僕の運命アカデミア   作:乙子

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第20話~インターンその2~

 

 

 

週が明け朝

 

仮免講習が激しかったのかボロボロの爆豪と轟。

 

教室を確認し、いない生徒が気になる飯田。

 

「授業が始まるぞ!!麗日くんと梅雨ちゃんくんがまだ来てないが!?」

 

「公欠ですわ委員長」

 

「波動先輩経由でリューキュウ事務所に今日からインターンだって、頑張ってるでしょ」

 

飯田の言葉に返す八百万と運命。

 

「切島も?」

 

「切島も天喰先輩のインターン先に誘ってもらって同じく今日からだってさ、いいよなー」

 

耳郎の疑問に上鳴が答える。

 

先日の落ち込みが継続していて上の空の緑谷が、峰田と芦戸に適当に生返事を返している。

 

運命が席に着くと後ろの尾白から声がかかる。

 

「運命は土日だけだったのか?」

 

「ミルコのインターン結構まばらでさ、次は水曜からだな」

 

「先に行った運命と緑谷がいて、今日から麗日達がいない、か。置いてかれそうで焦るな」

 

「今は学校で自力鍛えるのも大事だと思うぜ?弱いとボロボロにされるし」

 

「特殊事例のミルコインターンは参考にならないんだよなぁ…まぁ腐らず頑張るしかないな」

 

「やることぶっ飛んでるだけで反面教師にはなるはず…あっ」

 

トラウマ(兎)がフラッシュバックし胃痛に薬をがぶ飲みする運命。尾白はその姿にドン引きしてしまう。

 

「錠数確認せず飲むのやめなよ…ジャンキーみたいに見えるよ」

 

「わかってるんだけど、もう止めらんねぇんだ」

 

「強さと引き換えにナニか失ってるぞ運命…」

 

尾白のため息は入室してきたプレゼントマイクの叫びによりかき消された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二日後

 

ミルコと合流した運命は夕食を食べ、大阪に来ていた。

 

既に昼にミルコに来ていたチームアップ要請の事件を解決し、たまには夜の街のパトロールをしようということで夜の大阪の賑わう街を出歩く。

 

「大阪の街は良い匂いしますねー、ソース系?ご飯食べたのにお腹すいちゃいそう」

 

「たこ焼きや大阪風お好み焼きが多いからな」

 

「大阪風?広島風だったらぐわっ!」

 

ミルコの言葉に疑問を呈する運命だが突如顔面を掴まれる。

 

「広島風お好み焼きなんてもんはねぇ、わかったな?」「ハイ、ワカリマシタ!」

 

怒気を発しながらそういうミルコに運命はただただ同意するしかなかった。

 

地元を飛び出して活動するミルコだが地元への愛はしっかりあるようで、琴線に触れてしまったようだった。

 

「まぁせっかくの大阪だ、食いながらパトロールしても良いからな?」

 

「そんな食べながらなんてしませんよって思いましたけど人参齧りながらしてる人横にいましたね…」

 

「私以外にもいるぞ?この辺だとタコ焼き食べながらパトロールするヒーロー。大阪では人気あるヒーローで名前は…お、ちょうどいるじゃねぇか。ついてこい」

 

歩いていると何かを発見してジャンプするミルコ、慣れたもので運命も瞬時についていく。

 

するとそこには2mを超える巨大な容姿のヒーローらしき人物と見慣れた二人がいた。

 

シュタっと着地するミルコに気付いた巨漢な男が声をあげる。

 

「おお、ミルコやないか!四国では相変わらず暴れとったのぉ!お、後ろの君が噂のエレメンタル君やな?」

 

「紹介するぞエレメンタル、こいつは大阪の人気ヒーロー『ファックユー』だ!」

 

「「「ぶふぅ!」」」

 

ミルコの余りにも酷いヒーローネーム紹介にプロお付きの三人が吹き出す。

 

「どーもー、悪い敵さん『ファックユー』!でお馴染みの「ファック」さんや!ってアホか!?誰が『ファックユー』や『ファットガム』や!!そんな外国の禁止ワードみたいな名前なんて付けるかいな!?おぉ、割とウケたな、よっしゃよっしゃ。掴みは上々や、おおきにミルコ」

 

「こんな感じに適当にボケればノるなりツッコむなり自動でしてくれる便利な奴だ、覚えておけ」

 

腕を組み何故か偉そうなミルコに気を悪くせず、むしろウケたことを喜ばしそうに笑うファットガムに運命は戦慄しながらも挨拶をする。

 

「これが関西人のノリ!日常が漫才なのか…あ、エレメンタルです、よろしくお願いしますファットガム」

 

「おう!よろしゅーな!同じ学校やから知ってるやろうけど烈怒頼雄斗とサンイーターな、ほら、お前らもミルコに挨拶しとき」

 

「期末試験の時に顔だけ拝見しました!烈怒頼雄斗っス!」

 

「サンイーター…です」

 

「おう!しっかりヒーローしろよインターン生!」

 

ファットガムの所へインターンに来ていた天喰と切島と会い自然と笑顔になる運命。

 

切島と拳を合わせたりして喜んでいるとファットガムがミルコに先ほどの紹介への抗議をする。

 

「しかしウケたからええけど流石にファックはないやろミルコ、日本語にしたらヒーローネームに殺とか、死、とか付けるようなもんやで、かなんわ」

 

「ガハハ!いないからこそギャグで済むんだろうが!」

 

笑いながらも言い合う2人に天喰も同意するかのように頷いている。

 

だが運命と切島は違った。

 

((爆殺卿、爆殺王…))

 

頭を抱えながらクラスメイトの友人を思い出し、二人は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。だがこの時二人は思いもしなかった。卿や王すら超える神が爆誕することになるとは…

 

どこかのA組寮では激しくくしゃみしていた男がいた。

 

 

 

 

挨拶も終え、別れるかと思えばミルコはファットガムと情報交換の為に歩きながらパトロールに同行する。

 

どうやら内容は昼に潰したヤクザ屋の件だったのか話が進んでいく。

 

のだが、街を歩いているとたこ焼きやお好み焼きの店の店員がファットガムにどんどん食べ物を渡していく、ファットガムも笑顔で十数人前はあるであろうそれらを食べながら移動するではないか。

 

あまりの光景に運命が驚愕していると天喰が同情の表情で説明してくれる。

 

「ファットの食事は個性のこともあってあれが普通の姿なのさ」

 

「個性、あの脂肪が…」

 

「そうだぜ運命!ファットのあの腹には敵も沈んで何もさせないんだ、すげぇよな!!」

 

「色々と本当すげぇなファットガム」

 

話のスケールも身体も大きいファットガムに運命も圧倒される。

 

そんなことを話している間にもミルコとファットガムは情報をすりあわしていく。

 

「昼のヤクザの所も薬か、俺等も何人か捕まえて警察に情報回してる所や。そんでこれが繋がっとるっちゅうてんのがサーナイトアイか」

 

「メガネの奴な、次のチームアップには私も参加するから全部潰すがな!」

 

「最近無茶苦茶なペースで暴れ回ってるらしいやんか、インターン生連れてリスキーなことしよるでほんま」

 

「ふっ、アイツは着いてこれない弱虫じゃないからな」

 

「可愛がっとるな、ウチのも素質はピカ一なんやけどなぁ…」

 

チラリと後ろの天喰を見るファットガムに、人目を気にしてローブをさらに深く被る天喰。

 

そろそろ話も終わり、別れようかとなった所で前方の橋付近の広場で爆発が起こる。

 

即座に警戒態勢を取り、走り出す一向。

 

すると橋の近くのビルの壁に掛かっていた巨大な看板から人型が動き出していたのを発見する。

 

「誰かー!!グリケと食い倒れない人形とカニが巨大化して暴れてるぞーヒーロー呼んでくれー!!」

 

「大阪の名物ばっか動き出してどないしてん!!」

 

その異様な光景にもツッコミは忘れないファットガム。

 

物質を操る個性の敵がいるのだろうか、しかし一目ではわからないのでまずは脅威を排除しようと全員が動き出す。

 

「エレメンタル!お前グリカの方やれ!私は食い倒れない人形の方を倒す!」

 

「了解!カニは!?」

 

「俺等が相手したるわ!サンイーター、足止め!烈怒頼雄斗は周囲の人守りながら誘導や!!」

 

「「応!!」」

 

「さて蹴り甲斐ありそうじゃねぇか!」

 

「看板相手は流石に初めて、神衣!シルフ、ウンディーネ!!」

 

ビル程の大きさまでになった看板から出て来た白い両手を広げて片足を上げた特徴的な人型が暴れている。

 

運命はそれに瞬時に近づき、巨大弓と風の刃を下から射出し、人型に突き刺し、上空へ一気に跳ね上げる。

 

繁華街での暴動にまだ避難が出来ておらず、危険対象を地面から離すことを優先した。また人ではない故に突き刺しても問題は無いことが容赦を無くしていた。

 

そしてそれはミルコも同じだった。巨大化して暴れる食い倒れない人形を兎の脚力で一気に下から蹴り上げ、連撃と空中蹴りを駆使して上空へ対象を隔離する。

 

奇しくも同時に地面から空中へ戦場を変えたミルコと運命。

 

お互いがチラリと視認し、やることを理解する。

 

大阪の繁華街の上空に瞬時に展開される風の刃、その数100。

 

こうして空中に足場が生成されミルコは縦横無尽に跳び回り、食い倒れない人形を蹴って破壊していく。

 

運命も風の刃と矢で人形を串刺しにして既に暴れさせない状態まで持っていっている。

 

そこに下からファットガムの声が響く。

 

「二人とも川や!道頓堀は今日上流の工事で何にも通らん!そこに叩きつけたれ!」

 

その声に従いミルコは一気に食い倒れない人形の上空まで跳び、角度を付けて渾身の蹴りを放つ。

 

「『月墜蹴』!!」

 

同時に運命も弓を番え力を込める。刺さった矢を操りそのまま道頓堀に叩きつける。

 

「『蒼穹の十二連』!!」

 

巨大な造形物が二つ一気に叩き込まれたことで道頓堀の水は舞い上がり、一瞬底にあった白いふくよかなヒゲの紳士の像が見えた。

 

「クーネル…ウチが勝たれへん理由わかったで…なんでまた呪いかかることやっとんねん…って今はええわい!サンイーターは!?」

 

「…終わった、脚だけ破壊しておいた。カニの構造を食べて理解していたのが良かったよファット、今度カニ食べに行こう」

 

巨大カニが暴れていた所には既に脚が全て破壊され、体だけになりジタバタもがくカニがいた。

 

「相変わらずええ技量や!カニさんは高いからまた今度な!烈怒頼雄斗は!?避難終わったか!?」

 

「何とか離しました!…ん?ファット!そこの看板の裏の男!何か持ってる!」

 

「ひぃ!?」

 

「逃がすかぁ!沈め!」

 

「ああああああああああ!」

 

切島が如何にも怪しい男を見つけファットに言うと、即座にファットガムが跳びかかり、着地の際の腹でそのまま男を脂肪に沈めて捕獲する。

 

すると中の男も諦めたのか抵抗を止め、持っていたコントローラーを地面に捨てた。

 

そしてそれに連動してカニの動きが止まり、川の二つも動きを止めた。

 

「よっしゃ、こいつで正解やな!よう見とったで烈怒頼雄斗!来て数日で大活躍しまくりやな!!」

 

「いえ、俺なんてまだまだで…」

 

「卑下せんでええ!お前まで環みたいになんなや!」

 

「烈怒頼雄斗!怪我人出たか?回復行けるぞ」

 

「エレメンタル!いいや、重傷者はいない、大丈夫だ」

 

「落ちてくる瓦礫から守っていたね、凄いよ、烈怒頼雄斗…来て数日とはとても思えないよ、俺なんて……」

 

切島の活躍を褒めつつ自分の過去を思い出して壁に近づいていく天喰。

 

「相変わらず環は視野広いのに心臓はノミ以下やな!」

 

ファットガムの言葉にさらにダメージをくらう天喰。

 

「コイツも薬持ちか、蔓延してんな…お前の所も育ってるじゃないかファット!」

 

「そや!これからもっとでっかくなるでコイツラは!そっちのはもうすでにドデカいけどな!!見事やでエレメンタル!ほな警察に引き渡そか」

 

近づいてくる警察のサイレンに動き出す面々。

 

すると戻ってきた一般人や近隣の店の人達が歓声を上げながら取り囲む。

 

トップヒーローのミルコや地元人気のファットに歓声が上がるが、傍らの3人のインターン生にも様々な感謝や応援の声がかかる。

 

 

「ミルコやんけ!ムッキムキでかっけー!」

 

「ファット!お礼やこれ全部食うてくれや!ミルコに兄ちゃん達も凄かったで!!」

 

「サンイーターや!顔見せてー!ええタコやったでー!」

 

「烈怒頼雄斗ちゃん助けてくれてありがとねー!大人なったら絶対ウチの店来てや!サービスしたげるから!!」

 

「エレメンタルも変身かっこよかったで!ド派手やなー!!ほらおごりや食い食い!」

 

ぐいぐいくる観衆にプロ達は手慣れた対応をするがインターン生はたじたじである。

 

流れで渡されたタコ焼きを食べながら握手や写真を受ける運命。

 

「大阪すげーな…、このタコ焼きうま!」

 

全員がタコ焼きを食べている所にマスコミが取材に来て、食べながらの応対だったがそれがよりウケたのか次の日の新聞の一面を飾るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同日関東の何処か

 

街を破壊しながら互いを殴り合い、どんどんと被害を大きくしていく巨大化個性の敵達2名

 

エスパ通りで一度組み合いになっている所に彼女達は駆け付けた。

 

「チャージ満たん出力30『ねじれる波動』!!」

 

横合いから撃たれたねじれる波動により虚を突かれた敵達は押し倒される。

 

「「なんだァ!?」」

 

「ねぇねぇ、何でケンカするの?個性同じだから?変なのっ今だよー!二人共!!」

 

その言葉に敵達が壊した瓦礫を無重力で浮かし、それを叩きつける為に個性を活用する二人がいた。

 

「「必殺!『メテオファフロッキーズ!!』」」

 

麗日と蛙吹、両名が個性での連携で倒れた敵達へトドメの一撃をお見舞いする。浮かせた瓦礫を威力を付けて弾いた後に重力を戻し、質量弾とした連携技は見事に敵達を気絶させた、はずだった。

 

「っがあああああああああああああああ!!お前だけでもおおおおお!!」

 

当たり所が悪かったのか怒りで痛みを感じなかったのか、立ち上がった敵の一人が近くの麗日へ手を伸ばす。

 

慌てて波動ねじれも力を射出しようとするがスピードが遅いねじれた波動では一瞬間に合わない。

 

その瞬間蛙吹は集中力を高め、右手を敵の目に狙い付け、力を解き放った。

 

「させない!『双流放て!ツインフロウ!!』」

 

「うわっなんだ!?どこから!?」

 

右手から放たれた二対の水流が目に直撃し敵を怯ませる。そして上空からドラゴンの一撃が放たれた。

 

「いい加減大人しくしなさい!!」

 

ドゴンっと激しい衝撃音が響き渡り、敵は沈黙する。

 

それを確認して地上に降り立ち、人型へと戻るビルボードチャートナンバー9ドラグーンヒーロー、リューキュウ。

 

「よかったよーねぇ、よかったよかったァキンチョーした!?」

 

同じく地上に着地した波動が後輩二人に駆け寄り声をかける。

 

「指示通り動けました!」

 

「ケロケロ、意外と落ち着いてやれたわ」

 

「ねじれが連れてくるだけあって二人とも筋が良いね。ねじれも転倒させるタイミング治ってきたよ。フロッピーの水の一撃も意表をついてて良かったわ」

 

「そうだよフロッピー!いつの間にあんな水の技会得してたの!?助けてくれてありがとうやけどウチ初めて見た!でもなんか運命くんみたいな技やったね?」

 

「たしかにそうだね、運命君みたいなカッコいい技名だったね、教えてもらったの?」

 

麗日と波動の追求に応えづらい蛙吹。

 

「ケロ!?えーっと、はい。そんな感じです」

 

「え、教えて出来るもんなん?…だって運命くんのは精霊が…むむむ、わからん!」

 

悩みだした麗日に、恥ずかしいのか次第に頬を赤らめていく蛙吹の様子を堪能しつつリューキュウがこの場を締める。

 

「やっぱり仲が良いのね、若いって素敵…さぁ、学生といえどインターンで来たからには立派に戦力!あなたたちならあの案件も活躍できそうね。話題の運命くんも来るでしょうしね!オールマイトの元サイドキック、ナイトアイからのチームアップ要請!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二日後

 

朝の教室にて

 

数日ぶりに学校に戻って来て登校した切島や麗日、蛙吹は緊張感を切らした顔でいた。

 

そこに上鳴が携帯片手に叫ぶだす。

 

「切島コラァ!!お前名前!!ネットニュースにヒーロー名!乗ってるぞスゲェ!!それにミルコと運命ともチームアップして事件解決してんじゃん!テレビにも解決後に皆でタコ焼き食ってる写真使われてたぞ!!」

 

「運命達とはチームアップというか偶然一緒だったからそのまま事件関わったって感じでさ。5人での写真はプリントアウトしたわ、良い記念になった」

 

事件を解決したことから切島は意識が成長し、以前ほど一喜一憂することはなくなった。だがそれがより成長を感じさせて爆豪の歯ぎしりが激しく強くなる。

 

同じく芦戸も携帯に麗日達のニュースを発見し、大声で見せに行く。

 

「梅雨ちゃん麗日ぁすごいよー名前出てる!!」

 

「うへェー嬉しいなァ本当だ…!」

 

「どこから撮ったのかしら」

 

「すっごいねー!もうマウントレディみたいにファンついてるかもねえええ!!!」

 

初めてのインターンで結果を出してニュースにもなっている級友の活躍に皆も次は自分と気合を入れる。

 

「仮免といえど街へ出れば同じヒーロー……素晴らしい活躍だ!だが学業は学生の本分!!居眠りダメだよ!」

 

「おうよ飯田!覚悟の上さ!なァ緑谷!」「うん!」

 

「お前勉強やべーってっつってたのに大丈夫かよ」

 

「先生が補習時間設けてくれるだってよ」

 

「俺も行きゃーよかったなァ両立キツそうでさァ…」

 

「学ぶペースは人それぞれですわ」

 

「良い事仰る~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日夕方

 

「ただいまー」

 

インターンから帰ってきた運命にその場にいた尾白、上鳴などが声をかける。

 

「おー運命お帰り、今回も活躍してたな、大阪に奈良に、ニュースでやってたよ」

 

「やっぱトップ10内ヒーローは注目度が違うからなーいいなー運命」

 

「上鳴来るか?時折ミルコからの膝蹴りとか腹キックあるけど、あと移動力ないと捨て置かれるけど…あっ」

 

「やめろやめろ!お前自分で言ってて自分を追い詰めるんじゃないよ!胃薬に手伸ばすなって、俺が悪かったよ!」

 

「期待させること言うなよ、的が増えると期待しただろ」

 

「級友を的って言い切るなよ、どんなインターンしてんだよ本当に」

 

怪しい雰囲気に尾白がすぐに話題を変える。

 

「で、またお土産?、今度は何?」

 

運命は右手に持っていた大量の紙袋を置いて一つ出す。

 

「なんか奈良で鹿を操って奈良統一しようとしてた一派がいてさ、それの鎮圧したら貰った、人間も食べれる鹿せんべいだって、食べようぜー」

 

「…奈良は奈良で統一されてるよな?いつのまに戦国時代みたいな群雄割拠になってたの?」

 

「世界って俺等が思ってる通りじゃないんだな…知らなかったよ」

 

「着替えてくるからよろしくー」

 

「「あいよー」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕食を終えての自由時間

 

ピロンと通知音が蛙吹の携帯から鳴る。

 

その時間は女子達がダラダラと喋りながら、運命のお土産の鹿せんべいを食べてテレビを流し見していた。

 

ちらっと画面を確認してすぐに懐にしまう蛙吹。

 

そしてお茶や鹿せんべいをそそくさと食べ終え、今日はもう部屋に戻ると言う。

 

「えー梅雨ちゃん早くなーい?」

 

「ほ、補講の復習もあるし、ね。じゃあお先にお休みなさい」

 

「「「おやすみー」」」

 

すーっと早歩きでエレベーターに乗り込んでいく姿に皆が怪しむ。

 

「運命は?…ロビーにいないか、寮にいる時は結構ロビーにいるのにね」

 

「さらに怪しい…」

 

疑惑は深まるばかりである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蛙吹が部屋に帰り、またある時間になると窓を開ける、するとまた運命がふわふわと浮遊しながら降りて来た。

 

顔の前に一本指を立て音を立てないように指示し手を差し出す。

 

嬉しそうにそれに頷きながらそーっとベランダに出てその手を取る。外に出る際にはキョロキョロと同じ階の八百万に見られてないか確認し、同時に空へゆっくり上昇し、下に声が聞こえない距離まで来ると声を発する。

 

「これくらいなら下にも聞こえないしそうそうバレないでしょ」

 

「そうね、バレるのは、その、恥ずかしいわね」

 

「今夜は空のデートでどうでしょうか?シルフ、お願い」

 

そう言ってふわりと蛙吹に緑の光が纏わり一気に身体が軽くなる。運命が手を離すと蛙吹は戸惑いながらも浮いている。

 

「ケロ、私が浮いてる?手を放しても」

 

「風の精霊にお願いして梅雨ちゃんが飛べるようにしてもらったんだ、マナはオレが肩代わりしたから30分はゆっくりだけど自由に飛べるよ。前の雨の日の公園の時の改良版!」

 

「すごい、すごいわクロスちゃん!私飛んでる!」

 

「ふっふっふっ!オレも成長してるのさ!自由に飛んでみなよ」

 

最初はおっかなびっくりだったが、次第に自分の思う通りに飛べることがわかり、上がったり下がったり回転したりと自由に飛行を楽しむ蛙吹。

 

「これが飛行、凄いわ、お茶子ちゃんの無重力とはまた違う…私空飛ぶ蛙になったのね!」

 

「雄英の範囲内なら警報もならないし飛行警備ロボもここまで上空見ないから自由だよ、調べといた!」

 

それから二人だけの夜空を自由に舞い飛ぶ。

 

「ケロケロ~!お月様がこんなに大きいなんて…」

 

「ちょっと遅れたけど9月だしお月見かな?」

 

「月でミルコが餅つきしてるかしら」

 

「ミルコなら餅も蹴って作るね、間違いない。」

 

「ふふっ、想像できちゃうのが面白いわね」

 

オツキミルコ(お月見)…」

 

ふわりふわりと二人だけの夜空の時間が過ぎていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

「というのを偶然!偶然月を望遠鏡で観察していたら撮ってしまいまして、高性能のモノで何故か録画まで…」

 

「まぁた懲りずにイチャイチャしてるー!確保ー!」

 

「うわー!」

 

運命はまた浮かされ連行された。

 

 

 

「個性のロマンティック使用罪だから、少女漫画でありそうなことしちゃってさぁ…」

 

「空で飛びながらデートとか個性の濫用ですよお二人さん」

 

芦戸と耳郎が圧をかけながら喋る。

 

以前の様に浮かされて拘束される運命、ソファー中央でサイドを固められる蛙吹。

 

「八百万…ドウシテ…」

 

「モモちゃん…」

 

「偶然ですの…あぁ私もロマンティックに夜空でデートしてみたいですわ…」

 

「梅雨ちゃんが、どんどんどんどんどん先に…しまっておく決心が揺らぐ…」

 

「お茶子ちゃんが壊れた」

 

「これ見ると梅雨ちゃんも自由に飛んでるけどどういうこと?ねぇ」

 

「精霊にお願いして力を先に渡せば飛べるようにしてもらっております、揺らさないでください耳郎さま…ビート刻まないで」

 

「…それって他人にも自由に飛ばせるってことだよね、…ちなみになんだけど何人まで行ける?」

 

耳郎が興味無さそうなフリをしながら問いただす。その質問に他の女性陣も一歩近づいて聞く。

 

「ひっ!ふ、二人までなら20分くらいは自由に行けます!オレからたとえ離れてても」

 

「ふ、ふーん」

 

「じゃあ私と尾白君で一度飛ばしてほしーな!」

 

「OK!あ、そーだ!それが対価でどう?女子は誰か男子と一緒に夜空20分の旅、それでオレらを見逃してくれ!」

 

運命の言葉に女子陣が一斉に考え込む。

 

「男子売る気じゃん…別に男子と飛びたいなんて言ってないし…まぁでも空でビビるうぇいは見てみたいかもだけど…」

 

「私も轟さんには期末試験の時の恩返しを兼ねてお誘いしてみたいのですが…ご迷惑でしょうか…」

 

「私も…まぁ男子の中なら切島にしとこうかな?」

 

「ウチも…デクくんと…いやいや…でもでも…うぬぬぬ!」

 

期待と不安が入り混じっていく。

 

とりあえず相手は置いておき、どんな空の旅にするかを話していく。

 

「でもせっかくの夜空のデートならロマンティックに決めたいよねー」

 

「こんなのどう?長めのほうきに二つのサドル付けて前後に乗って飛ぶとか!」

 

「キャー自転車の二人乗りの空バージョンってこと!?素敵ー!」

 

「創造!これでどうですか!?」

 

想像のモノを即座に創造してしまう強個性八百万。

 

「ヤオモモ完璧!GJだよ!!」

 

あまりの出来の良さに葉隠が八百万に抱き着き歓喜する。八百万も満足げであった。

 

「これで後ろから抱き着きながら空飛ぶとかもうヤバくない!?」

 

「えー私前が良いなー、こう後ろからギュッと…」

 

「「キャー!」」

 

盛り上がっていく女性陣にそっと捕縛されていた紐から解放される運命。

 

「クロスちゃんこれ女子は全員分する流れよ」

 

「もう捕まりたくないから頑張るよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スキット~『実質100%』~

 

「ファット、関西人に会ったら聞いてみたいことがあったんですが?」

 

「ええで、なんでも聞きエレメンタル」

 

「関西人はタコ焼き機を必ず所持してると聞いたんですが本当ですか?」

 

「流石に関西人でも必ずは持ってへんやろ、ウチはあるけど」

 

「…エレメンタル、この質問は俺が答えるよ」

 

「サンイーターが?」

 

「俺も同じこと思って色んな人に聞いて…いるのを見たことがある」

 

「あ、自分では聞いてないんですね」

 

「そんな恐ろしいこと言わないでくれ。でだ、この質問に答えた十数人全てがウチはあるけどと答えた。確率は100%だ」

 

「まぁホットプレートのオプションでタコ焼き用のやつ付いてたりするから最低でも一家に一台ある感じやけどな」

 

「「へぇ~」」

 

 

 

 

 

 






本編が熱すぎて困る(困らない)


ミルコのショート&えぐい義手に期待大です。




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