ようこそ第0護衛隊群へ   作:/Null

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ネオジウム磁石みたい


変わらない幼心達 32/?

 

「ということで1日お世話になるね?お兄ちゃん」

 

「おう。2人ともゆっくりしていきな」

 

ことの詳細を聞いた彼はそう言ってから改めて2人を迎え入れた。

 

聞く限りだと今回の件、どうやらこの前(私は詳しく知らないが)とは違い家元の許可は取っているらしく、別に家出とかそういうのではないらしい。

 

まぁ有名流派の令嬢が家出した...なんてことになると一大事だから、そこ辺りはしっかりしてくれてて一安心だ。

 

 

ちなみに家元との話し合いの最中、「もし許してくれなかったら、これからはお義母様の家に住む」と言ったらしい。誰の影響を受けたのか分からないが、流石ミカさんの妹である。

 

これには色んな意味で冷や汗をダラダラと流している家元が目に浮かんでしまう。あそこは家元2人にとって彼の実家とは治外法権区みたいなものだから。

 

 

それと、これはあくまで島田流の家元に関してのこと。みほの場合は既に家出しているからまぁ問題ないらしい。

 

それはそれで、なんだか複雑な気持ちであるが、その件に関しても事情を知ったお義母さんが西住流家元にこんこんと説教したようで、あのしほさんも終始涙目だったらしい。

 

 

「ほんと、お義母さんって何者なのよ」

 

私たちにとっていつも優しいお義母さんだが、何故こんなにも家元2人から恐れられているのか。理由を聞いたことがないとはいえ、正直不思議だ。

 

 

「んー。よく知らんけど、昔な?高校戦車道でいきってた千代さんとしほさんが大学選抜チームに勝負仕掛けたらしくてな?」

 

「なんか、いきなりポケモンみたいな展開ね...」

 

「んで、そん時隊長してた母さんと父さんがフルボッコにして返り討ちにしたらしい」

 

「ひぇ」

 

「地上は母さんの戦車部隊。空は父さんの戦闘機部隊。もう地獄絵図だったらしいわ。まぁ社会人になってからは、2人ともすぐ戦車道引退して籍入れたから、世間的には全然有名じゃないけど、事情を知ってる当時の連中からは恐れられてるんだってさ」

 

「お母様、おば様には頭上がらない」

 

「あはは...」

 

いや全然知らなかったんだけど。よくある普通の仲睦まじい夫婦だと思ってたんだけど。

 

「でもお前がガキの頃、母さんが言ってただろ?戦車道やってたって」

 

「それだけじゃわかんないわよ...」

 

あんなちっちゃい頃にどう察しろと?お義母さんもしかして有名流派潰したことある?なんて聞くわけないでしょ。

 

それにあの時は...

 

「なんか言ったか?」

 

「なっ、なんでもないわよ」

 

「ん?そうか」

 

 

───あんたの話に夢中だったんだし。

 

 

ボソッと言った最後の一言は運良く彼には聞こえておらず、ホッと胸を撫で下ろす。しかし、まだ彼に抱きついているミカさんから送られてくる視線は生暖かいものであった。

 

聞こえても何も言わなかったことに感謝するべきなのだろうか。

 

まぁそれよりも

「次会う時ガチガチに緊張しそう」

 

「お前らが顔出してくれるだけで喜ぶから大丈夫だよ」

 

 

――――――――――――

―――――――――

 

 

「それにしても驚いたなぁ。いつもならクール?なミカさんが、家の中だとこんな風になってるなんて」

 

「いや、家の中だけじゃないけどな...。というか、みほだって昔はそうだっただろ。お兄ちゃーんって、まほに負けじと抱きついてきてたし」

 

「む、昔の話だからね」

 

「昔ねぇ...。愛里寿は今も昔も変わらないもんなー?」

 

「みほさん。我慢するのは損」

 

顔を赤くするみほとは対照的に、彼に撫でられて気持ちよさそうに目を細める妹君。

 

これが島田流の血筋なのだろうか、惜しげもなく甘えるその姿はミカさん譲りのようだ。

 

比べて、みほは恥ずかしそうにもじもじと───って血筋は関係なかったわね。

 

彼に抱きつく某隊長が頭にチラつき、自分の考えは即座に否定することとなる。

 

正直なところ、ここではみほの反応が1番正しくて、残念ながらおかしくなってるのはこの状況に慣れてしまっている私の方なのだろう。

 

その事実にはぁ...と一つため息を吐くも、私の足は自然と彼の元へと向かう。

 

「はわわ...」

 

「はわわ、じゃないのよ!別にいいでしょ!」

 

「正直者が得をする」

 

「う、うるさい」

 

この2人。やっぱりやりづらい

 

義妹ズによる冷熱な反応に振り回される私。それは、ここ数日で自分の感性が更にズレてしまったことを改めて実感させられることにもなった。

 

 

だが、それでも。もう何度目になるか分からないけど、この一言だけは言わせて欲しい。

 

 

「───ミカさん。いい加減離れてください」

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