ようこそ第0護衛隊群へ   作:/Null

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最近ガソリン高杉


私たちの再会

無事作戦の成功を収めた俺は今、ミカが乗ってきた“俺の”車の回収に来ていた。

 

あのやろう、わざわざLCACに戦車載せたのに、積載が余ってるからとか言って俺の車も積みやがって

 

それも現地までたかが数キロの移動に使われた。

 

最近ガソリン代高いのよ?燃費もあまりよくないのよ?もうやんなっちゃうじゃない!

 

まぁその話はまた戻ってからだな。今は早くおうち帰りたい。

 

 

 

 

「ほいじゃあ帰りますかね」

 

そう言って駐車場においてあった車に乗り込んだ俺は、持っていたタバコを咥える。

 

ふっふっふ。車に乗せてるやつは定期的にミカに捨てられてるけど、昔から戦闘機に隠してたやつは無事生還を果たしていたのだよ。

 

古いから不味い?そんなの関係ねぇ!今はニコチンが取れればそれでいいんだ。

 

「んぁ?あれ火───

 

折角一服しようと思ったのに火が見当たらない。おかしいなここら辺に置いたはずなんだけど...

 

「はいどーぞ」

 

「お、せんきゅーせんきゅー」

 

横から出てきたライターの火にタバコを近付ける。

 

火種がついたのを確認し一気に肺まで吸うと脳にニコチンが供給されていくのが実感できた。

 

「どう?美味しい?」

 

「おう、最高だな」

 

やっぱり一仕事終えた後のタバコは美味いわー。

 

...ん?

 

なんかおかしいな。隣に誰か居たような...。

 

いやいや、鍵も掛かってたしそんな事はないはず。

 

ミカは先にLCACでケストレルに帰ったはずだし

 

あと鍵持ってるやつっていえは...

 

俺は正体を見るため、タバコをもう一度吸い込んだ。

 

火種の先に見えたのは目が笑っていない女性の姿...

 

「ギャー!幽霊ー!!」

 

「誰が幽霊よ!!」

 

訂正。エリカだった。

 

「あれだけやっておいて私に会いもせずに帰ろうとするなんてどういうことなの?ありえないんだけど」

 

「大体ようやく会えたってのに最初の言葉がそれ?もっとなんかあるんじゃないの」

 

そしてこの罵声である。

 

十数年振りの再会。正直エリカは泣きついてくると思っていたが、どうやら大丈夫そうだった。

 

ほんと成長したなエリカ。

 

「大体私が、えぐっ...何年待ったと、えぐっ...思ってるのよ」

 

やっぱり駄目なやつだった。

 

「あーわかった!今度ハンバーグ奢ってやるから!」

 

困った時は食べ物で釣る。これ継続流のry

 

「う゛ん゛」

 

いや、それでいいんかい。お前黒森峰だろ。

 

まぁ昔からハンバーグ好きだったもんな。

 

 

 

それからエリカが泣き止むまで少しの間、俺は優しく見守っていた。

 

 

 

 

「結局のところ今までどこ行ってたのよ」

 

まだ目が赤いエリカからそう質問された。

 

「んー、あれよ。空?」

 

「それは知ってる」

 

「あ、やっぱり?バレてた?」

 

「バレバレ、あんな色付けて飛んでるのあなた達ぐらいでしょ」

 

どうやら時々エリカの実家の上空を飛んでいたのは気付かれていたようだ。

 

でもあんな色とはひどいな。かっこいいじゃん

 

「まぁあの色のおかげで分かったんだし感謝はしてるわ」

 

ほらな?やっぱりあの色でよかったじゃん

 

「それよりもこの車。あんたので間違いないわよね」

 

「おう。てかお前のでも開いたんだからそうだろ」

 

「この前、継続の隊長が乗ってたけど」

 

「ん?あぁ、あいつに貸してるからな」

 

最近俺が乗ってることの方が少なくて悲しくなるわ。

 

「へぇ。継続の隊長とだいぶ仲がいいみたいね?」

 

「まぁ話すと長くなるが、お前と同じみたいなもんだからな」

 

今同じ家住んでますとは流石に言えんが。

 

「ふーん。まぁいいわ。この話はまた今度聞くから」

 

「それよりも今はやっと会えたんだから。もう逃げようだなんて思わない事ね」

 

そう言って微笑んだエリカは、瞼に溜まった最後の涙を流すのだった。

 

 

 

 

「これからもまたよろしくね。お兄ちゃん」

 

 

 

 

「お姉ちゃん、行ってあげなよ。私は大丈夫だから」

 

「っ!すまない、みほ」

 

「その代わり、ちゃんとお兄ちゃんを連れてきてね」

 

「ああ」

 

みほの言葉に私は走り出した。

 

継続高校の学園艦はもう帰ったらしい。

 

でも、もしかしたら、もしかしたらと自分に言い聞かせる。

 

目の前にそのチャンスがあるんだ。

 

彼に会いたい。

 

そんな思いを胸に私は足早に会場を出た。

 

 

 

 

「...なさいよ!」

 

「...って言ってるだろ」

 

駐車場の方から声が聞こえてきた。

 

ふと視線を向けて見ると、声の片方はエリカのようだった。

 

ここまできて誰かと揉めてるのかと、内心呆れながらも声をかけようとした時、もう片方の声がどこかで聞いた事のある懐かしさがある。

 

そう、無線機から聞こえたあの声だった。

 

 

 

「ここで何をしているんだ兄さん」

 

「げぇ、また見つかった」

 

「た、隊長!?これはその、なんていうか。って、え?“兄さん?”」

 

あぁ、そうかエリカは知らなかったな。

 

「彼は私の兄さんだ。血は繋がっていないがな。これでも私と将来を誓い合った仲だ。だから安心しろ。不審者ではないぞ。」

 

「えぇ!?将来を誓い合った?ちょっとそんなこと聞いてないんだけど!」

 

「いや、俺もびっくりだわ。そもそも、そんな事言ったか俺」

 

「昔、大きくなったら結婚してくれると言ったじゃないか」

 

「え?あぁーあれか。子供が将来お父さんと結婚するんだ的なやつだと思ってた」

 

「というかまほも、もう高3なんだから俺よりいい奴いるだろ?そこんとこどうなんすかエリカさんや」

 

「へ?あ、あぁ!隊長いるじゃないですかよく話に出してるあの人が!」

 

彼がエリカに目配せをした瞬間、何かを察したエリカがそう言った。

 

そもそも話に出してる人というのは兄さんの事なのだが。

 

会ったばかりの人とすぐに意思疎通出来るとか流石は兄さんだ。

 

...というかエリカ、私を売ったよな?

 

「お、やっぱりいるんじゃねぇか。よかったよかった。結婚式やる時は呼んでくれや。んじゃ俺はこの辺で」

 

「「待て」」

 

私とエリカの声が重なって彼に待ったをかける。

 

「そんなので逃げられると思ったのか兄さん」

 

「そうよ、そんなバカなこと言ってないで一緒に会場に来なさいよ!お兄ちゃん!」

 

「ん?お兄ちゃん?」

 

「あ、実は私彼とは昔将来を誓い合った仲で」

 

「なに!?将来を誓い合った!?どういう事なのだ兄さん!」

 

「いや、それさっき聞いた流れ...」

 

 

 

その後、エリカから彼との関係を聞いた。

 

最初は将来を誓い合った仲と言われて動揺したが、エリカが昔におこした勘違いということを知り一安心した。

 

エリカのことだ、小さい時にお父さんと結婚する的な感じで彼に結婚してくれと言ったのだろう。

 

その点、私は間違いなく彼と昔約束したし。

 

そう思い胸を張るが、なぜか彼とエリカから向けられる視線は冷ややかなものだった。

 

 

 

 

「それで、さっきは何を言い合っていたんだ」

 

エリカも交え、粗方の兄さんの現在を教えてもらってから私がそう聞いた。

 

「聞いてください隊長!こいつあれだけ私達に迷惑かけときながら祝勝会に出ないって言って聞かないんです!」

 

「エリカさんや。無線でも言ったと思うけど、俺は足の付いてる亡霊なの。本来ここにいちゃいけないの。おーけー?」

 

「だからと言って祝勝会に出れないって事は関係ないでしょ!」

 

「いやね、だから俺の存在は知られちゃいけないのよ。国家機密よ国家機密」

 

「うぐぐぐっ」

 

国家機密という言葉に、エリカが丸められそうになっているがそうはいかないぞ。

 

「しかし、さっきの戦いで色んな人たちに存在を知られてしまったな。全体無線なんか使ったからもしかしたらニュースになってしまうかもしれない」

 

「うぐっ」

 

今度は彼が声を上げ始める。

 

「もう機密も何も無いのだから、別にいいじゃないか。それとも何か?私やエリカをこれだけ待たせておいてまた逃げるのか兄さんは」

 

「うぐぐぐぐっ」

 

「みほも会いたがっていたぞ」

 

そして彼はため息をついた後、口を開いた。

 

「はぁー、分かった。行くよ。祝勝会」

 

「ほんと!やった!」

 

エリカも普段見せないほどにはしゃいでいる。それほどまでにエリカの中で彼の存在は大きいのだろう。まぁ私の方が彼を想う気持ちは上だがな。

 

「ったく。俺も覚悟決めないとな...」

 

微かな声でそう言った兄さんは、目を細めながら空を見上げていた。

 

「それはそうと兄さん。積もる話は後日改めて家で聞きますので」

 

「え゛それって家に来いって事?」

 

「それ以外に何が?」

 

「隊長。私も行っていいでしょうか」

 

「いや、エリカは遠慮してくれ」

 

エリカが打ちひしがれているが、今回はダメだ。

 

だって私は彼と家族水いらずで話がしたいから。

 

兄さんはエリカの家族とも付き合いがあるのかも知れない。

 

それでも私はまず彼にこう言いたい。

 

 

 

 

 

「お帰り。兄さん」

 

「ああ。ただいま、まほ」

 

私の声は遂に届いたのだった。

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