僕の運命アカデミア   作:乙子

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第18話~BIG3と寮の夜~

 

 

 

 

夏休みを終えた始業式当日

 

1Aの面々は、寮の朝に制服に着替えずにロビーを掃除している緑谷と爆豪を見つけ、昨日の夜に外で喧嘩をして謹慎になった事を聞いて驚く。

 

「ケンカして謹慎~~~~!?」

 

「馬鹿じゃん」「ナンセンス」「馬鹿かよ」「骨頂ー」

 

等と好き好きに言う。そんな中心配の声を挙げるのは麗日と飯田である。

 

「えええ、それで仲直りしたの?」

 

「仲直り…っていうものでも…うーん…言語化が難い…」

 

「よく謹慎で済んだものだ…!!ではこれからの始業式は君ら欠席だな!」

 

爆豪にも轟と運命が近寄って声をかける。

 

「爆豪、仮免の補修どうすんだ?」

 

「うるせぇ…てめーには関係ねぇだろ」

 

「回復いる?ねぇいる?」

 

「殺すぞてめー!!」

 

煽る運命に手を爆破させる爆豪、漸く顔を向けたその顔を見て運命は笑って出て行く。

 

「冗談冗談、昨日の帰りよりスッキリした顔してんな」

 

「…うるせぇ」

 

「じゃ、掃除よろしく~」

 

そして二人を残し全員が登校を始めた。

 

 

 

 

 

 

「皆いいか!?列は乱さず、それでいて迅速に!!グラウンドへ向かうんだ!!」

 

シュババババと手を振りながら飯田が言う。

 

「いや、おめーが乱れてるよ」

 

「委員長のジレンマ!!」

 

等と言い合いながら進んでいくと、下駄箱の所に一人の見慣れた男がポーズを決め立っていた。B組物間である。

 

「聞いたよーーA組ィィ!二名!そちら仮免落ちが二名も出たんだってええ!!?」

 

いつもの感覚で切島が物間だけ落ちたと思い指摘するも、物間はB組の前で振り返り笑いながら宣言する。

 

「こちとら全員合格!水があいたねA組」

 

バン!という効果音が出現しそうなほどポーズを決めて言う言葉に、二名の内の一人轟が沈痛の表情で言葉を絞り出す。

 

「……悪ィ…みんな……」

 

「向こうが一方的に競ってるだけだから気に病むなよ」

 

切島がフォローすると、B組の留学生角取ポニーが後期の授業が一緒なので楽しみにしてますと伝えてくる。

 

その姿に上鳴がホッコリしていると物間が耳打ちし角取に

 

「ボコボコォにウチノメシテヤァンヨ?」

 

と教え楽しそうに拳を振っている、次の瞬間拳藤に目を潰されていた、そして心操のぼそぼそっと言った言葉に何か返した物間が洗脳され無言で歩いていく。

 

長話に拳藤と飯田が後続を気にし、先を促し歩き出す。

 

他のB組の生徒が申し訳なさそうにしてたのでA組の生徒もわかっていると無言で頷いていた。

 

 

 

 

 

そして全校生徒がグラウンドで校長の根津の毛質の話から生活習慣の話へ、そこから夏休みに起きた事件について話が繋がっていくのを聞く。

 

神野以降、これからの社会は不安定になり困難も多く待ち受けている可能性があり、ヒーロー科にもその流れは直接的に関わることであり、ヒーローインターンの話にも言及し、聞き覚えの無い言葉に一年生は気になってしまう。

 

さらにこれからのことを纏め校長は話を終えた。

 

次に生活指導の猟犬ヒーロー、ハウンドドックからほぼ人語ではない話がされ、喧嘩した生徒がいるので皆生活には節度を持ちましょうとブラドキング先生が通訳し全ての話が終わった。

 

 

 

 

 

教室に戻りHRが始まり相澤から話が始まる。

 

「じゃあまァ…今日から通常通り授業を続けていく。かつてない程に色々あったが上手く切り替えて、学生の本分を全うするように。今日は座学のみ、だが後期はより厳しい訓練になっていくからな」

 

「ごめんなさい、いいかしら先生」

 

相澤の話に蛙吹が挙手し、校長の話に出たヒーローインターンの話を聞かせて欲しいと言う。

 

皆も気になっていたのか思い思いに言葉を出す。

 

相澤も多くが気になっていることを確認し、後日伝えるつもりだったが今言う方が合理的かと話を始める。

 

「平たく言うと校外でのヒーロー活動、以前行ったプロヒーローの元での職場体験…その本格版だ」

 

その言葉に体育祭での頑張りは何だったのかと麗日が騒ぎ出すが相澤は冷静に体育祭での指名をコネクションとして使うと諭す。

 

落ち着いた麗日が謝罪し、さらに話は進み、現在の社会情勢を考え一年生の酸化は慎重に考えているのが現状であり、後日にちゃんと説明と今後の方針を伝えると言い、次の授業のプレゼントマイクに壇上を譲って去っていく。

 

そして授業が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3日後

 

緑谷が謹慎を終了し、鼻息荒く教室へ入ってくる。

 

「ご迷惑おかけしました!!」

 

「デクくんオツトメごくろうさま!!」

 

嬉しそうに言う麗日に緑谷の勢いに困惑する生徒達。

 

「この三日間でついた差を取り戻すんだ!」

 

「あ、良いな。そういうの好き俺」

 

HRが始まると相澤はさっそくインターンの話を本格的に始めようと扉の外へ声をかけ入室を促す。

 

誰か来るのかと皆が視線と集めると扉がスライドし、生徒が3人入ってくる。

 

「職場体験とどういう違いはあるのか、直に経験している人間から話してもらう。多忙な中都合を合わせてくれたんだ。心して聞くように。現雄英生の中でもトップに君臨する3年生3名。通称ビッグ3の皆だ」

 

運命は入ってくる生徒に見知った顔を発見し、即座に左ポケットの胃薬を取り出し飲み干す。そして気配を殺し、そっと目を閉じた。

 

その姿は、抗えぬ災害を前にただただ被害が少なくなることを祈る哀れな子羊のように震えていた。

 

 

 

一方クラスメイト達は3人のその風格にオオオオと声を出し、感想を呟く。

 

「あの人たちが…的な人がいるとは聞いてたけど!」

 

「びっぐすりー!」

 

「めっちゃキレーな人いるし!そんな感じには見えねー…な?って運命めっちゃ話かけられてるじゃん、知り合いか女性の人」

 

「ねぇねぇ運命君久しぶりだね元気だった?ねぇ、神野の時リューキュウも心配してたんだよ?ねぇねぇ、ミルコがね、リューキュウに仕事の後始末任せたーって言って神野行っちゃってね?私達大変だったんだよ、ねぇねぇ席前の方なんだね、う、なのにね。どうして目を閉じてるのねぇ、今から私達の自己紹介だから聞いてね、ねぇ?」

 

入ってきた女生徒は最前列の運命の席にしゃがみながら手をつき、話しかけ続ける。逃げられない運命は小声で返しながらキュッとなり酸っぱくなる胃を久しぶりに感じながら瞳を閉じ続けた。

 

「はい、お久しぶりです、その説はどうも…はい、はい、あの、皆さん待ってらっしゃるのでどうぞ壇上へお上がりください波動先輩」

 

「……じゃ手短に自己紹介よろしいか?天喰から」

 

相澤はとりあえず自己紹介を奥の男子生徒へ振る。

 

すると優男の様な風体から一気に鋭い視線へ変化し、教室に緊張と迫力を生み出す。

 

だがその身体が震えだし、小声で隣の二人に呟きだす。

 

「駄目だ、ミリオ…波動さん…ジャガイモだと思って臨んでも…頭部以外が人間のままで依然人間にしか見えない。どうしたらいい、言葉が…出てこない。頭が真っ白だ…辛いっ!帰りたい…!」

 

そう言い黒板の方へ顔ごと振り向き生徒達からの視線を外し震えている。

 

鋭い眼甲からのそのギャップに皆が唖然とする。

 

すると運命に構っていた波動が立ち上がり天喰の横に立ち皆へ話始める。運命はようやく一息つく。

 

「あ、聞いて天喰くん!そういうのノミの心臓って言うんだって!ね!人間なのにね!不思議!彼はノミの『天喰環(あまじきたまき)』。それで私が『波動ねじれ』今日はインターンについて皆にお話してほしいと頼まれて来ました。ねぇ運命くんわかった?」

 

「わかりました、ところでどうです?オレのクラスメイト!ユニークなクラスメイト達なので是非構ってやってください!!」

 

話を振られそうになった運命が笑顔で後ろのクラスメイトの方へ波動を誘導する。

 

「そうだねそうだね!君はなんでマスクを?風邪?オシャレ?」

 

「!これは昔に…」「あら、あとあなた轟君だよね!?ね!?なんでそんなところを火傷したの!?」

 

「……!?それは……」「芦戸さんはその角折れちゃったら生えてくる?動くの!?ねぇ?峰田君のボールみたいなのは髪の毛?散髪はどうやるの!?」

 

「天然っぽーい、かわいー」「幼稚園児みたいだ」「オイラの玉がきになるってちょっとちょっとーーーー!!?セクハラですって千パハァイ!!」

 

「ねぇねぇ尾白くんは尻尾で体を支えられる?ねぇねぇ答えて気になるの?」

 

クラス中に広がるねじれワールド。答えすら聞かずにどんどん質問していく波動に皆たじたじである。

 

「あぁ……薬効いてきた…清々しい気分だ…」

 

「運命お前まさかクラスメイト売った?」

 

隣の砂藤からの言葉に笑顔で答える。

 

「まさか、お前らも同じ場所に来たってことだよ」

 

「わけわからんが、無駄に良い笑顔しやがって…」

 

そして波動はある生徒を見つけるとそこへぴょんと跳び、机の前まで移動する。

 

「それで、あなたが蛙吹さんね!」

 

「え、はい」

 

「!?」

 

その二人の出会いに運命は一気に緊張が高まる。以前致命的な失言をしてしまっているのでもしそれがバレそうになるなら個性で波動の口を封じる事も視野に入れていた。

 

「ふーん、そうなんだぁ!アマガエルかヒキガエルかも気になるけど!うんうん!素敵ね!運命くん!」

 

「「「「「???」」」」」

 

蛙吹をじっくり観察したあと笑顔で運命に向き直る波動に周囲の生徒は疑問が浮かぶ。

 

「なんかウチこの感じミルコの時も見たような…運命くん関係ある?」

 

麗日が期末試験の時のミルコの時を思い出すが運命はビクッと肩を震わせるだけでそれには答えない。

 

「!?…うちのクラスメイトは皆素敵ですよ波動先輩、一目でそれを見抜くとは流石です!ささ、自己紹介まだの方が残っていますのでどうぞ壇上へお戻りください」

 

全身から冷や汗が吹き出す運命は笑顔で何とか波動を壇上へ導く。ちょうど相澤もそれを止めようと思っていたので鋭い目で最後の一人を見る。

 

「ささ、金髪の先輩もどうぞ、締めお願いします!」

 

「君1年生なのに波動さんの扱い結構わかっててビビるんだよね!でもこの流れに乗るんだよね!大トリは俺なんだよね!!前途ーーー!!?」

 

「「「「……?」」」」

 

突然の言葉に皆固まってしまう。それを気にせずその金髪の男子生徒は続ける。

 

「多難ー!っつってね!よぉしツカミは大失敗だ」

 

ハッハッハッハッハ!と大笑いを続ける生徒にもうA組の生徒は混乱の最中である。

 

すると急に今度は真面目な顔になり話始める金髪の男子生徒。

 

「まァ何が何やらって顔してるよね。必修ってわけでもないインターンの説明に突如現れた3年生だ、そりゃわけもないよね。1年から仮免取得…だよね、フム・今年の1年生ってすごく…元気があるよね…そうだねェ…何やらスベリ倒してしまったようだし…君達まとめて、俺と戦ってみようよ!!」

 

ヤーー!!とポーズを決めながらそういう男子生徒にクラス中が驚愕する。

 

「俺達の経験をその身で経験した方が合理的でしょ!?どうでしょうねイレイザーヘッド!」

 

「好きにしな」

 

BIG3の言葉に相澤は許可を出し一同は着替えて体育館γへ向かう。

 

 

 

 

そして準備をしているとBIG3の天喰が話しかける。

 

「ミリオ…やめた方がいい。形式的にこういう具合でとても有意義ですと語るだけで充分だ。皆が皆上昇志向に満ち満ちているわけじゃない。立ち直れなくなる子が出てはいけない」

 

天喰の言葉に波動が芦戸の角をいじりながらしゃべり出す。

 

「あ、聞いて知ってる。昔挫折しちゃってヒーロー諦めちゃって問題起こしちゃった子がいたんだよ知ってた!?大変だよねぇ通形、ちゃんと考えないと辛いよ、これは辛いよー」

 

角をいじられている芦戸がおやめくださいとなすがままになる。

 

その二人の言葉に常闇と切島は己の意見を述べる。

 

「待ってください…我々はハンデありとはいえプロとも戦っている」

 

「そして敵との戦いも経験しています!そんな心配される程俺らザコに見えますか…?」

 

その言葉を受けて金髪の生徒、通形ミリオは特に気にも留めずA組と対峙する。

 

「うん、いつどっから来ても良いよね。一番手は誰だ!?」

 

おれが、という切島を遮って緑谷が一番槍を志願する。

 

「僕…行きます!」

 

「問題児!!良いね君やっぱり元気があるなぁ!」

 

その緑谷を知っていたのか通形は特に構えも見せずに佇む。

 

緑谷は全身を個性で強化し身構える。

 

それと同時にクラス全員も攻撃準備を整える。

 

「それじゃあご指導ーよろしくお願いしまーっす!!」

 

襲い掛かると同時に通形の体操服が落ちた。

 

一気に全裸になる通形に耳郎が見てしまったのか顔を真っ赤にして視線を隠す。

 

ズボンだけを掴みいそいそと腰まであげるその態勢に緑谷は迷わず顔面に蹴りを放ち、通り過ぎる。

 

通り過ぎた緑谷に振り向く通形にセロテープやレイザー、酸、衝撃波などが着弾するがそれらも全て通り過ぎて一瞬視線から消える。

 

破壊されたその場にいない通形を探すが最後尾に現れ裸のまま後続に襲い掛かった。

 

そして中・遠距離陣が迎撃するが5秒後には倒れ伏していた。

 

「パワーーーーー!!」

 

「おまえらいい機会だ、しっかりもんでもらえ。その人…通形ミリオは俺の知る限り最もナンバーワンに近い男だぞ、プロも含めてな」

 

相澤の言葉に前衛陣が衝撃を受ける。

 

倒れ伏す半数のクラスメイトを背に通形は残りの近接主体陣に向き合う。

 

一人最初から空に浮いている運命を常に視界に入れつつも何もしてこないのならばとビシッとポーズを決める。

 

「何をしたのかさっぱりわかんねぇ!!すり抜けるだけでも強ェのに…ワープとか…!それってもう…無敵じゃないすか!」

 

切島の言葉によせやいと返しながら次に動こうとすると緑谷がブツブツ言いながら鼻息を荒くする。

 

「何かからくりがあると思うよ!『すり抜け』の応用でワープしてるのか『ワープ』の応用ですりぬけてるのか、どちらにしろ直接攻撃されてるわけだからカウンター狙いでいけばこっちも触れられる時があるハズ…!何してるかわかんないならわかってる範囲から仮説を立てて、とにかく勝ち筋を探って行こう!」

 

「オオ!サンキュー!謹慎明けの緑谷スゲー良い!」

 

緑谷の言葉に通形はさらに笑みを深めダッシュを開始する。

 

「探ってみなよ!」

 

そういいながら地面にズボンを置き去りにして沈んでいく通形。それに驚く近接陣。

 

一番後ろにいた緑谷のさらに後ろに現れる通形、そしてそれを予期していたのかすぐに蹴りを放つ。だが通形が手や腕を緑谷の足をすり抜けていき、目にまですり抜けさせ目つぶしになる。目に来た攻撃に思わず閉じるがそれはフェイントで腹に拳が突き刺さる。

 

「殆どがそうやってカウンターを画策するよね、ならば当然そいつを狩る訓練!するさ!!」

 

神出鬼没に地面から飛び出てくる通形に何も出来ず腹パンで落とされて行く面々、地上にいる全てを倒したあと通形は真上を見ながら声をかける。

 

「君はそこで浮いてるだけ良いのかい体育祭優勝者君?」

 

「空までは来れないみたいですね先輩」

 

「そうとは言ってないけどね!どれ」

 

地面に再度沈むと急激な勢いを付けて地面から射出される通形、先ほどまで運命がいた場所まで急速に迫るが、既にそこに運命はいなかった。

 

どこかとキョロキョロ探すと、離れた場所で浮いており、通形の位置を見た後、地面へ向けて両手を広げて何かを呟いていた。

 

「皆、まだ諦めてないよな?」

 

「もちろんだけど…ぐふっ」

 

あまりの攻撃の重さにまだ立ち上がれない面々。運命はそれを見て力を開放する。

 

「『広がれ活心の輪!再生の歌と共に!フェアリーサークル!』」

 

体育館に運命から全員を範囲に含む魔法陣が展開され、中央に大きな花が咲く。咲いた花からダウンした面々に光が降り注ぎ痛みを軽減していく。それを空中から地面に着地した通形が興味深そうに見ているとなぜか巻き上がる風に吹かれて少し飛ばされてしまう。

 

「回復だけじゃないのかい!?」

 

「キレーどうやって出したのねぇねぇ!」「ミリオ!?」

 

少し焦ったその通形の姿に運命は語る。

 

「これは対象内の味方には回復を、敵には弾き飛ばす風を与えるんです。当たりましたね先輩?跳び上がることが出来ても飛べるわけじゃないし、地面に潜ってる間は地上の事見えてないみたいですね、なるほど」

 

「ありがとよ運命!これならまだやれる!このままじゃ終われねぇ!先輩もう一本お願いします!」

 

「諦める、もんかぁ!」

 

倒れていた全員が立ち上がり戦意を見せる。それを満面の笑みで見やる通形。

 

「良いね君達!第二ラウンドだね!良いよ来なよ!!」

 

 

 

 

そしてまた戦いが始まる。運命も今度は参加しようとするがそれは残っていたBIG3の2人から遮られる。

 

「ミリオに飛行タイプは相性が悪い、体育祭優勝者、君の相手は」「私達がするよ!せっかく着替えたんだし良いよね?初対戦だね!」

 

波動ねじれが個性のねじれた波動で飛び、天喰が身体から生やした鳥の翼で飛翔してくる。

 

「おぉ!空戦久しぶりかも!よろしくお願いします!!先輩方ァ!!神衣!シルフ、イフリート」

 

運命も神衣を発動し、風の剣の翼と火の大剣を構える。

 

そして天喰が手を伸ばすと突如その手からタコの触手が5本生えて伸びてくる。

 

「タコ!?『三顧、斬壊!ディープグラッジ!』」

 

襲ってくるそれに自身の周囲に真空波を3度発生させ弾き飛ばす。

 

真空波により触手が切れたのか痛みで触手を引っ込める天喰。

 

そこを狙って波動の技が放たれる。

 

「チャージ満タン出力30!ねじれる波動(グリングウェイブ)!」

 

翳された両手からねじれる波動が運命に襲い掛かり、幸い速度はそこまでない一撃に右手を上げ対応する。

 

「ッ!?『炎壁、推現!カラミティフレア!』」

 

運命も範囲技である波動に同じく炎の壁の範囲技で相殺しようとする。衝突による爆風で見えなくなるが、そこから今度は手を貝にした天喰が突進をかけてくる。

 

「君は強いな…輝いているよ…でも!」

 

火の大剣に貝がぶつかり火花を散らす。鍔迫り合いになるかと思われた所に今度は足を鳥に変え強烈な蹴りを運命の腹に決める天喰。

 

空中を吹き飛び運命も衝撃を殺しながら距離を取り止まる。腹の一撃の重さと流れるような連撃に天喰の戦闘経験の高さを感じる。

 

「ぐっ、強ぇー!」

 

「君もね、あそこから反撃してくるとは…とんでもない一年生だ」

 

鳥の足を見るとそこに風の刃が刺さっている。蹴られる瞬間に生成したものが突き刺さっていた。

 

「私達二人にもある程度戦えるなんて流石ミルコが誘うだけあるね、納得」

 

再度3人が突撃態勢を取った所で下の相澤から大声がかかる。

 

 

 

「そこまで!もう充分だ、ここまでにしておけ」

 

 

 

その声に3人は停止し下を見る。

 

先ほどまでの一方的な展開からA組の半数はダウンしているが、残りは何とか立っており戦闘態勢を維持していた。

 

通形も先ほどまでのノーダメージとは行かず、裸の身体にいくらかのダメージを負っていた。

 

そして相澤の声を聞き、多くが膝をついて呼吸に専念する。

 

「二回目は流石に色々試してくるよね!素晴らしい対応力だね!敵と戦ってきたのは伊達じゃないよ!上はどうだった環!?」

 

「…想像以上の強さだったよ」

 

「楽しかったよー!ねぇ天喰くん!!」

 

「運命君も、厳しかった、みたい、だね」

 

緑谷の言葉に神衣を解き、地面に降り立った運命が腹を擦りながら周囲を確認し、力を練り上げる。

 

「あぁ、重い一撃だった…皆回復するよ!動かないで『白き天の使い達よ、その微笑みを我らに!ナース!』」

 

空中から白きナースの様な光の固まりが現れ、皆の上を飛び回り光を降り注ぐ。その光が疲れた体に癒しを施していく。

 

「白衣の天使みたいなの出たーーー!これも自撮りしたいー!」

 

「また言ってんのかよ芦戸…」

 

A組の面々は疲労困憊ながらそれを見やり。

 

「今度は俺らも仲間に入れてくれたんだね、ありがとう!」

 

「一瞬波動さんかと思った…綺麗だ」

 

「えー今天喰くんなんて言ったの聞こえなかった!もう一回言って!ねぇねぇ!」

 

BIG3は初めての回復に感想と感謝を告げる。

 

「通形先輩の個性はおそらくすり抜け、最初は顔や体にカウンターを当てようとしたけど、当然そこを狙われる予測からすり抜けられた、狙うべきはインパクトの瞬間の手や地面と接着している足だったんだ。くそう、もっと早く気づいていれば…もしくは予測を狂わせるほどのナニかだ、例えば前提を覆す意味でも地面から出現するまでの間に地面を破壊したり移動することでそれが出来たはずなのに、反応速度、予測とイメージが大事なのか」

 

緑谷は痛みを忘れて先ほどまでの戦闘を振り返り分析を続けていた。初めて見るそれに通形も冷や汗をかく。

 

「問題児君凄いブツブツ言ってて怖いんだよね、子供ならガン泣きだよね!でもその考察は正解だよ。改めて説明すると、俺の個性は『透過』さ」

 

「どういう原理でワープを…!!?」

 

「全身に個性を発動すると俺の体はあらゆるものをすり抜ける!すなわち地面もさ!!そして落下中に個性を解除すると不思議なことに弾かれるんだよね、つまり俺は瞬時に地上へはじき出されてワープの様な移動を可能にしてるんだよね、体の向きやポーズで角度を調整して弾かれ先を狙うことができる!」

 

「ゲームのバグみたい」

 

「イーエテミョー!」

 

芦戸の膨れ顔からのバグ発言に爆笑して同意する通形。

 

「二ラウンドめで漸く触れたけど近距離ではとても当てづらかったわ、個性の範囲の発動は任意かしら?」

 

「良い質問だよね蛙吹さん、一度視線から外れてからの保護色になってからの舌の攻撃良かったよね。答えだけど俺の個性は全て任意発動さ、体のどの部分を透過させるか全てね」

 

「急いでる時ほどミスりそう…俺だったらぜってぇー焦る」

 

「そう!案の定俺は遅れた!!ビリっけつまであっという間に落っこちた。服も落ちた。この個性で上に行くには遅れだけはとっちゃダメだった!!予測!!周囲よりも早く!!時に欺く!!何より予測が必要だった!そしてその予測を可能にするのは経験!!経験則から予測を立てる!」

 

トントントンっと頭を叩きながら通形は続ける。

 

「長くなったけどコレが手合わせの理由!言葉よりも経験で伝えたかった!インターンにおいて我々はお客ではなく一人のサイドキック!プロとして扱われるんだよね!それはとても恐ろしいよ。ときには人の死にも立ち会う…!けれど怖い思いも辛い思いも全てが学校じゃ手に入らない一線級の経験!俺はインターンで得た経験を力に変えてトップを掴んだ!ので怖くてもやるべきだと思うよ1年生!!」

 

力ある言葉で伝える通形にA組の面々も息を呑む。

 

そしてそのプロにも通じる話し方に拍手をして感謝を述べる。

 

相澤が終わりを告げ挨拶を促し、A組が挨拶を終えると移動を開始するが各々感想を述べあい、更衣室へ戻っていく。

 

1年生は3年生の強さを肌で感じてトップの力に憧れを感じ。

 

特にデメリットが大きい個性を努力で克服し、トップにまで上り詰める通形の背中は大きく、まさにヒーローであった。

 

そして彼らが薦めるヒーローインターンに思いを馳せていた。

 

 

 

一方3年生は噂のA組の力に関心していた。

 

初見では通用せずとも不屈で必死に抗う姿を認め、見ていた中で特にと感じた生徒の事を話す。

 

「俺はやっぱりあの問題児君かな!初手から俺の行動を分析して予測を立てて行動した。”サー”が好きそうだ。二人は?ミルコのお気に入りで有名の体育祭優勝者君?」

 

「彼はもはや1年のレベルじゃないし、トッププロと比べても良いレベルだと思う。それはそれとして…あの赤毛の子は気になった、切島君だったかな…」

 

「運命君は職場体験でインターンと同等の事してたから問題ないと思うよ!それでね!聞いて!やっぱり麗日さんと蛙吹さんかな、どっちも良い動きしてたと思うの!リューキュウに女の子で良い子いない?って聞かれてたから紹介してみようかなって思ってるの!」

 

「うんうん、俺等も負けてられないんだよね!気合入ってきたなー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして授業を全て終えて夕方の寮ロビーにて

 

掃除当番でゴミを集めるのになぜか叫んでる爆豪を他所に、女子数名が寮の憩いの場であるソファーで先ほどまでのインターンについて話していた。

 

「どうなんだろーねインターン。1年はまだ様子見って言ってたけど」

 

「通形先パイのビリっつけつからのトップてのはロマンあるよねぇ」

 

「とりあえず相澤先生のGOサイン待ちですわね」

 

「ええ、そうね。っ…」

 

すると蛙吹が話の途中に誰かに呼ばれたかのように顔を入口の方を向ける。

 

「「「?」」」

 

同じくその場にいた芦戸、麗日、八百万が入口を見ると運命が少し遅れて帰ってくる。

 

そして靴を履き替え、男子の部屋へのエレベーターを押し、開くまでの間にソファーにいた蛙吹に顔を向ける。

 

「わかったわ」

 

それに少し驚いた運命はしかし笑顔で頷き、爆豪からのゴミあったら持って来いやぁ!という言葉に了解と答え、自分の部屋へ上がっていった。

 

「…え?」

 

「梅雨ちゃん今何がわかったって運命くんに言ったん?喋ってなかったよね?特に携帯でやりとりしてたわけでもないし…」

 

携帯すら出してないなかった蛙吹の姿に疑問が浮かぶ。

 

「運命さんが帰ってくるのもドアが開く前に気づかれましたわよね?その位置からでは外は見えないでしょうし…」

 

「え、……あっ。偶然よ偶然、何となくドア見たらクロスちゃんが帰ってきただけで…」

 

「じゃあ何がわかったわ、だったの?」

 

「……実は、…先に、早く帰った方が…、…勝ちという勝負をしていて、わたしが勝ったわを、略してわかったわって言ったのよ、ええ、そうなの!」

 

「梅雨ちゃん目めっちゃ泳いどるよ?あとそれ無理あるよ?」

 

「もしかして運命と『良い仲に進展した後男女がコッソリ交わす挨拶的なことした』!?ねぇ!そうなんでしょ!?」

 

蛙吹の両肩を揺すり、首をガックンガックンと揺らして叫ぶ芦戸。匂わせられる恋の気配に鼻息も荒くなる。

 

「マ”!?梅雨さんそんな羨まし、ぐふん。微笑ましいことをしてらしたのですか?」

 

顔を赤らめて、そう言いながら超至近距離まで詰められる蛙吹、汗もダラダラの彼女はその場からまた蛙のジャンプ力で抜け出し、爆豪に声をかけながら女子部屋へ逃げカエル。

 

「…………ば、爆豪ちゃん私もゴミあったから!持ってくるケロー!!」

 

「はよ持ってこいやぁああああああ!!」

 

「「「逃げた」」」

 

超ジャンプで逃げて行く蛙吹を見送る三人。

 

「怪しいなぁ、梅雨ちゃん五階だっけ」

 

「ええ、私と同じ五階ですわ……一応運命さんも同じ五階でしたね、繋がってはいないとはいえ」

 

「流石に個人で男女の部屋の行き来は怒られそうやけど…」

 

疑問のまま夕食や入浴の時間を終え、各自が部屋に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜は9時

 

蛙吹は時間丁度にベランダの窓を開ける、すると丁度上空から運命が降りてきて、ベランダの外で滞空する。

 

「さぁ、行こうか」

 

運命は手を伸ばし、蛙吹も差し出された手を掴む。

 

そして二人は浮き上がり、蛙吹の部屋の上の寮の屋根に到着する。そこには二人が座れるほどのシートが敷いてあり、二本のペットボトルと少しのお菓子があった。

 

「あら、準備が良いのね」

 

「勿論、こっちから誘ったことだからね」

 

二人してそこに座り、同じ方向を見ながら話しだす。

 

「そういえば帰ってきた時、声に出してしまってごめんなさい、つい」

 

「そうだよね、オレもびっくりしちゃった。芦戸とかにバレなかった?」

 

「追求されたわ、もっと慣れないとダメね」

 

「ようやくお互いのパスが開いたからこれから練習だね」

 

「ええ、気を付けるわ」

 

それから暫く、二人は空を見上げていた。9月も中旬に入ろうかというところで、虫達が鳴く声を聞きながら星空を見上げている。

 

「所で、これって外出になるのかしら?」

 

ふと思ったことを漏らす蛙吹。

 

「寮の屋上だからセーフじゃない?寮空ってことでどうかな?」

 

「寮空と領空ね、ふふっ座布団一枚あげるわ」

 

「やりー」

 

くだらないやりとりが続き、いつしか二人の手は重なっていた。

 

そうして穏やかな時間が過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日夕方。

 

「というのを偶然!本当に偶然でしたの!夏の夜の虫等を聞こうとしていたらどこからか話声が聞こえてきて、偶然録音してしまったんです!」

 

「ヤオモモでかした!」

 

「夜空の下でデートとか…」

 

「つゆちゃちゃちゃのちゃちゃちゃ…」

 

「お茶子ちゃんが壊れた…」

 

八百万の物証を確かめ女子5人が女子寮側のソファで声を潜めながら話す。

 

「これあれだね、ギルティ」

 

耳郎が頬を少し赤らめながら言う。残りの4人も頷く。

 

「というわけで事情聴取の為に被疑者を確保しに行きます」

 

「事情聴取室は二階の女子専用控室を開けますわ、私がカギを先生から預かっていますので」

 

「私は梅雨ちゃん連れてくるね、運命君の方は任せた!」

 

「「「OK!」」」

 

「作戦どうする?」

 

「ウチに良い考えが…運命くんハイタッチ好きやから、それを利用して…」

 

「ふんふん」

 

「それでいこう!作戦スタート!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方男子側のテレビがあるソファー前では部屋に戻らない派の男子達が思い思いに過ごしていた。

 

運命もその中の一人で、携帯を弄り、周囲とくだらない話をしている。

 

そこに麗日が歩いてきて運命に声をかけ近づく。

 

「運命くんいぇ~い!」

 

「ん?お?よくわからんけどいぇ~いっておお!?何で浮かせるの!?」

 

運命は呼ばれて出された手を何も考えず取り合えず叩き、そして重力を奪われる。

 

突然に奇行に周囲の男子も唖然として止まってしまう。

 

そこに麗日の後ろから芦戸が歩いてきて浮いた運命に手を伸ばす。

 

「運命、大丈夫?ほら」

 

「わわ、助けて!って手錠!?」

 

右手を掴んだ芦戸はスッとポケットから出した八百万印の手錠を嵌める。

 

するとさらに芦戸の後ろから来た耳郎が耳のイヤホンジャックを伸ばし、もう片方の空いている手錠部分に巻きつけ、運命ごと引っ張っていく。

 

明らかに計算された動きに驚き誰も止めることができない。

 

 

 

「ウチが浮かせて!」

 

「アタシが確保!」

 

「そしてウチが連行するから」

 

麗日、芦戸、耳郎による三位一体の疾風怒濤ともとれる連携に運命が女子部屋に連れ去られて行く。

 

「いやー!誰か助けて~!」

 

運命から助けの手が伸ばされるが、男子達はただそれを眺めていた。

 

「くぅ~オイラも女子に連行されて~~」

 

「いや、あの空気はやばそうでしょ」

 

峰田と会話する上鳴の言葉にその場にいた男子は頷き、数秒後には忘れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女子二階準備室

 

 

「昨夜に寮の屋上でいちゃいちゃ罪で逮捕です」

 

ドン!っと仁王立ちで宣言する芦戸。テーブルには証拠のボイスレコーダー。浮かされたままの運命。麗日、葉隠に挟まれて身動きが取れない蛙吹がソファーに座っていた。耳郎はややジト目で右耳のイヤホンジャックを人差し指に巻き付けては取るという行動を繰り返している。

 

「八百万…録音まで…」

 

「偶然ですの!本当に偶然でしたの、夜風を楽しんでいたら聞こえて来ましてつい…それに、全ては聞こえませんでしたし、無音部分は当然見えてないので分からないわけでして…それがより妄想を捗らせてしまうというか…」

 

両頬に手を当て、プリプリという擬音が出そうな程左右に揺れる八百万。

 

「それより蛙吹被告、運命被告!チューしたんか?」

 

「「チュー!?」」

 

「「「「キャー!」」」」

 

芦戸の歯に衣着せぬ発言に全員が赤面して叫ぶ。

 

「夜空の下で二人で話なんかしちゃって、多分手も握ってるだろうし、そしたらもうチューでしょ?」

 

「したの!?梅雨ちゃん!?ちゅって!」

 

「麗日、その手で隠しながらも目の部分開いているのはどうなのよ…」

 

「ち、チューはしてないわ、手も…手は少しだけ」

 

「してないの!?こんなイチャイチャしてて!?おい男としてどうなんだ!おら!」

 

ソファーの足に巻かれている紐に繋がって浮いている運命を揺らす芦戸。

 

「揺らさないで~、あ、無重力酔う、酔っちゃう酔っちゃう。お助け~」

 

「隙あらばいちゃつきやがって、この、この」

 

「お助け~!」

 

運命の情けない声が響き、夜は更けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スキット『しのぶれど 色に出でにけり わが恋は』

 

「あ~ようやく解放された~無重力こえ~」

 

「大変だったわ…それに恥ずかしいわね」

 

「ん~暫く我慢しようか…」

 

「クロスちゃんは、その、私と二人で会うの我慢できる?」

 

「袖クイっ!トゥンクが止まらない!やっぱり我慢できません!もっとバレないように工夫するよ!!だからそんな悲しそうな顔しないで!」

 

「ふふ、期待してるわ。よろしくね」

 

「次回!ミルコとインターン!膝枕もあるよ!お楽しみに!」

 

 

 

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