ようこそ第0護衛隊群へ   作:/Null

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デジャヴ


彼のかおり 13/?

時刻はちょうどお昼。

 

午前中の授業は難なく終わらせて向かうのは食堂。今日はお弁当だかといって、いつもと違う場所で食べるのはちょっと違うかな?って。

 

「ふふっ。今日はご機嫌ですね?エリカさん」

 

「べ、別に?普段と変わらないわよ」

 

隣を見ればいつものように小梅がいる。

 

あの大学選抜戦が終わってからよく軽口を叩くようになったというか、昔に戻ったというか...ほんと、変わったわよね。

 

「エリカさんには負けますよ」

 

そう即答されるぐらいには仲も戻った。なんか釈然としないけど。

 

「そんなことよりも、エリカさんの理由...それですよね?」

 

「へ!?な、何でわかるのよ!」

 

「だっていつもは持ってないじゃないですか」

 

「うぐっ」

 

小さな手提げ袋を指摘されて言葉が詰まる私に対して、小梅は少し考えるそぶりをし始める。

 

「この時間にその大きさの手提げ袋。うーん...もしかして噂のお兄さんの手作り弁当だったりとか」

 

「うぐぐっ」

 

す、鋭い。

 

普段はほわわんとしてるのに、こういう時はさながら名探偵というか恋に親しい女子高生というか。

 

まぁ別にいいんだけど、裏表のないその笑顔を向けられると正直どう返していいのか分からなくなる。

 

 

「ん?何を話し込んでいるんだ?」

 

「...あっ!隊長!」

 

しかし知らないうちに食堂は目の前だったらしく、待っていてくれたのであろう隊長の声でホッと一息。

 

よかったこれではぐらかせそうね。

 

そう一人胸を撫で下ろしたのだが、隣の小梅は動くことなく何かに釘付けとなっている。不思議に思った私がその視線を辿れば隊長も持っている手提げ袋。

 

...あっ!

 

「西住隊長もお弁当ですか?」

 

「あぁ。...なんだエリカ、言ってなかったのか?」

 

「え?えぇ...まぁ...」

 

まずい...。はぐらかせそうとか言っておきながら、即落ち2コマみたいな状況なんだけど。

 

今日に限って隣にいる隊長が堂々と自供する犯人みたいに感じる...。

 

「これはな?兄さんの手作り弁当なんだ。私の為にと作ってくれたらしい」

 

「わぁ...!ということはエリカさんのも?」

 

「もちろんそうだ」

 

そう言って、誇らしげに手提げ袋を小梅に見せている隊長。即落ち2コマの完成である。

 

「じゃあ、今日エリカさんが機嫌が良かったのはやっぱり?」

 

「ふむ。それに関してはよく知らないが、きっと兄さんのお弁当があったからだろうな」

 

しかも無自覚な追い討ちまで完璧なのである。流石西住流としか言わざるを得ない。

 

「ふふっ。よかったですね!エリカさん」

 

「ま、まぁね...」

 

目をキラキラとさせる小梅は、恋に恋する女子高生の姿そのもの。屈託のないその笑みは、私から言い訳という選択肢を奪っていく。

 

...まぁ実際事実なので言い訳のしようもないのだが。

 

 

 

というかお弁当が理由で機嫌良いって、子供っぽくて何かめちゃくちゃ恥ずかしいんだけど。もし他の人たちに知られたら、新隊長としての威厳ゼロ案件よねこれ。

 

うん...。ちゃんと口封じしとこう。

 

だがこの時間帯の食堂前で堂々とやり取りしてる時点で、周囲から好奇の目で見られているのは当然であり、噂が広まるのは時間の問題であることに私は気が付かなかったのである。

 

 

「むっ。エリカ」

 

「え?な、なんですか?」

 

1人無駄な決意をしている中、隣を見れば何故か訝しげな表情をしている隊長が。

 

「朝から気になっていたのだがエリカ。お前の服...」

 

...服?服...。あぁ、なるほど。

 

確かに今日はミカさんから借りた制服を着てるから。少しぶかぶかしているその違和感に、隊長も気になったのかも。

 

「隊長。これはですね?ミカさんから───「兄さんのシャツ着てるだろ」ってそっち!?」

 

私の言葉にキョトンとする隊長は“それ以外に何がある?”と暗に言っているような───いや、普通気が付いたとしても制服の方だと思うんですけど。なんで中着の方がわかるんですか。

 

「ふっ。当然だ。微かだが兄さんのかおりがする」

 

「いや、そんなの普通はわかりませんよ」

 

「ちなみにだが、私も今着てるんだ」

 

「へ?なんでですか?」

 

そもそもなんで隊長があいつのシャツを持ってるのかはこの際置いとくとして、問題は私みたいに着替えがないという状況でもないはずなのに何故着ているのか。

 

「私のかおりが付いた服を兄さんに着てもらうためだ」

 

あーなるほど。そういえばミカさんも昨日そんなこと言ってて───ん?

 

 

「...」

 

「...」

 

「...」

 

 

へ、変態だー!!

 

 

隊長!それやってることミカさんと同じですよ!

 

ほんと似たもの同士というか、島田流も西住流も長女どうなってるのよ!?

 

 

「あ、あはは...」

 

 

ほら、流石の小梅も困惑してますよ。

 

まぁ、気持ちはわかるわ。尊敬する隊長が、何故か奇怪な行為してたらそりゃそうなるわ...って違うから!私は隊長のような考えはないから!そんな目で見るのはやめなさい!

 

 

「ふっ。冗談だ」

 

 

いや、絶対嘘ですよね!袖口から見たことある男性用の服が見えてますけど!

 

しかもちょっと手首きゅきゅっとして、自分のかおり残そうとしてるの丸わかりですよ!

 

少しは隠す気くらい持って...ってだから小梅も!同じ目で見るんじゃないわよ!私は違うって言ってるでしょー!!!

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