ようこそ第0護衛隊群へ   作:/Null

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ラーメンハゲならコーヒーにも正論言ってくれそう


継続高校ホスト?(クラブ) 2/5

「はーい」

 

呼び鈴を鳴らせば短い返事の後、奥からパタパタと玄関へと来る足音が聞こえる。そして、ガチャリと言う音と共に開いた扉から出てきたのはもちろんミカである。

 

「おかえり」

 

「おう。ただいま」

 

何の変哲もない、いつもの光景。

 

ただ一つ違うのはミカの手に古びた手記と1枚の写真のようなものが握られていたことだ。

 

 

―――――――

――――――

―――――

――――

―――

――

 

 

「ということがあったんだ」

 

「いや、あってほしくなかったわ...」

 

ソファーに座るなり早々高校時代の黒歴史を暴かれる俺気持ちを考えてほしい。マジで何見つけてくれてんのよ。あの時の思い出()がフラッシュバックしてるわ。恥ずかしくてたまらん。

 

「てかその写真どこで見つけたんや」

 

「旧校舎2階の角部屋だね」

 

「あー....」

 

2階の角部屋かぁ。確かにあそこホスト部が使ってたわ。てことは間違いなくあの部長の手記だろうな。はぁ、赤の他人に自分の手記なんて読まれて恥ずかしくないんか部長。そういうのはちゃんと管理して処分するなりしてもらわんとよ。

 

しかし、そんなため息をついている俺をミカが期待混じりの眼差しで覗き込んでくる。

 

「...おい。まさか」

 

「ふふっ。ここに署名もある」

 

そう言ってミカが出したのは分厚い紙の束。ではなく、1枚の紙。

 

「...いや、お前含めても4人しか名前ないやん」

 

「きみにはそこに書かれている名前だけで十分だと思ったからね」

 

書かれている名前を見れば上からミカ・まほ・エリカ・ノンナの順。

 

「ぐぬぬ」

 

特効礼装積みすぎだろ。...というかノンナ、お前は常識人のツッコミ枠でしょ。こんな怪しい商売?に引っ掛かっちゃダメよ。

 

「ちなみに服は明日届く予定だよ」

 

「手回し早くない?」

 

「お義母さんに言ったらすぐに送ってくれたよ。きみの卒業アルバムも同封しとくってさ」

 

「おいバカやめろ」

 

卒アルなんて絶対見られたくないやつ。てか母さんも一言二言で送んなし。

 

「100歩譲って服は着てもいいが、卒アルは回収だかんな」

 

「えー」

 

「えーじゃありません。ダメなものはダメですぅ」

 

「むぅ」

 

「そんな可愛く頬膨らましてもダメだぞ」

 

全く。油断も隙もないんだから。

 

「...まぁいいさ。きみのコスプレを見れるだけでも満足だしね」

 

「コスプレいうなし」

 

ぽすんと俺の膝に座り直したミカに対して、いつものように優しく腕を回す。

 

まぁこうやっていればミカの満足値も増えて卒アルのことも諦めるだろう。という淡い期待も一緒に抱いておくことにしよう。

 

「それで、服着てどうするんだよ?ホストの真似事なんて出来ないぞ?」

 

「?文化祭でやってたんじゃないのかい?」

 

「んー。やったのはやったんだがな?あれはホスト、っていうか執事喫茶だったな」

 

ぶっちゃけ俺らもホストってのがよく分かってなかったし。取り敢えず注文受けて“お嬢様”って言っときゃいいやろ的な感じでやってた。

 

まぁウケ良かったし、間違ってなかったと思う。多分...。

 

「ふふっ。なら、執事でもいいんじゃないかな。折角だし、きみが淹れたとっておきのコーヒーを所望するよ」

 

「お前はコーヒー飲めないだろ」

 

毎回俺のに口つけるくせに苦いって言うだけやんお前。

 

「飲める飲めないじゃない。あの格好できみが淹れることに、意味があるのさ」

 

「前にも同じようなこと言ってた気がするんだが」

 

「さあ?どうだろうね」

 

そう言ってはぐらかすミカ。

 

...まぁ淹れるのはいいのだが

 

「ちゃんと全部飲めよ?」

 

「砂糖とミルクがあれば問題ないさ」

 

「豆本来の味を楽しんでもらう為、当店では扱っておりません」

 

「それじゃ芹沢さんが悲しむよ?」

 

「安心しろ。俺に芹沢という知り合いはいない」

 

そもそもラーメン評論家だろあの人は。

 

「ちなみに持ち込みは?」

 

「当店ではNGとなっております」

 

「そんなんじゃ経営出来ないのでは?」

 

「ご安心を。来店される方々は皆大人な舌をお持ちなので」

 

まぁ文化祭なんだから、店員も客もほぼ全員が高校生だったのはここでは伏せておく。

 

「私も大人の舌の持ち主さ。どこぞの暴君と一緒にされては困るね」

 

「いや、お前だってブラック飲めないだろ」

 

少なくとも舌に関してはがきんちょと同レベルだな。

 

「...むぅ!」

 

抗議のつもりなのだろうが、頬を膨らますミカはやはり可愛くしか映らない。

 

...まぁ、ミカの子供舌を弄るのもここまでにしておこう。これ以上いじけられるのも嫌だしな。

 

「安心しろ。明日はちゃんとお前の口にも合うように、とっておきのを淹れてやるから」

 

「うん」

 

そう言ってフォローしつつ頭を撫でてやると、ミカは嬉しそうに足をパタパタと動かし始めた。

 

「でも、料理だってうまくなったんだ。子供舌、というところはいただけないかな」

 

「ははっ。悪かったよ」

 

確かに、料理の腕が上がったの紛れもない事実ではある。それが俺のために努力を重ねた結晶、ってところがまた恥ずかしい部分ではあるが。

 

「ほら、手が止まってるよ?」

 

「はいはい、申し訳ございません。お嬢様」

 

ミカの言葉に軽口?を挟みながら止まっていた手を動かすと、相変わらず目を細めて気持ちよさそうに背をもたれてくる。

 

 

ふふっ。

 

ほんと、俺には勿体ない婚約者だよ。お前は。

 

「勿体ない、という言葉はおかしいかな。お似合いだ、と思ってほしいね」

 

「さらっと心読むなし」

 

「むふーっ」

 

結局その後は、ミカが満足するまで優しく頭を撫で続けたのだった。

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