ようこそ第0護衛隊群へ   作:/Null

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やはりポンコツ


お義母さん 46/?

「「それでー...。おば様は何しにここへ...?」」

 

「あらぁ?うちの子の家に来るのに何か理由があるのかしらぁ?」

 

「「いえ、いりません!!」」

 

「そう!ここ俺のいe「あっ。でも今だとミカちゃんたちもいるから、うちの子だけの家じゃなかったわね?」...おいミカ」

 

「ふふっ」

 

お義母さんの向けた目配せに、そうしてミカさんは嬉しそうに頬を緩ませた。

 

したり顔から訝しげな表情に変わった彼も、籍はまだ入れてないとはいえ絶賛同居中だし、いい加減自身が独り身でないことを自覚してほしい。

 

だってもうここは、“私たち”の家なんだから。

 

「って、エリちゃんも言ってるわよ?」

 

「それはそれ、これはこれなの。腹は括ってるけど、お前たちが大人になるまではここは俺の城なの」

 

「砂上の楼閣だけどね」

 

「うるせぇ」

 

「ふふっ。ちなみに、私の住民票は既に移してあるよ?」

 

「お前それはしってるけど、宅配の人に何か吹き込んでない?なんかやけに温かい目で見られるし、島田の苗字じゃないお前の荷物が届くんだが」

 

「さぁ?きっと風が教えてくれたんじゃないかな。きみとの熱い関係をね?」

 

「いや絶対お前の仕業だろそれ」

 

どうやら砂上の楼閣(彼の城)にはトロイの木馬(ミカさんの住民票)まで運び込まれていたようだ。落ちる寸前というか、もう落ちてるわよねこの城。

 

まぁ元々分かっていたことだけど、彼に独り身を満喫できる猶予期間なんてものは無いのだ。

 

ちらりと見える彼の首元に、当分は取れないであろう4つの首輪が付いているのが見えて、私は苦笑いをしつつそう思う。

 

あとは首輪が消えるまでの間、配達員さんに見られて更なる思い違いが生まれないように頑張ることね。

 

 

――――――――――――

―――――――――

 

 

結局お義母さんが来た理由は聞きそびれて、けど今日いる人数も多い為時間が勿体無いと夕食の準備に取り掛かる。

 

台所に立つのは私とミカさんとお義母さんの3人。

 

机には、またわいわいと戯れあい始めた戦力外の両家元。たまにお義母さんが半目にした視線を向けるとピタッと止まるのがまた面白い。

 

そして彼はというと、両家元に巻き込まれないようにとリビングのソファーでくつろいでいる。

 

今日の夕食、本当は彼が作ると言っていたが、お義母さんから親子水入らずで作ると提案もあり彼もお役御免となったのだ。まぁ“親子”水入らず、といいつつ何故か実子である彼が入っていないのはこの際目を逸らすとして。

 

台所ではお義母さんを真ん中に、その両隣を私とミカさんが埋めている。トントントンと軽快なリズムを出しながら、目指すは彼の意志を継いだハンバーグ。それも、懐かしいお義母さん味のだ。

 

「うふふ。それにしても、みんな情熱的ねぇ。仲も良さそうで安心したわぁ」

 

「「...?」」

 

「あの1番跡が残ってるのはエリちゃんでしょ?」

 

「「!!」はい...!...えへへ」

 

「ミカちゃんは、きっと1番最初ね?」

 

「むふぅー。流石お義母さん。よく分かりましたね」

 

「当然よ?義娘のことなら、尚更ね?」

 

彼の首元にある4つの首輪。それに気付いていたお義母さんは、その後隊長とノンナさんの事も当ててみせた。

 

義娘の事だから、の一言だけで済ませれることなのかは分からないが、どうやら私たちの行動は全てお見通しのようだ。

 

「そういえば結局、お義母さんはどうして来たんですか?」

 

「んー?エリちゃんや他の子たちも来てるってミカちゃんから聞いてたから、折角ならってね?まぁ今回はタイミングが悪くて、居たのは千代ちゃんとしほちゃんだったけど」

 

「あ、あはは...」

 

残念そうにそう言ったお義母さんだが、語尾が少し下がっていたことで両家元もプルプルと体を震わせている。やっぱり面白い。

 

「あの子のこと、いつもありがとね?」

 

「え?い、いえ私なんてミカさんに比べたらまだまだ...」

 

「エリちゃん。ミカちゃんだけじゃないの。エリちゃんも、まほちゃんもノンナちゃんも居たから、今のあの子があるのよ?だから自信を持って?そっちの方がエリちゃんらしいわ」

 

「は、はい!」

 

頭の上にぽんと置かれた温かい手。今も昔も変わらないその温もりに、弱気になっていた自分も吹き飛んでしまう。

 

思えばこうして弱気になった私を励ましてくれたっけ。

 

お義母さんの袖を引っ張って泣きじゃくる小さい私を、しゃがんで優しく撫でてくれた懐かしい思い出。きっとあの頃から私の気持ちに気が付いていたのだろう。だからこうして彼のいない間も私を励ましてくれていた。

 

けど、それはミカさんにも同じ。反対側を見ると、同じくして嬉しそうに目を細めるミカさんがいる。

 

お義母さんから見れば、私たちは平等に可愛い義娘。ということみたいだ。

 

「さぁ。2人はあの子のところに行ってあげて?仕上げは、私“たち”に任せなさい?」

 

「「はい!」」「「え゛?」」

 

そんな感慨深い雰囲気も一変。意表を突かれたような、というか突かれた濁点混じりの声を出したのは家元2人。

 

まぁ、料理出来ないのにいきなりお呼びだてされたらそんな声が出るのも仕方なくはある。

 

「あらぁ?愛里寿ちゃんもみほちゃんも、この味付け大好きなんだけどなぁ。きっと家で作れば喜んでくれるはずなのにねぇ」

 

ガタッ!

 

「「おば様!お手伝いします!」」

 

「うふふ。2人とも現金ねぇ」

 

しかしそこは流石お義母さん。2人の扱いを完全に熟知しているのであった。

 

 

――――――――――――

―――――――――

 

 

「3人ともー?ご飯出来たわよー...って、あらあら。ミカちゃんもエリちゃんも、すっかり甘えん坊さんになっちゃって」

 

「むふぅー」「えへへ」

 

料理を終えたお義母さんが見たのは、ソファーに座る彼の腕を抱き、両袖が皺になるくらいぎゅっとする私たち。慣れない料理でへとへとになっている両家元とは違い、満足げに頬を緩ませている。

 

肩に乗せた頭をぐりぐり押しつけると、彼は困ったように身じろぎするが、ミカさんがそれを許さない為立ち上がることはできない。そして、彼越しに反対側でも同じことが行われているのがわかる。

 

なにせ今日はお義母さんからもお墨付きをもらっているのだ。だからいつも以上に、とことん付き合ってもらうわよ?

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