予約していたたまこラブストーリーのBDが届きました。
改めてみてみるとかなり記憶違いや脳内補完が多かったですねw
今更書き直すのもなんなのでこれはこれで別の話だと割り切って読んで下さい。
今回も短くて申し訳ありません。
「私、あんたのことが好き」
告白に対する返答は沈黙。
…………まぁ当然だろう。
思ってもいない相手から思ってもいない言葉をかけられたのだから。
そしてたっぷり沈黙の時間の後。
「え、えええっ?と、常盤が?俺を?え?何?え?え?」
これまた予想通りの慌てまくった声が返ってくる。
ここまでテンパった反応を返されると、こちらははえって冷静になってくるものだ。
「言葉通りの意味。常盤みどりは、大路もち蔵を、愛しています」
「あ、愛って…………」
子供のころに見た野球アニメだか恋愛アニメだかの主人公がヒロインに告白した時の言葉を真似て言い直してみる。
その直接的過ぎる言葉に通話口の向こうで言葉を失う大路。
さすがに「愛」という言葉を口にするには少なからぬ思い切りが必要であった。
こちらも頬が熱くなってくる。
この後に続く台詞を言う気にはなれなかったが。
「…………」
再び訪れる沈黙。
結果は分かってるんだからさっさと答えを返してほしい。
迷うようなことでもないだろうにこのヘタレめが。
しかし、たっぷり数秒の沈黙を挟んだ後に大路から帰ってきたのは――――
「今、どこだ?」
「…………はぁ?」
今度は私が間抜けな声を上げる番であった。
いや、あんた何言ってんだ。
「俺はたまこが好きだからお前とは付き合えない」一言で済む話ではないか。
しかし、電話の向こうの大路は同じ言葉を繰り返す。
「今からそっちに行く…………どこにいる?」
「……うん」
…………って何素直に頷いてんだ、私。
しかし、そんな私の内心に逆らうように私の口は、今私がいる場所を大路に告げてしまう。
「そうか。10分で行く。どこか明るいところで待ってろ」
「…………うん」
どんだけ素直キャラなんだよ。
……などと、自分で自分にツッコミ入れるのにも飽きてきた。
正直に告白しよう。
大路がそっちに行く、と言ってくれたことに少し喜んでいる自分がいる。
我ながらおめでたいな、と思わなくもないが、数年にわたって隠してきた気持ちを告白したのだ。
少しばかりハイテンションになっても許してくれるだろう。
大路がやってきたのは、それからきっちり15分後であった。
「…………遅刻」
「しょ、しょーがねーだろ!出がけに母ちゃんに店番させられそうになったんだから」
半眼で出迎えた私に、大路は慌てたように言い訳をする。
…………相変わらずここ一番という時にヘマをする男だ。
「んで?わざわざ私を振るためにこの寒い中出て来てくれたってわけ?」
「ふ、振るって……もう少し別の言い方しろよ」
あ、そこは否定しないんだ。
…………ま、そりゃそうよね。
それでもちょっとへこむのは致し方ないところであろう。
大路はしばらく躊躇うようにもじもじとしていたが、やがて両手でほっぺたを叩いて表情を引き締めると、私へと正対してくる。
「常盤」
「…………は、はい」
思わず声が上ずる。
大路から視線が逸らせない。
…………悔しいが、こういう時の大路は本当に格好良い。
沢木口さん、貴女の目は確かだよ。
その気持ちが届くことはないけどね。
私と同じく。
「…………少し前に言ったよな。お前に感謝してるって。俺の背中を押してくれたお前に」
「うん」
「だから、常盤にそんな風に思ってもらえるのは、正直すげー嬉しい。俺自身が全く気付いてなかったのがあれだけど」
「ま、仕方ないわね。あんたにとってたまこ以外の女の子ってみんな同じなんでしょ」
「それは違う」
「……え」
思いのほかはっきりと言い切った大路に、思わず心音が大きく跳ねる。
「俺にとって一番に特別な女の子はたまこ。それは間違いない。でも常盤、おまえのことも」
「は?はあああああああ?」
大路の言葉を遮って大声を上げる。
何言ってんだこいつは。
よりによって私のことも特別、だと?
馬鹿じゃないの?
二股したい宣言なの?
思わず拳を握りしめる私の表情に怯えたように、大路が半歩下がる。
「ち、ちがう!常盤の考えてるような意味じゃない!」
「じゃあどういう事よ?返答次第によっては明日の朝日は拝めないと思いなさい」
「だーかーら!一番はたまこだって言ってるだろ?でも」
「でも…………なによ」
さっきから心音がうるさいくらいに響いているのが分かる。
何を期待してるんだ。
ああ、もう!
さっきから予想してないことばかりだ。
常の冷静さを保ちがたい自分を自覚する。
「よ、要するにだ……常盤のことは、他の女の子と同じに思ってなんかいないって言いたかったんだ」
「…………」
鎮まれ、私の心音。
赤くなるな、私の顔。
そんな私の内心には気づかず大路は言葉を続ける。
「常盤も俺にとっては特別な女の子なんだよ…………たまこには及ばないけど」
「……た、たまこには及ばないって…………本人を前に言う?」
「すまん。でも……俺が常盤のことどう思ってるのかってことで嘘をつきたくなかった。だから常盤がそんな風に思ってくれてて、本当に嬉しい。もしたまこより先に」
「ストップ。それ以上はダメ」
「…………そうだな」
私の制止に、大路は素直に従った。
朴念仁のこいつでも、とんでもない失言をしかけたことに気付いたのだろう。
大路はひとつ咳払いをすると、表情を真面目なものへと改める。
「で、そのうえで言う」
「…………うん」
「俺はたまこのことが好きだ。だからお前の気持ちには応えられない」
「そ」
「常盤には電話越しじゃなくて直接会って言いたかったんだ」
…………馬鹿かこいつは。
そんなことのためにわざわざこの寒い中出てきたのか。
……やっぱり、たまこには大路がお似合いだ。
ヘタレで、バカで…………それでいてまっすぐで。
たまこを泣かせたりしたらどこにいても見つけ出してぶん殴ってやるから。
「そう…………分かった」
「すまん」
「謝んな馬鹿」
「ああ」
答える私の声が震えていることに気付いたのだろう。
大路はそのまま私に背を向けると立ち去って行った。
「うっ…………くっ……」
大路の姿が視界から消えると同時に、こみ上げてくる感情。
決壊するのは、思ったよりも早かった。
「ひぐっ……うえっ…………うえええええ……」
白く冴えわたる月が照らす中で、私は――――
生まれて初めての、失恋をした。
と、言うところでここまでです。
想像は膨らむのに自分の文章力が追い付かないというのは何とも歯がゆいものです。
それでは、また次話で。