あれから場所を移して今は食堂。
私のツッコミもひと段落...はしてないが、丸テーブルを囲み私たち3人はいただきますと手を合わせている。
私と隊長の目の前にはもちろん彼が作ったお弁当。小梅はというと自分で作ったお弁当を広げている。
自分でお弁当作るなんて、相変わらず女子力高いわよね小梅は。
「ん。流石兄さんの手料理だな、味付けがしっかりしてる。特にこの卵焼き...私好みの少し濃いめ味付けだ」
私と隊長のお弁当は同じ構成。卵焼きとアスパラベーコンに色彩ある野菜、そして昨日の夕飯で食べたハンバーグ。
「エリカのはどうだ?」
「え?あ、あぁ。私のはちょっと甘めです。本当は私も濃いめのがいいんですけど、好きな味付け伝え忘れてて...」
それを伝えたのはもう朝ご飯を食べてる時だったから。その時にはすでにお弁当も作ってしまっていたのだろう。
けど、こうして隊長と私で味付けをちゃんと変えて作ってくれていた事実を知れたのは素直に嬉しい。
「ふむ...。なら、ちょっと交換しないか?私もそっちのも食べてみたいしな」
「い、いいんですか?」
「もちろんだ」
「じゃあ...ふふっ。お願いします」
少し考えるそぶりを見せた後、きっと気を利かせてくれたのであろう隊長の一言に私も自然と笑みが溢れてしまう。
今回はその好意に甘えさせてもらうことにしようかな。
「...」
「どうしたの小梅?」
見れば隣にいる小梅の手は止まっており、物欲しそうな表情で私たちのお弁当に釘付けといったところ。
「...小梅も食べる?」
「え?いいんですか?」
「別にいいわよ。今週はずっとお弁当の予定だし」
「うむ、そうだな。私たちは兄さんに頼めばいつでも食べれるからな」
いや、相変わらずの無自覚惚気!流石隊長としか言いようがないんだけど!
「あはは...。じゃあ...お言葉に甘えさせてもらいます」
そう言って苦笑いを浮かべる小梅だが、またしても隊長と私を同じ目で見たような気もしたけどきっと気のせいだろう。
「どれがいい?ちなみにハンバーグはミカさんの手作りよ?昨日の夕飯だったけど味は保証するわ」
「そうなんですね。なら、それを」
「ん。ほら、どうぞ?」
小梅の方へとお弁当を寄せれば、ハンバーグを器用に半分に切って口へと運ぶ。
「...あ、美味しい」
「でしょ?ミカさん流石よね。あ、でもこれ昨日鉄板で出てきたのよ?もうびっくりしたわ」
人は見かけによらないというけど、ミカさんは特にそうよね。センスで生きてるような人だと思ってたけど、実際は結構な努力家だし。
きっと料理だってすごい努力したんだろうなぁ。
...まぁ誰の為の努力かは分かりきってることなんだけど。
「───ん?...あれ?卵焼きとかはいいの?」
ハンバーグを食べ終えたというのに、何故か小梅の箸は止まったまま。他のも食べてもいいのにとそう聞いてみたが、何故か首を横に振る。
「食べてみたいですけど、そっちはエリカさんたちが食べた方がいいかなって」
「? なんで?」
「ふふっ。だって私が食べちゃうと、お兄さんの愛情で胃もたれしそうですから」
「んなッ!」
ちょ、ちょっと!何言ってるのよこの子は!
隊長も!隣で頷いてないでなんとか言ってください!
「赤星。兄さんの愛情は胃もたれでは済まんぞ?口に入れた瞬間
いや、真面目な顔して何言ってるんですか!
もっと他に言うことが───...ってそうだった!この人ミカさんと同じ思考なんだった!
恥ずかしがるということを知らない隊長は、小梅の一言に動じることなく、誇らしげな表情で卵焼きを頬張っている。
その光景に私は相手が悪かったと肩をすくめ、小梅はまたしても苦笑いを浮かべるのだった。
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絶賛の昼食も終わり寮に戻って荷物をまとめた私は、彼の待つヘリポートへと向かう。
ちなみにシャツの着替えは少な目である。
ま、まぁ今持ってた着替えが少なかっただけで、そこに深い意味はないのよ?...ほ、ほんとよ本当!
「エリカ。見えてきたぞ」
ジープが進むにつれて、待機しているヘリが段々と大きくなってくる。そして、その元にいたのはもちろん彼。
「おーう、時間通りだな。...ってまほもいるじゃねぇか」
「なんだ?いたら不味かったか?」
「そんなことないが、俺たちすぐ出るけど...いいのか?」
申し訳なさそうに頭をかく彼に、ジープから降りた隊長は軽い足取りで彼の目の前に移動した。
「ふっ、そんなことは分かってるさ。ただ、少しの時間でも兄さんに会いたかったんだ。...ダメだったか?」
「いやダメなわけないだろ。...ありがとな、まほ」
「ああ。...ふふっ」
そのままもれなく彼の抱擁を受ける隊長。それを見て私も慌てて彼の元へと向かう。
「おう、エリカ。準備出来てるか?」
「うん...」
「弁当うまかったか?」
「うん...」
「...ほら、お前もくるか?」
「うん...えへへ」
私も抱きしめてほしい。そんな私の気持ちは伝えるまでもなく、見上げれば優しく頭を撫でてくれる。
そんな彼に、私の心はいつものごとくお見通しだった。