ようこそ第0護衛隊群へ   作:/Null

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私、見ちゃいました!


実をいうと 6/?

ゴォーッというドライヤーの音がする。

 

「お、ようやく意識戻ってきたか」

 

その音に混じって聞こえるのは彼の声。

 

「ったく。のぼせてすぐだったからよかったけど、危ないだろ。ミカも、今後はこうなる前に出るようにしろよ?」

 

「ごめんごめん」

 

話を聞く限り、どうやらお風呂でのぼせてしまっていたようだ。

 

ぼーっとした視界の中で立ち上がる為にと椅子の上に手を掛けようとしたのだが、何故か両手には少しごつめの感触が。

 

はっ、と思い後ろを振り向けば、ドライヤーを片手に私の髪を梳いている彼の姿が。

 

「ほらエリカ動くな。まだ髪乾かしきってないんだから」

 

「ご、ごめん」

 

彼の言葉に前を向き直すが、ようやく状況を理解した。

 

ここ...彼の膝の上だ!

 

私がのぼせていた間に何があったのか。扉を開けた彼が服を着ていたっていうところまでは、辛うじて覚えているんだけど。うーん...その後のことが全然思い出せない...。

 

しかし言われたままに身を委ねれていると、ドライヤーの温風と彼の指が優しく髪を吹き上げる感覚がとても心地良く、深く考えることをやめてしまう。

 

「どうだい?エリカ」

 

「すごい...いいです」

 

「だろう?」

 

そう言ったミカさんの方を向けば、おそらくもう乾かしてもらったのだろうサラサラとした髪を満足げに靡かせている。

 

「ほれ、終わったぞ」

 

ポンポンと頭を優しく叩かれてから私も自分の髪の毛を触ってみれば、手から滑るようなサラサラとしていてそれでいてツヤのある質感が感じられる。

 

髪の手入れなどそうそう身につくものではないのに。私だって結構苦労してるし、男性である彼ならば尚更だ。

 

じゃあなんで彼はこんなにも手慣れているのか。

 

自然と浮いてきたそんな疑問も、目の前のミカさんをみれば納得してしまう。

 

...なるほど。これが理由ね。

 

自分の髪を触りながら嬉しそうにしているその姿だけで、毎日やってもらってるんだろうなという推測までつく。

 

───正直めちゃくちゃ羨ましい。

 

お風呂上がりで1番重要なのは髪のケアというぐらい、美容とかあまり気にしてなかった私でも大学選抜との試合以降はするようになったし、すごく気を遣っている。

 

何故するようになったかという理由は...まぁ、察して...。

 

ともかく、私だって毎日苦労しているというのにミカさんはイチャイチャしながら彼にやってもらっている。しかもこの手並みで。

 

そんな光景を想像するだけで羨ましいと思ってしまう私は間違ってないと思う。

 

「ふふっ。だって私は“同棲者”だからね?」

 

ぐぅ。悔しいけど言い返せない。

 

じとーっと見つめる私の視線に対して、ミカさんは自慢げにそう言った。

 

「はいはい、取り敢えずその話は後にしてくれ。そろそろ俺風呂行くからな」

 

「う、うん」

 

「「...」」

 

「「...」」

 

「───...エリカ」

 

「え!?な、なに!?」

 

中々行かないことに動揺しながら後ろを向けば、少し困ったかのような表情を浮かべる彼が映る。

 

 

 

 

 

 

「いや、のいてくれんと行けん」

 

 

 

 

 

 

「───...へ?...あっ!?ご、ごめん!」

 

 

 

そういえばそうだった。他の事に意識を割いていたから忘れてたけど、ここ。彼の膝上だった!!

 

その事実に気付いて急いで立ち上がると、彼はまた私の頭をポンポンと優しく叩いてからお風呂場へと向かっていった。

 

 

――――――――――――

―――――――――

 

 

「ミカさん。嘘つきましたね」

 

彼がお風呂に入ってから何分経っただろうか。完全に意識が覚醒した私は、再度ミカさんにジト目を向けた。

 

それは私たちがお風呂に入っていた時の話。彼が一緒に入るということを意識しすぎた私がのぼせてしまった原因である。

 

全く...。ミカさんがあんなこと言わなければ私がのぼせるなんてことにはならなかったのに。

 

最後に残っている記憶にだって彼は服を着てたんだから、そもそも一緒に入る気なんて無かっただろうし。

 

「でも、“入っては”きたよね?」

 

「え?───...あっ!?」

 

そ、そうだった!!

 

その言葉でようやく理解した。服を着ていたとはいえ彼はお風呂場に入ってきていたということを。

 

ということは...も、もしかして私の...は、はだかも...。

 

「見ているに決まってるじゃないか」

 

ほ...ほんとに!?

 

さも当然のようにいうミカさんをよそに、私の思考はまたしてもショート寸前。

 

「ちなみにだけど、その服だって私が着させたわけじゃないからね」

 

「え?」

 

ミカさんの言葉にはっとして自分の格好を見れば、着替えを持ってきてなかったので当然なのだが、着ているのは自分の服ではなくましてや女性用の服でもない。

 

少し大きめの、そして袖口に鼻を近付ければほのかに安心するかおりに包まれる。

 

───これ...彼の服だ。

 

 

 

「な...な...な、なんでミカさんがやってくれなかったんですか!」

 

「いや、最初は私がやろうかと言ったよ?そしたらきみがイヤイヤと断ったんじゃないか。ご丁寧にバンザイだってしてたし」

 

バ、バンザイ!?

 

「きみがやったことなんだから。彼に着させてもらうためにね」

 

わ、私が!?

 

...駄々っ子どころか幼児退行してるじゃない私!

 

と、というかバンザイってことは、その...胸とか...丸見えだった、ってことよね!?

 

知らない間にはだかを見られ、しかも恥じらいを忘れて子どものように胸をさらけ出していたということになる。

 

あうぅ...。私はなんてはしたないことを...。

 

新たに顕となったその事実は私の許容量を超え、プシューっという音と共に頭からはまたしても白い煙が上がってしまう。

 

「...ミカさんはよく平然としてられますね」

 

頭を抱える私の隣には、何事も無いかのように座っているミカさんがいる。

 

お風呂場に入ってきたということは、ミカさんだって見られているはずなのに。

 

「だから言ってるだろう?彼とはよく一緒にお風呂入ってるって」

 

 

 

 

───ほ、本当だったんだ...。

 

 

「ミカー。コーヒー淹れといてー」

 

「はいはい」

 

脱衣所から聞こえた彼の声に、ミカさんはパタパタとキッチンへと向かって行く。

 

その背中を見ながら、この後出てくるであろう彼にどういう顔で会えばいいのかわからず、私は顔を赤らめることしか出来きなかった。

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