天羽響は奏者である   作:折り紙のユニコーン@UNICORNぬ

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3話目です。戦闘描写ってやっぱ難しいんですね。
漫画を参考に書いているのですが、それを少し改変して自キャラを入れ、会話や戦闘を合わせて変える。そのときにキャラ崩壊にも気をつけなければいけない。
自分で書いてみればみるほど、やっぱり人気作品を書いている人達は卓越した文才や愛があるんだなと思います。

お気に入り登録してくれた方、ありがとうございます。
誤字脱字、アドバイスなど感想お待ちしております。


3話 勇者初陣、Guerriero.

「奴ら、雁首揃えてぞろぞろやって来やがった」

 

 

 スマホのマップに表示されるバーテックス達の場所。

それがどんどんこちらに向かってくる

 

 

「俺も極力援護するが、あんま油断すんじゃねぇぞ!

 戦場(いくさば)で気を抜きゃ死ぬだけだ!」

 

 

「大丈夫〜!」

 

 

「そうだぞ!タマに任せタマえ!」

 

 

 二丁拳銃を構えて2人に声をかけるが、返ってくるのは何とも気の抜けた返事

 大丈夫か心配になるが、2人も今日まで戦闘訓練を積んできた勇者だ。一応大丈夫だと信じておく

 ちらりと若葉の方を見ると、千景に何か話しかけているところだった

 一言か二言くらいで千景に背を向けた若葉は、バーテックスの群れに突っ込んでいった

 

 

「勇者達よ!!私に続け!!」

 

 

「だとよ。そんじゃ、始めるか!」

 

 

「いっくよー!!」

 

 

 若葉のここまで聞こえてくる大声に友奈や球子も動き出す

 俺も歌を歌ってギアを稼働させる

 

 

「勇者パーンチ!!」

 

 

「喰らいタマえー!!」

 

 

 友奈の拳がバーテックスを打ち砕き、球子は自身の武器である刃の付いた盾のような"旋刃盤"を射出して切り裂いていく

 

 

「ちょせぇ!!」

 

 

 俺だって負けているつもりはない。イチイバルの拳銃で遠くや他のメンバーの死角から来るバーテックスを撃ち抜いていく

 

 6発が二丁。計12発を撃ち尽くせば直ぐに弾倉ごと捨てて腰の浮遊ユニットから排出される新しい弾倉を装填する

 

 

「しっかし、マジで数だけは多いな!有象無象がぎょうさんと!」

 

 

 奴らの厄介なところはなんと言っても数だ

 袋みたいな奴らの個体名は"星屑"。まさに名前の通りだ。星の数ほど奴らは存在している

 結界内に侵入してくる奴らはほんの一部とはいえ、とんでもない数になる

 

 

「一気に撃ち落とす!!」

 

 

 腰部分のアーマーが展開。そこから覗くのは大量の小型ミサイルだ

 

 

「やっさいもっさい!!」

 

 

《CUT IN CUT OUT》

 

 

 放たれた大量の追尾型の小型ミサイルが星屑を纏めて粉砕する

 そして直ぐに他のメンバーの安全チェックだ

 球子の討ち漏らしを倒して杏の周囲の安全を確保し、友奈の背後から迫るバーテックスを撃ち抜き、若葉は問題無いことを確認し、球子は……

 

 

「っ!やべぇ!もうすぐ後ろまで迫ってやがる!球子!!」

 

 

「土居さん後ろだ!」

 

 

「しまっ……!」

 

 

 球子の武器はワイヤーが付いており、射出しても手元に返ってくる。しかし、飛ばした直後は無防備状態!

そこを狙われた。俺も他の援護をしてたから気付くのが遅れた!

 俺と若葉の声に球子も後ろのバーテックスに気付いた。だが武器が戻りきってない

 振り向きざまでロクに狙いも付けられてないが、当ててみせる!

 

 

ガガガガガッ!!

 

 

 しかし俺の放った弾丸が当たる前に、球子へ迫っていたバーテックスは無数の矢に撃たれて消えていった

 

 

「!今のは……」

 

 

 矢の飛んで来た方向を見ると杏が変身していた

球子もそれを確認したのか、嬉しそうな表情を浮かべている

 

 

「タマっち先輩を助けないとって思ったら、変身できちゃった……」

 

 

「あんず……!よーし、タマが前に立つから援護してくれ!」

 

 

「うん!」

 

 

 よし、杏と球子の所は気にしなくてもいいだろう

前衛と後衛でバランスが取れてるし、なにより息の合った2人の攻撃はバーテックスを余裕を持って蹴散らしている

 

 

「となると……千景はどこだ?」

 

 

 戦っている姿の見えない千景を探すと、何やら友奈と話している。何となく気になったのでバーテックスを撃ち抜きながらそっちへ向かう

 

 

「だいじょうぶ。私がいる」

 

 

「友奈!千景!なんかあったか?」

 

 

 友奈が千景の手を握って笑い掛けている。……何してんだ?

 2人の傍に着地して声をかけてみる

 

 

「天羽君……」

 

 

「響君!ぐんちゃん、まだちょっと怖いみたい」

 

 

「あー……なるほどな」

 

 

 千景の表示は確かに少し暗い。鎌を持つ手も震えが見える

 

 

「伊予島さんのこと、私……あんなに偉そうに言ってしまったのに……」

 

 

「だから、今から大丈夫だよって教えるんだ!

 響君も一緒にやろ!」

    

 

「俺も?」

 

 

「うん!」

 

 

「まあ、任せろ。んで、どうすんだ?」

 

 

「一緒に敵を倒すんだよ!」

 

 

「了解!そんじゃ、俺が周りのを引き受ける。最初に一発行くぜ!」

 

 

 とりあえず千景の恐怖を払拭するために友奈の話に乗ってみる

 手にしていた二丁拳銃が変形。4門の3連ガトリング砲に変わっていく

 

 

《BILLION MAIDEN》

 

 

「喰らいやがれ!」

 

 

バラララララララララララ!!

 

 

 ガトリングが火を吹き、周囲の邪魔なバーテックスを蹴散らしていく

 

 

「うわー!凄い!乱れ撃ちだね!」

 

 

「バーカ!全部狙い撃ってんだ!ほら、行ってこい!」

 

 

「よーし!ぐんちゃん、行こう!」

 

 

 千景の手を握ったまま友奈が跳躍

当然千景もつられて跳躍し、敵へと向かっていく

 

 

「っ、高嶋さん!前に敵が――」

 

 

 千景が言い切るより早く。友奈の拳は前にいたバーテックスを打ち砕いていた

 そのまま千景に不敵な笑みを浮かべて見せる

 

 

「こんな奴らに私達は負けない。ぐんちゃんも自分の力を信じて!」

 

 

 続けて見えたバーテックスを、今度は千景が鎌で切り裂く。その刃は難なくバーテックスを両断し、2人は揃って着地した

 

 

「私にもできた……」

 

 

 俺も2人の元へ移動する

 

 

「その調子!どんどん行こう!」

 

 

「うん!」

 

 

「よっと……千景もやるじゃねぇか」

 

 

「天羽君も……その、ありがとう」

 

 

「気にすんな」

 

 

 3人でワイワイしていると、千景の視線が俺の後ろ側に向いていた

 それにつられて俺も後ろを見ると、そこには敵をバッサバッサ斬り倒す若葉の姿が見える

 

 

「凄いよね、若葉ちゃん

 戦闘で敵を引き付けて1番多くの敵と戦ってる

 認めてあげてもいいんじゃないかな」

 

 

「そう……だね」

 

 

 友奈の言葉に、少し間を開けて小さく頷く千景

 やっぱり、千景は若葉を苦手としている節がある

 まあ、人には相性があるから仕方無い部分もあるが……命を預け合う仲なのだから、なるべく仲良くしてもらいたい

 けど、無理に接触させると逆効果だし。今は様子見かな

 

 

「そんじゃ、俺らも引き続き頑張るとするか」

 

 

「うん!ぐんちゃんも、がんばろ?」

 

 

「うん」

 

 

 

 

 それから少しすると、戦場に変化が訪れる

 バーテックス――星屑達が合体し始めたのだ

 何匹かの星屑が集まり、まるで粘土のように合わさって形を変える

 棒のような形状になったバーテックス――進化体が2匹、誕生した

 

 

「あれは……進化体……!!」

 

 

 若葉の驚きの声が聞こえる

 進化体が厄介なのは単純に硬いこともあるが、何より能力が付くことだ

 当然ながらこちらは能力が何かなんて分からないので慎重に行く必要がある

 

 杏がクロスボウを連射し、友奈も拳を握って飛び掛かる

 

 

ヴン……

 

 

 瞬間、棒から五角形の半透明な板が展開される

 

 

ガギン!

 

 

 硬い音をたてて杏の矢が全て跳ね返され、友奈の拳も弾かれた

 

 

(あっぶ)ねぇ。反射板かよ」

 

 

「私の拳も弾かれちゃった」

 

 

 反射された矢は球子が防ぎ、友奈も危なげなく体勢を立て直して着地した

 それを見た若葉が刀を鞘に戻し、抜刀の構えをとる。……もしかして、『切り札』を使うのだろうか

 そう思ったのも束の間、若葉が動くより先に友奈が勢い良く飛び上がる

 

 

「一回で効かないなら……百回だって千回だって叩き続ければいい!!」

 

 

「友奈!?」

 

 

 出遅れた若葉が疾風を纏い始めた友奈を見て目を見開く

 

 

「あれは……!」

 

 

 友奈の姿が変化する。雲や風を思わせる白の追加装甲が腕と左目を覆うようにに装着され、友奈の武器である篭手も同じ装甲によって少し大きくなっている

 

 

「あれが、勇者の切り札……」

 

 

 勇者には一時的に戦闘力を上昇させる切り札がある。

神樹に蓄積されている無数の概念記録にアクセスして抽出した力を自らに降ろし顕現させる

 それが精霊

 

 友奈が今纏っているのは、暴風を具現化した精霊――

 

 

――一目連いちもくれん

 

 

 一目連を纏った友奈の拳が加速する。風の力を持ってして、拳の連撃が雨やガトリングのように何度も何度も進化体へと浴びせられる

 

 

ガガガガガガガガガガガガ!

 

 

「千回ぃぃ……!!」

 

 

ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!

 

 

「連続勇者ぁ……」

 

 

ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!

 

 

「パーンチ!!」

 

 

バキンッ!!

 

 

 何度も何度も殴り続けられた反射板はたちまちヒビが入っていき、掛け声と共に叩きつけられた一発で砕け散った

 着地した友奈は振り返ってピースサインをしている

 

 

「そんじゃ、もう一匹は俺が片付けるか――

 

――そら、跳ね返せるもんなら跳ね返してみなァ!

 

 

《MEGA DETH PARTY》

 

 

 放たれる大量の小型ミサイル。当たった瞬間に爆発してしまえば反射も何もない

 展開された反射板を物ともせずミサイルは着弾、爆発

 ボロボロになった所に追い打ちをかける

 

 ガトリングになっていたアームドギアがさらに変化していく。一度拳銃に戻り、そこから合体変形する

 形成されるのはスナイパーライフルだ

 

 

「響先輩、まさか一点集中で反射させずに貫こうと……!」

 

 

「喰らいやがれ!」

 

 

《RED HOT BLAZE》

 

 

 漫画や小説でよくある一点集中による貫通力かとワクワクしている杏を尻目にライフルのバレルの部分を持って強く握る

 

 

「えっ……」

 

 

 そして大きく振りかぶって……

 

 

「オラァッ!」

 

 

バゴォン!!

 

 

「「「「「な、殴ったー!?」」」」」

 

 

 銃床で力の限り殴り付ける。皆狙撃銃なのに殴ったことに驚いているが、これはイチイバル最強の打撃技だぞ?*1

 

 

 ボロボロだったところに思い切り叩き込まれた進化体は粉砕され消滅した

 

 

「友奈も響もむちゃくちゃするな………っ!若葉!危な――」

 

 

 呆れたような球子の言葉。しかし、同じように呆れた顔の若葉の後ろに星屑が迫っているのを見て、球子が顔色を変えて叫ぶ

 

 

ブチッ…!

 

 

 一転、怒りに満ちた表情で振り返った若葉

 一瞬の交差の後、星屑は真っ二つに。そして、若葉の口には星屑の一部が……えっ!?

 

 

「……まずいな。食えたものではない」

 

 

「バーテックスを逆に齧りやがった!?」

 

 

「タマ、これから若葉を怒らせないようにする」

 

 

「……私も」

 

 

 吐き捨てるような若葉の反応に、思わず叫んだ俺と、球子と杏のドン引きしたセリフを最後に周囲の樹海化が解除されていった

 

 

「なあ、響。ちょっといいか?」

 

 

「おん?まあいいけどよ。どうしたんだ?」

 

 

 

 

 樹海化が解け、俺達の初陣は勝利で幕を下ろした

 そして、今は食堂なのだが……

 

 

「若葉ちゃん!!変なもの(バーテックス)食べちゃダメでしょう!?」

 

 

 若葉がバーテックスを齧ったと知ったひなたがご立腹のようだ。机に身を乗り出して若葉を叱っている

 若葉がタジタジになっている辺り、2人の力関係が見て取れる

 

 

「昔友達を食ったあいつらに同じ報いを……」

 

 

「おなか壊したらどうするんですか!!」

 

 

「……すまない」

 

 

 若葉の言い訳にも構わず、ついにバシバシと机を叩き始めるひなた

 どんどん若葉が縮こまっていく。珍しいモノを見た

 

 

「若葉……ちょっといいか?」

 

 

「なんだ?」

 

 

 苦笑いの球子に声をかけられ、若葉がこちら側を向く

 

 

「戦闘の後にみんなで話し合ったんだ。今まで大社が勝手に決めてただけだったけどさ

これからも、みんなのリーダーをおねがいしてもいいか?」

 

 

 そう。樹海化解除のときに球子に声をかけられたのがそれだ。あの後若葉を除いた皆で話し合い、リーダーは若葉がいいということで話が纏まった

 

 

「……!!」

 

 

 一瞬呆けた若葉が、すぐにバッと千景の方を見る。

 まあ、皆で話し合ったってことは、千景も若葉がリーダーでいいと言ったということだ

 戦闘前の千景は若葉を認めてない感じだったからな。思わず見てしまうのも頷ける

 

 

「どうして私を見るの」

 

 

「いや……でも」

 

 

 いいのか?なんて後に続いてるのが容易に想像できるな。さもありなん

 

 

「高嶋さんもそう言うし……活躍してたし。反論はないわ」

 

 

 気恥ずかしさから頬を赤くした千景がそっぽを向きながら答える

 ちょっとでも若葉を認めているようで何より

 

 

「ありがとうございます。郡さ――「こらこら」」

 

 

 千景を名字で呼ぼうとする若葉に球子から注意が飛ぶ

 

 

「さっき決めただろ。やり直し」

 

 

「……そうだった。コホン」

 

 

 そう。さっき若葉の名字呼びがよそよそしい感じがあるということで、とある事を決めたのだ

 

 

「友奈」

 

 

 嬉しそうに笑う友奈

 

 

「ひなた」

 

 

 いつものように穏やかに微笑むひなた

 

 

「千景」

 

 

 そっぽを向いてる千景

 

 

「球子」

 

 

 ニッと笑う球子

 

 

「杏」

 

 

 静かに微笑む杏

 

 

「響」

 

 

 当然俺も笑って応えてやる

 

 

「みんな、ありがとう。これからもよろしく頼む」

 

 

 そう言って笑う若葉の顔は、とても綺麗だった

 

 

「じゃあ四国勇者の再出発記念日ってことで、うどんで乾杯しよー!!」

 

 

「「「「「賛成ー!!」」」」」

 

「……さんせー」

 

 

 そうしてこの日は皆で楽しくうどんを食べた。……ん?……いや、うどん食べるのは何時ものことだな

 ……まあ、美味しいからいっか。うどんサイコー!

 

 

*1
作中で唯一打撃に利用されただけであり、ちゃんと狙撃技である




いかがだったでしょうか第3話。
今回は戦闘シーンだけで区切ったのでちょっと短めです。
戦闘シーンは本当にほんとーに難しかったです。
あと響君の口調をクリスちゃんっぽく意識するのも難しかったです。それっぽくなってるでしょうか?

もっと表現力と語彙力と文才が欲しいです。

ちなみに戦闘シーンでの工夫として擬音を入れてみたんですが、どうですか?

感想いただけると嬉しいです。

次回もよろしくお願いします。

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