S級ヒーロー 七曜のパチュリー   作:とんこつラーメン

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本当にお待たせしました。

久々に頑張っていきましょー。







頂上決戦

 地上での戦いに一先ずの決着がついた頃、船内では…。

 

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!」

「ほっほっほっほっ」

 

 サイタマとボロスが広大な部屋全体を使って凄まじい高速移動を繰り返しながらの激しい攻防を繰り広げていた。

 両者がぶつかる度に柱は壊れ、床は抉れ、壁が吹き飛ぶ。

 それはまさに嵐のような戦いだった。

 

 だが、そこには勿論『彼女』もいて、魔法を使った巧みな援護と介入を行っている。

 

「くらえっ!!!」

「あ」

「ちぃっ! ブリンク!!」

 

 ボロスの渾身の拳がサイタマの腹部に直撃しそうになった瞬間、パチュリーが即座に分身魔法『ブリンク』を発動。

 一回だけではあるがサイタマへの物理攻撃を完全に無効化させた。

 

「分身だとッ!? はははは! こんな魔法もあるのか! 面白い!! だが!!」

「「げ」」

 

 ボロスは即座にブリンクの効果を把握し、敢えて拳を避けさせ、そこから大きく体全体を捻ってからのソバットで今度こそサイタマの体に蹴りを当てることに成功する!

 

「このまま…吹っ飛べぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

「おぉ~?」

「サイタマッ!!」

 

 文字通り吹き飛ばされたサイタマは、何本もの柱をぶち抜いてからようやく止まった。

 

「このまま一気に…なにっ!?」

「させる訳…ないでしょうがっ!!」

 

 ボロスが追撃のドロップキックをかまそうとした瞬間、サイタマの前にパチュリーが立ちはだかり掌に魔法陣を描く。

 

(本当は普通に詠唱して強力な魔法を撃ちたいけど…このボロスはそんな事を許してくれるような生易しい相手じゃない! ちょっち無理をする事にはなるけど…ここは『裏技』を…『詠唱破棄』を使うしかない!)

 

 詠唱破棄。

 他の魔法とは違い、パチュリーが強力な魔法を放つ際には特定の『詠唱呪文』を唱えなければならない。

 正しいプロセスを経なければ、ちゃんとした威力が出ないからだ。

 だが、今回のような戦いではそれは致命的となる。

 そんな時の為に編み出したのが『詠唱破棄』という技術である。

 文字通り『詠唱』を『破棄』する事で短い時間で魔法を出せるというものなのだが、そうした場合は魔法の威力が通常時の約70%ぐらいにまで落ちてしまう。

 ならばどうすればいいのか。答えは簡単だった。

 足りない威力の分だけ『魔力』を更に上乗せすればいい。

 これはほぼ無尽蔵に近い魔力を有するパチュリーだからこそ許される技術。

 理論派の彼女にしては珍しい『力技』だった。

 

「こっからは本気の本気で行かせて貰うわよ…!」

「いいだろう…来い!!」

 

 パチュリーの内蔵している魔力がこれまでとは比較にならない程に増大する。

 それは、あのボロスをほんの僅かではあるが後ずらせる程だった。

 

「受けなさい!! グランドダッシャー!!!」

「こ…これはっ!?」

 

 突如として床が幾重にも隆起して、鋭き石の槍となってボロスに襲い掛かる!

 大半の怪人ならば一撃で粉々になる程の威力だが、これでもボロスには有効打を与えられない。

 

「まだまだぁっ!! フレアトーネード!!」

「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

 今度は巨大な火炎旋風。

 一度でもそれに捕えられたら最後、後は消し炭になるだけ!

 

「サンダァァ…ブレェェェェドッ!!!」

 

 天に翳した手に巨大な雷鳴迸る剣を召喚。

 それをそのまま火炎の竜巻へと投げつけた!!

 

「もう一丁!! ブリジットコフィン!!!」

 

 雷の剣が突き刺さった直後、今度は恐ろしく巨大な氷の塊が出現。

 一瞬で周囲を氷の世界にし、そこへトドメと言わんばかりに氷の剣が振り下ろされた!!

 

「これはおまけよ!! ディバインセイバー!!!」

 

 ボロスがいると思われる場所の真上に巨大な魔法陣が展開。

 そこから極太な雷の雨が降り注ぐ!!

 

「パチェ…今日は珍しくマジモードだな」

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

 

 奥義級の魔法を連発して、流石のパチュリーも疲労の色が見え始めた。

 袖で頬を伝う汗を拭いつつ、僅かではあるが冷静さを取り戻しつつあった。

 

(ったく…とんでもない化け物ね…。まさか、身体能力でサイタマとタメを張る相手がこの世に存在するなんて思わないわよ…!)

 

 懐から密かに持ち込んでいた最上級回復アイテム『エリクサー』をグイッと一気飲み。

 パチュリー曰く『効果は絶大だけど味が最悪』とのこと。

 

(最初のボロスとの会話の時に、密かに自分自身に補助魔法を掛けられるだけ掛けといて大正解だったわね…。じゃないと、ボロスの動きに追従することすら不可能だったに違いないわ…)

 

 どれだけ強大な魔力を持っていても、身体能力は貧弱そのもの。

 ならばどうすれば対抗できるのか。

 その答えもまたシンプルで、ありったけの補助魔法で最大限にまで自分を強化しまくること。

 限界まで魔法で強化した結果、限定的ではあるが身体能力もサイタマ級となっていた。

 これをするのは以前にサイタマと『本気の模擬戦』をした時以来だ。

 

「クク…ククク…!」

「やっぱりね…」

 

 ボロス程の相手があれで倒れるとは思ってはいない。

 僅かでもダメージを与えられたら最高ぐらいの気持ちだった。

 

「最高だ…お前は間違いなく最高の魔法使いだ…パチュリー!!!」

「お?」

「きゃあっ!?」

 

 火炎旋風が、氷の塊が、隆起した床が、雷の剣が、全て裂帛の気合いだけで破壊され尽くした。

 その中から現れたのは、全身を大火傷し、所々から流血しているボロスの姿。

 だが、その顔はまるで子供のような笑顔に満ちていた。

 

「しかし…これしきでは俺は倒せんぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

「来るわよっ!!」

「だな」

 

 純粋な脚力だけで二人のいる場所まで跳躍し、その速度のままサイタマ目掛けてのドロップキック!!

 咄嗟にサイタマもガードをしたが、その勢いは止められない!

 

「ちょっとは踏ん張りなさいよね! もう!!」

 

 勢いを殺す為に腕力を利用して上方向へと逃れたサイタマだったが、それを大人しく見逃すボロスではない。

 すぐに追撃をして柱を縦に昇りながらの攻防を繰り広げ始める!

 それを追ってパチュリーもサイタマが攻撃し終えたタイミングを見計らいながら全力の魔法攻撃を撃ちまくる!

 

(このまま行けば天井にぶつかる! けど!)

 

 三人は天井を易々とぶち抜き、分厚い鉄板がまるで布切れのように歪み全員を包み込み、その僅かな空間の中でもまだ激闘を繰り広げていた!

 

「ふん!」

「出られた」

「わっ!?」

 

 すぐに鉄板は戦いの衝撃に耐えられなくなり破裂。

 サイタマとパチュリー、そしてボロスは相対するように甲板へと降り立った。

 

「素晴らしい動きだサイタマ…流石に強いな!」

「お前もな」

「そしてパチュリー…魔法使いの身でありながら我等の戦いについてこられるとは…補助魔法で自身を極限まで強化しているな?」

「ばれてーら」

「あぁ…地球に来て本当に良かった…! 最強の戦士に最強の魔法使い! こんな連中と戦えるなんて夢にも思わなかったぞ! 今、俺は心から予言者に感謝している!!」

「そーんな事を言っててもいいのかしら?」

「なに?」

 

 パチュリーが不意にボロスの右腕を指差す。

 すると、彼の右腕が二の腕部分辺りから千切れていた。

 

「これは……」

「サイタマのパンチをガードした衝撃で千切れた所を、私がバギクロスで木端微塵にしたの。ようやく有効打を与えられたって感じかしら?」

「面白い…! こうでなくてはなぁっ!!」

 

 これまででも十分に強大な力を発揮していたというのに、彼の歓喜の声と共にその力が更に増大する!

 全身から凄まじいエネルギーが溢れ出し、ボロスの周囲の空間すらも歪ませた!

 

「この俺と互角以上に戦える者はお前達が初めてだ!! サイタマ…パチュリィィッ!!」

 

 溢れ出るエネルギーの増大は止まる気配も無く、それはやがて彼の胸部にある眼球のような部分から発射された!!

 

「俺の体内に溢れている莫大なまでのエネルギーの放出!! もしも雑魚が触れれば骨は疎か魂すらも完全に消滅する!!!」

 

 超絶的までの極太ビームとなったボロスの生命エネルギーが眼前まで迫る!!

 このままでは直撃は必至!!

 

「フフ……」

「パチェ?」

「待ってたのよ…これを…」

 

 ピンチだというにも拘らず、パチュリーはうっすらと笑っている。

 その笑みは嬉しいというよりは、罠に掛かった獲物を見るような笑みだった。

 

「私はこの瞬間を…この時をずっと待ってたのよっ!!」

 

 迫りくるエネルギーの塊に向けて手を翳し、とある魔法を唱えた!

 

「マカラカーン!!」

 

 パチュリーの目の前にテトラカーンと同じ種類の不可視の障壁が出現。

 それは見事にボロスのエネルギー砲を受け止めることに成功した!

 

「これを真正面から受け止めるか!! それでこそだ!! ならばぁぁっ!!」

「威力が…上がったっ!?」

 

 必死にエネルギー砲を防ぐが、徐々にパチュリーの身体が押され始める。

 どれだけマカラカーンが強大でも、受け止めているのはパチュリー自身。

 彼女が勢いに負けて吹き飛ばされてしまったら意味が無いのだ。

 

「よっと」

「サイタマッ!?」

 

 割と本気で焦り始めた頃、パチュリーの身体をそっとサイタマが支えてくれた。

 それによりパチュリーに掛かる負担はかなり激減した。

 

「パチェはいつも俺の事を支えてくれた。だからさ……」

 

 パチュリーの目を見つめながら、微笑みながら呟く。

 

「偶には俺にもパチェを支えさせろよ」

「サイタマ……勿論よ!」

 

 右手はパチュリーの肩を抱き、左手は突き出している手に添えた。

 そのまま二人は足を前に出してから、エネルギー砲を押し始める!!

 

「このまま…!」

「一気に」

「「跳ね返すっ!!!」」

 

 そして、エネルギー砲は甲高い音と共に見事に跳ね返され、そのまま撃った本人であるボロスに戻ってきた!

 

「防ぐでもなく…避けるでもなく……跳ね返すか!! ハハハハハハッ!!!」

 

 どれだけ強大な一撃とはいえ、来ると分っているならばボロスは容易に避けられる。

 実際、パチュリーも彼が避けると思っていた。

 だが…現実は違った。

 

「うそ…!?」

「あいつ、普通に棒立ちしてたぞ」

 

 あろうことか、跳ね返されたエネルギー砲をそのまま自分の身で受けた。

 流石にこれで死ぬとは思わないが、普通に考えても信じられなかった。

 

「サイタマの攻撃の直撃を受けても普通にピンピンしてるような奴だもの…これで終わりと考えるのは早計過ぎよね…」

「煙が多くて何も見えねぇな…」

 

 周囲にアンテナを張って最大限に警戒する。

 五感をフルに使い、どこから強襲されても大丈夫なように備えるが…矢張りボロスは規格外だった。

 

「……っ!? サイタマッ!!」

「遅い!!」

 

 パチュリーが反応した時にはもう、ボロスはサイタマの背後にまで迫って来ていて、その拳をサイタマの後頭部に向けていた!

 

「後ろだぁっ!!」

「あ……」

 

 遂にボロスの一撃がサイタマに直撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まだまだ決戦は続くよ、どこまでも。


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