S級ヒーロー 七曜のパチュリー   作:とんこつラーメン

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遂に来たサイタマ&パチュリーVSボロスの決戦。

取り敢えず、少しでも皆さんが楽しめるような戦いに出来るように頑張ります。








最強VS最強

「予言…ですって?」

 

 ボロスの口から語られる、地球へとやって来た理由。

 『予言』という単語を聞き、サイタマとパチュリーは少なからず反応をした。

 

「あらゆる銀河、あらゆる星々を渡り歩き、戦い、奪い、蹂躙し、滅ぼした。文字通り宇宙のあらゆる場所を荒らしまわった俺に対抗しようとする者や刃向おうとする者が全ていなくなり、俺は退屈した日々を送っていた」

 

 なんだか、どこかで聞いたことのあるような話。

 だが、敢えてここは何も言わずにボロスの話を黙って聞くことに。

 

「そんなある日、俺は部下たちを連れて気紛れに、ここから数十光年の彼方にある、とある小さな惑星へと降り立った。別に何かをする訳でもなく、本当に単なる暇潰しだった」

「……で?」

「その惑星で俺は、とある不思議な雰囲気を持つ占い師と出会った」

「占い師…?」

「そうだ。と言っても、お前達が知っているような者達とはレベルが違うがな。俺が出会った占い師はあらゆる未来を予知し、どんな予言も絶対に的中させる殆ど超能力者に近い存在だ」

 

 絶対的中する予言者。

 どうやら、その手の能力者というのは、どんな場所にも必ずいるようだ。

 

「そこで俺はその占い師に尋ねた。『この俺を満足させるような強さを持つ者はどこにいる?』…と」

「それで? そいつはなんて答えたんだ?」

「『ここから遠く離れた『太陽系』と呼ばれる惑星系に、宝石のように光り輝く青く美しい惑星があり、そこに俺と互角に渡り合い楽しませることが出来る者が存在している』…奴はそう教えてくれた。今からもう20年も前の事になる」

「20年……」

 

 通常ならば『そんな理由で来たのか』と怒る所だが、生憎とサイタマもパチュリーも常人と同じような思考回路は持ち合わせていない。

 サイタマは『あっそ』程度にしか思っておらず、パチュリーに至っては顎に手を当てて考察を始めた。

 

「…恐らく、その占い師はアンタがすぐに地球へと向かう事、そこに至るまでどれだけの時間が掛かるかとかも全て計算した上で予言をしたんでしょうね」

「パチェ、それってどーゆーことだ?」

「ボロスが予言を聞いたのは今から20年前。けど、20年前って言えば私もサイタマもまだ小さな子供よ? そんなのを『強者』って言うかしら?」

「確かに……」

 

 実際には、パチュリーは転生者なので存在すらしていないのだが、それを言うとまた面倒くさいことになるので黙っている事に。

 

「ボロスが地球に辿り着くまでに20年掛かって、その間にサイタマが成長し、圧倒的過ぎる力を得た。そこまでの未来を見たからこそ占い師は太陽系の事を言ったんでしょう。外で戦ったメルザルガルドって奴の話だと、地球って全宇宙規模でかなり端っこの方にあるみたいだし」

 

 地球側としては非常に迷惑極まりない話ではあるが、もう20年も前から決まっていた運命に対して今更どうこう言うつもりはない。

 問題なのは過去ではなく今現在なのだから。

 

「その考察力…見事だ。あのメルザルガルドを知力だけで圧倒してみせたのは伊達ではないか」

「私はあくまでサポートに回っただけ。後は他の皆の実力よ」

 

 外では余り魔法は使っておらず、言葉や観察力を使った援護を主に行っていた。

 今頃は、その役目をこあが引き継いで皆をサポートしている事だろう。

 

「部下たちは俺を一時的にでも遠ざける為のデマだと思い、地球に来ることに対して余り乗り気ではなかったが…たった今確信した」

 

 冷静沈着なボロスの『仮面』が剥がれ、その内に秘めた果てなき闘争心が顔を覗かせ、彼の顔が得物を見つけた野獣のような笑顔に変わる。

 

「サイタマ…パチュリー。お前達こそが俺が長い間ずっと求め続けた真の強者。さぁ…戦おう。荒野のように乾ききった俺の生に最高の刺激を与えてくれ。俺はその為にここまで来たんだ」

 

 瞬間、ボロスが激しく後方に吹き飛んだ。

 余りにも速すぎて何事かと思うが、よく見るとサイタマが拳を突きだし、パチュリーが掌を翳しているのが分かる。

 要は、サイタマが普通に殴り、パチュリーが魔力弾を発射したのだ。

 

「何考えてんだよ、お前は。幾ら日々が退屈だからって、他の惑星を襲いに来るとかOLでも思い付かないッつーの」

「退屈な人生に刺激が欲しい…その気持ち自体は分からなくもないわ。誰もが一度は必ず抱く事でしょうし。でも、やろうとしている事が極端すぎるのよ。少しは他の人の迷惑とか考えなさい」

 

 実に尤もな正論を言いながらも容赦のない一撃。

 このままボロスは部屋の柱にぶつかる…かと思いきや、彼の身体は何かにぶつかる前に急に止まった。

 

「「ん?」」

 

 攻撃の余波によって派生した煙が晴れると、そこには両足を床に突き刺した状態で上半身を90度近くまで後ろに曲げてから仰け反っているボロスがいた。

 どうやら、二人の同時攻撃に普通に耐え、自身の脚力だけで踏み止まったようだ。

 

「ククク…見事な一撃だ。まさか、この俺が不意を突かれるとは思わなかったぞ」

「「あっそ」」

 

 まるでスローモーションのように、ゆっくりと上半身を起こして体勢を整えるボロス。

 屹立した状態にまで戻った瞬間、彼の半身を覆っていた鎧が粉々に砕け散った。

 

「ほぅ…? まさか、この『拘束具』を砕くとは……」

「拘束具? 鎧じゃなくて?」

「そうだな。確かに見た目だけ言えば鎧のような感じだが、実際には違う。これは俺の強大過ぎる力を抑え込むために作った『拘束具』。これが無いと俺が近づいただけで最上位戦闘員以外の部下たちが死んでしまうからな」

 

 砕けた鎧がボロボロと床に落ち、中に隠されていた彼の本来の身体を露わにする。

 筋肉量などだけで言えば細身と言った感じで、彼の部下であるメルザルガルドの方が筋骨隆々としていた。

 だが、見た目だけで全てを測るのは早計であり愚かな行為。

 サイタマという例もあるように、見た目が全てとは限らないのだ。

 

「この鎧型拘束具は俺の身体を押さえ込むという役目上、宇宙で最も硬い金属を加工して作られているというのに…こうも簡単に破壊するとは思わなかったぞ」

「宇宙で最も硬い金属?」

「あぁ。これは地球とはまた別方向の辺境にある惑星『ベーカリー』に存在している全宇宙で最も高価で硬く希少な金属…その名も『ショクパンヨリフランスパン』で作られていたのだが…お前達二人にとってはそれすらも無意味だったようだな」

「「ショクパンヨリフランスパン…」」

 

 これはボロスなりのボケなのか。

 いや、この短い間で彼はそんなキャラでない事は二人も理解していた。

 つまり、これは本気であり、そんな名前の金属が実際に存在しているという事だ。

 

「ど…どうしよう…弁償しなくちゃかな…?」

「いや…敵の鎧を壊して弁償する奴なんて聞いたことないから」

 

 どこまでも庶民の感覚が抜けきらないサイタマによって場の雰囲気が一瞬だけ緩和されたが、すぐにボロスによって戻されてしまう。

 

「お前達二人は最高だ…! それでこそ、俺がここまで来た甲斐がある!」

 

 両腕をクロスさせ、ボロスの全身から超絶的な生命エネルギーが噴出し、それが雷のように迸った!

 それに呼応するかのように、彼の全身が濃い青い色に変わっていき、一気に爆発する!

 

「ヌ…ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…!」

 

 凄まじい衝撃波がサイタマとパチュリーに襲い掛かるが、二人にとっては少し強い風程度に過ぎない。

 帽子が飛ばされそうになったので、パチュリーは頭を押さえているが。

 

「ヌアアァァァアァァアァァアァアアァァアアァアアァァアァァッ!!!!!」

 

 部屋全体が激しく揺れ、空気が震える。

 まだ実際に拳を交えていないにも拘らず、もう既に二人は理解した。

 この男は今までの敵とは違うと。

 他の怪人たちとは異次元の領域に達していると。

 

「これが…俺のフルパワー状態だ…!」

「みたいね。でも、こっちは二人よ? 本当にいいの?」

「構わん。相手が何人だろうと関係ない。俺は俺の求める戦いをするだけだ。では…今度はこちらから行くぞ!!」

 

 そう叫んだ刹那、ボロスの姿が消え、サイタマの懐にまで潜り込んでいた。

 

「ふんっ!!!」

「おっ?」

 

 ボロスの全力のストレートパンチが炸裂するが、サイタマは咄嗟に両腕をクロスさせてガード。

 だが、その勢いまでは防げなかったようで、そのまま吹き飛ばされてしまう。

 

「おおぉ~」

「逃がさんぞ!!」

 

 再び高速移動によってサイタマの背後に回り込むボロス。

 そこから今度は背中に向けてのハイキックを放とうとするが、そんな彼の背後には既にパチュリーが両手を翳した状態で待ち構えていた。

 

「私の事を無視するんじゃないわよ」

「何ッ!?」

 

 ボロスの周囲が真っ赤に染まり、強大な熱核エネルギーが彼の身体を包み込む!

 

「こっちも最初から飛ばしていかせて貰うわ! フレア!!」

「こ…これはっ!?」

 

 ボロスの体内が太陽のように燃え上がり、そこから漏れ出した熱核エネルギーが周囲を破壊する!!

 本来ならば近くにいたサイタマも巻き添えを食うのだが、彼がこの程度で傷つけば誰も苦労なんてしない。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

「まだまだ! 今度はこれよ!! ホーリー!!」

 

 聖なる光がボロスの頭上に降り注ぎ、それが眩く巨大な光の柱となって彼の身体を包み込み破裂する!!

 その一撃はあらゆる者を浄化する強大なる一撃!!

 

 ここからパチュリーは更なる追撃を掛ける為に、最強の時空攻撃魔法を唱える!!

 

「もう一つおまけよ! メテオ!!」

「これは…先程とは違う魔法っ!? だが…これしきで俺はっ!!」

 

 炎を纏いながら降り注ぐ無数の隕石を、あろうことかその両拳だけで迎撃しようと試みるボロス!

 そんな事を考えるのは今までサイタマぐらいだったし、出来るのもまたサイタマだけだった。

 しかし今日、その常識が真っ向から覆された。

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

「嘘でしょっ!?」

 

 流石に全弾迎撃とはいかず、何発かはボロスの体に命中しているが、それでも致命傷となるべき箇所に当たるメテオだけは確実に破壊していた。

 メテオの魔法が終了した直後、そのままの流れでボロスは凄まじい速度でパチュリー目掛けて殴り掛かる!

  

 だが、その拳は彼女のテトラカーンによって簡単に防がれた。

 

「幾らなんでも冗談きついんですけど…! フレア、ホーリー、メテオの三連撃を受けてほぼ無傷とか…お姉さん少しだけ自信を無くしちゃうわ…」

「それはこちらの台詞だ。まさか、最初から最上級攻撃魔法を三連続で放ってくるとは思わなかったぞ。矢張り、お前は他の魔法使いとは桁違いの実力を持っている。この俺に傷をつけた魔法など初めてだ。しかも、物理攻撃を全て反射する魔法まで常時展開しているとは…抜け目が無さすぎて嬉しくなってくる!!」

「それはどうも! けど、こっちばかりを見てていいのかしらッ!?」

「なんだと?」

 

 パチュリーの言葉を聞き後ろを振り向いたボロスが見たのは、自分の顔面目掛けて蹴りを放とうとしているサイタマの姿だった。

 

「ふん」

「ぬあっ!?」

 

 側頭部に見事な一撃が入り、今度こそボロスは吹き飛んで柱に激突。

 そんな彼には見向きもせず、サイタマはパチュリーの傍まで駆け寄った。

 

「大丈夫だったか?」

「当然。けど……」

 

 激突した柱が倒れ、そこからボロスが首をコキコキと鳴らしながら起き上がる。

 その顔はとても楽しそうに笑っていた。

 

「こりゃ…お互いに気合を入れなきゃダメみたいね」

「アイツ……強いな…」

 

 さっきまでずっと無表情だったサイタマが少しだけ笑った。

 

 

 

 

 

 




次回はまた場面が切り替わって地上の話になると思います。

それからまたボロスとの戦いの話に…って感じになるかも?
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