僕の運命アカデミア   作:乙子

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*心操君の髪の色が青色と表記されています。作者はアニメ版を見て普通にそう思いましたが世間では紫表記だと知り驚愕しています。ここでは青髪ということで一つお願いします!


第05話~体育祭その2~

 

 

 

 

第二種目騎馬戦

 

 

 制限時間15分。組んだチームの総合計ポイントが騎手のハチマキに表示される。時間終了時までにハチマキを奪い合い保持ポイントを競う。取ったハチマキは首から上に巻くなどのルールがミッドナイトより説明されていく。最も大事なのは保持ポイントが0になろうがアウトによる退場にならないということだろうか。もちろん個性使用ありだが悪質な攻撃は退場となる。

 

『それじゃこれより15分チーム決めの交渉タイムスタートよ!』

 

 

 

始まるや否や動き出す生徒達。

 

 

A組の面々は各々が運命、緑谷、轟、爆豪のポイント上位陣を中心に

 

「運命組もう!もうそれで勝てる!」

 

「運命!オイラと組むしかないでしょ?」

 

「運命ちゃん頑張りましょう?」

 

「運命!」「運命!」

 

「ムッシュ!」「一位の人!私と組みましょう!!」

 

 今回の騎馬戦というルール上絶対ポイント差があり、不利な全員からの集中攻撃が確定している運命。

しかしそのデメリットを飲み込んでも勝ちを確信できるほどの個性があることをその場にいる者は知っていた。

 

 

絶対有利な能力:飛空、飛んでしまえば他の誰も届かないそれが運命にはあるのだ。

 

 

多数の勧誘を受ける運命はまず絶対の条件を告げる。

 

「すまん、まずオレが騎馬になるのは無理だ、騎手であることが絶対条件で頼む。それとサポート科の人、オレ変身するから道具使えないんだ、だから君の思惑と合わないと思う」

 

「ムムッ方向性的に私のベイビーちゃん達が目立たないと意味がありませんね、では2位の人~!」

 

運命の言葉に即座に反応して緑谷の方へ駆けて行くサポート道具を大量に所持しているサポート科の女生徒。

 

「終わったああああああああああああああああああああああ!!!」

 

峰田は崩れ落ちた。見かねた障子が峰田を慰めながら共に消えていく。

 

「やっぱそうだよねーじゃあ私は無理かーどうしよー」

 

「葉隠さん、俺も運命には挑戦してみたいから他を探さない?」

 

「尾白君!そうだね!やってやろうよ!あ、私騎手ね!むふーー!!」

 

葉隠と尾白がそう言って離れていく。

 

 残るは砂藤と蛙吹と耳郎と口田と青山。

残った五人の個性や身体能力を考えていると別の所から声が掛けられた。

 

「あ、『君靴紐解けてるよ?』」

 

「え、私?ありが………」

 

耳郎が後ろからの声に反応する。

 

「『君もこのハンカチ落としてない?』」

 

「ノン!僕のハンカチはもっとラメが………」

 

続けて青山もその声の主に毅然と返す。

 

「『君達はもっと他のクラスメイトと組んだ方が良いんじゃない?』」

 

「「………」」

 

無言でその声に従ったのかふらふらと別の場所へ歩いていく耳郎と青山

 

「響香ちゃん?」

 

「青山?二人とも行っちまったし口田も着いてったな」

 

 突如大人しくなりふらふらと歩き去る2人に口田が心配そうについていく。

そして残るの砂藤と蛙吹と最後に声をかけて来た生徒。

視線は最後の生徒に向きその特徴的な青髪に運命は雄英入試の実技試験の記憶を思い出す。

 

「お前は…さっきの2人の変わり様、何かしたな?」

 

「さぁ?他の人と組んだ方が良いと思ったんじゃねぇか?」

 

笑いながら運命に答える青髪の男子。

 

「運命、こいつB組の奴だぞ?知り合いか?」

 

「試験会場で会ったことあるわね、武器が棒の人だったかしら」

 

「どうだ?せっかく4人いるんだ、これで組んでくれないか?俺B組でも余りそうだったからこっち来たんだ、可哀想だろ?」

 

言葉に一切の悲痛さも載せずに喋る青髪に砂藤も蛙吹も警戒するが

 

「……良いよ、ちゃんと自己紹介もしておきたかったしな。A組運命クロスだ」

 

「B組、心操人使だ。よろしく」

 

「何か変な流れだな、まぁいいか、俺もA組の砂藤力道だ、よろしく」

 

「…A組、蛙吹梅雨よ、よろしく」

 

「よろしく。外様だし騎手の判断に従うよ。勝てれば良いからさ」

 

チームが決まった4人はそこから残り時間を作戦会議に使うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

『さぁ起きろイレイザー!15分のチーム決め兼作戦タイムを経てフィールドに12組の騎馬が並び立った!!』

 

『……なかなか面白ぇ組が揃ったな』

 

『さァ上げてけ鬨の声!!血で血を洗う雄英の合戦が今!!!狼煙を上げる!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 観客達は必然的に上から下の競技場を見下ろす位置に座っている。

だからこそその異様さに当然気付いた。

 

「おい…」

 

「あぁ、もうこんなの露骨なんてレベルじゃないぞ」

 

「「1位潰し」」

 

 

そう、全ての騎馬が1000万ポイントを狙った位置取りだったのだ。

 

 

開始時の決まりで最短でも横の騎馬との距離は5mとされた、その最短の距離が1位の運命達の騎馬に適応されている。だからか個性を用いての戦闘に対応して幅広く作られたフィールドは歪なほどの集中したバランスになっていた。左右も対面もその周囲も、全ての包囲網の中心に運命達はいた。

 

「これは…」

 

隠す気の無い敵意、それらを前衛として全て受ける砂藤が冷や汗を流す。正確には砂藤へのプレッシャーではない、後ろのいる騎手になのだが。それでも感じてしまうそれを思わず口に出してしまう。

 

「大丈夫よ砂藤ちゃん、わかっていたことだし、作戦通りに行きましょ」

 

「お、おう!任せとけ!!」

 

「そうだぞ砂藤、見せ場だからな」

 

「プレッシャーかけんじゃねぇよ!」

 

「始まるぜ」

 

 

 

『3!!!2!!1!』

 

 

 

 

「「「狙いは一つ」」」

 

『START!!!』

 

 

「「「「「「1000万ポイント!!!」」」」」」

 

 

全てが運命のハチマキを狙い最速で各々が突撃していく

 

「あと頼んだぜ!!全力シュガードープ!!うおおおおりゃあああああああああああああ!!」

 

砂藤は開始即座に個性を発動し背中の運命の足を持ち上空へ投げる。

 

“個性”:シュガードープ

 

 糖分10グラムにつき3分間パワーが5倍になるその個性。しかし、連続で使うと次第に脳機能がダウンし眠くなったりするというデメリットも存在する。元々筋骨隆々の砂藤の5倍のパワーである、成人男性1人を凄い速度で投げ上げる。開始直後にリスキーな個性運用。だがそれこそ手出しさせずに運命を空へ逃がす手段として最適だったのだ。事実多くの騎馬騎手は手も足も出ず投げ上げられる運命を見上げてしまった。

 

 

 

 

 

『1000万ポイントが空を飛ぶうううううもう決まっちまうかああああああああああ!?』

 

『当然だ、飛ぶだろうな。だがそれの対策も当然されるだろうな』

 

 

 

 

 

 

同じクラスの3組の騎馬騎手以外は

 

 

「お前の初手なんてなァ!!」

 

爆豪が爆破で

 

「当然飛ぶよな」

 

轟が氷で

 

「だからここで落とすしかないんだ!!!」

 

緑谷が無重力をジェットパックで制御しながら

 

 

 

 

 

 

一直線に空を昇っていく運命に追いすがる。

 

 

『まさかまさかの空での大決戦だぁ!開始直後でクライマックスかよお前らァ!!!!』

 

 

 

 

 

 

「お前らは絶対来ると思ってたよ」

 

同じ空にいる3人に笑う。

 

「だから策を練ったよ!!神衣!イフリート」

 

 

 

 

「「「ッ!?」」」

 

 

 

 

 それは不可思議だった。

空を飛ぶ、圧倒的有利を得るには風の変身だろうと、各自の作戦でそれは当然のこととして進められた。

だが違った、一瞬思考を挟んだ、その瞬間に下からそれは現れた。

 

「ケロー!!」

 

「くっカエル女ァ!!」

 

爆豪の足にカエルの如き長き舌が巻き付き

 

 

 

「へぇー良いもん持ってんじゃん!貸してくんね?」

 

「B組の!?」

 

ジェットパックを背負った緑谷に心操が掴みかかる。それだけで背負っていたジェットパックの操作が危うくなり共に落下していく。

 

 

 

地面には騎馬である蛙吹、心操を上空へ投げ疲弊している砂藤。

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は無視かよ!!」

 

「お前対策だよ轟!!氷で来るのはわかってたからな!!原始灼光!!エンシェントノヴァ!!!」

 

轟の手から迫りくる大氷塊、それを上空から炎の柱を召喚し燃やし尽くす。轟を吹き飛ばすと同時に大量の氷が一気に蒸発し、大規模な霧を生む。

 

「!?見えねぇじゃねぇかクソ半分野郎ォ!!」

 

爆破ですぐに掴んできた蛙吹を吹き飛ばし、運命がいた所へ突撃をかける爆豪だったが霧を突き抜けた先には既に剣の翼を生やした運命の姿があった。

 

 

「しまっ」「遅い!!!」

 

 一瞬で距離を取られ更に上空へ逃げられる。

爆破を連発し追いかけるが速度で負けていることが如実にあらわれる。

わかっていた、速度で負ける以上飛ばさない、飛び際を叩く、その為の作戦だが一歩上を行かれた。

砂藤の力を知らなかった、蛙吹の射程を知らなかった。

 

 

結果がこれだ。

 

 

すでに爆破で飛べる上限を超えている。落下していく自分が、手を伸ばしても届かないその姿に。

 

「っ!………クッソがァあああああああああああああああああああああ」

 

かつて緑谷に感じた以上の敗北感を振り払うように叫びながら爆豪は落下していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『TIME UP!!早速上位4チーム見て見ようか!』

 

 

 

 

 

『1位運命チーム!!最初の攻防で空を勝ち取り逃げ切ったあああああああああああああ』

 

「準備無しのスタートで良かった、有りだったら轟チームが恐ろしすぎたな」

 

「最初に全て賭けて正解だったわね、砂藤ちゃんナイス投擲とキャッチだったわ」

 

「人間砲弾作戦成功して良かったぜ」

 

「効率的で楽出来たよ、3人ともありがとさん」

 

運命クロス、蛙吹梅雨、砂藤力道、心操人使

 

 

 

『2位轟チーム!!』

 

「氷だけを狙い撃たれた、か」

 

「すまなかった轟君!開始直後にレシプロを使っていれば…」

 

「開始直後では創造が間に合いませんでしたわ…」

 

「ピンポイントで電撃飛ばせれば活躍の余地あったかなぁ」

 

轟焦凍、飯田直哉、八百万百、上鳴電気

 

 

 

『3位爆豪チーム!』

 

「………」

 

「落ちて来た爆豪見た時に俺はこいつは遂に人をこ〇すと思ったもんよ、怖すぎ…」

 

「悔しさを発散する相手がいて良かったな、物間にはある意味感謝だ」

 

「1000万のチャンスが無くなったから下はより激しい奪い合いで大変だったねー」

 

爆豪勝己、瀬呂範太、切島鋭児郎、芦戸三奈

 

 

 

『4位緑谷チーム!』

 

「何とか残れた…」

 

「ウチの無重力とジェットパックの組み合わせでも空戦は難しかったね…」

 

「空への渇望、時が来たか…」

 

「安定性よりも速さと高さを追求してみるのも良いですね、次のベイビーちゃんの方向性は決まりました!」

 

緑谷出久、麗日お茶子、常闇踏陰、発目明

 

 

 

 

『以上4組が最終種目へ…進出だあああーーーーーーーーーーー!!』

 

 

 

 

 

 

 

一時間程の昼休憩を挟んでからの午後の部と放送があり各々が控室や食堂、出展されている屋台に足を運ぶ。

 

 

 

 

 

 

 B組で唯一午後の部まで生き残った心操がクラスメイト達から声をかけられる。

 

「心操、おめでとう。結局クラス単位で策を弄しても残ったのは君一人か…」

 

「物間…」

 

「鍛え直そうと思う。爆豪の、いや、A組の執念にも負けない様に。だから君はトップを狙ってくれ。君の個性と武なら出来るだろう?」

 

「ふっ、挑戦するさ。爆豪も運命も轟も、全部超えて俺が1位になる為に」

 

「ああ!応援しているよ!あと爆豪は個人的にぼっこぼこにしておいてくれ!」

 

「良い話に私怨を混ぜ込んでくんじゃねぇ」

 

普段のどこか演劇がかったしぐさすら忘れる程のくやしさを滲ませながら言う物間に心操は笑った

 

 

 

「心操!やったじゃんおめでとう!」

 

「サンキュー姐御」

 

「だから姐御じゃないって!で、どう?個性バレてそう?」

 

「二人かかった、そこからバレてるかもな。まぁそれならそれでやりようはあるさ」

 

「そうだね、あんたの強さは私達が身を持って知ってるから心配はしてないよ。頑張ってね」

 

「あぁ、見ててくれ」

 

「心操氏ィ!見事でございましたぞ!!」

 

「単身A組の所行った時はびびったけどお前やっぱ肝座ってるよな!」

 

B組の委員長の拳藤に励まされていると続々とB組の面々が激励してくる。

バシバシと肩や背中を叩かれながらも本当に応援してくれるB組の面子に囲まれながら、心操はこいつらに恥じない自分であろうと、全力を尽くそうと決意を新たにしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 各々が昼休憩を終え会場も選手達も準備をしているとプレゼントマイクの放送が入る。

オレも騎馬戦で最初以外はずっと上空だったのでそこまで疲労もしておらず昼食もクラスの皆と食べながら時間を過ごしていた。

 

『最終種目発表の前に予選落ちの皆へ朗報だ!あくまで体育祭!ちゃんと全員参加のレクリエーション種目も用意してんのさ!本場アメリカからチアリーダーも呼んで一層盛り上げ…どーしたA組!!?』

 

 そこにはA組女子が本場チアリーダーと同じコスチュームを身に纏いポンポンを持ち、死んだ目で並んでいた。

八百万の言葉を信じるなら峰田上鳴両名に騙されたようだが。

 

「女子達あれどうしたんだろ」

 

「多分峰田と上鳴はあとで処されるだろうな、ほら、せっかくだし行こうぜ尾白」

 

「あ、おい、女子の方に?」

 

 昼食を共にした尾白を連れ立って女子達の近くへ

嘆く八百万にそれを慰める麗日、憤る耳郎などを横目にノリノリの葉隠と梅雨ちゃんに声をかける

 

「やほ、楽しそうなことやってんね」

 

「尾白君に運命君!どうどう?チアイケてない?」

 

ぴょーんぴょーん跳ねながら言ってくる葉隠に尾白も少し頬を赤くしながら返す

 

「ははは、うん。綺麗だと思うよ、それにしても身体柔らかいんだね葉隠さん…」

 

「そうでしょ!?こんなに跳べるよ!」

 

「わわ、元気過ぎるよ!」

 

イケイケ状態の葉隠にタジタジの尾白、わりといつも通りの二人を横に梅雨ちゃんに話かけようとするも…

 

「えーっとあの?梅雨ちゃん?」

 

そこには両手のポンポンで顔を隠している梅雨ちゃんが

 

「…恥ずかしいの」

 

「めちゃくちゃ似合ってるよ!!ナイス!自信持って!!」

 

「ケロ…」

 

「あー運命が梅雨ちゃんにセクハラしてるー!踊り子にお触りは厳禁なんだぞー!」

 

「触ってない触ってない!事案にしないで!」

 

 話していると芦戸が梅雨ちゃんを抱きしめる様に護りながらこっちを笑顔のまま責め立ててくる。旗色が悪くなる様子にぐぬぬしているとレクリエーションが始まる旨の放送が入る。女子はチアリーダーしつつ参加したりするそうだ。最終種目に出る選手は出場しても休んでいてもいいらしい。

 

 

 

『事前にくじを引いてもらった結果、組はこうなりました!』

 

トーナメント表が大モニターに表示される。と同時に即座に左端の緑谷、轟の名前が見えてしまう。その他の結果は…

 

 

緑谷対轟

 

爆豪対麗日

 

 

 

上鳴対芦戸

 

常闇対八百万

 

 

 

砂藤対切島

 

発目対飯田

 

 

 

瀬呂対蛙吹

 

心操対運命

 

 

となった。発表された組み合わせに様々な感想が寄せられる。

 

「緑谷と轟、爆豪があんな序盤で当たるのか…」

 

「ウチ何か悪い事したんか神様ーーー!!」

 

「心操が運命と!?そこさえ超えれば1位もあるのに…」

 

「梅雨ちゃんかー、大変そうだな」

 

「負けないわ瀬呂ちゃん」

 

 今からレクリエーションが始まるということで選手が控室に戻っていく。

オレも控室に戻ろうとしたが耳郎に声をかけられる。

 

「運命、ちょっといい?」

 

「どうしたの耳郎?」

 

「心操、アイツの個性、多分なんだけどね」

 

「洗脳か催眠系?」

 

「!わかってたか、そうだよね。あの騎馬戦決めの時にかけられたの見てたよね…ウチもあの時から騎馬戦の途中で正気に戻ったから時間経過か衝撃とかが解除トリガーだと思う」

 

「やっぱりか…教えてくれてありがとう」

 

「うん、こっからはクラス皆応援するから、頑張って」

 

そう言いレクリエーション参加のA組の場所に戻っていく、チアの服のままで。あ、女子に親指立ててる峰田が音と酸とアイアンメイデンの餌食に…

 

 

 

 

 

 

 

そしてレクリエーションが終わり最終種目、進出4チーム総勢16名からなるトーナメント形式の一対一のガチバトルが始まろうとしていた。

 

 

 オレの試合は一回戦の最後なので半分以上は観客席のA組席で見ている。

セメントを操るプロヒーローで雄英教師のセメントス先生がセメントを操り会場にバトルフィールドを作る。

 

 

『サンキューセメントス!ヘイガイズアーユーレディ!?色々やってきましたが!!結局これだぜガチンコ勝負!!頼れるのは己のみ!ヒーローでなくともそんな場面ばっかりだ!わかるよな!心・技・体に知恵知識!!総動員して駆け上がれ!!!』

 

選手紹介と共に緑谷と轟が中央に揃う。

 

『ルールは簡単!相手を場外に落とすか行動不能にする。あとはまいったとか言われても勝ちのガチンコだ!ケガ上等!!こちとら我らがリカバリーガールが待機してっから!!道徳倫理は一旦捨ておけ!!だがまぁもちろん命に関わるようなのはクソだぜ!アウト!ヒーローは敵を捕まえる為に拳を振るうのだ!』

 

審判にミッドナイト、戦闘フィールド脇にはセメントスが待機していざの場合に備えている。

 

『START!!』

 

 開始と同時に地面を伝い発現する氷壁、大体の人はこれで終わるだろうと確信させるほどの威力と速さだ。

だが緑谷はその大体の人には入らない個性を持っている。

 

「緑谷が轟のぶっぱを吹っ飛ばした!デコピンみたいな感じか!?」

 

「そうだな、指を弾く衝撃だけであれを破壊できるのは凄いな…」

 

「だが代償が、うわ、また指変色してる…」

 

 クラスメイト達が見知った個性同士の戦いに思い思いに述べるが皆緑谷のケガも知っているのでどこか喜べていない。

その後の展開も同じような感じだった。轟の氷を緑谷が指を犠牲に破壊していく。その中で轟はちらちらと観客席を見回しながらも攻撃を繰り返していく。

緑谷の右手の指が全てケガし終えたのを確認し距離を詰めるがそうはさせじと今度は左手でまた衝撃波を繰り広げていく。

両手10本の指を犠牲にしても勝てない緑谷に轟が何かを話はじめる。会話の内容は聞こえないが降伏勧告だろうか。そうしていると潰れた指を無理やり握りしめ全力でかかってこいと挑発する。

 

「ボロボロだ、勝ち筋すら見えてない状況でまだやると言うのか…」

 

「オレは怖いよ、緑谷の姿勢が覚悟が」

 

常闇の呟きにオレも内心を吐露する。一体何があいつをつき動かすのか…

 

「緑谷のパンチが轟についに入ったぞ!!」

 

聞こえてきた声にフィールドを見る。そこからは緑谷が吐き出すように感情と共に攻撃を繰り広げていった。

 

「君の力じゃないか!!」

 

 緑谷が叫んだ言葉を聞いて轟から炎が噴き出した。何て熱い炎、解っていた、あいつは氷と同じだけ炎に愛されている。何が枷なのか知らないが使わなかった炎を解禁したことで一気に轟の強さは変わる。

炎と氷、相反する属性。もし同時に使いこなされれば…今度戦ったら負けるかもな…なんて思いながら観戦を続ける。観客席から炎を纏った男、プロヒーローNo2のエンデヴァーが息子に応援の言葉をかけてるが轟はガン無視だ。

 いや、目の前の緑谷しか見えていない、良い顔をしていた。

そして決着の時、最後の突撃をかける緑谷、氷で迎撃させ、溜めた炎を二段目の攻撃として放つ轟。セメントスが間に数枚のセメントの壁を立てたが全て吹き飛ばすほどの大爆発が発生した。

 

「ド派手だねー」

 

「運命ちゃんが言っても嫌味よ」

 

「そうかな?」

 

「そうよ」

 

結果は緑谷場外負けで轟の勝利。一回戦としては高すぎるレベルでの大熱戦に万雷の拍手と歓声が送られる。

 

 

 

 

続いて爆豪対麗日の試合、これも接近し個性で浮かせようとする麗日を爆豪が丁寧に爆破で捌き、爆破の煙の中で地面の残骸を浮かせて流星の様に武器とした乾坤一擲の策は上手く行ったかに見えたがそれすらも大爆発で弾き返した爆豪の完封勝ちだった。

 

その後も順調に1回戦は続いていった。

 

芦戸と上鳴の戦いは、上鳴が初手全方位電撃ブッパしそれを芦戸が酸で軽減し捨て身の突撃で殴りぬき満身創痍の芦戸の勝利。

 

常闇と八百万は常闇が個性を使い時間を与えず押し出し勝ち。砂藤と切島は固くなり打撃がほぼ無効の切島に砂藤がプロレスの投げ技と個性で投げ飛ばし勝利。

 

発目と飯田の戦いはもはや戦いというより発目のサポートアイテムの実演会になり紹介しきった発目がぴょいと最後に場外に出て敗北、勝った飯田は騙されたとの叫びを残しながら控室に帰っていった。

 

 

 オレも次の次が試合になり控室に向かう、ちょうど出て来た梅雨ちゃんに無言で手を上げる。気合十分の彼女に言葉はいらないだろう。

パチンとそれに答えてすれ違い様に言葉を残される。

 

「私はあなたとも戦って勝ちたいわ」

 

叩かれた手が熱を持つ、本気だと証明するように。ギュッと拳を握りながら会場の光の中へ消えていくその背中を見送る。堂々とした宣言が先の緑谷の様に心に熱い何かを残していく。

 

 

 

 そして数分後会場から大きな歓声が上がり、控室に係員から出場の声がかかる。会場への道で担架ロボに乗せられて気絶した彼女を見送る。

 

ボロボロだった、所々付いてるセロテープに激闘を感じさせるその姿を脳裏に焼き付け実況から名前を呼ばれ足を進める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さぁ一回戦最後に出てくるのは予選どちらも1位にして飛んだり火出したりびっくり箱もびっくりのこの男!運命クロス!!!』

 

「翼の兄ちゃん~変身しろーもっと見せてくれー」

 

「次は何見せてくれんだ~!」

 

 

『対するはB組唯一の生き残り、その期待に応えられるか!心操人使』

 

「心操氏ぃいいいいいいいいいいいいB組の誇りぅおおおおおおおおおおおおおお!」

 

 

どちらにも歓声が飛び交う中で二人は対峙する。

 

「初めて会った試験の時に思ったよ、こいつは強い、こいつと戦ってみたいってな」

 

「………」

 

「おーどうした?声でなくなったのか?『そりゃ大変だな?』」

 

「………」

 

声をかけ続ける心操に運命は応えず、拳を構え姿勢を低くする

 

 

 

『なんかもう喋ってるけど行くぜSTART!!』

 

 

 

 

開始と同時に踏み込んでくる運命に心操は慌てない。

 

「はぁ…これは使いたくなかったぜ『お前蛙吹梅雨の事好きだな?』」

 

「い、いや!?好きではないが!?あ…」

 

『おおっと運命動きを止めるぅ!何があったぁ?心操の個性かぁ?』

 

「「「「よっしゃあああああああああ勝ったああああああ!!」」」」

 

B組がら大歓声が沸き起こり。

 

「運命のアホおおおおおおおおおおウチ言ったじゃんかあああああああああああ!!」

 

「…これ梅雨ちゃん聞いてなくて良かったね尾白君、どっちにしても」

 

「なんか俺もう頭痛くなってきたよ葉隠さん…」

 

A組からは罵声が飛ばされた。

 

「……まぁ今回は負けといてくれ『振りむいてそのまま場外まで歩け』」

 

「……」

 

『あっとーーー運命従っていくーーーー!』

 

心操人使。個性「洗脳」彼の問いかけに答えた者は洗脳スイッチが入り彼の良いなりになってしまう!本人にその気がなければ洗脳スイッチは入らない。

 

ざっざっと一歩一歩場外へ近づく中で運命は頭の奥で必死に抗おうとしていた。

 

(やばいやばいやばい!何聞かれても無視して終わらせるはずだったのにぃいいいいいいいいい!)

 

《はぁーやっちゃったねークロスー》

 

するとそこに脳内に直接声が掛けられる。それは大地を司る4大精霊の1柱

 

(ノーム!お願い助けて!!)

 

《今精神世界来れないみたいだから伝えに来たけどー、僕らはわりとこのまま負けても良いかなーって思ってるよー》

 

(何で!?)

 

《イフリートは呆れて頭抱えてるしー、ウンディーネはカンカンに怒ってるしー、シルフの小僧は大爆笑で腹攣って死にかけてるよー、僕はまぁどっちでもいいけどー》

 

(ごめんなさいすいません本当に申し開きもございません!!ここは何とか御助力を!)

 

《んーーじゃあ各精霊の精神特訓24時間ずつね?》

 

(厳しい!でも頑張るから!なのでお願いします!!)

 

《はぁ…精神的にまだまだ甘いねーじゃ強めに逝っとくねー》

 

 

場外まであと一歩、そうなった時に異変が起こった。戦闘フィールド横の大地から顔程の大きな岩がぼこりと浮き上がり、運命の顔面に結構な勢いを持って直撃したのだ。

 

「「「「!?」」」」

 

「あ”あ”!!?いってええええ!はっ解けたか!」

 

ラインを超える寸前でなんとか間に合った衝撃を用いての洗脳解除。

 

『おおっとここで自分の顔を攻撃したのか運命が正気を取り戻したぁ!』

 

『個性的にはこれが出来るのが運命だからな、洗脳状態でも出来ることが証明されたな』

 

顔を抑える手に付着する血、どうやら額と鼻から血が出てるようだ、体操服で擦りながら再度中央を向き、今度こそと心操に迫る。

 

「さっきの岩もお前がやったのか?ははは、洗脳中なのに無茶苦茶しやがる…だがまぁいい、もう個性は効かねぇだろうし使わねぇ。こいつで勝負だ!!」

 

両掌を正面に、腰を落とし迎え撃つ心操。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行くぞ!三散華!飛燕連脚!掌底破!!」

 

「無駄だぜ!制空権!!」

 

 運命が素早い拳と蹴りでの3連をそしてそのまま飛び上がり蹴りを2発叩き込み着地と同時に1発の突き、最後に高速で踏み込み力を込めた掌底を放ち、突き飛ばす。だがそれらはすべて心操の両手が届く範囲に入ると瞬く間に撃ち落とされた。

 

「まだまだぁ!連牙弾!臥龍空破!」

 

「荒々しいな!でもそれだけだ!!」

 

再度激しい突きや蹴りの連撃を放つも全て打ち払われる。それで見えてくる心操の領域。

 

「今度はこっちだ!最強コンボ!!」

 

一転攻勢に出る心操は流れるように打撃膝蹴り頭突き跳ね上げ投げを決めていく!

 

運命もクリーンヒットこそ避けているがダメージを負う。

 

 

 

 

「あの技は!?危険だ運命!!」

 

「知っているのか尾白!?」

 

「武術だ…それも空手、ムエタイ、中国拳法、柔道と繋げたぞ…心操はいったいいくつ武術を習得してると言うんだ!?」

 

「4つも!?1人多国籍軍かよあいつは!?」

 

 

 

 

 

 

「来い運命!俺はお前を超えてヒーローになるんだ!!」

 

「心操ぉおおお!行くぞ!殺劇!はぁああああああああああッ!舞荒拳!!!」

 

「制空権が!間に合わない!まるで!激流の川!…流水制空権!!」

 

 運命の激しい全力の突きが蹴りが、素早く回り込んでから連撃が繰り広げられる、先ほどまで全て弾いていたその心操の領域を侵し、ついに攻撃が直撃しダメージを積み重ねていく、防御すら追いつかなくなる中、心操はその連撃に流れる激流の川を見た。思い出される師匠達からの言葉、それが更なる技を発動させる。

 

《川の中の岩のごとしじゃ!岩が恐れるか?岩が考えるか?ただ岩は前から来る流れを、後ろへ流すのみ!!》

 

運命が最後の一撃に力を込め右拳を振りぬこうとした時、心操は全てを受け入れ、受け流した。

 

「!?避けられっ!!」

 

 そしてすれ違う運命の軌道にただ己の拳を置いた。まるで運命が自分から当たりに来たかのようにぶち当たり吹き飛んでいく。

撃ち抜かれた運命は思わず膝をつく、だがそれは心操も同じだった。

 

「「ハァハァハァ……」」

 

「運命、俺はさ、こんな個性だけど、ヒーローになりたいんだ。誰もが見て見ぬふりをする悪に立ち向かう、そんなヒーローに俺はなるんだ!!全力で来い運命!俺は、もう逃げない!!」

 

「かっこいいな心操、だけどオレだって憧れがあるんだ…彼らの様なヒーローに!!だからオレも一回だけ使うぜ?」

 

「あぁ、それすら超えて見せるさ!」

 

「転泡!」

 

「くっ今更小細工なんて!!」

 

突如足払いをかけられるが飛んで避ける、しかしそれは狙いであった。

 

「飛んだな?」

 

「はっ!しまっ」

 

「火となりて薙ぎ、水となりて舞い、風は刃、地は槍に、四大よ放て」

 

火を纏った飛び蹴りを浴びせ、着地と同時に心操の足元から水が噴き上げる、手から幾刃もの風の刃が放たれ、大地から複数の槍が心操の身体を拘束、浮き上がった運命の周囲に4つの魔法陣が出現しさらにそれらが連結しそこから精霊の力を込められた光線が幾重にも降り注ぎ爆風で見えなくなる。

 

「スプリームエレメンツ!!」

 

 

 

 

「お、おい。心操死んだんじゃないか…」

 

 

 

「ぐっ…」

 

周囲の心配をよそに煙が薄くなっていく、土の槍に拘束されたままの心操のいる場所以外がクレーターの様に陥没し最後の光線のその威力の強さを物語る。

 

「お前一回が…長すぎだろ…まいった」

 

 

 

 

『そこまで!勝者!運命クロス!!!』

 

審判ミッドナイトからの決着に大きな拍手と歓声が上がる。

 

『決まったああああ!途中から武術戦になって思わず言葉止まっちまったぜ凄いじゃないかガイズ!!』

 

『心操は敗北したが個性も戦闘技術も存分にハイレベルであることを見せつけてくれた、多くのプロからの指名来るだろうな』

 

『激闘いっぱいだった一回戦も終了ォ!フィールド修理と小休憩挟んだら早速次行くぞー!』

 

 

 

運命が心操に歩み寄り土の槍を近くのまともな地面までの橋に作り替え、肩を貸しながら共に退場していく。途中カメラから呼びかけられ二人で拳を向けながら笑う所を撮影してもらっている。

 

 

 

 

 

保健室からB組観客席へ戻る心操

 

「わりぃ皆、一回戦で負けたわ」

 

「「「心操ぅおおおおおおおおお!!」」」

 

「うお!?何で泣いてんだよ!やめろ!ポニー角の角度!刺さってる!!宍田も獣化すんな!」

 

近くに座っていた数人が心操に抱き着いてバシバシと背中や肩を労うように叩いていく。

 

「皆そこまでにしてあげな。良い試合だったよ、出し切った?」

 

「ああ、今負けた悔しさもあるにはあるんだけどスッキリもしてんだわ」

 

「そっか、なら良かった。ナイスファイト!」

 

拳藤が周囲を宥めつつ席に促す。

 

「あの運命をあと一歩まで追い詰めたし実際勝ちだよ心操。誇っていい」

 

「お前どこ目線なんだよ物間、あいつ変身すらしてないんだぞ」

 

「ぐっ、それは出来なかったとしか」

 

「個性も武も真正面からぶち破られたんだ、まだまだだったってことさ、でも良いんだ」

 

「よし皆必ずA組を超えてやろう!」

 

「いや、もっとだ。もっとPlus Ulrtaで行こうぜ」

 

物間の言葉に心操は空を見ながら告げる。

 

「「「「「「Plus Ulrta!!」」」」」

 

「うおおおおおおおおおおB組良いぞおおおおお前達こそ俺の!雄英の誇りだああああああああああああああああああ!!」

 

近くの壁からB組担任ブラドキングが号泣していた。

 

 

 

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