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砲手交流会in大洗
とても恐ろしい集団心理である 1/3


「お兄ちゃん、こっちこっち!」

 

「おお、みほか。わざわざすまんな」

 

「折角来てくれたんだし、お出迎えぐらいはやらせてもらわないと」

 

俺の言葉に対してみほは首を横に振ってそう答えた。

 

そう、何を隠そうここは大洗女学園。

 

今日は前にミカと話をしていた交流会の日なのである。

 

「遠いのに戦闘機まで使って来てもらってごめんね」

 

「開催地に関しては問題ないぞ。戦闘機ならどこでもすぐ着くし」

 

ちゃんとした滑走路さえあれば、ものの30分とかからずにどの学園艦にも行くことが出来るのが戦闘機の良いところだ。

 

要するに、俺からしたらどこでやろうが誤差みたいなもんである。

 

それに今回は顔見せの意味もあったからな。他の学園艦の子たちに俺たちの仕事道具を見てもらう丁度いい機会と思って乗ってきただけだし。

 

「ミカさんも、わざわざありがとうございます」

 

「いいや、構わないさ。私は乗ってただけだからね。それよりも、うちの戦車は無事に届いたかい?」

 

「はい、無事届いてますよ。今は会場の隣に置いてます」

 

「それはよかった」

 

ちなみに戦車はLCACで送った。安定である。

 

「でも驚いたよ。お兄ちゃんも交流会に参加するって聞いた時は」

 

「これから各学園艦の滑走路使わせてもらうこともあるからなー。顔見せしたらすぐ帰るよ」

 

まぁ最初に挨拶してミカが帰る時にまた来ればいいかなと思ってる。

 

ほぼ素人の俺がFCSも付いてない戦車の射撃訓練に参加してもねぇ?邪魔になるだけやん。

 

「え?でも演習も参加するって聞いたけど?」

 

「はい?」

 

呑気に顔見せと言った瞬間にこの発言である。

 

「なぁミカ」

 

「なんだい?」

 

「今日な?軽い気持ちで来てたんだけどさ」

 

「うん」

 

「何これ。俺もがっつり参加することになってんの?」

 

「うん」

 

「え?俺聞いてないんだけど」

 

「聞いてこなかったからね」

 

「」

 

「あははは...」

 

確かにアキとミッコは参加してないし、いつものBT42じゃないしで疑問に思ってたが、そういうことか...

 

「あ、もうお姉ちゃんたちは来てるよ」

 

みほの視線を追うとうち所属のシーホークが格納庫に停まっている。おそらくエリカとまほが乗ってきたやつだろう。

 

エリカのやつ、もう乗りこなしてるとはな。やらしてる俺が言うのもあれだが、こんな短期間で操縦覚えるやつなんておらんよ普通。

 

第二次大戦中のよくわからんヘリもどきを操縦してたとはいえ、ボタンもレバーも違うシーホークをあっさり操縦するとはねぇ。あいつの才能が時々恐ろしく思えるわ。

 

そんなことをしみじみと感じていると遠くから誰かの声が聞こえてきた。

 

「...どのー...」

 

「...しょう補どのー...」

 

ん?なんだ?俺を呼んでんのか?

 

声がする方角を見れば1人全力ダッシュでこちらへ走ってきている人影が

 

その女性はどんどん近づいてきて...

 

「海将補殿ぉぉおお!!」

 

「うおっ!」

 

いや、目の前まで来て叫ばんでも聞こえとるわ。

 

「海将補殿ぉ!申し訳ございませんでしたぁぁああ!」

 

え?何?どした?

 

「先日は海将補殿とはつゆ知らず飛んだご迷惑をををを」

 

「というか誰?」

 

「蝶野一等陸尉であります。先日の祝勝会の駐車場にてお会いしました」

 

「ああ、あの時の」

 

それはあの祝勝会後の朝。

 

会見会場へ向かうヘリに乗るために、駐車場から車を出そうとしてた時の話。

 

 

――――――――――――

―――――――――

 

 

「ちょっと失礼。ここは関係者以外立ち入り禁止ですよ」

 

「ん?あぁすみません。すぐに出ますので」

 

服装を見るに陸自の人間ぽいな。面倒事になる前に大人しく立ち去りますか。

 

「いや、待ちなさい。怪しいわねあなた。私、これでも鼻が利くの」

 

え?やだ、怖い。立ち去るって言ってるじゃない。

 

「ほら隠してるもの全部出しなさい」

 

「い、いや?何もありませんって。というか予定があるのでこれから直ぐに向かわないといけないのですが」

 

「あなたが協力的ならすぐに終わる事です。だからほら!早く出しなさい!」

 

「いや、ですから何もやましいことなど無いんですって」

 

無いって言ってるじゃない!それとも何?私に乱暴する気!?エロ◯人みたいに!

 

「問答無用!」

 

「きゃー!」

 

結局、車の保険証やら身分証明書やら車内のものを徹底的に調べられたが、何もめぼしいものが出てこなかった為、蝶野一等陸尉はばつが悪そうに去っていったのである。

 

まぁ身分証とかほぼほぼ偽物だし、俺自身もMIA扱いの人間だったから彼女の鼻が利いているってのは間違いじゃなかったんだけどな。

 

こっちの方が一枚上手だったってことよ。

 

 

―――――――――

――――――――――――

 

 

「あー。まぁ気にしなくていいですよ。あの時怪しい人物だったのは間違いなかったわけだし」

 

「それでも、海将補殿は西住流とも縁が深いと家元からも聞いております。そんな方にご無礼を働いたとなると家元からどんな処罰が下されるのか...。それにみほちゃんやまほちゃんにも口を聞いてくれなくなっちゃうと思うと...」

 

顔がみるみる青くなっていく蝶野さん。

 

「大丈夫ですよ。家元と彼女達には私から言っておくので。というか私が言わなければいい話でしょう?」

 

「本当ですか!絶対!絶対ですよ!お願いしますね!!」

 

表情が明るくなったと思えばまた詰め寄ってこられた。

 

いや叫ばんでも聞こえとるて。

 

「というか今の話、みほも聞いちゃってますけどね」

 

「へ?」

 

俺の言葉でようやく気付いたのか蝶野さんの目がみほを捉えた。

 

するとまた顔色を青ざめさせて再度謝ってくる。

 

おいおい、面白いなこの人。バミューダ3姉妹の他にイジれる後輩が出来たぞこれは。

 

「それよりもさ」

 

「なんでしょう?」

 

「早く降りたいんだけど」

 

そう。さっきまでの話はまだ戦闘機に乗ったまま行われていたのである。

 

早く掛けてくれ俺の梯子...

 

なぜなら。もうお分かりだろう。

 

誰も...梯子を掛けていないのである!

 

早く!掛けてくれ!!俺の梯子ー!!

 

そう!誰も梯子を掛ける人がいないのである!

 

おかしい...これは...

 

何かがおかしいぞ...

 

本来整備員というものは着陸から5分以内に戦闘機に梯子を掛けれるよう設定されている。

 

着陸から1分以内には整備員はもう出動していると思われる。

 

そして出動から4分以内には梯子を掛けれるように整備員というものは、点々と配置されているのだ!

 

なのに、いまだ梯子を持つものすらいないとは...

 

これは...絶対におかしい...

 

何かがあったに違いない...

 

そう。もうお分かりだろう...

 

誰も!梯子を掛ける気がないのである!!

 

梯子をかけないと降りられないと知っている蝶野一等陸尉でさえ!

 

梯子をかけようとしないのである!!

 

どうしてー!!整備員は一体何をしてるのー!!

 

そう思っているであろうミカでさえ!

 

梯子を掛けてくれと言わないのである!!

 

 

 

「お願い、誰か梯子掛けて...」

 

「え?降りるのに梯子がいるの?」

 

「そう。みほの足元にあるやつ」

 

「えっと、この梯子を掛ければいいの?」

 

「そうそう」

 

ふう、流石みほだ。危うく今日一日ここで過ごすのかと思ったぜ。

 

蝶野一等陸尉もみほ見習え?

 

...ん?待てよ。この流れどこかで見たぞ。

 

確か西住流の滑走路に降りた時まほに───

 

はっ!

 

「いや、待ってみほ!それ結構重いかr」

 

「とととと」

 

「また傷ついちゃうから!やめてぇぇぇ!!」

 

 

 

 

「おおー!あなたがあの悪魔さんですかー!お噂は予々聞いているであります!」

 

「え?テレビで見るより普通にイケメンじゃん!?遂に私にも運が回ってきた!?」

 

「うふふ、沙織さん。よく見てください。あの方は先約ありですよ」

 

「Zzz...」

 

会場に着いてからいきなり尊敬の眼差しで見てくるわ、恋愛脳いるわ、先約ありとか言われてるわ、寝てるわ。

 

すげぇなみほの友達。個性強すぎじゃね?

 

というか初対面でそんなにガツガツ来られるとこっちが引いちゃうというか気い使うんですが。

 

「遅かったじゃないか兄さん」

 

そう声を掛けてくれたのはまほ。

 

よかった。この中に放り込まれたら地獄を見るところだった。コミュ障の人間にとってイケイケの女子高生ほど怖いものはない。あ、はい。とかそ、そうですね。とかしか言えなくなるわ。

 

ミカも横で嬉しそうにカンテレ弾く前に助け船出してくれ...

 

「何か兄さんの悲鳴がここまで聞こえてたが大丈夫なのか?」

 

「ん?あー、まぁ大丈夫だ。流石姉妹、よく似てるなって思って叫んでただけだ」

 

「?」

 

正直ああいうところは似て欲しくない部分ではあったが、まぁ今回の傷もうちの整備員が直してくれるから大丈夫、なはず。

 

「てかまほ。お前留学の準備で忙しいんじゃ?」

 

「まぁ忙しいが、兄さんが来ると聞いたからな。だから私も参加することにした」

 

「おい、参加理由」

 

「いいじゃないか。それにこれも経験、だろ?」

 

ぐぬぬ、痛いところをつくな。そう言われたら俺も引き下がるしかない。これからは色々な経験をしろ、そう言ったのは俺だからな。ほんと誰に似たんだか...。

 

「あれ?エリカは?」

 

「今はプラウダの2人と一緒に席を外していてな。もうすぐ帰ってくると思う」

 

「ほーん。なんか珍しいな、黒森峰とプラウダが仲良いってのも」

 

俺の代の両校は決定的に仲が悪いというほどではなかったが、仲が良いというわけでもなかった。

 

独ソ不可侵条約的な?隙あらば攻め込むぞ的な?だからその流れを汲んでいるものだと思っていたが、まぁ変わるもんだねぇ。

 

「兄さん。帰ってきたみたいだそ」

 

まほにそう言われて見てみると確かにエリカともう1人...

 

「ノンナじゃねぇか」

 

「お久しぶりですね、“元”同志」

 

「なんだ。ノンナも知り合いか?」

 

「プラウダの学園艦に滞在してた時にちょっとなー...って元?」

 

「身分を偽っていた人物が信用に足りるとでも?」

 

「おうふ。耳が痛いな」

 

「ふふっ。冗談ですよ」

 

そう言ってノンナは少し表情を崩す。

 

「あの会見を見てあなたに非好意的になる人間なんていませんよ。いつも私たちを陰ながら守ってくれていたのでしょう?」

 

「まぁそうだなー。今更隠すことでもないし」

 

「因みにどんな知り合い方をしたんだ?」

 

そんな面白い知り合い方じゃないで?

 

「前にナンパされまして」

 

「してないわ。迷子のガキンチョ保護しただけだろ」

 

そう。大型ショッピングモールで迷子になってたガキンチョ1人保護しただけだ。

 

コールセンター連れて行こうとしたら私は迷子じゃないー!だの、粛清してやるー!だの言われてめっちゃ大変だった。

 

その後ようやく保護者見つけたと思ったら誘拐犯と間違われるし、日本なのにトカレフ突き付けられるしで踏んだり蹴ったりである。

 

まぁつい防衛本能でノンナを組み伏せたりしたせいで変な空気になったりもしたが、なんとか誤解を解いてガキンチョを引き渡すことに成功。事なきを得た。

 

その後は謝罪?なのかお礼?なのかたまーにお茶に誘われてた程度だ。

 

プラウダの学園艦を離れる時だってちゃんと挨拶は済ましてたし、何も落ち度はないよ!

 

それとこいつが戦車道やってるってのはその話の中で知ってたが、まさかこんな重要な立場の奴だったってのは今初めて知った。

 

「てかあのガキンチョはどうしたんだ?」

 

きっかけとなったあの金髪で小動物のようで、事あるごとにノンナに肩車してもらっていたやつが今日は見当たらんな。

 

そんな俺の言葉に対してノンナは下を指差す。

 

それに釣られて下を向くとそこには

 

「おー、可愛いガキンチョだな」

 

「ガキンチョじゃないって前から言ってるでしょ!カチューシャよ!カチューシャ!!名前覚える気あんの!?」

 

「ある。かな?」

 

「なんでそこ疑問形なのよ!?というかさっき意図的に私無視してたわよね!何回か目が合ったわよね!」

 

それはめだか師匠リスペクトの新喜劇やから。

 

「同志。カチューシャが可愛くて弄りたくなる気持ちはわかりますが、その辺りで」

 

「ははっ、そうだな。すまんな可愛いお嬢さん」

 

「カチューシャよ。全くもう」

 

俺の言葉が満更でもなかったのか、カチューシャは少し嬉しそうにしながらそう言った。

 

ほんと、そういうところが可愛いというか、いじり甲斐があるというか。まぁあれだ、小動物を観察してる気分だな。癒される的な意味で。

 

 

 

「それで?そんな同志がなぜ窃盗犯と共に?」

 

「窃盗犯?」

 

ノンナからの一言に俺は首を傾げたのだか、その目線の先の人物を見て察してしまった、

 

おいミカ。カンテレ弾いてる場合じゃないぞ。

 

「そうよ!うちのKV-1早く返しなさいよ」

 

「盗んだ、なんて人聞きが悪いな。あの戦車はね、風とともに流れてきたのさ」

 

「んー、ミカ。ギルティ2回目」

 

こうしてミカにまた新たな罪状がつくのだった。

 

 

 

 

 

───という事で、本日一日お世話になります」

 

 

 

「ほぇー。あのテレビで見た───

 

「近くで見ると───

 

「海将補ってことは───

 

俺の挨拶が終わると各々がそれぞれ反応を零していた。

 

この中で知らんのは大洗の生徒、聖グロ、サンダース、アンツィオ、知波単。

 

まぁほぼ知らん顔だ。それが当然っちゃ当然なのだが。

 

というか大洗の生徒さ、個性が玉突き衝突してるんだわ。ツッコミしきれんし、コスプレ集団にしか見えんのだわ。

 

人は見た目では判断できないというけど、こんな感じでよく優勝したなおい。

 

 

「隊長ー」

 

ん?何故か聞き覚えのある声が...

 

「え?隊長どうしたんですか?そんな亡霊でも見た顔して」

 

「いや、これどういう状況?何でお前らがいんねん。俺聞いてないけど」

 

何故かうちの隊員たちが目の前に居た。

 

「我々も参加するってことでエリカ嬢のシーホークで来ましたけど?そもそも戦車1人じゃ動かせないでしょ」

 

「それはそうやけど、って何?戦車動かすの?」

 

「はい。大洗の子たちと対抗戦やるって聞いてますが」

 

「は?」

 

そう周りを見るが、皆周知の事実みたいな顔をしている。

 

え?知らないの俺だけ?

 

「期待しているぞ兄さん」

 

「ふん!無様な負け方だけはしないでよね」

 

「ふふっ。きみたちに戦車をかけたんだ。だから勝ってもらわないと困るかな」

 

応援してくれてるのまほだけで悲しい。

 

てかこんな素人集団に戦車かけるとかどういう神経してんだおい。

 

「そういうことなら流石に戦車選びたいんやけど」

 

「残念ながら継続ちゃんに持って来てもらった戦車しかないんですよねー」

 

そう返したのは大洗女学園の生徒会会長。

 

そして目の前にあるのはLCACで輸送したKV-1戦車。

 

おい、ノンナとカチューシャがすごい形相ででこっち見てるんだが。これプラウダから盗んだやつだろ絶対!俺は悪くないぞ!

 

「はぁー、まぁしゃーないか。それでチーム分けは?」

 

「え?ほんとに聞いてないんですか?ラーズグリーズの皆さんと大洗・知波単混合チームの紅白戦ですよ」

 

「すまんもう一回言ってくれ」

 

「あなた方と我々。要するに1対40ですね」

 

「まじかよ」

 

 

 

 

 

次回予告『1対40』




まぁ40輌とか普通無理ゲーですけどね
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