中マスクがシルクハットを取り顔のマスクを外し舌を出す。

 

「さっきの途中だったけどね、マジックの基本でね、モノを見せびらかす時は見せたくないモノがある時だぜ?」

 

そこには二つの珠が、常闇と爆豪の珠であった。

 

運命の手を掴もうとする瞬間に死角から見慣れたレーザーがマスクの顔に射出される。顔に当たったレーザーの衝撃で中の珠と手の珠がこぼれる。

 

「ッ!ナイス!」

 

運命は即座に手の珠と零れ落ちた珠に手を伸ばし何とか先に触れた3つの内2つの珠を手に振り返る反動で後ろに投げる。距離的に取れなかった一つと投げる動作を優先し近すぎた運命は継ぎ接ぎとマスクに掴まれてしまう。

 

「確認だ解除しろ」

 

「俺のショウが台無しだ!」

 

パチンという指弾きと共に珠が解除され運命が投げた珠から常闇と蛙吹が、取れなかった珠から爆豪が出現し闇に吸い込まれて行く。

 

運命は後ろで蛙吹梅雨が解放されるのをなんとか確認し笑いながら珠にされた。

 

「任務完了問題無し」

 

最後に消えた敵の言葉を残し、二人は誘拐された。

 

 

 

 

 

 

 

 






青山君は本当良い仕事をする。







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