ようこそ第0護衛隊群へ   作:/Null

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久々に戦国BASARA見たらめっちゃ面白かった


彼への想い

「あら?しほさん。見ないうちにまた大きくなりましたわね..胸が。昔よりも運動しなさ過ぎて、贅肉でもついたんじゃないかしら?」

 

「技術交流会ということでこの話を受けたが、交流する気がないなら帰ってもらうぞ」

 

「あらあら胸だけでなく態度も大きくなったのね」

 

「そっちこそ。そんな格好で恥ずかしくないの?新手のキャバ嬢にしか見えないわよ」

 

「なんですって」

 

「こっちのセリフよ」

 

目の前にいるのは戦車道でも有名人の2人。島田流の家元とうちのお母様だ。

 

だというのに、会って早々この言い争いである。

 

高校時代からの旧知の中とは聞かされているが、子供である私の前でバチバチと火花を散らすのは正直やめてほしい。

 

 

 

「ま、まぁまぁその辺で...」

 

そんな2人を制すように声を掛けたのは、逆光で顔が見えなかったが男性の声。

 

「...ぁ」

 

扉を潜ってようやく見えたその顔。それは先日格納庫で会った彼だった。

 

「はぁー、まぁ彼の顔に免じて許してあげるわ。紹介します、こちらラーズグリーズ隊の隊長さんよ」

 

「どうも、お初にお目にかかります」

 

「へぇ...あなたが」

 

「それで、そっちの子は?」

 

「うちの長女よ」

 

「西住まほといいます」

 

ペコリとあいさつをした私が顔を上げると、ようやく彼も気が付いたようで、彼ははっとした顔をした後こちらに軽く手を振ってきた。

 

あの短い時間だったとはいえ、ちゃんと私のことを覚えてくれていたんだろう。

 

そう思うとなんだか嬉しかった。

 

だから、私も彼にこっそりと手を振り返した。

 

「「...」」

 

「ちょっとしぽりん!この子には先約が居るのよ!勝手に取らないでくれる!」

 

「そんなの関係ないでしょ!というか私だってまほと知り合いだなんて聞いてないわよ!」

 

彼にまた会えた嬉しさから、少し頬を赤らめる私の頭上で2人の言い争いが再開されたが、今の私にはどうでもよかった。

 

 

 

 

 

だって私は2人のじゃれあいよりも大事な...目の前にいる彼のことが気になって仕方がなかったから。

 

 

――――――――――――

―――――――――

 

 

「顔合わせもしたし、これからのことはあなたに任せます。ただし、ちゃんと早く帰ってくる事。あなたが来ないとミカがうるさいんだから」

 

「ははっ。分かっていますよ」

 

「それじゃあ私は帰るわね。あと泊まる時とかは連絡しなさいよ。あなた分のご飯が余っちゃうわ」

 

そう言い残して、島田流の家元は帰っていった。何故島田家に彼のご飯が用意されているのか聞きたいことは色々あったけど、この時の私は深く考えることもなくその背中を見送った。

 

まぁその理由知るのも、だいぶ先の話になるけど。

 

「少しの間ですが、これからお世話になります。しほさん」

 

「ええ。期待しているわ。それと、うちには次女もいるからまた紹介します」

 

「わかりました。よろしくお願いします」

 

そう。残念ながらみほは今日家にいない。いればきっと、人柄の良さそうな彼にすぐ懐いていてくれると思ってたからちょっと残念。

 

「...それで。うちの娘とどういう経緯で知り合ったのかしら」

 

「え?あ、あぁ。先日の試合で...少し」

 

「少し?」

 

「少し...知り合っただけです。はい」

 

「...」

 

別に隠すことでもないと思ったんだけど、何故か気まずそうに彼は言葉を濁す。

 

まぁ確かに、私が勝手に島田流の格納庫に行ってたって話はここではまずいのかもしれない。

 

だからここは彼の配慮に甘えて、私も沈黙することにした。

 

「...まぁいいわ」

 

よかった。お母様も退いてくれたようだ。

 

「あと、ここには滑走路もきちんとあります。だから次から来る時はあなたの戦闘機で来ていただいて結構です。まほ、案内してあげて」

 

「はい」

 

「よろしくね。まほちゃん」

 

「よろしく...お願いします」

 

 

――――――――――――

―――――――――

 

 

「まほちゃんは西住流だったんだね」

 

「隠しててごめんなさい。嫌、でした?」

 

「いやいや、そんなわけないよ。僕も島田流ってわけじゃないんだし。それに戦車道において流派なんて関係ないでしょ?今回の交流会だって、そういう垣根を取っ払おうっていう目的なんだし嫌なら僕は来てないよ」

 

2人きりの空間。少し大袈裟に手を振って否定した彼は、きっと私を不安にさせないため。その証拠に、今は優しく微笑んでくれている。

 

 

「そうだ。折角だしこれからお世話になる分、何か聞きたいことがあればなんでも答えるよ」

 

「なんでも...ですか」

 

「そう、なんでも」

 

言われて思い浮かんだのは戦車道...ではなく、それよりも好奇心旺盛な年齢として聞いてみいこと。

 

「隊長さんには私ぐらいの知り合いはいますか?」

 

「んー、そうだね。2人いるかな。1人はまほちゃんと同じく戦車道もしているよ」

 

「じゃあ、その子も毎日勉強...ですか?」

 

「んー。どうだろう。でもまほちゃんほどじゃないかな。結構息抜きで遊んだり、遊んだり、遊んだり。...ってあれ?あいつ勉強してんのかな?」

 

...ああ、やっぱり。それが“普通”...なんだろうな。

 

私だってわかってた。今の自分が普通じゃないということも。

 

学校に行っても周りの子たちはテレビの話や遊びに行った話ばかり。いつも戦車道のことしかやっていない私が話についていけないのは当然のこと。

 

 

 

だから私は、正直その彼の言う子が羨ましいと思った。

 

勉強しかない私と違い、彼という遊び相手がいるその子が。

 

 

 

 

あの日からしばらくの間。彼はよくうちに来るようになった。

 

...まぁあくまでも技術交流としてだけど。

 

でも、うちに来る時は必ず私と話をしてくれた。戦車道の事だったり、違う事だったり。

 

彼の話は突拍子もなくて、嘘なのか本当なのか分からないことが多かった。けどその話をする時の彼はいつも笑顔で、気が付けばそれは私の楽しみになっていたんだ。

 

彼の話に笑ったり彼の話に驚いたりして、それが私の求めていた普通というものなんだったのかもしれない。

 

 

 

でも技術交流が終わってから、彼は来なくなった。

 

そもそも期間限定だったのだから当然と言えば当然。それにここは西住流。島田流とは仲がいいとは言えない場所。

 

流派は関係ないと言った彼でも、居づらい気持ちもわかる。

 

だから仕方ない。そう思うしかなかった。

 

そして私の日々も戦車道に戻り楽しみの時間を失い、不満は日に日に募っていくのだった。

 

 

 

 

 

───ある深夜のこと。

 

私の溜まった不満はついに零れ落ちた。

 

私だって他の子達のように遊びたい。戦車道以外のことがしたい。

 

いつも感じている不満をこの日は抑えきれず、夜中にもかかわらずお母様には内緒で街へと繰り出そうとした。

 

 

 

───ピロンッ

 

 

 

しかし、それを止めたのは一通のメール。

 

彼からだった。

 

 

 

───“滑走路にてお待ちしております”

 

その一文を見て私は走った。

 

 

彼のいるであろう滑走路へと。

 

 

――――――――――――

―――――――――

 

 

「お待ちしておりましたお嬢様。本日はどのような旅をご所望で?」

 

「なんで、分かったんですか」

 

「んー。戦闘機乗りの勘、かな。まほちゃん真面目だし。真面目な子ほどそういうのは溜まりやすいから」

 

「...それならいつも来てくれてたらよかったのに」

 

「ん?どうしたの?」

 

「なんでもない...です」

 

前のように来てくれていたら私だって不満は溜まらなかった。でもそれは私の理不尽だってことも分かってる。

 

そんな小さく口から出てしまった私の言葉は、運良く彼には聞こえていなかったようだ。

 

「それで?どうする?」

 

「じゃあ、空の旅を...お願いします」

 

それよりも、こうして彼と遊ぶのは今夜が最後かもしれない。だから今はこの瞬間を楽しむことだけを考えないと。

 

「ふふっ。そう言ってくれると思ってたよ。はい、これ被って」

 

渡されたヘルメットを被ると、彼が後部座席へと私を抱き上げてくれる。

 

その時初めて彼の腕に包まれた瞬間は、恥ずかしいという思いもあったが何よりも優しくて、そして温かかったのを今でも覚えている。

 

「それでは一名様。空の旅へご案内致します」

 

少しずつエンジンの回転数が上がり機体が前へ進み出す。カタカタと少しだけ揺れた後に感じる浮遊感から、まさに自分が飛んでいるのことが実感できた。

 

戦闘機?に乗ったのは初めてだったけど、自分の足が地上についてないっていうのは何だか不思議な気分。

 

「まほちゃん。下を見てみて?」

 

そう言われて下を覗いてみると、暗闇の中煌煌と輝く街の光。

 

 

 

 

───綺麗...。

 

その光景は私の心を表しているような気がした。彼という灯りが私の心を照らしてくれている...そんな気が。

 

 

 

「まほちゃん。勉強も大事だけどあまり根を詰めすぎないようにね」

 

...じゃあもっと来てください。私と遊んで下さい。

 

「まほちゃん?」

 

「...まほ、でいいです」

 

「...まほ。流石に毎日は来れないけど、これからはまた、きみに会いにくるよ。きみのためだけにね」

 

私の思いは、どうやら彼にはお見通しだったようだ。

 

「うん...。ありがとう、兄さん」

 

彼は兄のような存在で、それでいてどこか違う存在。

 

咄嗟に言ったその一言は私の照れ隠し。

 

この気持ちは...。

 

そう。私は、彼に恋をしていたんだ。




隊長さん呼び
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