みどりラブストーリー   作:坂本圭助

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こんにちは。
第9話の投稿です。

なかなかうまく山場を盛り上げるのって難しいですね。




9 常盤みどりは思いをはせる

「……そう。よかったわね。知らせてくれてありがと。お大事にって伝えといてね」

 

そういって電話を置く。

大路と一緒に病院に行ったたまこから電話があったのが数分前。

どうやら福さんはそれほど大事でなく数日入院しただけで退院できるようだ。

電話の向こうのたまこも泣き出す一歩手前といった様子の声色であった。

 

(本当に、もち蔵がいてくれてよかった……)

 

たまこの心からの言葉に、私の心が少し痛む。

考えてはいけないことと分かっているのに。

やっぱりたまこのことを一番理解しているのは大路で、その反対も……

 

結局その日、私は布団に入ったもののよく眠れないままに翌日を迎えることとなった。

 

 

 

 

「常盤」

「……何よ」

「あ、いや、その」

 

次の日、学校へ向かう途中の私に大路が声を掛けてくる。

寝不足で不機嫌全開の返事に、大路はやや腰が引け気味になっていた。

…………全く、何やってんだか私。

 

「どうしたの?」

「あ、ああ……昨日のこと」

「たまこから聞いた。大事無かったんですってね」

「ああ。まぁひと安心だと思う」

 

そういって微笑む大路。

 

「それをわざわざ言いに来てくれたの?」

「あ、いや、それと、な…………」

 

そういった後大路はいつものごとく手をもじもじさせたりでなかなか話し出そうとしない。

たまこみたいな子ならともかく、男の大路がやっても気持ち悪いだけだ。

 

「あの時……俺が一緒に来ないかって行ったとき、行かないって言ってくれただろ?」

「あ…………」

「おかげで病院で、たまこと二人で少し話せた」

「…………」

 

なるほど。

無我夢中であった時期を過ぎたら、急に自分とたまこが二人っきりであることに気づいたというわけか。

二人の間にどんな会話があったのかは知らない。

だが、あれ以来ずっとぎこちなかった二人が少しづつにせよ話すようになったことは喜ぶべきことだ。

喜ぶべきこと、なのだろうけど。

 

「良かったじゃない」

「まぁな。常盤のおかげだよ」

「やめてよ」

「な、なんだよ…………本当に常盤には感謝してるんだよ」

 

どうしてもつっけんどんな態度になってしまう。

私の態度に戸惑ったような大路。

 

「べ、別にあんたのためじゃないし」

 

…………なんと言うテンプレ台詞。

言った自分が恥ずかしくなってきた。

 

「と、とにかく……常盤っていい奴だったんだなって」

「はいはいありがと」

「なんか冷たくない?」

 

追いすがってくる大路を振り切って歩き出す。

大路に今の私の表情を、見られたくなかった。

 

 

 

「私は思いつきました!」

 

その日の昼休み。

中庭のいつもの場所で昼食を取っていたときにかんながいきなり立ち上がって叫びだした。

かんなが突拍子もない行動をとるのはいつものことであり、私たちもわざわざ驚くこともなくかんなを見上げている。

 

「バトンの軸の部分に磁石を仕込むことで、たまちゃんのキャッチは安定するのではないかと!」

「じ、磁石って……」

 

明らかに反則である。

言われたたまこも苦笑してる。

 

「バトンのほうにS極、手にN極を持つことでどれだけ離れていても大丈夫!」

「…………!」

 

かんなの言葉にたまこがはっとしたような表情を見せる。

どれだけ離れていても、か……

かんなのいつもの冗談とはいえ、今のたまこには身につまされる話かも。

さすがにこれ以上余計なこと言いそうだったら少し窘めるべきかもしれない。

 

「ただし気をつけないといけないのは、手とバトンが両方SだったりNだったりすると、どんどん離れていってしまうので注意が必要です」

「…………」

 

うつむいて無言になるたまこ。

……これはさすがに止めさせなくては。

そう思って口を開きかけた私の言葉を、たまこが遮った。

 

「かんな」

 

たまこのいつもと違う様子に、さすがにかんなも心配そうな表情になる。

 

「どうしましたたまちゃん?磁石の話が沁みましたか?」

「……うん」

「え?」

 

冗談に素で返されたかんなが呆然とした表情になる。

……こういう表情のかんなってのも貴重だな。

じゃなくて。

さすがに史織もいつものたまこと違うことに気づいたようだ。

 

「たまこ、どうかしたの?」

 

史織の問いかけに、沈黙で答えるたまこ。

しばらく何か考え込むように沈黙していたたまこが、やがて何かを決意したように話し出す。

 

「あのさ、誰かが前言ったことを『なかったことにして』って言うのは…………どんな時かな」

「なかったこと……ですか」

 

かんなが首をかしげ、史織と顔を見合わせる。

昨日、大路と病院で話したといっていたことに関係があるのだろうか。

 

…………まさか、あの野郎。

告白したことを「なかったことにして」とか抜かしてないだろうな。

 

だとしたら、今度会ったときに出会いがしらにぶん殴ってやらねば。

 

「そうですね…………その言葉を言ったことで、相手とギクシャクしたり気まずくなったりしたとき、その関係をいったんリセットする意味で……そう言うってことはあるんじゃないでしょうか」

「うんうん」

 

さすがにかんなも今回ばかりはふざけたりせず、真面目に答える。

…………最近の大路とたまこの状況そのまんまじゃないか。

あのヘタレ、告白自体をなかったことにするという力技に出やがったか。

今度会ったらただじゃおかねぇ。

……っと。

今は大路なんぞよりたまこのことだ。

そう思って口を開こうと――――

 

「あのね、この前私…………もち蔵に好きって……告白されたの」

 

無音の爆弾が、炸裂した瞬間であった。

 




どんどん短くなってしまいました。

たまこストーリのみどりサイドを描いた小説が出ているようですが私は買いませんw

みどり→もち蔵を明確に否定されるとなんかへこみそうなのでw

それでは。
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