ようこそ第0護衛隊群へ   作:/Null

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最終章までのお話じゃよ
エリカと悪魔たち


数日後

 

彼からハンバーグを奢るとの連絡を受け、今私は再びケストレルへ向うところ。

 

移動は前回と同様に車とヘリらしい。

 

ちょっと時間はかかるけど仕方ないわね。

 

乗せてもらう側が文句を言うべきじゃないし

 

寮から出ると、既に黒塗りの車が停まっていた。

 

前回乗った時と同じ車。

 

 

 

「どうぞ、エリカ嬢」

 

「ど、どうも...」

 

そう言ってから車に乗り込もうとしたんだけど

 

この運転手さんどこかで見覚えがあるのよね。

 

昔どこかで...

 

というか家の写真の中に...?

 

「...って!あー!!!?」

 

「ははっ。気が付いてくれましたか」

 

既視感の正体。それはラーズグリーズ隊の隊員さんだった。

 

もしかしたら前回来た時も...

 

「す、すみません。緊張で全然気が付きませんでした」

 

「大丈夫ですよ。そうだろうと思ってましたから」

 

彼らの事を忘れた事はない。でも前回は初めての訪問だったし、そんな余裕はなかったんだ。まぁ言い訳みたいになっちゃうけど

 

「積もる話もあるでしょうが、どうぞお乗りください。エリカ嬢」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

 

 

「そういえば隊長から聞きましたが、うちへの入隊を希望されたそうですね」

 

車が動き出してから、そんなことを聞かれた。

 

「そうです。でも今は駄目って断られちゃいましたけど」

 

「まぁ、かわいい子には旅をさせろってことですよ」

 

それなら採用してから旅をさせて欲しかった。私の気持ちは変わることなんてないのに。まぁ彼の言い方からすると内定はもらってるみたいなものではあったけど。

 

「それよりもどうでした?久しぶりに見た隊長は?」

 

「へ?あ、ああ。昔と変わってませんでしたね」

 

「昔と変わらずカッコよかったってことですか?」

 

「べ、別にそう言う意味じゃ───

 

「ふふっ。別に隠さなくてもいいんですよ。我々は皆知ってるんですから」

 

「それに隊長は今激戦区ですよ?取られちゃってもいいんですか?」

 

「よくは、ないです」

 

そう。私が知っている限り2人はいる。それも手強い2人が。

 

「ならもっと積極的に行かないと。隊長もそういうのに弱いですから。押されるとすぐ折れちゃうってやつですね」

 

「どうしてそんなアドバイスをしてくれるんですか?」

 

それは私の素朴な疑問。どうして私に?そして、どうして私の気持ちを知っているのか

 

「隊長はあなたの事を1人の女性として見ている。とは思いますが、我々としては娘みたいに思っています」

 

「それに、我々の古参ファンであるエリカ嬢にはもうちょっとだけ頑張ってもらいたい。そう思っただけですよ」

 

「あなたはあまり素直になれない節がある。だから少し背中を押してあげてるだけです。日頃の応援に対する感謝の気持ち。所謂ファンサービスというやつですね」

 

「ふふっ。へんなの」

 

嬉しいけど、正直ファンサービスとしてはだいぶ行き過ぎていると思うけどね。

 

「我々は誰か1人を特別扱いすることはありません。ミカ嬢だってまほ嬢だって我々は応援しています」

 

「ですがそれ以上に、娘の幸せを1番に願うのはおかしい事ではないでしょう?」

 

「ええ。そうですね」

 

要する彼らなりの激励なんだろうな

 

私にもっと頑張れって、そう言ってくれてる気がする。

 

「あなたが昔から我々を知っていくれているように、我々も昔からあなたの事を知っているんですから」

 

「その笑顔で隊長のとこに行ってやってください」

 

「はいっ!ありがとうございます!」

 

 

 

 

「お帰りなさいませ。お嬢様」

 

「え?どうしたの?急に」

 

部屋に入るなり、執事服を着た彼にそんな事を言われた。

 

さっきまでの私の気持ちを返して欲しい。

 

「いや、見てわかんない?執事よ執事」

 

「それは見れば分かるわよ。というか口調戻ってるけど」

 

「本日のメニューは私が腕によりをかけて作った一品でございます」

 

「サラッと流そうとしてもダメよ」

 

慣れないキャラ作りでやりづらいのはわかるが、それならやらなきゃいいのに。

 

「はぁー。別に無理しなくてもいつも通りのあんたでいいわよ。格好だけで十分」

 

「お、そうか?ならお言葉に甘えて」

 

いや、引き際が早すぎるわよ。

 

「それで、最初は奢ってくれるって話だったけど、なに?作ってくれたの?」

 

「おう。お前のために作った自信作だ。味は保証するぞ」

 

そう言って彼がクローシュを開けると中には美味しそうなハンバーグが

 

「ささ、どうぞお嬢様」

 

「お嬢様は余計よ」

 

まったく、調子いいんだから。

 

そうして彼に促されるままに席に着いた私は、目の前のハンバーグを一切れ口にした。

 

「どうよ?」

 

「あ、美味しい」

 

口に入れた瞬間に懐かしい味が口に溢れてきた。

 

美味しい。あの頃食べた彼の味付けだ。

 

「おお、よかったよかった」

 

「あんたは食べないの?」

 

「ん?お前のために作ったんだから、俺が食うのもおかしいだろ」

 

「それは嬉しいけど、私1人で食べちゃうとほんとに美味しかったか分かんないんじゃない?」

 

「まぁそれはそうだが」

 

だから

「はい、あーん」

 

「え?あーん??」

 

「なに?私のが食べられないっての?」

 

「いや、そういうわけじゃないけど。そもそもそれ作ったの俺なんだが」

 

「問答無用」

 

そう言って彼の口にハンバーグを押し込む。

 

「どう?」

 

「美味い」

 

「でしょ?」

 

「なんでお前がドヤ顔やねん」

 

そりゃドヤ顔にもなるでしょ。

 

なんせあなたが私のために作ってくれたものなんだから。

 

あれ?というか今考えたら私とんでもない事をしてしまったかも。

 

無意識とはいえ彼に「あーん」して食べさせてあげちゃったし。それにこのフォーク。もしかして間接キス!?

 

そう考えてから徐々に恥ずかしさが込み上げてくる。

 

え?私このフォーク使ってもいいんだよね?間接キスだけどいいんだよね!?

 

「どうしたエリカ?大丈夫か?」

 

「な、何でもない!大丈夫。大丈夫だから!」

 

「お、おう。そうか」

 

彼に心配され、平然をよそおってはみたが

 

その後少しの間私の頬は赤いまま、手元にあるフォークをじっと見つめていたのだった。

 

 

 

 

「じゃあそろそろ帰るわね」

 

「ちょいまち」

 

「え?なに?」

 

いい時間になってきたので、私もそろそろ帰ろうと思った時、彼から待ったがかかった。

 

「帰りは俺の戦闘機で黒森峰まで送ってやるよ」

 

「え?ええ!?」

 

「さっきしほさんに聞いたらな。あそこの滑走路ならジェット機でも降りられるってよ」

 

「そうなんだ」

 

「それに、お前も乗る約束だろ?俺の戦闘機に」

 

彼の言った約束。

 

それは私との約束。

 

私が戦車道を始めたら乗せてくれるというあの約束。

 

「だから着替えたら先に甲板へ上っといてくれ」

 

「う、うん。分かったわ」

 

 

 

 

ちなみにこの話をするのはまた後日。

 

だって私の想いはここでは書ききれないから。

 

 

 

 

──────

 

 

「お、エリカ嬢お帰りですか?」

 

「はい。帰りは彼が送ってくれるっていうので」

 

甲板に上がる途中、私を迎えに来てくれた隊員さんからの質問にそう答えた。

 

「という事は隊長の機体で?」

 

「そうだと思います」

 

「ほーう。なるほど...。お前らー聞いただろ?俺たちも甲板行くぞ」

 

「「「うぇーい!」」」

 

「え?ど、どうしたんですか皆さん」

 

「決まってるでしょう?お見送りですよ」

 

「それに、なんだかんだで昔とは色々変わりましたからね。ですから、成長したエリカ嬢とまた写真撮り直さないと。昔のように皆でね」

 

 

 

 

「隊長ー!遅いですよー」

 

「悪い悪い」

 

彼の戦闘機の前、私たちが待っているとフライトスーツ姿の彼が走ってくる。

 

「ほらエリカ嬢。もっと隊長に寄って」

 

「へ?は、はいっ!」

 

「はーい撮りますよー」

 

彼と触れ合うぐらいの距離。

 

嬉しさと恥ずかしさのあまりいつシャッターが押されたのかさえ分からなかったけど

 

そこには満面の笑みを浮かべる私と彼らの姿がはっきりと写っていた。

 

その写真は彼らとの再会、そして絆の証として私の家に新しく飾られることとなった。




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