天羽響は奏者である 作:折り紙のユニコーン@UNICORNぬ
|д゚)/ 投稿
お久しぶりです。折り紙のユニコーンです。
ギリ失踪してません。短いです
絶対わすゆとかゆゆゆいにたどり着きたい……ゆゆゆいはサ終しちゃったけど、書きたい……
「あ、そうだ」
暴走した千景が響によって正気を取り戻して少し。見舞いに来た千景から差し入れである暇つぶし用ゲームソフトを受け取った響がふと言葉を漏らす
「どうかしたの?天羽君。何か欲しいものとかあるのかしら。言ってくれればすぐに……」
「いや、そういうのじゃなくてさ。明後日、千景のお父さんに会いに行くから」
「……え?」
千景が言葉を失う。動けるまでに回復したとは言え、響はいまだけが人だ。そんな響が外出するだけでなく、あのろくでもない父親に会いに行くというのだから驚きは大きい
「その……それは、どうして?」
「千景の今後について、俺が直々に話をする。もちろん大社や病院に話を通して許可は取ってある。病院からはめっちゃ渋られたけどな」
「天羽君……」
今の千景の中にあるのは自分のために無理をしてでも動こうとしてくれることへの喜び。そして自分が響の負担になっているという罪悪感だ。少し葛藤するような表情を浮かべた千景はしかし、すぐに決意を固めて響に伝える
「なら、私もついて行くわ」
「え?いや、千景にとってあそこはあんまりいい場所じゃないんだろ?無理すんなって」
「無理するな、なんて天羽君に言われたくないわ……いえ。とにかく私もついて行くから。天羽君が向こうで無茶しないとも限らないし、怪我の様態も見ていなきゃいけないもの
今回ばかりは、天羽君が相手でも引き下がらないわよ」
「……しょうがないか。わかったよ」
―――――
「さて……そんじゃ、やるか……」
そして二日後、俺は予定通り千景の実家へと訪れていた。横には硬い表情をした千景の姿もある
玄関の呼び鈴を鳴らす。ガラリ、とドアが開いて顔を覗かせたのは少しやつれた痩せ気味の男性。千景の父親だ
「こんにちは。先日連絡いたしました、天羽響です」
「ああ、君があの……っと、どうぞ中に」
家の中に入るよう促す彼に従い、玄関へ足を踏み入れる。その時、ちらりと千景のほうを見た彼は少し嫌そうな表情を浮かべたものの、何を言うでもなくリビングへ向かっていった
やっぱ俺父親っていうやつ好かないなぁ……まあ、すべての父親がろくでなしなわけじゃないのはわかってるけど、どうにもね
とりあえず促されるままについて行き、椅子に腰かける
「さて、今日は以前ご連絡したように千景さんの今後についてお話させていただきます」
「は、はい……」
「まず、貴方自身は千景さんのことをどう思っていますか?」
「どうって……」
この質問は、俺からの最終確認のようなものだ。千景のことを大切に思っているようならすこし考えるが、そうでないのならこの親や故郷から千景を引き離さなければならない。まあ千景から軽く話を聞いた限り、おそらく家族としての愛情はほぼないと言っていいだろう。むしろ離婚時の引き取りの押し付け合いの話しや、今回の誹謗中傷の件と合わせれば邪魔とすら思っていそうだ。ただ見た感じ自分より力のある相手には強く出られないタイプと見た
おそらくこの質問への回答は、強い言葉こそ使わないが彼女を肯定することもない……といった感じだろう
「別に、どうもないですけど……」
やっぱりか。父親って、普通なら心配とか褒めたりとかするもんじゃないのか?まあいいや。この返答がそもそも想定してた答えだし、そのまま進めさせてもらおう
「そうですか。では、千景さんは我々大社の方で引き取らせていただきます」
「は?」
「え?」
二人があっけにとられたように声を漏らす。
「端的に言えば、この環境は千景さんが今後過ごしていくうえでふさわしくない、ということです。見た限り不衛生なところも見受けられますし、なによりここは心穏やかに過ごせる場所ではないでしょう
いじめに始まり、両親からフォローがないどころか疎まれている」
「そ、そんなことは……!」
「いえ、ごまかさなくても結構です。貴方達が子供を押し付けあって離婚に踏み切れなかったことや、ネグレクトじみた家庭環境は聞き及んでいますので
ですので、大社の者が養子縁組という形で千景さんを引き取らせていただきます。こちらは決定事項と思ってください」
政府から対バーテックスに関するほとんどの権限を受け取った大社だからできるパワープレイだな。『バーテックスに対抗できる勇者がより力を発揮できる環境づくり』とでも言っておけば、親権の変更くらいは押し通せるわけだ。勇者自身の『あの家から離れたい』という意思もあればなおさらに。
千景が告げ口したことによって咎められるとでも思ったのか、千景へ責めるような視線を向けてくる父親に俺は言葉を続けていく
「まあ、これまでのことについて我々から咎めるようなことは致しません。ですが、実質的に勇者の保護者でなくなった貴方には大社からの援助は打ち切られます……ああご安心を。奥さんの方も大社で引き取り病院へ移しますし、この村からの引っ越しだけは援助させていただきます」
一方的にまくし立てる様に告げていく俺に唖然とする父親。普通ならありえないような強引な通告だからな。実際大社に話を通すのも苦労したし
「伝えることは伝えましたので、我々はこれで」
まだ理解が追い付かないのか、動きを止めたままの父親を置き去りにして千景の手を引く。千景は千景で展開に頭がついてきていないようだ
今回は本当に強引に、俺だけの独断で進めたようなもんだしな。正しい行動か、と聞かれれば俺も首をかしげるだろう。本人にすら確認を取ってないわけだし。それでも千景をあの環境から逃がしてやりたい、という気持ちが大きかったのだ
「あ、あの。天羽君」
家を出て村から離れたあたりで千景が声をかけてくる。さすがに怒られるよな……というか、どう考えたって自分勝手すぎるな。千景は俺の操り人形じゃないんだから、勝手に決めて千景もそうしたいに違いない、なんて最低にも程がある。嫌われても仕方ないラインだぞこれ。うわ、やってから後悔が来たぞ。なんでこんなことしたんだ俺。いくら父親にいい思い出がないからと言って他人にまで口を出すのはキモイって……
「あはは、ごめんな。千景のことなのに、千景の了承すら取らずに決めて」
「いえ、それは別にいいの。あの家から抜け出したかったのは確かなのだし。そうではなくて……その、養子になるって……ええと、なんて言ったらいいのかしら……
―――苗字は、変わるの?」
「―――え?苗字?
えっと、千景が望むなら変えられるよ。基本的に、養子になったからといって千景の生活が変わるわけでは無いんだ。大社の人には名前だけ貸してもらったようなものだから……」
俺がそう告げると、千景は少し安心したような表情を浮かべ、早足で俺より前に出てくる
「そうなのね。なら、よかったわ
苗字が変わってしまったら、”ぐんちゃん”ではなくなってしまうし……それに―――」
「それに……?」
一呼吸分だけ間を置いた千景は、立ち止まって振り返る。その表情はいたずらっぽく、頬を赤らめながらも笑みを浮かべている
「それに、どうせ苗字が変わるなら……貴方の苗字が欲しいもの」
「…………へっ――!?」
「―――なんて、ね?」
「び、びっっくりしたぁ――!」
心臓爆発したかと思った!というか、バクバクしすぎて今にも破裂しそうだ!顔熱いし、今千景の目を見て話せる気がしない
「まさか、千景からそんな冗談が出てくるとは思わなかった……ドキドキして胸が痛いよ」
「冗談では、無いのだけれど……」
「―――!?」
「私の人生を、こんなに大きく変えてしまったんだもの。責任は取ってもらうわ」
「ち、千景ぇ!?」
「上里さんと勇者の皆までなら、許してあげるから」
「何を!?」
「さあ?何かしら」
ふふ。と上機嫌に笑い、先程とは打って変わって今度は俺の手を引っ張りながら千景が駆け出す
鼓動の落ち着かないまま、湯だった頭で考える。こんなにストレートに言われてしまったら、否が応でもわかってしまう。確かに、俺は皆の為に頑張ってきた。少しでも幸せになってほしいと願っていた
普段からみんなを気にかけて会話や手助けはしていたし、戦闘ではみんなをすぐカバーできるような位置にいるし、この前は絶唱まで使ったし。
自分で言うのもなんだが身を削る程の献身、と言えるだろう。そう言われれば、惚れられてもおかしくはない……のか?
俺も千景は嫌いなわけじゃない。むしろ好きだ。ん?好きなら全然いいんじゃないか?
混乱する思考。熱暴走を起こし始めて頭から湯気が噴き出すような感覚がする。それでも、千景の笑顔が見えたから。まあいいかな。なんて、そう思った
こういう恋愛系は難しいです。ユニコーンは恋愛経験ザコなので……
久しぶりすぎて響君がブレてないか心配すぎる。前からブレてたかもしれないけど
話的には16話の冒頭で流したくだりです
それではまたお会いしましょう