あの試合をきっかけに彼との交流が始まった。
彼らの出場する大会にはいつものように足を運び、彼らを...そして彼を応援した。
「お兄ちゃん!」
「おっと」
気付けば家族ぐるみの付き合いとなっていた彼は、今日もうちに来てくれている。
「ん!お兄ちゃん...タバコくさい!」
「ははっ、相変わらず辛辣だねエリカは」
私が飛びついた彼はいつもタバコくさくて、私がどれだけ言ってもやめなくて。でも...それが彼だった。
「元気にしてたかい?」
「もちろん!」
「もう準備は出来てる?」
「ばっちり」
「それはよかった。じゃあお母さんに挨拶して行こうか」
「うん!」
そうしてから、自分の定位置となりつつある助手席に乗り込む。少しだけタバコのにおいがついた...その車に。
本当は彼にもっと気軽に来てもらえるようにしたかったけど、うちには戦闘機でこれるような場所はないから。
だから彼が家に来てくれる時は基本的にこの車なんた。
「エリちゃんをよろしくね。お兄ちゃん」
「はい!お任せを」
思い返せば彼が初めてうちに来た時。お母さんも彼もすごいぎこちなかった。...けど彼もよく遊んでくれるようになってからは本当に私のお兄ちゃんみたいになっていた。
だから今日も、お母さんは安心して送り出してくれた。
ふふっ。だって...もうお兄ちゃんは、家族の一員だから。
「行ってきまーす!」
私も彼と遊ぶことは何よりの楽しみで、彼の隣にいることだけで嬉しかった。
いつもは人見知りが凄くて自分でも偏屈になってるのを自覚してるけど、彼の前だと自然と私もありのままの自分でいられる。
彼はそんな魔法を持ってるんだ。
◇
「ほら、お兄ちゃん早く」
遊園地に着いてすぐ。彼をジェットコースターへと強引に連れて行く。笑顔が引き攣っていたがそんなのは関係ない。
座席は1番前。ここまで来たんだから、乗るからには...スリルを楽しまないとね?
――――――――――――
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「うぇ...。気持ち悪い」
「大丈夫?お兄ちゃん」
「大丈夫じゃないかも...」
ジェットコースターから降りてなお、青くなった顔でそう言う彼。
いつも戦闘機に乗って絶叫マシン以上の動きをしているのになんでこれがダメなんだろう。
おぼつかない足でよろめく彼に、少しだけ同情してしまう。
───けど、本番はここからだから。
「次はあれ!」
「え?...もしかして..あれ?」
「うん!」
目の前にあるのはフリーフォール。
子供の体力を舐めてもらっては困る。私はもっと、彼と一緒に遊びたいんだ。
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「うぇ...やばい...。なにあの無重力感。死ぬかと思った」
「お兄ちゃん。そういうのならいつも味わってるじゃん」
「いやね。いつもは自分が操縦してるから安心できるんだけど...こういうのって結局機械任せじゃん?自分のタイミングで動かしてるわけじゃないから、戦闘機乗ってるのとは全然違うんだよ」
「ふーん...」
要するに自分で操縦出来ないから、怖さマシマシということなのだろうか?
正直...ちょっと何言ってるのか分からない。どっちかというと、安全面が考えられているアトラクションの方が安心でしょ。
そう思うが、彼の顔は先ほどよりも悪くなっている。
でも、今日の私はまだまだそういうのに乗る気でいるんだ。
だからもうちょっとだけ我慢してね。お兄ちゃん!
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日が傾き始めた...だから残念だけど次ので最後。
「ごめんねお兄ちゃん。今日一日付き合わせちゃって」
乗ったのはごく普通の観覧車。
今日一日色んなものに乗ったけど、私が本当に乗りたかったのはこれなんだ。
「いや、いいんだよ。今日の主役はエリカなんだから」
乗り物酔いがまだ治ってない顔でそう言う彼に、たまには自分の心配をして欲しくなってしまう。
「本当はね。こうやって少しでもお兄ちゃんが見てる世界を感じれたらって思ったんだけど...」
「なるほどね。たがら速いやつとか高いやつとかが多かったのね」
少し申し訳なさそうにしながらも、私は彼の言葉に頷く。
「確かに今日乗ったものはスリルもあって楽しかったよ?結構しんどかったかど...。まぁ戦闘機には劣るかな?あれは雲の上まで行けるからね」
「そっか...」
分かってはいたけど、やっぱり...その...少し...残念。
今の私にできるのは、これが精一杯だから。
「まぁでも───」
「...?」
「───でも、ここからエリカと一緒に見る景色には...劣るかもね?」
「...!?」
夕日が当たる彼の顔は、少し赤くなっているように見えた。
それは夕日のせい?それとも───...。
...でも確実なのは、私の顔が赤くなった理由が夕日のせいじゃ無いということ。
彼の言葉は今でも鮮明に覚えている。
その一言で私は確信したんだから。
この好きだという私の気持ちが、彼のことを───異性として大好きなんだということを。
彼といると不思議と安心する。
───それは彼が、優しく見守ってくれているから。
こんな私を素直にしてくれる。
───それは彼が、私の心を理解してくれるから。
私をありのままでいさせてくれる。
───それは彼が、どんな私でも受け入れてくれるから。
だから...。だから今度は、私が彼を理解したい。
何が好きで、何が嫌いで、何をすれば喜んで、何をすれば悲しむのか。
それを、一番近い場所で知っていきたい。
私は...彼の隣に居たいんだ。ずっと───この先も...ずっと。
夕日に照らされて顔を赤らめる私は、幼いながら彼に───恋をしていたんだ。
アーマードコアの新作が出ないのでエルデンリングでもやろうかなと