僕の運命アカデミア   作:乙子

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第16話~必殺技~

 

 

蛙吹と運命がお互いの気持ちを話し合った後、まずは荷物のままの部屋を整理しようということに落ち着いた。

 

運命が部屋割り表を見ると5階の砂藤の隣の角部屋だったのでエレベーターで上がり部屋の鍵を差し込むとその音に気付いたのか砂藤が部屋から顔を出す。

 

「運命、…梅雨ちゃん大丈夫だったか?」

 

心配そうにそう言ってくる砂藤に運命も笑いながら返す。

 

「あぁ、ちゃんと話し合ったよ」

 

「そっか、なら良かった。あ、今から何人かお前の手伝いに来るから部屋作っちまおうぜ」

 

「え、いいの?」

 

「お前、その、腕があれだし…」

 

「あー、助かる」

 

等と言っているとエレベーターが音と共に開きぞろぞろと男子が数人降りてくる。

 

峰田、上鳴、切島であった。ラフな格好でいつも通りの様に話しかけてくる。

 

「おっすーこっち大体片付いたから来たぞー」

 

「運命の趣味ここで確認しとかないとな!」

 

「いや、お前が確認してどうなのよ…」

 

「皆ありがと!ベッドとか机の大物だけでも超助かるよ」

 

「よっしゃ、来たな、運命は指示出してくれよ」

 

部屋に入り実家から送られてきたままの段ボールやベッドを動かして基本となる形を作っていく。

 

家具は砂藤と切島が、他を上鳴と峰田が遊びながらも運んでくれる。

 

そんな中で切島が少し言いづらそうに切り出してくる。

 

「なぁ、運命、実はあの時俺、工場にいたんだ…」

 

「ん?あぁ神野の時な、逃げ道作ってくれて助かったよ、爆豪は攫われそうだったしオレは用無しで殺される所だったからな」

 

「違う!俺、俺はあのAFOって呼ばれた敵とお前が出てくる前からいたんだ…」

 

切島はフローリングに正座し、運命に向き直る。

 

「最初はトップヒーローがいるから大丈夫だと見てたんだけどアイツが来て、全て吹っ飛ばされてからも動けなくて…お前がアイツと戦って腕吹き飛ばされたのも見てたんだ、動けなかったんだ!」

 

苦悩の顔で言う切島に他の三人も悲痛の顔を向ける。

 

「すまねぇ!!助けられなくて!!俺は、俺はあの時……びびっちまった…」

 

両拳をフローリングにつけ、まるで土下座の様に、懺悔するかの様に言葉を絞り出す切島。運命も切島の前で膝をつき、その話を聞く。

 

「一緒だな」

 

「えっ」

 

その言葉に顔を上げ運命の顔を見る。

 

「オレもあの時びびってた、この世の悪意の集合体みたいな奴だったし。仕方ねぇよ、でも助けられなかったってのは違うよ。お前らはあのプロヒーローですら命の危険がある場所まで来てくれて、オレらの逃げ道作ってくれた。”助かったよ”」

 

切島の身体を右手で起こし、その胸に右手で拳を押し付ける。

 

「助けてくれてありがとな、切島」

 

「…ぅ、うおおおおおおおおお運命ぇえええええええ」

 

感極まった切島が運命を抱きしめそのまま押し倒す。すまねぇと俺もっと頑張るからと漢泣きしながら言う切島に運命も天井を見ながら応と背中を擦る。

 

他の三人も鼻をすすりながら頷いている。

 

そして何故かティッシュを常備している峰田からティッシュをもらい、顔を拭く切島を見ながら運命は声を上げる。

 

「なぁ、4人に頼みたいことあるんだけど、良いか?」

 

「おう!何でも言ってくれ!」

 

「俺らに出来る事なら手伝うぜ!」

 

「峰田、しのびねぇなぁ」「かまわんよ」

 

切島が胸の前で拳を合わせながら、砂藤もむきっと筋肉を披露しながら言い。峰田も運命のノリに笑いながら返す。

 

「お前らそれ林間合宿の時もやってなかった?別に良いけど」

 

「実はさ……」

 

 

 

 

「「「「ほうほう、なるほど」」」」

 

運命の頼みを聞いた4人が早速動き出す

 

「じゃあ俺芦戸に連絡するわ!」

 

「俺らは各階の男子呼んでくるなー」

 

「ありがとー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして夕方、耳郎と八百万が芦戸に呼ばれ一階のロビーのソファがある場所に行くとクラス全員が集まっていた。

 

ソファーやイスを集め全員が座れるように準備されており他の面子ももう座って雑談している。

 

「なにこれ、皆部屋づくり終わったの?」

 

「お、最後の二人来たよー!切島ー!」

 

芦戸が耳郎と八百万に手を振り、そして切島に声をかける。その声に切島は立ち上がり右手を振り上げながら大声で宣言する。

 

「よっしゃ!皆集まったな!そこ、二人分空いてるから座れよ?では、第一回!【運命の左腕強化プラン考案回】を始めるぜーーー!!」

 

「「「「「YEAAAAAAAAAAA!!」」」」」

 

皆から見える位置にどこから出したのかホワイトボードが設置されておりくるりと板を回転させると先ほど言った内容がデン!とでかく書かれていた。

 

半数ほどがノリに乗じながら各員分あるジュースを飲みながらわいわいと話し合う。

 

件の運命もホワイトボード横で切島と共に周囲を煽っている。というか左腕をブンブン振り回している。

 

その余りの内容に耳郎と八百万は唖然として次に困惑と憤りを見せる。

 

「え、ちょっと、不謹慎じゃ…」

 

「そうですわ、これはもっとデリケートな問題で…」

 

異議を唱えようとする二人にすかさず上鳴と峰田がニヤニヤしながら近寄っていく。

 

「おいおい耳郎よぉ、わかってないねぇ~」

 

「そうだよ、八百万も男の浪漫って奴が全然わかってないぜ、オイラ達がちょっとあっちで教えてやるよ!」

 

上鳴と峰田がそう言いながら二人をソファーの皆から見えない廊下の柱の裏まで引っ張っていく。

 

女子二人もその問答無用の勢いに呑まれて連れて行かれるが、文句を言おうと柱の陰まで行くと引っ張られる腕を振り払う。

 

「あんたらデリカシーってもんが…!」

 

「そうですわ!って、え…」

 

 

 

 

すると先ほどまでにやにや笑っていた男子二人が突然頭を下げてきて言葉を途中で止めてしまう。

 

 

 

 

「わかってる、デリカシーもデリケートな話題なのもわかってる」

 

「二人が怒るのも当然だよな、でも、それでもこれには参加してほしい」

 

二人のいつものおちゃらけた雰囲気は無く、真剣なトーンで頭を下げたまま続ける。

 

「オイラ達運命に頼まれたんだ、左腕のこといじってくれって」

 

「クラス全員でネタにしてくれってさ」

 

「運命さんが…?」

 

二人の言葉に困惑を浮かべる。

 

「運命が左腕無くなったのはオイラ達もショックさ、本人はケロっとしてるけどきっと本人も辛いはずなんだ」

 

「それでも運命さ、俺らには笑って大丈夫って言ってさ。切島もスゲーそのこと気にしてて謝ってさ」

 

「っ、切島さん…」

 

八百万は同じ時に同じ場所にいてその場面を見ていたから特に深いショックを思い出してしまう。

 

「八百万も同じ何だよな…だからこれなんだ。この茶番で全員がアイツの腕をアンタッチャブルなモノにしないってことをはっきりさせてやりたくてさ」

 

「それでこれを…わかったからもう頭上げなよ二人とも。ウチ達も手伝えるかは分からないけどちゃんと参加して意図は汲み取るから」

 

「「すまん!ありがとう!!」」

 

「はぁ、そのマジメな所たまには学校で見せなよ…ヤオモモもそれで良い?」

 

「えぇ、でしたら精一杯お手伝いさせていただきますわ!」

 

そして4人は戻っていく。

 

「おっしゃーオイラ達女子二人にも男の浪漫わからせてきてやったぜー」

 

「調子乗んな!」

 

耳郎のイヤホンジャックが耳から放たれ峰田と上鳴に刺さり心音を増幅し送り込み罰を与える。

 

「「ぎゃああああああああ」」

 

「なんで俺まで、うぇい」「ついで!」

 

「「「「「あはははは!」」」」」

 

笑いが起こる中全員が席に付き途中だったホワイトボードの案に意識が戻る。

 

「じゃあとりあえず今出たのを振り返ると、ロケットパンチ、マシンガン、スタン棒、爆発機構、酸、テープ、望遠カメラなどのドローン、触手、刃物系、ロープ系か」

 

「ロケットパンチなら今出来そう、切島で試して良い?」

 

「おう!来いや!」

 

運命の言葉に切島が応じ、少し二人が移動し対面になる。

 

運命が左腕に土の腕を作成し、それを切島に向けて放つ!切島も個性の硬化を発動して胸で受ける。

 

「ロケットパーーンチ!」

 

「「「「「おおおお!!」」」」」

 

見事な射出に皆が沸くも威力は高くなかったのか切島に当たるとぼてっと土が落ちる。即座に回収して汚れを無くす。

 

「うーん、威力はあんまだな、普通のパンチくらいか?初見だったら驚くだろうけど」

 

受けた切島も笑いながら硬化を解く。それを笑っていた瀬呂が手を挙げながら声をかける。

 

「別に手のままじゃなくてドリルみたいに回転させるのも良いんじゃね?こうギュルギュルーって」

 

「瀬呂くんえぐない?」

 

「確かに形状は土で変化出来るなら可能性が広がるな!瀬呂君ナイス案だ!!」

 

「よしやってみる!」

 

「切島ー大丈夫ー死なないー?」

 

「任せてろ芦戸!俺以外この役は渡さないぜ!!」

 

「土をドリルに、回転。お、出来そう」

 

肘から土がドリルの形になり回転を上げていき、射出される。

 

「ぬおおおおおおおおおおお!!」

 

切島も流石に少し怖かったのか両腕をクロスして防御する。

 

腕の中心に刺さり火花が散るが少したつと止まり、また運命の腕に戻っていく。

 

「これ練習したら使えそう!」

 

「怖ろしい技出来ちまったな!」

 

各々が感想を言いながらさらに案を出して実行していく。

 

マシンガンはまず銃刀法でプロヒーローとしてもギリギリだし、街中では危険という意見も出て今は見送られる。

 

代わりに八百万がトリモチ弾の様な捕縛も兼ねたランチャーを提案し、案として残される。

 

スタン棒は上鳴が存在が脅かされる危険で消極的反対だったが、運命は雷系の技があるから回避されホッとしていた。

 

そして今まで座ってダルそうに眺めていた爆豪が喋り出す。

 

「左腕に義手でもつけるんならある程度色んなもん仕込めるはずだぁ、ならお前の技以外のモノだ。つまり最強の爆破だ、腕に爆破燃料ぶち込んどけや!」

 

「かっちゃん割と自分の爆破好きなんだね…」

 

「あァ!?デクは黙ってろや!!」

 

「ひぃ!?そうだね!」

 

「腕に火薬とか仕込んで生活って怖くね?」

 

「日常生活では使わないだろうけど…ヒーロー時ならあり?」

 

「お前らァ俺に喧嘩売っとんのか!?」

 

これも皆で議論し、状況に応じてのオプションの一つとして残されることとなった。爆豪は正式採用されなくて不貞腐れて帰って行った。彼がここまで座って残っていた事にクラスメイトは驚くが、運命の腕を無理やり暴いたことへの贖罪だったのかもしれない。と納得した。

 

それから自分の個性から芦戸の酸や障子の視覚聴覚などの探知系、峰田の鼻息荒くの触手は全員から却下と制裁が下ったりしつつある程度の案が残った。

 

そろそろ晩御飯の時間になり考案回はお開きとなった。

 

運命は最後に皆の前に立ち、笑顔で喋る。

 

「皆オレの左腕の為にありがとう!こんな感じでまた頼むよ!!」

 

「おう!明日は皆の部屋の見せ合いとかしようぜー!」

 

「あーそれ良いかもー」

 

それに各々が笑顔で頷いた。

 

その後麗日が切島、緑谷、飯田、轟、八百万を呼び出し、外で蛙吹と共に話し合っていた。涙を交えての会話でお互いの気持ちをぶつけ合い、林間合宿からの一連で変わってしまった関係は落ち着いたものになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日

 

「昨日話した通り、まずは”仮免”取得が当面の目標だ。ヒーロー免許ってのは人命に直接係わる責任重大な資格だ、当然取得の為の試験はとても厳しい。仮免といえどその合格率は例年5割を切る。そこで今日から君らには一人最低でも二つ…」

 

相澤は部屋の扉に合図し入室してくる先生であるセメントス、ミッドナイト、エクトプラズム、三人が位置に付きポーズを決めると相澤も続ける。

 

「必殺技を作ってもらう!!」

 

 

「「「「「学校っぽくてそれでいてヒーローっぽいのキタアアア!!」」」」」

 

クラス中が大賑わいの中さらに三人の先生が続けていく。

 

「必殺!コレ、スナワチ必勝ノ型・技ノコトナリ!」

 

「その身に染みつかせた技・型は他の追随を許さない。戦闘とはいかに自分の得意を押し付けるか!」

 

「技は己を象徴する!今日日必殺技を持たないプロヒーローなど絶滅危惧種よ!」

 

「詳しい話は実演を交え合理的に行いたい、コスチュームに着替え、体育館γへ集合だ」

 

最後に相澤が締め、全員が即座に動き始めた。

 

 

場所は体育館γ、通称…

 

「トレーニングの台所ランド、略して『TDL!!』」

 

マジメにそう言う相澤に皆若干冷や汗をかきながらも説明は続いていく。

 

セメントスの個性を使用することで各生徒にぴったりの地形や物を作ることが出来る施設である。

 

そこに鼻息荒く飯田が質問をし、それに順を追って答えていく相澤。

 

ヒーローにとって必要なモノは情報力、判断力、機動力、戦闘力、魅力、コミュニケーション能力、統率力など多く、全てを使って事件・事故・天災・人災に対応していかなければならず、その中でも戦闘力はこれからのヒーローにとっても極めて重視されるものであると、そこで必殺技の有無は仮免の合否に大きく影響すると説明が続く。

 

エクトプラズムが飯田のレシプロバーストも必殺技に値すると言い、飯田は認められたことに感動で震える。

 

「先日大活躍のシンリンカムイの「ウルシ鎖牢」なんか模範的な必殺技よ。ちなみに運命君の変身である『神衣』、これも当然必殺の型よね。世間の一部でシンリン『カムイ』と『神衣』で関係性を感じて盛り上がったりしてるわ。体育祭優勝で一気に知名度を得たのも変身という必殺の型があったからかもね」

 

「へぇー」

 

「いやお前の事だよ、もっと興味持てよ」

 

砂藤が隣の運命に肘で突きながら言う。

 

「シンリンカムイは神野で救出作戦に来てたらしいから挨拶くらいいつかできると良いなぁ」

 

「まぁ相手はトップに食い込みそうなプロだもんな」

 

「中断されてしまった合宿での【個性伸ばし】はこの必殺技を作り上げる為のプロセスだった。つまりこれから後期始業まで残り十日余りの夏休みは個性を伸ばしつつ必殺技を編み出す…圧縮訓練となる!」

 

 

セメントスが地形を操作し、エクトプラズムが分身でその作られた21名分の場に乗り移る。

 

「なお、個性の伸びや技の性質に合わせてコスチュームの改良も平行して考えていくように。プルスウルトラの精神で乗り越えろ、準備は良いか?」

 

各人の気合が入り、移動していく。

 

 

 

 

運命も動き出し、まず割り当てられた修行場に登り担当の分身エクトプラズムに話しかける。

 

「必殺技を編み出したいのは山々なんですが、まずは左腕の義手の件で話聞いてからで良いですか?」

 

「君二関シテハ体育祭デ既二大量ノ必殺技ヲ見セテクレテイルカラ、構ワナイ。私ハ両脚ダガ参考ニハナルダロウ、入口付近デ話ソウカ」

 

促され修行場から離れて入口付近の全員が見える位置に付き二人で座る。

 

そしてエクトプラズムの義足の遍歴から長所短所など様々な事を聞き、自分の義手の形を想像していく。

 

そこで出てくるのはやはり戦闘時には繊細な義手は壊れやすく、替えが簡単には効かないので困る部分が出てくるということだった。

 

エクトプラズムも結局は棒タイプの簡易義足にして折られた時用に身体にいくつも棒を用意していると話す。

 

これも近距離主体のエクトプラズムと全距離攻撃方法がある運命ではケースが違うので普段使いは外の工房をメインに、戦闘用は個性と雄英のサポート科で色々試してからでも良いのではと方向性が決まった。

 

会話を終えて左手を土や水で作ったりしていると修行場の麗日から声がかかる。

 

「運命くんちょっとウチにミルコとの格闘場で使ってた重力の技使ってもらってええ?」

 

「頼ム」

 

「OK!『エアプレッシャー』」

 

「グ、コレハ中々重イ」

 

「ほんまに凄い重力…でもウチなら!超必!!」

 

エクトプラズムは地面に膝をついたままだが麗日は己に個性の無重力を使い普通に歩きだす。そして職場体験で培ったガンヘッドマーシャルアーツの型を繰り広げていく。

 

「重力の中で麗日だけ普通に動く、『ウラビティ・ゾーン』って感じかな」

 

「連携技やね!何かあったらこれ使えるね!ありがとう!ウチの方向性も見えた!!」

 

手を振りながら感謝する麗日、技を解除して運命も手を振り返しその場を離れる。

 

次に風は、無理そうなので火で腕を形成してみる。

 

「オオ、私ガ言ウノモアレダガ、魔物ッポイナ」

 

「はは、でも威圧感はありますね、もう少し大きくしてみたりすると…」

 

運命は個性:テイルズの中にある愛する弟を義兄に殺された女性の姿を思い出した。

 

己の手は見た目だけ似ていて彼女の様に業魔を喰らうことはないが…

 

「形ヲ好キニ変エレルコトハ奇襲二使エルナ」

 

「そうですね、体術に組み込めそうだ。一手お願いします」

 

「ウム」

 

エクトプラズムと対峙し火の手のまま距離を詰める。

 

「『容赦しない!消えない傷を、刻んで果てろ!リーサル・ペイン!』」

 

蹴り下ろしで敵を浮かせ、右手の連続攻撃から最後に火の手で薙ぎ払う。エクトプラズムは受けきれず近くのセメントの壁にぶつかり消滅していく。

 

「見た目は似てるけど色々足りてないかな…もう一体お願いします「エクトプラズム!」!死んだ!!もう一体頼む!!」

 

「「む!?」」

 

同じタイミングでエクトプラズムの追加を申し出る運命と爆豪、お互いに視線を合わせ、何故か黙る。

 

周囲は二人のその激しさに負けじとさらに気合を入れる。

 

「運命と爆豪、やっぱアイツ等は技も多彩だな」

 

「入学時から技名付けてたもんね」

 

「運命はもう詠唱してるもんな、あの体育祭決勝の雷の技とかネットでも人気になってるし」

 

「なんだっけ、天光満つる処に我はあり~の奴でしょ。カッコいいよねあれ」

 

比較的修行場が近かった砂藤、葉隠、尾白が話している所をさらに聞いていた常闇がソワソワしながら我慢できなくなったのか運命に近づいていく。

 

「…運命よ」

 

「常闇、どうした、おぉ、黒影纏っているのか」

 

「そうだ、黒影を纏うことで弱点であるフィジカル・近接をカバー名付けて『深淵闇躯(しんえんあんく)』」

 

「強そうだな!それにカッコいい!」

 

そこにミッドナイトがアドバイスを入れてくる。

 

「言いづらくない?技名は言いやすさも大事よ」

 

「アイヨ!」

 

と黒影が答えつつさらに常闇が運命に話しかける。

 

「所で、その…運命は技の前に詠唱を入れているよな」

 

「うん、カッコいいでしょ?」

 

「ああ、正直羨ましいと思う、俺も何か詠唱入れてみたいと思ってな。何か闇関連で良い詠唱が無いか?」

 

「…ある」

 

「本当か!?是非」「だが良いのか?」「!?」

 

「深淵を覗く時…」「深淵もまたこちらをのぞいている…つまり闇を求める時闇も俺を求めているということか!?」「しかり」

 

急に中二臭くなる二人に周囲は呆れ顔をする。ミッドナイトは生温かく見守っている。

 

「二つあってまず使いこなせてない方やるよ、闇属性がまだ上手く使えなくてな…行くぞ!」

 

「ゴクリ…」

 

運命が両手を広げその先に赤き炎と闇の小さな炎が灯る。

 

一度腕をクロスさせ2種類の炎が吹き荒れる。

 

ジャンプし空中に飛び上がると背中に黒き羽根が薄く形成され、頂点に達するとクロスした腕を開放し闇と赤の炎が十字に地面に放たれる。

 

 

 

「『塵も残さん!行くぞ、浄破滅焼闇(じょうはめっしょうえん)!!」

 

 

炎を放ち終えた運命が着地と同時に背を向け、顔だけを向けて呟く。

 

 

 

「『闇の炎に抱かれて消えろ』」

 

 

 

言葉と共に背中の闇の羽根が消えていき、終わりを告げる。

 

 

 

 

「!!?」

 

 

ソワソワソワァァアアアア!と効果音が出そうな程震える常闇、どうやらご満悦のようだ。

 

周囲もその技に感想を漏らす。

 

「あの背中の闇の翼必要だったか?」

 

「まず闇の炎ってなんだよ」

 

「運命と常闇めっちゃ頷いてわかりあってんじゃん」

 

「中二から卒業出来てないのか?」

 

 

 

 

 

常闇を見た運命はさらに続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『黄昏よりも昏きもの 血の流れより紅きもの』」

 

 

 

 

 

「…おぉ!」

 

一瞬で常闇の全身の毛が逆立つ。

 

運命の周囲に黒と赤の稲光が発生し、運命が掲げる手の先に圧倒的な力の塊の球体が生まれていく。

 

周囲も異常な力の収縮にその姿に魅入ってしまう。さらに運命はエネルギーを凝縮させその力を叫びと共に開放する!

 

 

 

 

 

 

 

「『時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において 我ここに 闇に誓わん 我等が前に立ち塞がりし すべての愚かなるものに 我と汝が力もて 等しく滅びを与えんことを!竜破斬(ドラグスレイブ)!!』」

 

 

 

 

 

 

 

全てを薙ぎ払う一撃が放たれる瞬間に抹消により力が消え去り、運命に捕縛布が巻かれ締めあげれる。

 

「させる訳ないだろ阿呆が」

 

「相澤先生!!」

 

「雄英ごと滅ぼすつもりか、運命はもういい。リカバリーガールから回復訓練で呼ばれているからそっちに行け」

 

「はい、…すいませんでした…撃つつもりはなかったんです…本当なんです…うぅ」

 

怒られてしょぼんと落ち込んだ運命がとぼとぼと体育館から出て行く。

 

「すまない運命…しかし心に響く、良い詠唱だった…」

 

「ソーカ?」

 

常闇の心に新たなる闇の一ページが綴られた日であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして夕方

 

運命は保健室にてリカバリーガールからの回復訓練を行い幾人かの生徒を回復させて反省、復習をして寮へ帰るとと寮のすぐ外で格闘の素振りをしている蛙吹梅雨を見つけ声をかける。

 

「梅雨ちゃん」

 

「あら、クロスちゃん、おかえりなさい」

 

「ただいま、そっちは自主練?格闘訓練とは珍しいね」

 

「ええ、個性伸ばしの方は順調なの、もうすぐ形になると思うわ。でも…」

 

少し悩んだような顔で寮の段差に座る蛙吹、運命も横に座る。

 

「私は”あの時”のようにならない為にもっと、もっと力が欲しいわ」

 

力不足を感じてしまった林間合宿を思い出す蛙吹。

 

掌を見て、そして拳に変える蛙吹に運命は少し考えて、彼女の前に立つ。

 

目の前の運命を見上げる蛙吹。

 

そこに手が伸ばされる。

 

「…一つ、強くなる方法があるよ」

 

「え」

 

「オレと”契約”しよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、A組寮では女子6人が集まりロビーでくつろいでいた。

 

「フヘエエエ、毎日大変だァ…!」

 

「圧縮訓練の名は伊達じゃないね」

 

疲労感を隠しきれず息と共に吐きだす芦戸、耳郎。

 

「ヤオモモは必殺技どう?」

 

「うーん、やりたいことはあるのですがまだ体が追い付かないので、少しでも個性を伸ばしておく必要がありますわ」

 

「梅雨ちゃんは?」

 

「私はよりカエルらしい技が完成しつつあるわ、きっと透ちゃんもびっくりよ。もう一つの方はまだまだこれからだけど…」

 

「お茶子ちゃんは?」

 

葉隠の言葉に皆が話していくが麗日は呼ばれてストローを含んだままボーっとしている。

 

蛙吹が呼びながら触ると驚きジュースを吹き出してしまう。

 

「お疲れの様ね」

 

「いやいやいや!!疲れてなんかいられへん、まだまだこっから!…のハズなんだけど何だろうねぇ。最近ムダに心がザワつくんが多くてねぇ」

 

頬を赤らめ言う麗日に芦戸が詰め寄る。

 

「恋だ」「ギョ」

 

芦戸の言葉に汗が吹き出し声のトーンも腕もバラバラで否定する。

 

「な、何!?故意!?知らんしらん!」

 

「緑谷か飯田!?一緒にいること多いよねぇ!」「チャウワ、チャウワ」

 

混乱しているのか個性すら発動して浮いてしまう。

 

その行動にさらに確信を得たのか声を大きくして追及が入る。

 

「誰ー!?どっち!?誰なのー!?」

 

「ゲロッちまいな?自白した方が罪軽くなるんだよ」

 

「違うよ本当に!私そういうの本当…わからんし…」

 

「無理に詮索するのは良くないわ」

 

「ええーー!!やだもっと聞きたいー!!何でもない話でも強引に恋愛に結び付けたいーー!!というか梅雨ちゃん!!」

 

「な、なに三奈ちゃん…」

 

勢いそのまま芦戸は蛙吹の両肩を掴み、顔を近づけながら言う。

 

「運命とはもう付き合ったの!?」

 

「ケロっ!?」

 

目玉が飛び出し舌も飛び出すほどの衝撃を受ける蛙吹。

 

「あーウチも気になった。名前呼びしだしたじゃん?男子は苗字にちゃん呼びだったのに」

 

「実は私もそこは気になっておりましたの!」

 

「どうなの梅雨ちゃん!?」

 

流れが代わり今度は蛙吹に全員の注目が向かう。明らかに関係が変わったというか進んだ感じのある運命と蛙吹の中に皆が興味を持っていたのだった。

 

全員の興味の視線を浴びて蛙吹も普段の冷静沈着が吹き飛び、顔を真っ赤にする。

 

「付き合いだした!?ちゅ、チューした!?」

 

「「「「「キャー!」」」」」

 

「ちゅ!?つ、付き合ってはいないわ。お互いの気持ちを知っただけで、まだ。チューは…内緒ケロ!」

 

赤面したまま答え最後には耐えられなくなったのか、個性蛙のジャンプ力で逃げてしまう。

 

その対応を見て全員が頬を赤らめながら息を荒げる。

 

「まだって言ったね」

 

「告白的な事はしたってこと?」

 

「チューは内緒ってそんなの実質してるってことじゃ…」

 

「梅雨さん…進んでらっしゃるのね…」

 

そこで一番恋愛に興味があった芦戸が静かなことに疑問を抱き全員が視線を向ける。

 

「あの顔、あれが恋してる顔なのかな…」

 

胸の前で両手を合わせ、真剣に考えている芦戸。

 

麗日も外で自主練をしている緑谷を見て何かを考えている。

 

「…さぁ、明日も早いですしもうオヤスミしましょう」

 

八百万の締めで各々がエレベーターに向かい部屋に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 







テイルズオブザレイズのコラボでリナ=インバースのドラグスレイブが入っているので今回だけ出しました。お許しください。

私の好きな三大詠唱はインディグネイションとドラグスレイブ(スレイヤーズ)と黒棺(BLEACH)です。



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どんな評価でも受け入れたいと思っていますので、どうかお手数をおかけしますがよろしくお願いします!
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