チュンチュンと小鳥が囀り、カーテンの隙間から差し込んだ朝日が私の顔を明るく照らし始める。
目を擦りながら身体を起こすが、隣には昨日同様に彼の姿はない。代わりに寝ているのは抱きつく相手を失ったミカさんである。
昨日起きた時は彼の枕を代わりに抱いていたが、どうやら今日は彼の枕に顔を埋めて器用に呼吸している。
「というか、もう起きてますよね?ミカさん」
「ふふっ、気付かれたか。なら仕方ないね」
枕から少し浮かせて見えたのは眠気を感じさせない恍惚とした表情。朝一から何をしているのかという言葉はこの際言わないことにする。
「大方あいつのわしゃわしゃ待ちでしょ?昨日も同じでしたし流石に分かりますよ」
ここにいない彼はきっとまた朝食を作っているのであろう。そして、時間になればちゃんと私たちを起こしに来てくれる。ミカさん大好きのあれで。
だからそれまでは布団の中で待つつもりなんだろうけど...枕に埋めながらあまり息を荒げないでもらえます?すごい変態っぽいんですが。
「あっ。そういえば隊長は...」
失礼ながら思い出したもう1人の(こう言うことに関しては)問題児の存在に、ミカさんより奥側へと目を向ければ、そこにはまだ寝息を立ている隊長の姿が。
...よかった。流石に朝から2人分のツッコミは疲れるからね。
そう1人ホッとする私を他所に、寝ているはずの隊長は何かを強く抱きしめている。
顔を擦り付けているそれは、どこか既視感のある、ミカさんが顔を埋めているものと同じような...
「...いや、何であいつの枕が二つあるんですか」
何故かは分からないが、隊長が抱きしめているのは間違いなくミカさんのと同じ彼の枕。種類や色だけが同じというわけではない。絶対彼が日常的に使っているもの。
その証拠に、隊長はミカさんと同じく息を荒げている。
...絶対起きてますよねそれ。
「ふっ。夜こっそりと変えておいたんだ。ミカだけに独り占めさせるわけにはいかなかったからな」
やっぱり起きてた!というか枕一つで張り合わないでもらえます!?それにその枕だってあいつのなんだから、勝手に持ってっちゃダメなやつじゃ?
「なら、このもう一つの枕...エリカはいらないよね?ノンナにでもあげようかな?」
「そ、それは...」
少し意気を落として、それでいてニヤけながらミカさんが出してきたのは3つ目の枕。
口止め料ならぬ口止め枕である。自分でも何を言っているのか分からないが、私(たち)には効果抜群なのである。
「ふふっ。この枕にはね?私たちにとって、癒し成分の全てが詰まっているのさ。でも、使わない人にそれは分からないよね?」
「エリカ。西住流は前に進むのみだぞ」
「うぐぐっ...」
あれだけ否定的な事を言っておきながら、2人の恍惚な表情を見ていると欲しくなってしまう私がいる。それが悪魔の囁きだと知っていても。
「じゃ、じゃあ私も...「もう飯の時間だぞ」うぇ!?」
そこにタイミング悪く?入ってくる彼。狼狽えていた私には昨日は聞こえていた足音が今日は聞こえなかったのだ。
「き、聞いてなかったわよね?」
「んー?何のことかは分からんけど...」
ホッ...
「まぁ程々にしてくれよー」
「はいはい...って、やっぱり全部お見通しじゃない!」
そうして、寮に持ってかえる荷物が増えたのだった。
エリカ誕生日おめでとう!(1日遅い)