ようこそ第0護衛隊群へ   作:/Null

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でもみんな好きなんでしょう?


ポンコツ?親バカ? 44/?

ただいまと玄関を開けた先に、いつもは待っているはずのミカさんの姿はなく、代わりにあったのは見知らぬ靴が二つと、リビングから聞こえてくる喧騒の声。

 

その声に釣られてリビングの扉を開けると、そこには見知った3人の姿が。

 

「「遅い!!」」

 

「理不尽すぎぃ...」

 

2人揃ってこちらに首を向けて、息ぴったりにそう言い放ったのは、テーブル越しにいがみ合っていた、西住家元と島田流家元の両名。

 

そしてミカさんは色々諦めているのか、一つ席を開けて我関せずとコーヒーを飲んでいる。

 

「おいミカ...何があった」

 

「風がどこから吹いてくるのかなんて、誰にも予想できないってことさ」

 

「んーなるほど。いきなり来たってことね...」

 

「それよりもちよ吉。何であなたがいるのかしら?」

 

「何でって、ここはうちの長女の家よ?私が来ても何もおかしくないでしょ。しぽりんこそ、なんでいるわけ?」

 

「うちの長女の家なんだから当然のこと。来るも来ないも私の自由よ」

 

「うちの!」

「うちのよ!」

 

「いやここ俺の家だし、あんたらの出入りは自由じゃないです」

 

 

――――――――――――

―――――――――

 

 

「で。何しに来たんですか」

 

「「...」」

 

「いや...。そんな2人揃って“分かるやろ”みたいな顔されても」

 

無言の圧力でこちらを向く家元の2人に、手元のコーヒー(ミカさんが出してくれた)を口にし、彼は肩をすくめてそうため息をつく。タジタジの私と違って慣れているのか、この重い空気をあまり気にするそぶりもない。

 

「あなた。本気で分からないと?」

 

「まぁ...ある程度は。大方ミカとまほとの近況を見に来た...「「...」」───とみせかけて、実は愛里寿とみほが自分達には構ってくれないのに、昨日ここに来てた事への嫉妬でしょう?」

「「!!??」」

 

なるほど図星のようね。だから呆れてたのか...。

 

「くっ...。私もボコのパジャマ着れば...」

「大洗の制服を着て潜入調査するしか...」

 

「いやそういうとこやぞ。少しは歳考えろ」

 

片や、構いすぎて娘に迷惑がられる島田流家元。

 

片や、家出されてから(関係は少しずつ改善しているものの)構う機会を無くしてしまった西住家元。

 

どうやっても適度な距離感を見出せない家元の2人を前に、愛里寿とみほには同情を禁じ得ない。

 

「最近は愛里寿も紅茶じゃなくて苦いの我慢してコーヒーばっかり...。ほんと、誰に似たのかしら」

「紅茶よりもコーヒーの方が美味しいってことに気が付いたんですよ。あと似たのは俺じゃなくてミカですね」

 

 

「聞いた話だと、みほも学校で玉露よりもコーヒーを飲んでるとか」

「学校に玉露があるわけないでしょ。というかみほ大洗なのになんで知ってるんですか...」

 

そう言っている2人ではあるが、手元にはちゃっかりとミカさんに淹れてもらったコーヒーを持っている。

 

結局この2人も、この美味しいコーヒーの前では無力という事だろう。そう思いながら、私も自身のマグカップに口をつける。

 

あぁ...。やっぱり美味しい。

 

 

「ところで...黒森峰の新隊長さん?」

 

「へ?...は、はい!」

 

「ふふっ。そんなに畏まらなくてもいいわよ?これからは親戚みたいなものなんですから」

 

「あ、ありがとうございます?」

 

くすくすと口元を緩ませ楽しそうにする島田流家元は、何故か私を気にしてくれていて、驚いた私の背筋も少しだけ丸くなる。

 

「それにしても、見ないうちに大きくなったわね。ラーズグリーズ隊初めてのファンだったあなたが」

 

「覚えていてくれてたんですか?」

 

「当然よ。あんなに熱心に観に来ていたのは、あなたぐらいしかいなかったもの」

 

“え?そんなの聞いてないけど?”という表情をしている西住家元はこの際置いといて、どうやら当時の島田流の内で私は名物ファン扱いだったようだ。

 

まぁ、あれだけ小さい子供が毎回格納庫に入り浸っていたら確かに目立つし、そのおかげで誰に話しかけても顔パスだったのは、今考えると嬉しい事ではあったが。

 

「けど、この子たちが消えた途端来なくなったから、私たち凄い心配したのよ?それに、ようやく見つけたと思ったら西住流なんかに入っちゃって」

 

「うっ...。その節はご迷惑を...」

 

「ふふっ。いいのよ。私は、あなたが元気でやっていたのならそれでいいの。だから、これからは何かあったらキチンと連絡しなさい?」

 

「は、はいっ...!ありがとうございます!」

 

私は、恵まれていると思う。

 

他の流派、それも西住流にいる私をここまで気にしてくれている。浅くは無い関係だったとはいえ、ここまで気にかけてくれている。

 

目の前の優しい微笑みに、私は込み上がる熱いものを感じながらも、なんとかそう言葉を返す。

 

過去も今も、私は人に恵まれていたのだと。

 

それもこれも、きっと彼の───

 

 

 

「あぁ。それと、一ついいかしら?」

 

「え?」

 

 

 

「そこに置いてあるボコのパジャマを譲ってほしいのだけれど」

 

「」

 

真面目な顔して何言ってるのか、さっきまでの良い雰囲気を返してほしい。

 

「それはこいつが昔使っていたやつなので...」

 

 

「私からもいいかしら?」

 

「はい?」

 

「大洗の制服も持っていると聞いたのだけど?」

 

いや、娘の高校の制服ですよね!?何考えてるんですか西住家元!?

 

「ま、まぁ...あれなら」

 

「ちなみに彼はコスプレ好きだから、私は今でもよく使ってるけどね」

 

「おいミカやめろ!?」

 

「なら...あげれません!」




新年明けましておめでとうございます。
今年も頑張って隔週投稿続けていきたいと思っておりますので、皆さんよろしくお願いします。
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