ようこそ第0護衛隊群へ   作:/Null

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見せつけていくスタイル


朝から気は抜けない 40/?

焦げたトーストは、結局彼が食べることになった。

 

元を正せば俺が原因だから、と彼は笑いながら目配せをし、既に理由を知っているミカさんも優しい目つきでそれに返す。まだ状況を把握してなかった義妹ズ2人だけは疑問符が浮かんでいる。

 

「まぁ、焦げるだけ愛情たっぷりってところかな?」

 

「そ、そういうわけじゃ...フン‼︎」

「イテェ!なんで俺...」

 

恥じらいを隠すための渾身の肘打ちは、理不尽にも彼の鳩尾にクリーンヒット。

 

成果として、目撃者を一人黙らせる事に成功。しかし、ゲノム兵(義妹ズ)の2人はミカさんの一言で色々察したのか頭の上のマークは感嘆符へと変わってしまっていた。

 

「すごい...エリカさん」

「...流石。お姉様以外でお兄様を落としただけのことはある」

 

はわわと口を両手で抑えるみほと、キラキラとした眼差しでとこか期待するようにこちらを見る愛里寿。

 

朝からこんなモンスターを2人も作り出してしまうなんて、ほんとミカさんはいつも一言多い。

 

「お兄様。エリカさんのトースト、どう?」

 

「ん?まぁ中まで焦げてる訳じゃないし、バターも効いてて普通に美味いぞ?」

 

「外はちょうどいいお焦げ(愛情)で中はおいしい(蕩けるような)ってこと?」

 

「...フン‼︎」

「だからなんで俺!」

 

これは天然で言っているのかマジで言っているのか。...いや、この子もツッコミ側に見えて本当は天然だから、前者の可能性の方が高い。

 

 

ただ特筆すべきなのは───

 

 

「ふふっ。やっぱり、エリカさんのお兄ちゃんLOVEは情熱的だね」

 

 

───ここには、もっとド天然の子がいるということだ。

 

 

相変わらずパァっとした全くの嫌気ない笑顔をして、ただ思ったことをそのまま口にしているのだが、その内容が結構核心を突いているのが尚更タチが悪い。

 

隣で痛がる彼には申し訳ないが、これには私の3度目の肘打ちも仕方ないといえよう。

 

「ちなみにその上をいくのが私さ。胃袋も掴んでいるし、今朝2人がやってもらったわしゃわしゃだって、私が初めてやってもらったんだよ?」

 

「「おぉー...」」

 

「お姉様。流石」

「お兄ちゃんもモテモテだね」

 

「んー?まぁ、そうなるんかねぇ?」

 

キラキラとする2人に、彼は少し照れくさそうに頬をかいてから、左右に座っていた私とミカさんを抱き寄せるように手を回す。

 

珍しいその表情とアプローチに、私も、そして鼻を高くしていたミカさんも小さく驚きの声をあげるが、それは目の前から上がる感嘆の声で掻き消えた。

 

けどミカさんの立ち直りは早く、返答として嬉しそうに彼の頬へと唇を落とした。

 

「エリカはしてくれないのか?」

 

「んな!?あ、あんたねぇ...フン‼︎」

「これは俺が悪い!」

 

そして4度目。意地悪そうに表情を変えてニヤニヤしていた彼には当然の報いである。

 

ただ...まぁ。何というか...。私も嬉しくない訳じゃないし?3度目までは確かに私にも落ち度は合った。それに、ミカさんはやって私はやらないというのも、なんだかおかしな話かなと。

 

だからこれは仕方なく、仕方なーくなのだ。...と、目の前の2人に目線で言い訳を送ったのだが、残念ながらそれは届かなかったようで、彼の頬に唇を付けた途端に、2人からはまたしても感嘆の声を上げられてしまった。

 

 

「...見せつける為にわざわざ私たちの方を向くなんて。お姉様は当たり前として、エリカさんも中々」

「なんだかんだでエリカさんって独占欲高いよね」

 

「いや、そういう意味じゃないから!というか、あんたたちの中で私ってどういう人物像になってるのよ!」

 

「あっ、そういえば聞きたかったんだけど。エリカさんはお兄ちゃんのどこに惹かれたの?」

 

「このタイミングで!?べべべべ別にどこだっていいでしょ!?」

 

なんだろう。すごい弄ばれてる気がする。天然に見えて本当は全て手の上みたいな。

 

けど、隣でニヤニヤするあんた。安心なさい。あんたには、あとからもう一回喰らわせてやるから。

 

そう思い隣を睨むと、彼は一度笑ったあとヒラヒラと手を振って降参の意思を示した。

 

───全く。分かってやってるでしょ。

 

「と・も・か・く!ほら。もう冷めちゃうから。あんたたちも早く食べなさい」

 

「「はーい」」

 

「やけに素直!」

 

まぁ結局の所。この2人もどうせ、身近な姉と彼を見て、私の理由もある程度分かっているのであろう。こうして、形だけの質問をしてきた時点で明白だ。

 

けどやっぱり。はぁ...。この2人には勝てないわね。

 

ため息混じりにジト目を向けるたのだが、美味しそうに食べる2人を見て、私もついつい表情が緩んでしまう。

 

 

 

 

───そういえば、3人はもう髪を直してもらってるんだっけ。ドライヤーの音が聞こえた時、私はちょうどフライパンから手が離せなかったから。

 

後ろで纏めた、まだ直してもらっていない髪をいじりながら、ふとそう思い出す。

 

 

けど、大丈夫。

 

 

だって───

 

 

「エリカ。飯終わったら髪直してやるからな」

 

 

───ほら。彼は覚えてくれているから。

 

 

ぽんぽんと撫でられる感触に目を細め、こういうところ”も”と私は2人には聞こえないように小さな声で呟く。

 

そして、ちょうどよく窓から吹き込んだ心地よい朝風が、食卓から音を運び去ってしまう。

 

 

ふふん。これこそ計算通りだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まぁその風は私には届いているんだけどね」

「俺にもな」

「わわわ忘れなさい!!!」

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