僕の運命アカデミア   作:乙子

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第14話~神野~

 

 

 

 

 

爆豪と運命が敵連合に攫われた翌日

 

爆豪勝己は敵への勧誘の為どこかの寂れたバーに拘束され、運命は手術室の様な場所に拘束され寝かされていた。

 

運命の身体に取り付けられた様々な医療機器からパソコンにデータが表示されを眼鏡をかけた老齢の男が分析している。

 

「ふむ…特にどうといった代わり映えしない健康なだけの身体じゃな」

 

「やはり個性自体が異質、ということかなドクター」

 

「じゃのう…ラグドールから奪ったサーチはどうじゃ?」

 

「やはりこの個性は良いね、以前から目を付けていた甲斐があったよ。思わぬ幸運というやつさ」

 

「まぁ目があってこそじゃがな。ラグドールは脳無保管庫で脳無素体として置いておこうかの」

 

「それはこれからさ、さぁ”回復”の個性。今度こそ当たりであってほしいモノだ」

 

「さぁ奪い取ってくれ…AFO」

 

医者の老人に促され、スーツを着た大きなマスクを付けた男、AFOは運命の頭に手を笑いながら翳す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

警察特別対策本部室

 

敵連合による雄英高校生徒襲撃において二人の生徒と一人のプロヒーローの行方不明事件に於いて、警察は即座に特別対策室を設立し情報を集め捜査、そして手がかりを掴む。

 

大規模な捜査による徹底的な包囲網と雄英高校生徒が付けた発信機による追跡で敵のアジトを二つに絞り込むことに成功、そしてプロヒーローに緊急招集をかける。

 

No.1オールマイト

 

No.2エンデヴァー

 

No.4ベストジーニスト

 

No.5エッジショット

 

No.10ギャングオルカ

 

期待のルーキーシンリンカムイ

 

Mt.レディ

 

他にも多くの実力はヒーローが招集に応じ一室に集まる。

 

時間になり会議を始めようとする塚内だが突如扉が乱暴に開けられ乱入者が現れる。

 

「君は…ミルコ?要請に応じてくれるのは珍しいな」

 

No.7ミルコが遠慮なしに入室し周囲を見回す。

 

「塚内だったな、ここが雄英高校生徒拉致の対策室だな?」

 

「そうだ、来てくれて感謝する」

 

「オールマイト、本当に拉致られたのは報道の通り爆豪と運命の二人か?」

 

「…あぁ、そうだ」

 

「ちっ、ん?おいプッシーキャッツの虎、だな?」

 

「うむ」

 

「てめェらがお守りだったんじゃねぇのか?運命がそこらの敵に捕まる訳ねぇだろ!?何があった!?」

 

胸倉を掴み問いかけるミルコに虎は顔を歪め答える。

 

「奴は状況が不明な中飛び回り森林火災の消火、毒ガスへの対処、被害にあった生徒への回復など尽力し、最後に人質交換に応じてクラスメイトを守ったのだ…」

 

「人質交換…っ、まさか蛙の奴か?」

 

「そうだ、名を蛙吹梅雨と言ったか、…親しい故に狙われたのだ」

 

「ほう、級友の女子を守る為か、良い気骨を持った男子ではないか」

 

ギャングオルカがそれを聞き感心したように頷く。

 

「そうか……あの、馬鹿野郎…」

 

ミルコは掴んでいた手を離し一度地面を見やる。

 

「ミルコ、今回は完全に私達プッシーキャッツの不始末さ、私も運命に助けられてね。メンバーのラグドールも一緒に拉致されてる。私達も何があっても救い出すよ」

 

頭に包帯を巻いたピクシーボブが覚悟を決めた顔で虎と並ぶ。

 

「ふん、塚内、今回一番危険な所に私を配置しろ」

 

「ミルコ、今回の事件は連携が大事だ、勝手は困る」

 

「…今回は従ってやる、だから私を一番危険な所に配置しろ、そこに人質もいるだろ」

 

「協調性皆無だった野兎が随分な変わり様だな、初めて育成に関わり気に入ったか?」

 

「エッジ…今てめェに構ってる暇はねぇ、黙ってろ」

 

いつもと様子が違うミルコにエッジショットが肩をすくめる。

 

「ありがとうミルコ、協力してくれて。運命少年も君からの教えを元にグングン成長していたよ」

 

「オールマイト…」

 

「だが今回の一番手は私に譲ってくれないか?雄英の教師として、一人の大人として、ヒーローとして敵達に私が反撃に来たと言わねばならんのだ」

 

右拳を強く握りしめながら外に威圧感が漏れるのを隠さずにオールマイトは告げる。

 

「良いだろう。今回は譲る、が最優先は」

 

「もちろん救出だ」

 

「救出し終えたら私がたっぷり敵を蹴ってやるさ」

 

「よし!早速今回の電撃作戦を伝える!即座に動くぞ!」

 

塚内の声に全員が意識を集中させる。反撃の時は近い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほう、精神世界か」

 

何度も見た精神空間を見回りながら歩き出すAFO。遠くに光が差し込みそこに倒れ伏している運命を見つけ近づく。

 

「『去りなさい、悪しき者よ』」

 

だがその歩みは水の化身、大精霊ウンディーネにより止められる。

 

「運命君ではなく精霊と呼ばれる存在かな?酷いな、僕を悪と断ずるなんて」

 

「『その身に宿る怨嗟の数、どれほどの人を踏みにじってきた』」

 

「おいおい、僕はこれでも人助けをしてきたつもりさ。多くの人が僕に言うぜ、ありがとうって」

 

「『巨大な黒に一点の白があることは認めましょう、しかしその本質は隠せません。人の世に生まれし巨悪よ』」

 

「ふぅん」

 

右手から全てを奪おうと吸い寄せるも地水火風の精霊が障壁を張り阻む。

 

火の化身、大精霊イフリート。風の化身、大精霊シルフ。土の化身、大精霊ノーム。全てが両手を翳す。

 

「面白い、少し遊んでみようか」

 

心底楽しそうにAFOは笑い続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、OFAとの精神の勝負とは違い力勝負になってしまうか、こうなるとストックの少ない今の僕では時間がかかってしまう」

 

「『何度やっても同じこと』」

 

「うぅ、一体何が…皆!?なんだコイツは……魔王…?」

 

目覚めた運命は見慣れた精神世界で見慣れた精霊達を見つけ、そして今まで見たことのない邪悪な存在に気圧される。

 

「『下がっていなさいクロス、この者は全てを奪う』」

 

「初めまして運命クロスくん、早速だが君の個性を譲ってくれないか?」

 

あまりプレッシャーに運命は動けない。死すら幻視してしまうほどの圧倒的な威圧感だった。

 

「……っ」

 

「あぁ、自己紹介がまだだったね。僕はAFOと呼ばれている。先ほど君が言ってくれたように魔王を目指す者だ」

 

両手を広げ笑いながらAFOは宣言する。

 

「AFO…」

 

「む…どうやら遊びすぎた様だ、楽しい時間というのは過ぎるのが早くて困る。続きは現実世界で行うとしよう」

 

4大精霊を前に争っていたAFOは何かに気付くとあっさりと精神世界から消えていく。

 

「『気を付けないクロス、あの者は危険すぎる』」

 

ウンディーネの声に頷きを返しながら運命も現実世界へと意識を移す。

 

目を開けると手術室のような場所で裸で寝かされている自分に気付き即座に火の神衣を纏う。

 

同時に付けられていたコードやチューブは剥がされ異常を知らせる機械音が響く。

 

窓のような場所の向こうには先ほど精神世界で見たAFOがいた。AFOはPCに向かい何か言っている。

 

「…良い判断だよ死柄木弔」

 

「先生、被検体が起きた、ここでの争いは困るぞ」

 

「わかったよ、ドクター。彼にも一緒に来てもらおうか」

 

立ち上がり手を運命に向けるAFO、すると運命の口から泥水が溢れ身体を覆い別の空間に転移させていく。

 

「っ!?身体が……」

 

「さぁ、終わりの始まりさ」

 

AFOも同じく口から泥水を発生させ転移を行う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は戻り脳無保管庫の廃工場

 

Mt.レディの巨大な一振りにより壁が破壊され待機していたヒーロー達と機動隊が突入し置かれていた脳無を確保していた。

 

ベストジーニストが脳無を確保する為に機動隊に移動式牢を要請し現場指揮を執っている。

 

十数体もの脳無を確保していたヒーロー達は同じく拉致されていたプロヒーローラグドールを救助する。

 

生きてはいるが意識がはっきりせず視線をさまよわせるだけのラグドールに虎が布をかけ抱き上げる。

 

「ラグドールよ!返事をするのだ!!」

 

「チームメイトか!息はあるな、良かったな」

 

「しかし、様子が…何をされたのだラグドール!!」

 

ギャングオルカと虎が話していると奥の扉が吹き飛ばされ白い衣装に炎の大剣を持った運命が飛び出てくる。

 

その姿はボロボロで周囲を見回すことなく暗闇の奥を見据え大剣を構えている。

 

「運命!よく無事で!!」

 

「虎さん!?今すぐここから逃げて!!アレはダメだ…殺されるぞ!!早く!!!」

 

その尋常ではない様子に即座に全員が戦闘態勢に入り前に出る。

 

「下れ運命、君を救うために我々は来たのだ。こちらジーニスト、雄英生徒発見、救助する」

 

ジーニストが運命の前まで歩き後ろへ促す。だがそこに声がかかる。

 

「まだ待ってくれないか運命君、こちらの用が済んでなくてね」

 

奥の暗闇から漆黒のスーツを着たAFOがコツコツと近寄って姿を現す。

 

「止まれ!動くな!」

 

ギャングオルカが静止の声を上げると同時にジーニストが個性でスーツの繊維を操作し縛り上げ拘束する。

 

その余りにも早すぎる拘束にMt.レディは驚愕してしまう。

 

「ちょジーニストさん問答無用は…」

 

「状況を考えろ、その一瞬の迷いが現場を左右する。敵には何もさせるな…!?」

 

縛り上げられたはずのAFOの腕が膨らんだ、次の瞬間、全てが吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………っく…な、なにが……!?」

 

全身に衝撃を食らい吹き飛ばされた運命が周囲を見回すと辺り一帯が消えてなくなっていた。

 

倉庫も地面も建っていたであろうビルも、そして周囲に倒れ伏すヒーローに運命を庇い眼前で倒れ伏すベストジーニスト。

 

パチパチパチ、宙に浮くAFOがゆったりと手を叩く。

 

「流石No.4!ベストジーニスト!!僕は全員消し飛ばしたつもりだったんだ!皆の衣服を操り瞬時に端へ寄せた!運命くんのは服では無かったが自らが身を挺して守るとは。その判断力・技術…並の神経じゃない!」

 

「……こいつ…」

 

ベストジーニストが繊維を操り反撃しようとするもAFOの指先から放たれた衝撃波で腹に穴を開けられる。

 

「相当な練習量と実務経験故の強さだ、君のは…いらないな。弔とは合わない個性だ」

 

腹の中心に穴が貫通し、向こう側が見えていた。

 

「ジーニスト!?あぁ、ダメだ!『キュア』!!」

 

「…に、げろ…」

 

気絶するジーニストへ回復をかけるが応急手当止まりで欠損が治せない。何度もかけるが効果は薄い。

 

「『キュア』『キュア』『キュア!!』クソォ!!」

 

「さぁ、これで邪魔者はいなくなった。次は君だ」

 

地面へ降りたち歩いてくるAFOに即座に神衣を展開する。

 

「!?『神衣!ノーム・イフリート』」

 

アームを手とし炎の大剣を右手に持たせる、左手のアームを盾とし右手の大剣に業火を纏わせを振りかぶり切り払う。

 

「『火神招来!我が剣は緋炎!紅き業火に悔悟せよ!フランブレイブ!!』」

 

「さきほど会った精霊の力によるブーストでの変身か、だが使いこなせていないね。4柱の精霊だからこそ僕を止めていられたのに」

 

炎の大剣を左手で軽く受け止め確認するように眺める。持った手に業火が纏わりつくも燃えたそばから再生している。

 

「これでどうかな?」

 

盾越しに見る運命に指を向けるAFO

 

「っぐああああああああああああああああああ」

 

ジーニストの腹を貫通させた攻撃が大地の盾を貫通し運命の左腕を消し飛ばす。

 

「ほら、腕が無くなってしまったよ。大変だ、回復させないと。待ってあげよう」

 

そう言いながら攻撃の意思は無いと剣を手放し両手を組むAFO。

 

運命も痛みに苦悶の声をあげながらも回復を行う。

 

「ぐっ…『キュア』『キュア』!」

 

肘から先の流血が止まるだけの様子にAFOはつまらなさそうにつぶやく。

 

「どうした?それで終わりかい?欠損は治さないのかい、治せないのかい?精霊の力とやらもその程度か…期待していたのに…君の個性は実に無駄が多い、地水火風だけでなく体術まで含んでいるから膨大でその大きさに見合っていない。何故パンチやキックに名前を付けてそれが個性の一部となっているんだい?精霊は力の結晶としてのブーストとしては破格ではあるが意思がある分屈服させて意思を奪わないとならない……はぁ、これじゃあいらないな」

 

再度手を動かし始めた所で突如空間に泥水が複数現われ爆豪や敵連合の面々が転移されてくる。

 

何度も咳き込む爆豪にAFOは運命から興味を無くし声をかける。

 

「悪いね爆豪くん」

 

「あ!?」

 

見知らぬ男に反応するも背後に敵連合を見て身動きが取れなくなる。

 

そんな爆豪を無視し死柄木弔に喋り始める。

 

「また失敗したね弔。でも決してめげてはいけないよ、またやり直せばいい。こうして仲間も取り返した。この子もね…君が大切なコマだと考え判断したからだ。いくらでもやり直せ、その為に僕がいるんだよ。全ては君の為にある」

 

死柄木弔へそう優しく語るAFOに爆豪も運命も恐怖を覚える。

 

「やはり…来てるな…」

 

上空からオールマイトが飛び掛かりAFOへ攻撃し組み合う。

 

「全て返してもらうぞ!オール・フォー・ワン」

 

「また僕を殺すか、オールマイト」

 

頂上の戦いが始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ずいぶん遅かったじゃないか」

 

組み合ったAFOとオールマイトが衝撃波を伴いながら離れる。

 

それだけで大地は陥没し、周囲にいた面々は吹き飛ばされる。

 

「バーからここまで5キロ余り…僕が脳無を送り、優に30秒は経過しての到着…衰えたねオールマイト」

 

「貴様こそなんだその工業地帯のようなマスクは!?だいぶ無理してるんじゃあないか!?5年前と同じ過ちは犯さん、オール・フォー・ワン。爆豪少年も運命少年も取り返す。そして貴様は今度こそ刑務所にブチ込む!貴様の操る敵連合もろとも!!」

 

姿勢を制御し再度突撃するオールマイト、それにAFOはジーニスト達を吹き飛ばした腕を隆起させる衝撃波で迎え撃つ。

 

「それは…やる事が多くて大変だな、お互いに」

 

瞬きをする一瞬でオールマイトは直線状のビル群を巻き込み吹き飛ばされた。

 

「オールマイトォ!!!」

 

爆豪の叫びにAFOが楽しそうに答える。

 

「心配しなくてもあの程度じゃ死なないよ。だから…ここは逃げろ弔、その子を連れて」

 

指先を黒き何かに変化させ気絶している黒霧に突き刺す。

 

そして強制発動される黒霧のワープ。

 

「さぁ行け」

 

その言葉に死柄木弔が先生は、と返すもすぐにオールマイトが帰ってくる。

 

「逃がさん」

 

再度攻撃するオールマイトにAFOは対応しなければならなくなるが言葉だけを残す。

 

「常に考えろ弔、君はまだまだ成長出来るんだ」

 

その言葉に敵連合は動き出す。既に気絶していた継ぎ接ぎの男荼毘をマスクの男コンプレスが珠にして回収し爆豪を攫って帰ろうと諭す。

 

そこに左腕を失った運命が立ちはだかりアームと大剣を構える。

 

「させないさ」

 

「運命ェ!お前腕が…」

 

左肘から先が無くなっていた運命の姿に爆豪も目を見開き、即座に眼前の敵連合に向けて怒りの顔を向ける。

 

「生きて帰るぞ爆豪!」

 

「あったりめぇだ!」

 

背中合わせになり死角を作らない様に構える二人。

 

「ここでテメェか変身君…」

 

「死柄木、運命は殺していいんだな?」

 

「あぁ、コイツはもう用済みだろう」

 

「運命、この人が梅雨ちゃんの…でも…」

 

「邪魔すんなよポニーテール!しても良いけどよ!」

 

連合の面々も余裕のない状況で飛び掛かってくる。

 

「マスクに近づくんじゃねぇぞ!」

 

「手の奴もな!」

 

爆破とアームと大剣を構える爆豪と運命。

 

近接させてはいけないコンプレスと死柄木弔、ナイフで刺しにくる渡我被身子、メジャーをムチの様に放ってくるトゥワイス、肉弾戦を仕掛けてくるマグネ。

 

次々に襲い掛かってくる連合に連携して何とか凌ぐ二人。

 

オールマイトが懸命に戦う2人に援護しようとするもAFOが的確に邪魔していく。

 

均衡を崩す何かが必要であった。

 

そこで運命が背中合わせの爆豪に声をかける。

 

「逆転の一手、賭けてみるか?」

 

「…出来なきゃ殺すぞ!」

 

「失敗したらどっちにしろ死ぬよ、オレの方は。合わせてくれよ?」

 

「…チッ」

 

「行くぞ『炎舞繚乱!ブレイズスウォーム!!』」

 

「そういうことか!『簡易榴弾砲着弾』」

 

運命から火の紙葉が周囲にばら撒かれ展開する、その散った数多の紙葉目掛けて爆豪が回転しながら爆破を振りまく、紙葉が爆破を連鎖させ大爆発が起きる。

 

「「『大・爆・炎・神!!』」」

 

連合を吹き飛ばし距離が空く。

 

そこに計ったかの様に見慣れた氷壁が展開され上空を駆け抜ける男たちがいた。飯田、緑谷、切島であった。突然の登場に皆が視線を向ける。

 

「来い!!」

 

切島の叫びに爆豪と運命が飛びあがり爆豪がその手を掴む、逆の手で運命の手を掴み勢いのまま急速にその場を離れる。

 

驚愕する敵連合に止めようとするAFO、同じく驚きながらもAFOを止めるオールマイト。

 

連合のマグネ達が個性で跳びかかろうとするも大地が急速に隆起し壁となり阻む。

 

突如現れた土に下を見ると青き衣装の猫がいた。

 

「よく生きてた、今度はこっちが救う番!!」

 

「ピクシーボブ!!」

 

もう一度壁を越えて追おうとする連合に今度は白き稲妻が飛び掛かる。

 

踵月輪(ルナリング)!!テメェら全員全力で蹴り飛ばす!!」

 

固まっていたマグネ、スピナー、トゥワイスが激しい蹴りに昏倒する。

 

「ミルコ!!」

 

「!?その腕…よくもやりがったなテメェら!」

 

遠ざかっていく運命を見やり、運命の左手が無くなっていることに気付き髪をかき上げ連合に怒りの笑みを向けるミルコ。

 

同時にグラントリノも死柄木弔と渡我被身子に強襲をかける。

 

「連合あと二人!終わらせるぞ兎のねーちゃん!」

 

「当たり前だじーさん!!」

 

ヒーロー達の救援に人質の脱出、同時に起こるそれらにAFOは手を操作しマグネに突き刺す。

 

個性を強制発動させ磁力でワープゲート付近にいた渡我被身子に連合の男達を引き寄せさせる。

 

急速にワープ内に投げられる連合にミルコもグラントリノも一手遅れてしまう。

 

最後にマグネと黒霧もワープに吸い込まれゲートが消えていく。

 

「ふむ、志村の友人にミルコか、邪魔だな」

 

三人に囲まれたAFOが全身を震わせ衝撃波を周囲に放つ。

 

それだけで地面が歪むほどの出力にオールマイト以外は周囲の瓦礫に吹き飛ばされる。

 

「AFO!!」

 

「僕はただ弔を助けに来ただけだが、戦うというなら受けて立つよ」

 

そしてオールマイト最後の戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

脱出に成功した爆豪は切島の手と運命の手を振り払い、いつものように叫ぶ。

 

「いいか俺ァ助けられたわけじゃねぇ、一番良い脱出経路がてめェらだっただけだ!オールマイトの足引っ張んのは嫌だったからな」

 

「ナイス判断!」

 

「ありがと、助かったわ、あと、もう限界、なんで後、頼む、服も貸して…」

 

気絶と同時に神衣が解除され裸になる運命を即座に路地に連れやり服を着せる3人。

 

「運命君!!切島君緑谷君上着を!俺が警察と病院にすぐに連れて行く!!」

 

「運命君…切島君の服を上で僕のを下に巻くよ!お願いね飯田君!」

 

飯田が運命を抱え去り、残った者達はオールマイトの戦いを見守り、祈り、願い、叫び、その勝利に歓喜した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして平和の象徴は、巨悪を倒し、その役目を時代へ託した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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