僕の運命アカデミア   作:乙子

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第24話~文化祭と壊理の友達その2~

 

 

 

 

 

 

 

雄英高校文化祭前日午前、とある演習場の端にて

 

 

体育館程の空間が土で作成されており、中の様子は外からは伺えない。

 

窓も扉すら無い空間に運命、蛙吹、麗日、緑谷、切島がいた。

 

広大なスペースを全て使って地面には巨大な魔法陣が作成されており、四方にさらに魔法陣とあるものが置かれていた。

 

現状することが無い蛙吹、麗日、緑谷、切島が飲み物やお菓子を食べながら雑談をしている。光源は各自の携帯で取っている。

 

「ウチあんな大きな宝石持ったん初めて…手洗わんとこかな」

 

「それは汚いと思うわお茶子ちゃん」

 

「拳くらいの大きさの宝石なんて、運命くんが頼んだとは言えオールマイトとミッドナイト先生はよく調達出来たよね」

 

「やっぱトップヒーローは伝手なんかも違うんだろうな」

 

全員が見つめる先には周囲の四つの魔法陣の中に置かれた大きな宝石達

 

オパール、アクアマリン、ルビー、ガーネットである。

 

そして中央に胡坐をかき座る運命の前には拳の半分ほどの大きさのターコイズ。

 

準備が整ったのか運命が目を開き、壁際にいる4人に声を掛ける。

 

「それじゃあ始めるから、いざとなったら壁ぶっ壊して逃げてくれよ」

 

「オッケーだ!俺が殿努めるから安心しろ!」

 

「壁は僕が壊すね、何も無いのが一番だけど」

 

「ウチがやるのちゃうのに緊張する…」

 

「私も緊張するわ、ウンディーネ以外の大精霊を見れるなんて」

 

蛙吹の言葉に3人も息を呑む。

 

運命が大きく深呼吸をして意識を集中させていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ四大精霊を呼び出す『四元精来還の儀(しげんせいらいかんのぎ)』を始めるね。これを成功させて仕上げだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

運命が目を閉じ、光を放ち始める。

 

 

 

 

 

 

 

膨大な力の奔流が運命から巻き起こり、緑谷や麗日はその光景に以前見た壊理の力の暴走を思い出す。

 

すると運命から赤、青、緑、黄色の光の珠が出現し、四方に置かれた宝石に宿っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地の大精霊ノームがルビーに

 

 

水の大精霊ウンディーネがアクアマリンに

 

 

火の大精霊イフリートがガーネットに

 

 

風の大精霊シルフがオパールに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして宝石から各大精霊が姿を現す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

土色の惑星を模したものに乗った小柄な人型のノームが

 

 

水を身に纏う女性の姿のウンディーネが

 

 

火を纏う大きな巨躯の男のイフリートが

 

 

ゴーグルをかけた少年のような風貌のシルフが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その圧倒的な神秘を感じさせる姿に見ていた四人は気圧され身動き一つ出来ない。

 

呼吸すら忘れて見ていると、悪戯好きの精霊シルフが4人の前を通り過ぎ手を振っていく。

 

土の閉鎖空間にいるはずなのに大森林の中にいるような清らかな風を感じた4人。

 

 

 

 

 

 

 

シルフが元の位置に戻ると精霊達全てが中央の運命の前に置かれているターコイズに向けて手を翳す。

 

 

 

 

 

 

 

 

四大から力が注がれていき、ターコイズが浮かび上がる。

 

暫しの時間の後、力が収まったターコイズが光を放つ。

 

あまりの光量に目を開けている者がいなくなる。

 

やがて光も落ち着き、暗い空間に戻ってくる。

 

既に精霊達はいなくなっており、運命は疲れ果てたのか胡坐のままの姿勢で後ろに倒れて大きく息をしている。

 

4人が運命の名前を呼び近寄る。

 

すると運命は倒れたまま右手を握りしめて上に掲げる。

 

「無事成功したよ、ありがとう」

 

「なんかやべーもん見ちまった気分だわ…」

 

「僕も、あれが四大精霊…」

 

「神々しさってまさにあんな感じなんやろうね…凄すぎてもうわからん」

 

「ウンディーネとの対話の時以上の圧だったわ…とんでもない力、でも優しい力だったわ」

 

切島が運命の右手を掴み引き上げ立たせる。

 

運命も立ち上がり目の前のターコイズを持ち、確かめる。

 

そこに命の胎動の様な熱さを感じる。

 

「これで後は器に入れれば完成!もう数日はかかると思ったけど皆のおかげで文化祭に間に合ったよ、本当にありがとう」

 

「壊理ちゃん喜ぶと良いね!」

 

「いつ渡すつもりなんだ?」

 

「うーん、文化祭の終わり際で良いと思うんだけど」

 

「そうね、文化祭がとても素敵な一日になるんじゃないかしら」

 

「渡す時絶対一緒におろう」

 

宝石を回収し、入っていたケースに戻す。

 

ターコイズだけは運命が持ち帰る。

 

そして外に出るとその空間全てを土で混ぜ返し魔法陣を消し去り、元の様に均等にならして寮へ戻っていく。

 

「時間は大丈夫だね、お昼食べて最後の全体練習頑張らなきゃ」

 

緑谷が拳を作りながらそう言う。

 

そして夜九時まで全体練習を行い、完成度を確かめた後、もう後は寝るだけとなったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜11時35分、寮ロビーでは明日への興奮が止まない上鳴や峰田がはしゃいでいる。

 

ソファーでは不安げな飯田が声に出す。

 

「皆盛り上がってくれるだろうか…」

 

「そういうのはもう考えない方が良いよ」

 

隣の耳郎が胸をとんとんと叩きながら胸の内を明かす。

 

「恥ずかしがったりおっかなびっくりやんのが一番良くない。舞台に上がったらもう後は楽しむ!」

 

それを聞いて緑谷も同意する。

 

「耳郎さんの話色んな事に通じるね」

 

そして緑谷はロビーにある冷蔵庫を開ける。

 

「…あっ!」

 

「どしたー緑谷、プリンでも取ってたの食べられたかー?」

 

「ううん、ちょっと買い忘れ思い出しちゃって、明日の朝イチで買ってくるから大丈夫。朝練もあるし」

 

「時間大丈夫かよー俺等が10時からで大体の店は9時からだぞ?」

 

「雄英から15分くらいの所にあるホームセンターとスーパーは8時から両方やってるから」

 

「気を付けろよー」

 

緑谷の言葉に上鳴が注意をしておく。

 

同じくソファーに座っていた運命は外で一人空を見ている青山を見つけ扉を開けて近づいていく。

 

「センチメンタルか青山」

 

「運命君」

 

近づく運命に振り返らず青山は空を見る。

 

運命もそれに倣い空を見上げる。

 

「明日の自由飛行ミラーボール、完璧に頼むぜ?」

 

「君の精霊の力で僕が飛ぶんだから完璧すら超えて見せるさ」

 

「最高の目立ち期待するよ」

 

「…ねぇ運命君」

 

青山は横にいる運命に向き直り、目線を合わせる。

 

「どしたよ」

 

「明日僕は人生最高の煌めきを見せるよ、それを僕らの友情の証にしようじゃないか☆」

 

右手を高く挙げる青山。運命は少し目を開く。

 

夏の神野以降少し距離が空いていた青山と運命。どこか青山から気まずさの様なモノを感じていた運命。

 

それが青山と緑谷が仲良くなって以降少しずつ以前のような気安い関係に戻って来ていた。

 

「…ふふっ、そうだな、見せてやるか、オレらの最高の」

 

 

 

「「KIRA☆MEKI」」

 

 

 

バチンと強く叩き合い、思いの外それが痛くて二人で笑った。

 

寝て起きれば、文化祭が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

文化祭当日

 

朝から皆準備で動き回る中、雄英文化祭が始まった。

 

A組の面々は機材などを持ち体育館へ向かっていく。

 

麗日の個性を使えば早いのだが、それは本番で取っておきの目玉の一つの為、力自慢達が大きなアンプや楽器を慎重に運んでいく。

 

相澤や通形が壊理と共に挨拶に来るが、まだ買い物から帰ってこない緑谷に不安げな顔をする。

 

しかし緑谷以外の準備は予定通りに終わり、緑谷も開始5分前にたどり着き、着替えを済ませて無事開幕に間に合った。

 

何故かボロボロの緑谷だったが周囲には転んだとしか言わなかった。

 

普段なら追求したかもしれないが時間を気にして準備を手伝った青山などの助けでどうにかったのだった。

 

そして舞台の幕が上がった。

 

 

 

 

 

ほぼ満員の観客達を見下ろしながら演出隊が合図している。

 

爆豪の開幕大爆破からの衝撃でツカミをド派手にする。

 

バンド隊が演奏を開始し、ダンス隊が動き出す。

 

耳郎のよろしくお願いしますとの大音声で大ジャンプを見せる尾白と芦戸。

 

そこからこの一ヶ月全てを注ぎ込んだ魂のライブが始まった。

 

緑谷と青山がメインのパートから最初の見せ場。

 

青山の空中ミラーボール。

 

会場はド派手な演出にドンドン盛り上がっていく。

 

キャッチは尾白、サビの手前で運命も空へ飛ぶ準備をして、青山と目を合わす。

 

砂藤と尾白に空中に投げ飛ばされた青山を運命がタッチし、空を縦横無尽に飛びまわさせる。

 

峰田や障子が個性を使い、瀬呂と轟がせろろきとなり氷の空間を作り出す。

 

口田の個性により動物たちが光源を動かし、蛙吹の舌に動かされる麗日が無重力で観客を浮かせていく。

 

切島が氷を削りダイヤモンドダストを演出し、運命も術や技でどんどん空間をファンタジー溢れるものにしていく。

 

峰田が念願だったハーレムパートのダンスを楽しみ、飯田がロボットダンスに死力を尽くす。

 

耳郎の歌が全員を魅了し、会場中を一つにする。

 

通形に抱き上げられ全身でその感覚を受けていた壊理も両手を挙げて笑った。

 

そうして大歓声と笑顔の中で、A組の出し物は終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして終了後、体育館では後片付けで皆が走り回っていた。

 

その中で壊理が身体を全部使ってどう楽しかったかを必死に緑谷に伝えていく。

 

笑顔で年相応な少女の振る舞いに、緑谷も涙が出るほど感激していた。

 

爆豪や轟、運命の個性で集めた氷を溶かし終え、荷物も寮へ戻し終えた後、A組の面々は各自自由に文化祭を回って行く。

 

多くが向かったのはまずはミスコンであった。

 

峰田を中心にミスコンに出場していたB組の拳藤のドレスを着ての演武や、黄金色の自らの顔を模した乗り物で変形しながら走りまわる絢爛崎美々美を唖然としながら見ていると遂に波動ねじれの出番となる。

 

ドレス姿の波動が個性で飛び上がり、空を舞う。

 

楽しそうに、観客の中に見知った顔を見つける度に笑顔を振りまくその姿はまさに妖精のようで。

 

着地し舞を終えたと最後にポーズを決める彼女には、魅了された大衆から盛大な拍手と歓声が送られていた。

 

全てのパフォーマンスが終わり、投票の時間となる。

 

B組の物間が拳藤への投票を促しているが、皆自分が一番魅力的に感じた候補へ投票していく。

 

峰田が満足げに笑っていた。

 

そこからはさらにばらけて行きたい所へ向かっていく。

 

運命は緑谷、麗日、蛙吹、通形、相澤、壊理らと共にクレープ屋によってクレープを食べる。

 

「おっいしそー!どれ食べよう!悩むー!」

 

「くれーぷ?」

 

「甘いんだよーイチゴの奴食べてみよっか!」

 

「オレは抹茶かな」

 

「渋いね運命君、僕はカスタードにしようかな」

 

「ウチはアイスかなぁ」

 

「私はバナナかしら」

 

買ったクレープをまずは壊理が食べ、初めての美味しさに目を見開く。

 

皆で微笑みながら食べて行く。

 

「クロスちゃん抹茶は美味しいかしら」

 

「美味しいよ、一口どうぞ」

 

「あら、ありがとう。こちらもどうぞ」

 

お互いのモノを食べさせ合いする運命と蛙吹。

 

あまりに自然なその姿に麗日が顔を真っ赤にする。

 

同じく顔を赤らめている緑谷の背を運命が押す。

 

「麗日、緑谷がアイス一口食べたいんだって」

 

「ほら、お茶子ちゃんも色んな味食べるチャンスよ。緑谷ちゃんのもらったら?」

 

「えええええええ!?運命くんにゃにゃにを!?」

 

「そうなんデクくくくくくくん?!?!ハイ!ドーゾ!!」

 

混乱した二人が混乱のままお互いに差し出し齧る。

 

味もわかってない様子でのオイシイという言葉に周囲も笑みが漏れる。

 

それを見た壊理ちゃんとも皆で食べさせ合いをして、さらにパンフレット片手に出し物や露店を回って行く。

 

途中ミスコンの結果発表を見に行き。

 

波動がグランプリを勝ち取り、長年のライバルだった絢爛崎美々美を倒す。

 

二人の握手は印象的なモノで、誰もが二人の姿に盛大な拍手をおくる。

 

感動で泣く甲矢有弓や笑顔を見せる天喰、感極まり勝利のティアラを着けた波動は二人を力強く抱きしめた。

 

「ありがとう、二人がいてくれたからだよ!!」

 

その目から流れる涙はとても綺麗で、壊理は笑顔で手を叩いた。

 

途中緑谷がいなくなったりもしつつ文化祭を堪能し、遂に文化祭も終わりの時間となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

通形と相澤は一度A組の寮に行こうと連れ立って歩く。

 

先に寮綺麗にしときますと言って走り出す運命、蛙吹、麗日、切島。

 

壊理達が余韻に浸りながら歩いて寮に着いた。

 

外から見ると慌ただしく掃除している麗日が見え、通形が手伝うと言い先に中に入る。

 

相澤と壊理は外に置かれていたお茶会用の机と椅子がある所に座って待つ。

 

すると今度は相澤が携帯をチェックし、立ち上がりながら壊理に言う。

 

「少し電話をするからここで待っててくれるかい?すぐ近くにいるから」

 

「はい」

 

そう言って相澤が繁みの向こうにそっと消えて行く。

 

壊理は少しの寂しさを感じながらも椅子に座り足をプラプラさせながら待つ。

 

今日の楽しかった事を思い出して、でももう終わりの時なのだと感じながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると壊理の目に不思議なモノが入ってきた。

 

「?」

 

長さは30センチほど、全身紫とピンク色の模様が付いている大きなぬいぐるみの様なモノが芝生の上をずりずりと動いていたのだ。

 

A組寮の庭に落ちていたソレが気になり、少しだけだからとイスから降りて近づいていく。

 

ゆっくりゆっくり近づいていく。

 

すると背を向けていたそのぬいぐるみが回転して大きな緑の目と半分以上開く口を動かしてくる。

 

「ん?」

 

「!?」

 

お互いに目が合い、動きが止まる。

 

先に喋り出したのはぬいぐるみだった。

 

「あなたはだぁれ?」

 

「…わたし、壊理」

 

聞かれたから答えた壊理に人形は口を開けて目を細め笑う。

 

「エリ?ぼくはねぇ、ティポっていうんだ!」

 

「……ティポ?」

 

首を傾げながら名を復唱する壊理。

 

するとぬいぐるみが地面から飛び上がり、クルクルと楽しそうに壊理の周りをまわる。ティポの頭に付いている小さなツインテールも弾む。

 

「エリ、エリー、エリ!」

 

「わわっ、あなたはどこの子?」

 

「ぼく?わからない、ぼくは今日生まれたから」

 

「そう…なんだ」

 

「エリはどこの子なの?」

 

「わたしは………わかんない」

 

ティポの言葉に壊理も考えるが答えは出ない。

 

暗くて怖い場所からはもう助けられた、病院が居場所とも言えなくて、壊理はそう言った。

 

するとティポは楽しそうに何度も弾み壊理の顔の前まで来る。

 

「じゃあぼく達一緒だね!」

 

「いっしょ…うん」

 

「ねぇエリ、ぼくとトモダチになろうよ!ぼく一人で寂しいんだ!!」

 

「とも、だち?」

 

「そうだよ!トモダチはいいよー!悲しい事は半分で!楽しい事は二倍になるんだよ!!」

 

「そうなの?……うん、トモダチ、なる」

 

「本当ー!?やったああああああああー!!」

 

ティポは心底嬉しそうに飛び回るとエリの胸に飛び込む。

 

優しいタックルにエリは両手でティポを抱き留める。

 

「これからずっと一緒だよエリ!よろしくね!!」

 

「ずっと一緒?うん、うん!よろしくね、ティポ!」

 

その身体を抱きしめながら、壊理は笑顔でそのふわふわに顔を埋めた。

 

壊理に初めてトモダチが出来た日であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうです通形先輩、成功です?」

 

「バッチしなんだよね!トモダチだってさ!これからずっと一緒だってさ!」

 

「「「「「やったーーーー!!」」」」」

 

壊理達から見えない位置で覗いていた通形が頭の上で両腕を丸め大きな丸をつくる。

 

それで隠れていた運命達5人も歓喜の声を挙げる。

 

「でも良いのかい?運命君が頑張って作ったんだから素直に渡してあげて良かったんじゃ」

 

「良いんですよ、壊理ちゃんは今日、自分でトモダチを作ったんです。オレらから与えられるだけじゃなく、自分で」

 

それは運命のエゴであった。全てを奪われていた少女は、一転して与えられる様になった。個性の関係からいつも誰かが一緒にいられるわけでない、それでも寂しさを紛らわせる様に、楽しい事を分かち合える様に、そんな願いをティポに籠めたのであった。

 

「そっか、なら喜ぼうか!」

 

「相澤先生にはもう伝えてありますが、ティポは四大精霊と共に作った疑似的な精霊です。壊理ちゃんを守って、いざという時は周囲の人から隔離して移動させ、被害が無くなるように動きます。人じゃないからティポには事故の心配もありません、もし迷子や誘拐の時用にGPSも入っているので位置はわかるはずです」

 

「精霊…それってどうやって動いているの?」

 

「マナ…精神力ですね、壊理ちゃんの元気とかをちょっとだけ吸って動きます。少しずつ吸うので倦怠感も無いですし、おそらく角が伸びるのも少し抑制してくれるはずです。ティポも時の精霊も同じ穴の狢なので」

 

「クロスちゃんティポの身体を作っていて手芸部や二年生に会いに行っていたのね」

 

「うん、二年の不和先輩は個性が綿関連らしくてね、前保健室で回復がてら雑談した時に教えてもらったんだ。それでお願いして作ってもらったんだ。ちなみに対価は相澤先生のオレら入学時からの行動履歴。気になるっちゃねだってさ」

 

「俺、もう我慢できないから行ってくるね!ティポとも仲良くなるよー!」

 

通形が外の壊理に近づいていき、ティポを紹介されている。通形も自己紹介を返すとティポが通形に飛び掛かり頭を大きな口で食べる。

 

壊理が驚いてティポを離そうとしているがティポも食べるのを止めない。もちろん歯もないティポなので食べると言っても口に入れるだけなのだが。

 

伸びるティポが遂に頭を離し、反動で壊理諸共後ろに倒れる。

 

驚いた壊理がティポを叱る。シュンとなったティポを通形が許し、ティポは上目遣いで壊理にすり寄っていく。

 

困った壊理がおずおずと頭を撫でて許し、通形がティポごと壊理を抱きしめる。

 

そこに麗日、蛙吹、切島も乱入していく。

 

皆が望む光景がそこにはあった。

 

緑谷も文化祭の間に作ったサプライズを持って少し悩む。

 

「凄いや運命君、壊理ちゃん僕のも喜んでくれるかな?」

 

運命は皆を見ながら一つ咳き込み、声音を変えて言う。

 

「そういうのはもう考えない方が良いよ。恥ずかしがったりおっかなびっくりやんのが一番良くない。舞台に上がったらもう後は楽しむ!」

 

「それ…昨日耳郎さんが言ってた……うん!そうだね!あ、でも似てないよ」

 

「シヴィー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

文化祭も終わり、日が暮れる校門前。

 

帰り支度を済ませた壊理が、通形と相澤とティポと共に緑谷と別れの挨拶をする。

 

ティポはうるさいので相澤の捕縛布に捕獲されている。

 

終りの寂しさを感じる壊理に緑谷が後ろ手に隠していたサプライズを見せる。

 

「壊理ちゃん、サプライズ!」

 

それはリンゴ飴であった。

 

少し不格好だが大きなリンゴに飴がしっかりコーティングされている。

 

以前通形にその存在を教えられていた壊理は実物の登場に目を大きくして受け取り、齧る。

 

「フフ…さらに甘い」

 

少女の笑顔が全てを物語っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スキット~ミッドナイト先生と青春~

 

「ミッドナイト先生、宝石ありがとうございました。無事成功しました」

 

「あら良かったわ、じゃあ確認するわね。…運命君?宝石が滅茶苦茶光っているんだけど?」

 

「……大精霊を一時的に宿した宝石なので、一年くらいは残滓だけで光ると思います」

 

「一年も……はっ!これをあのマウントレディの小娘に自慢してやればマウント取れる!」

 

「先生?」

 

「夜会にも着けて行けばメンズ達の視線も根こそぎ…」

 

「先生!?」

 

「ナイスよ運命君!お礼に雄英で二人っきりになれるポイント教えてあげるわ!存分に青春すると良いわ!!」

 

「先生!!!」

 

「…そういう場所には大体ミッドナイトが潜伏してるから気を付けろよ、実体験だ」

 

「相澤君それは言わない約束でしょう!」

 

「先生……」

 

 

 

 






このティポはブースターでは無いので壊理ちゃんの本音を増幅しません。


次回最終回、26日21時投稿予定です。


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