ようこそ第0護衛隊群へ   作:/Null

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計算高い女


彼シャツ 7/?

「ふぅー...」

 

彼がリビングに来るまで、まだ時間はある。

 

落ち着け...落ち着くのよ私。せめて顔を見れるぐらいには気持ち整理しとかないと。

 

あんな醜態を自ら晒したくせに今更

 

やったこと全然覚えてません...。

でも、恥ずかしいです...。

だから忘れてください...。

 

───なんて言えるわけないんだから。

 

 

きっと彼なら笑いながら流してくれるんでしょうけど...そうなったらなったで、私はどういう顔すればいいのよ!

 

はーッ、はーッと肩で息をすると、先程の言葉を忘れ結局落ち着きを失ってしまう私。

 

 

い、いけないいけない。取り敢えず深呼吸よ、深呼吸...。

 

そう思い胸に手を当てて大きく息を吸い込めば、どこかからか私の心が優しい彼のかおりで満たされる。

 

はぁー...。すごい癒される...。彼に抱きしめてもらった、あの時の感じが蘇って...───ってそうじゃないのよ!

 

何1人で盛り上がってんのよ私!側から見れば頭おかしい人よこれ!

 

ほらミカさんの見る目も心なしか温かく...いや、ミカさんにだけはそんな目されたくないわね。

 

 

でも、まぁ...癒されるならコレはこれで「どうしたエリカ?まだ調子悪いんか?」「へ?い、いや...大丈夫...」

 

あ、危なかった。また醜態を晒すところだった。

 

蕩けそうになっていた顔を正して振り向けば、脱衣所から出てきたばかりであろう彼の姿。その身体からは湯気が立っており、まだ外気よりも暖かいことがわかる。

 

全く。出たなら出たって言ってもらわないと。気持ちの整理が出来ないじゃない。

 

それに私の心配よりも、まずは自分の心配をしてほしいわ。そんな格好だと風邪ひいちゃうかもしれないでしょ。ほんともう...。

 

 

 

───ん?...あれ?...私、何かを見落としたような...。

 

 

 

 

もう一度顔を上げれば、私を不思議そうに見つめる彼が居る。その身体は上半身から湯気が───...って、ええぇ!?服着てないんだけど!?

 

ち、違うって言ってたのに...やっぱり半裸族じゃない!

 

「いや、仕方ないだろ。だってほら」

 

そう申し訳なさそうに彼が指差したのは...私?

 

え?何?どういう事?

 

 

 

「───だって、お前が俺の着替え着てんだから」

 

 

 

...

 

...

 

...

 

プシュー...。

 

彼と自分の着ている服に何回か視線を往復させれば、今の状況をようやく理解してしまい、またしても頭の上から白い煙が上がる。

 

そ、そうだった。忘れてたわけじゃないけど、それよりも考えることが多すぎて...。

 

...あ、だから深呼吸した時彼のかおりに包まれたのか...。

 

理由が分かり1人納得してしまう。

 

少し大きめの服。それは私にはやっぱり大きくて、袖口からも手が出てない。でも...その...ずっと着ていたい。そんな安心感のある、優しい感じの...。あ、改めていうと恥ずかしいわね...。

 

そう恥ずかしげに少し視線をずらせば、ミカさんがニヤニヤとした表情と何かを考えるそぶりを交互にしていた。

 

なんだか嫌な予感しかない...。

 

「ははっ。まぁ違う服取りに行ってくるから。今日はそれ使いな」

 

ぽんぽんと私の頭に手を置いた彼は、そのまま替えの服が置いてあるのだろう別の部屋へと入っていった。

 

あうぅ...。わ、私...貞操観念の低い女って思われてないかな。

 

さっきは彼の膝に乗りっぱなしだったし。今回は彼の着替え取っちゃったし...考えるほど心配になっちゃうんだけど。

 

「ふふっ。そんなことないと思うよ?けど...そこまで計算してるとは、エリカも中々の策士のようだね」

 

「ち、違います!そういう意味でやったんじゃ...」

 

「隠さなくてもいいんだよ?きみの気持ちも、彼には十分伝わっているさ」

 

うううっ...。ミカさん、分かって弄ってきてるよこれ。

 

嫌な予感はしてたけど、いざ言われると恥ずかしくて顔上げれない...。

 

 

 

 

 

「───まぁでも...」

 

「...え?」

 

「でも私なら自分のかおりがついた服を返して、彼に着てもらってたけどね」

 

 

 

...

 

...

 

...

 

 

...へ、変態だー!!!

 

 

 

甘いね?エリカ、と言わんばかりに鼻を鳴らしているミカさんだけど...やってること上級者過ぎますよそれ!

 

「なんだ?あれってそういう意味で返してきてたのか」

 

そして音もなく背後から聞こえた声に驚き振り向けば、またしても彼が立っている。

 

だ・か・ら!もっと分かるように戻って来なさいよ!心臓に悪いでしょ!

 

「ふふっ。いいじゃないか。別に減る物でもないし」

 

「いや、お前のせいでめっちゃ伸びてるんだが。主にTシャツとか」

 

「それは必要経費...というやつかな?」

 

「経費かかってる時点で減ってるんですがそれは..」

 

まぁミカさん、絶対やめる気なさそうではあるけど。

 

「ふふっ。分かってるじゃないか」

 

やっぱり。

 

彼も仕方なさそうな表情を浮かべてるし、そこまで気にしてないんだろうな。

 

───いいなぁミカさん。

 

それなら。私も、今着てる彼の着替え...貰っちゃおうかな?

 

ミカさん流にいうと、私が泊まる上での必要経費...ってやつよね?

 

そう珍しくポジティブに考える私は、早くも半日でミカさんの影響を受けていた。




昨日はノンナの誕生日でした。

おめでとうノンナ!(1日遅いけど許して...)
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