天羽響は奏者である   作:折り紙のユニコーン@UNICORNぬ

5 / 23
初投稿です。
小説執筆はずぶずぶのド素人です。
至らぬ部分もありますが、どうぞよしなに。

誤字、脱字、アドバイスなど感想は歓迎いたします。
批判だけの感想はやめていただけるとありがたいです。

1/4 インナー描写とかルビとかのちょっと細かい所と、バーテックス初登場シーンを修正しました。
1/17 響君のガングニール時の口調を修正しました。


乃木若葉は勇者である
1話 その日、Prelude.


 それ(絶望)は、突然やってきた

 俺が小学6年生のある日。修学旅行で奈良へと来ていたその日に、空から奴らが現れ人類に襲い掛かった

 

 

 

~~~~~~~

 

 

 

「ん……んん……」

 

 

 ガタガタと揺れるバスの振動で目を覚ます

 どうやら寝てしまっていたらしい

 えっと……そうだ、今俺は奈良に修学旅行に来てるんだった

 軽く見回せばクラスメート達が楽しげにワイワイと騒いでいる

 

 

「何か、嫌な予感がするんだよな……」

 

 

 他の生徒に聞かれないようにポツリと呟く

 どうにも胸の辺りがざわついて落ち着けない

 猛烈に感じる嫌な予感に、鞄の中のペンダントを握り締めた

 

 

 転生者と呼ばれる分類の人間である俺は、神様のルーレットにより戦姫絶唱シンフォギアのギア一式を特典としてこの世界に産まれた

 この世界において俺の特典となるギアは超天才な祖母が開発したものとなっているそうだ

 様々な事情で祖父母の家に住んでいた俺はそれを知り、自ら進んで実験などに協力した。使い方も整備のやり方も教えて貰った

 それに伴い祖父からビシバシ特訓を受けたりもしたが、あの人マジでヤベェ。OTONAの類だった。……まあ、そんな2人も老いには勝てず1年前に死去

 ギアは遺品として俺が譲り受けた

 一式ということで、1つのペンダントの中に纏めて7つの聖遺物の欠片が入れられている

 2人の死去以降はそのまま2人の家で一人暮らしをしている。小学生の体とはいえ元成人だ

 苦労はするが一人暮らしができない訳じゃない

 

 

 と、長々話してしまったがまあ俺の現状はこんな感じだ

 ……いや、誰に話してるんだ俺は?

 

 

 ともかく、転生するときに教えられたのだが神様曰くこの世界は中々危険な世界なそうで、こんな嫌な予感がする時はいつ何が起こってもいいように気を引き締めなければならない

 

 

「せっかく修学旅行楽しみにしてたのに……

 素直に楽しめそうにないな」

 

 

 神様の話と嫌な予感によってそんなに楽しめない修学旅行となってしまったのだが、結局日中は何も起きなかった

 そろそろ日も暮れそうな時間帯となり、俺達は今日泊まる旅館へと足を踏み入れる

 大きな部屋2つが俺達の今日の寝室だ。男子と女子で別れた俺達は荷物を置き、各々空き時間を好きに過ごしていた時だった

 友達と会話を楽しむ者、密かに持ち込んだゲームをする者。俺は思い思いの行動をするクラスメートから少し離れて窓から外を眺めていた

 

 

「結局なんにも起きなかったな。気のせいだったのか?」

 

 

 窓から眺める空はいつもと変わらず、何かが起こるとは到底思えない風景だ

 だが、こんなに酷い予感は初めてだ

 何かとても不味いことが起こる……そんな予感がずっと、それこそ一日中ずっと渦巻いている

 一体この世界は何が起こる世界なのか?

 なんとなく、考えてみる。未曾有の大災害?悪の科学者によるバイオハザード?人工知能の暴走?

それとも――

 

 

グラグラグラ……

 

 

「ん、今ちょっと揺れたか?

……!っ、なんだなんだ……?」

 

 

 ほんの小さな揺れ。多分地震

 それに反応するように嫌な予感が膨れ上がる

 咄嗟に横に置いてあった荷物を取り、他の生徒を見ると自分以外だれも気付いた様子はない

 

 

グラグラグラ……

 

 

「また揺れた……さっきよりデカいぞ」

 

 

 再び振動。さっきより少し強い。今度は他の生徒も気付いたようで、ざわめき始める

 

 

グラグラグラ……!

 

 

 さらに揺れる。もっと大きな揺れ

 ヤバい。なにがヤバいって、嫌な予感を通り越して脳内にガンガン響くレベルになった警告音だ

 多分、空から何かが来る。そんな気がする。だって空から目が離せない

 突然脳裏にイメージが浮かぶ。白い袋みたいな、クソデカい口だけが付いた化け物が空から落ちてくる

 1つや2つじゃなく、星のように沢山

 

 

「ヤバい、何か分からないがモノ凄くヤバい……!」

 

 

「……もう君、天羽君!」

 

 

 名前を呼ばれてハッとする。振り向くと先生が俺を呼んでいた。気付けば部屋に誰もいない

 

 

「天羽君、皆もう廊下に出ています。大きな地震が起きたので避難場所に行きましょう」

 

 

「は、はい。すいません」

 

 

 考えれば当然だ。地震が起きたのなら先生による指示で避難する。普通に避難訓練でもやった

 頭に浮かぶナニカと警告に耐えながら建物の外へと出る

 辺りを見渡せば従業員に誘導された他の客の姿もあった

 

 

「はぁ……一体何なんだ……?」

 

 

 空から落ちてくる白い化け物のイメージ

 それが気になって、また空を見上げる。見上げて、思わず息が止まった

 

 

「マジかよ……予想的中とか嬉しくないぞ」

 

 

――それとも、空からの侵略者とか?

 

 

 まだゴマ粒程の小ささだが、白いナニカが無数に降りてきている

 だんだん大きくなっていくそれは、つまりどんどん近づいているということ

 

 

「ヤバい……ヤバいヤバいヤバいヤバい……!先生ッ!」

 

 

 アレは良くないモノで、逃げないと死人が出る

 それが、唯一理解できたこと

 大きな声で先生を呼ぶ。恥ずかしいとか迷惑だとか、そんなのは気にしている暇がない

 

 

「どうしたんですか、天羽君」

 

 

「先生、なんか空から降ってくる!アレは、ぜったい良くないやつだ!」

 

 

 近寄ってくる先生にまくし立てるように言葉を並べ、上を見させる

 さっきよりも近づいた白いモノ

 ついにその姿がはっきり見えるまでになっていた

 

 

 白い袋のような体に大きな口だけが付いた異形の化け物

 そうとしか現せないナニカがそこにはいた

 

 

 俺の言葉が聞こえた周りの人達も上を見上げ、唖然とする

 

 

ズシン……!

 

 

 化け物が、地上に落ちてきた

 静寂が場を支配する。脳が状況を理解するまでのほんの短い間の静寂

 

 

グシャッ……!

 

 

 しかしそれはすぐに打ち消されることとなった

 

 

「キャァァァァァァア!!」

 

 

 誰かの耳を劈くような悲鳴が響く

 ()()()()。突然猛スピードで動き出した化け物が、ここに集まっていた人間を喰い殺したのだ

 そこからはもう大混乱だ

 空を泳ぐように動き出して人を襲う化け物を目の当たりにし、恐怖に駆られた人々は散り散りに逃げようとする

 そして逃げられなくて化け物に喰い殺される。それがさらに恐怖を煽り、混乱させる

 

 

「逃げろ!殺される!」

 

 

「うわぁぁぁ!」

 

 

「助けて!」

 

 

「来るな!来るなぁ!」

 

 

 空から来る化け物は数え切れない程の数がいる

 空を覆うほどの化け物は、ここだけではなく別の場所……恐らく人間がいる所へと降ってくる

 ここにも数十匹もの奴らがいる。人を襲おうとしている

 

 

 周囲がスローに見える

 人を喰らう化け物への恐怖と、"これが危険か"という現実逃避にも似た嫌に冷静な納得。そして、クラスメートが襲われたことへの怒り。他にも色々な感情がごちゃまぜになって、神経が研ぎ澄まされる

 

 

 鞄から取り出したペンダント

 それを握り締めて、歌を口ずさんだ

 

 

Balwisyall Nescell Gungnir tron(喪失までのカウントダウン)

 

 

 光が溢れる

 俺の周囲に展開されるエネルギーフィールド

 高出力のエネルギーに化け物の注意が俺に向く

 

 

 オレンジの燐光を纏う俺の体

強く大地を踏みつけると五線譜のような輪が左脚から右脚に向かって下半身を通り抜けて行き、ぴっちりとしたオレンジと黒、そして黄色の3色インナーで覆われる

 掌を上に向けた右腕は頭の高さに、左腕は水平に構えて拳を握る

 同時に右腕から左腕へ輪が通り抜け、腕には長手袋型の白と黒のインナーが、上半身にはタンクトップタイプのインナーが装着された

 

 

「フッ、ハッ、タァッ!」

 

 

 全身タイツのようなインナーにはオレンジの平べったいクリスタルがいくつもくっついている

 演舞のように技を繰り出すとインナーにくっついていたクリスタルが弾けるように分離する

 

 両腕を伸ばし胸の前で掌を組むとクリスタルが飛来し、白とオレンジの半袖のジャケットが装着され、同時に腕を自身の体ほど大きなロボットアームが覆う

 両腕を横へ広げると一瞬だけロケットブースターを点火したそれは蒸気を吹いて一気に小型化し、ジャケットと同色のガントレット型腕部ユニットへ変化

 その際にチラリと覗くガントレット内部のディスプレイに記された文字は『SG-r03' Gungunir』

 

 右脚を上げて地面へ振り上げればクリスタルが飛来し膝から下を覆う無骨な機械パーツとなり、地面へ足を強く踏み込むと余分なパーツが飛び散って再構成

 スラリとした、これも同色の脚部ユニットに姿を変える

 

 ジャケットと同色の半ズボンがインナーの上から纏われ、腰にバーニアノズルの付いたユニットが装着される

 頭部には二本の短い角のようなパーツがついたヘッドホン型のベッドギアが構成され、首には白く長いマフラーが流れる

 それを巻きながら回し蹴りを放ち、巻かれたマフラーを少し下げて構えをとり、変身が完了した

 

 

「セイヤッ!」

 

 

 変身完了と同時に雪崩れ込むように襲い来る化け物に拳を振り抜く

 何匹か纏めて弾け飛び、7色の光になって天へ上っていく

 

 

「よし、シンフォギアで倒せる!」

 

 

 これなら敵を倒せる。それが分かったのならもう怖くは無い

 

 ギアから曲が流れ、俺の口から歌が紡がれる

 祖父から教えてもらった太極拳を始めとする中国拳法で敵を薙ぎ払っていく

 

 

 掌底、回し蹴り、発勁、震脚

 技を放てば塵を吹き飛ばすように敵が散っていく

 化け物に狙われている人がいれば脚部ユニットに着いているジャッキによる高速移動で割り込み、化け物を蹴り上げて助け出す

 だが全員を助けられる訳ではない。俺が誰かを助けている間に死んでいく人がいる

 ギチリと拳を握り締め、怒りとショックを握り潰して化け物を倒し続ける

 

 

 幸いというべきか、シンフォギアであれば難無く倒すことができる

 しかし、ここで戦い続けていても結局ジリ貧になってしまうだろう

 化け物は空からまだまだ降りてきている

 こちらに来る量は落ち着いたとはいえ、いつ大量に攻めてくるか分からない

 どうにかして逃げなければいけない。とはいえ、修学旅行で来ただけの俺はここの地理に詳しいはずも無く、どこに行けばいいのか微塵も…………いや、なんとなく分かったかもしれない

 修学旅行中の嫌な予感、旅館での化け物のイメージ

 そして今頭に浮かんだ避難経路

 まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「もしかして、神託ってヤツかな?」

 

 

 そういうのある世界なんだなー、なんて軽口を叩いて内心の荒ぶりを誤魔化しながら回し蹴りで化け物を消し飛ばす

 

 

「兎にも角にも、まずは無事な人達を集めないと……」

 

 

 避難経路が分かったのなら、次は避難だ

 何人か襲われている所を助け、他にいる人を連れてきてもらうことにした

 勿論俺も化け物を倒しながら人を集める

 

 

「オォォォォ……ラァッ!!」

 

 

 腕を引き絞ると腕部ユニットの後部にあるハンマーパーツが後ろに伸びる

 それはまるで弓を引き絞るような、力を溜める動作。全力で腕を振り抜くと同時にハンマーパーツが元に戻ってエネルギーが放出される

 広範囲の化け物が消し飛び、一旦は化け物が来ないと判断した俺は集まった人に声をかける

 

 

「皆さん、聞いてください!今から安全な場所へ移動します!疑いたい気持ちもあるでしょうけど、どうか今だけは信じて着いてきてください!

 俺はあなた達をここで死なせたくないんです!」

 

 

 少しざわついたが、俺が実際に化け物を倒して人を助けているのを見ているため、特に不満も無く着いてきてくれることとなった

 

 

「よし、じゃあ出発します

 もしもの時に守りやすいように皆はなるべく固まって動いてください!」

 

 

 くるりと背を向けて歩き出す

残ったこの人達だけでも守り切ろうと決意を固め、頭に浮かんできたルートを進んでいく

 安全地帯についたら俺はどうなるのだろうか

 奴らを倒せる力を持っているのだから、前線に出されるのは間違いないだろう

 それ自体は問題無いが、道具同然の扱いで人権が無いみたいな環境だったらどうしようか。生活やサポートが充実していればいいのだが……

 

 

 

~~~~~~~

 

 

 

 ひたすら歩き続ける。不思議なことに頭に浮かぶ道を進むと化け物と遭遇することが殆ど無かった。そうなると必然的に戦闘も少なく、移動に集中できるのはありがたかった

 だが、この異常になった世界からは目を背けられない。崩壊した道路、破壊された家屋。無惨に喰い殺された死骸と血の跡

 鳥などの動物や木々などの自然は無事なのが確認できる。殺されているのは人だけで、破壊されているのは()()()()建造物。つまり、奴らは人だけを殺している。しかも恐らく食事とかではなく殺戮を目的として

 倒した時の消え方を見ると生物ですら無いだろう

 正に人類の天敵。人間を殺す為だけの殺戮マシーンだ

 

 

 当然休みを挟んで進む為、あまり速い移動とは言えない

 何日もかけて進んでいき、ついに目的地が見えた

 

 

「やっとついた……」

 

 

 周囲を大量の植物でできた壁に覆われた四国

植物が絡みついた瀬戸大橋を渡り、ついに俺達は安全地帯へと辿り着いたのだった

 

 

 




ギアの変身バンクはXVのヤツをスローにして何回も見て書きました。
ビッキーはやっぱ胸よりお尻なんやなって()。

ギアインナーは肌が隠れるタイプに改変いたしました。
やっぱああいうのは女の子が着るから良いのであって、男が着るのはキツいと思うので。

あと、文章量ってやっぱこれじゃ短いですかね?
そこらへんも教えてく頂けると感謝感激雨あられです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。