ようこそ第0護衛隊群へ   作:/Null

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やはり全てを知っているミカ


彼シャツの行方 10/?

「んぅー...!」

 

朝日の差し込む中、重い瞼を擦り背筋を伸ばす。

 

隣を見れば彼の姿...はなく、何故か寝息を立てているミカさんの姿が。その手には彼と勘違いしているのであろう、彼の枕が抱き締められている。

 

...あれ?真ん中は彼だったはずなんだけど...。

 

周りを見渡しても姿は見えない。しかし、耳をすませば扉の向こう側から聞き慣れた足音が1つ。

 

「お。ちょうどよかった。今起こそうと思ってたんだ」

 

開いた扉へ視線を移すとエプロンをつけた彼が。

 

なるほど。先に起きて朝ごはん作ってくれてたのね。

 

「おはよう、エリカ」

 

「うん、おはよう───...くすっ。なんだか懐かしいわね。あんたにおはよう、なんて返すのは」

 

「ははっ。確かにそうだな」

 

思い出したのは幼い日の記憶。

 

あの頃は彼も何度か家に泊まりに来てくれた。一緒のベッドで寝た時だってあったし、来てくれた時はお母さんもお父さんも喜んでいたっけ。

 

子供はなんでも無敵っていうか、私もミカさん以上にやんちゃでお風呂だって一緒に───...あっ!

 

「どうした?エリカ」

 

「な、なんでもないっ。なんでもないから!」

 

突然顔を赤らめた私を彼は心配そうに見つめていたが、今はそれどころではない。

 

忘れていた記憶の中にあったもの。それは、彼とお風呂に入っている思い出。

 

強引に手を引いて服を脱がせた彼のはだか姿は今とほとんど変わらない身体つきで、1人用の湯船に私と一緒に...───って!ダメダメ!これ以上考えちゃまた昨日の二の舞でしょ!?

 

「と、というか!ミカさんと隊長の家にはもう行ったって聞いたけどっ!?」

 

焦りながらも強引に話を変えた私は、きっとミカさんが起きてたら弄られてただろう。一体何を想像したのかな?って...。

 

しかし、幸いにもミカさんはまだ夢の中。圧倒的セーフである。

 

「んー...まぁ、行ったというかあれは連行に近かったけど」

 

「な、なら。今度うちにも来なさいよ」

 

過程はどうあれ、2人の家には行ってるのに私の家にだけ来てないのって不公平だと思うの。だからうちにも―「いいぞ?」って決断早っ!普段ならこういう時結構渋るのに。

 

「いや、逆にすまんな。婚約もしたってのに中々行く機会作れなくて。言い訳っぽくなるけど、元々お前のお母さんにも改めて挨拶し直すつもりではあったんだ」

 

「そ、そうだったんだ...」

 

まぁ確かにお母さんからも最近はよく連絡取ってるとは聞いていた。久しぶりに話ができて嬉しい、そして生きていてくれて嬉しいとも。

 

けど心の中ではきっと、彼がまた来てくれるのを待っていたと思う。昔みたいに気軽に...ね?

 

だから思い切って誘ってよかった。

 

今回の話はいい機会だと思うし。お母さんだけじゃなくて、彼にとっても...私にとっても。

 

 

 

「まぁ取り敢えずその話は後からちゃんとするとして、今は顔洗ってこい。そしたら髪も直してやるから。───ミカも...な?」

 

「ふふっ。わかったよ」

 

 

 

「───え?」

 

 

 

その声に釣られて横を見れば、いつ起きたのかミカさんがベッドに腰掛けている。その表情には寝起き特有の眠気は感じられず、むしろもう起きてからある程度時間が経っていそうな雰囲気まである。

 

「朝から中々大胆じゃないか。家にまで誘うなんて」

 

「うぐっ」

 

「けど、お風呂に入った思い出に1人悶えているのはちょっと面白かったかな?」

 

「いや、なんでそこまでわかるんですか...」

 

予想はしていたとはいえ、心の中まで見透かされるのは流石としかいえない。

 

「というか、いつから起きてたんですか」

 

「んー...。なんだか懐かしいわね?からかな」

 

「それほぼ最初からですよね...」

 

それなら起きてるって言ってくれてもいいのに...。

 

そう肩をすくませる私に対して、ミカさんはいつものドヤ顔を───...あれ?してないわね?

 

どうしたんだろう?もっと弄られる覚悟をしてたのに、なんだか当てが外れた気分。

 

「本当はね?この時間になると、彼が私の髪をわしゃわしゃして起こしてくれるんだ。だから寝ているふりして待ってたんだけど...」

 

「私と彼が話していたせいで、その機会が失われたと?」

 

ガクリと肩を落としたミカさんが私の言葉に頷く。

 

...なるほど、朝からブレないわねミカさんは。

 

 

――――――――――――

―――――――――

 

 

あの後結局わしゃわしゃされたミカさん(すごい嬉しそうだった)と一緒に洗面台で顔を洗ってから、今は彼に髪を直してもらっている。

 

昨日してもらったこととはいえ、朝から彼の膝の上に乗れば一瞬で目が覚めた。そもそもまだ2日目なんだから、簡単慣れれるわけないでしょ。

 

...まぁミカさんは終始気持ちよさそうな表情で、また寝かけてたけど。

 

「ほれ、終わったぞ」

 

「うん...ありがとう」

 

ドライヤーの音が止まりポンポンと頭を叩かれれば、今度はちゃんと彼の膝から降りる。

 

流石に同じ轍を踏むわけにはいかないから。

 

「んじゃ後は着替えてきな。必要なら黒森峰の制服の替えもあったと思うし、中着に関してはミカのがいいだろ?」

 

優しくそう言ってくれたのは、きっと私への気遣い。男性用のシャツよりも、ミカさんのやつの方がいいだろ?と。

 

確かに今着てるシャツはブカブカで胸の辺りもちょっときつい。サイズは違うと思うが、ミカさんのシャツの方が幾分もマシだろう。

 

けど、私は首を横に振った。

 

「これでいいの。夕方には寮から荷物纏めてくるし...今日一日だけだから」

 

「ん?そうか?ならいいが」

 

疑問を浮かべる彼を横目に息を大きく吸い込めば、自然と笑みが溢れる。

 

 

 

 

 

───だって、これを着ているとあなたを近くに感じられるから。

 

 

 

 

そんな恥ずかしい理由は言えるわけはなく、ただミカさん分かっているのだろう静かに頷いていた。

 

 

 

 

...まぁそれはそれとして、私は今2人に聞かなければいけないことがある。

 

 

 

「なんで黒森峰の制服持ってるの?」

 

 

 

 

 

「「え?」」

 

 

 

 

 

「さっき言ったわよね。制服の替えあるって。ねぇなんで?」

 

「い、いや。あれはな?ミカが―「エリカ。それは私が個人的に貰ったものなんだ。だからあまり彼を責めないであげてほしい」おい待て、間違ってないけどなんか嫌な予感がする」

 

「じゃあなんでもらったんです?」

 

ミカさんが素直にそう言っている時点で色々と怪しいけど、折角だしと彼の言葉は無視して聞いてみることにした。

 

「ふふっ。それはね?彼がこういうのが好きだからなのさ。他の学校の制服とかを着るといつも喜んでくれるんだ」

 

「間違ってないけど言い方!」

 

「そうなの?」

 

「否定はできんな!」

 

いや開き直り早すぎでしょ。

 

まぁ確かにココスの服着た時もそんなこと言ってたし、本当に好きなんだろう。

 

全く、男ってほんともう...。

 

「けど、きみも着てみたいんじゃないかい?ほら、大洗の制服とかもあるよ?」

 

うぐっ...。

 

確かに前着た大洗の制服は結構着心地よかったし、セーラー服着るのって私からしたら新鮮で楽しかった。

 

だからそう言われるともう一度着てみたい気持ちはある。

 

「お、エリカも着てくれるのか?」

 

「ま、まぁあんたがどうしてもって言うなら考えてあげるけど」

 

「じゃあどうしても」

 

いや即答!?どんだけ好きなのよあんた...ってそんな期待の眼差し向けないで!逆に着にくくなるから!

 

 

そう叫びながらも心の中では着る気満々の私なのであった。




アーマードコアの新作絶対買う勢
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