帝国VS少女一人   作:にーむ

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ミスリード

 『魔術による人体錬成』。それは国家間でも禁忌に指定されている魔術の筈だ。

 

 今存在する技術では、()()()()()()()()などの媒体を利用し一時的な顕現しか出来ない為、遠隔での潜入や──魔術師の戦闘でしか利用出来ない。だが、発展すればそれは意思を持った『人間の錬成』にまで繋がりかねない。

 故にそれは禁忌であった。だが、それを破ったであろう存在が目の前にいる。許されることではなかった。

 

 「妄言は……そこまで」

 

 そしてそれに返されたのは不敵な微笑み。《白剣》はそれに青筋を立てて反応する。

 

 「シラを切るか。ならば、私にも考えがある」

 

 そして、《白剣》は前傾姿勢になり、同時。メルアは弾け飛んだ。全力で──前方へ。

 

 「……なるほど」

 

 思考の鈍化。真っ正面から迫る少女に、一瞬驚き目を見開くが、悟る。

 これは『捨て』だ。バレてしまえばこれはただの肉のゴミ。そんなものなどいらないから、ここで無茶に利用してしまえ──。

 

 そんな思考が微かに聞こえる。そうだ。到達した魔術師など本来はこう言う生き物だ。十のために一を切り、己の欲のためには九すらも捨てる。

 

 ならば返答は一つだ。

 

 

 ──肉体には傷を付けない。

 

 

 そちらの思惑になど乗ってやる物か。誰かは知らないが、墓荒らしか──いや、あの魔術には確か年齢の近い新鮮な肉が必要であったはずだ。それを想い出し、心の内で大きく負の感情が増す。

 

 ならばこれは殺意を持って取り組もう。切り裂くのは、遠隔の操作に必要な《魔力の流れ》。殺すことは出来ないが、そう錯覚するだけの殺意を叩き付けてやる。

 

 メルアは不敵な笑みを崩していなかった。身を守るために必要ななんの魔術も発動せず、ただ突貫する。それに《白剣》が人外の速度で接近する。

 

 ──そして、両者は衝突した。

 

 「ふっ──」

 

 振るうのは四振り。それはメルアに対してではない。その周りにだ。そして感じるのは、幾つもの何か見えない()()を断ち切った感覚。

 

 本来ならあり得ない行為だ。肉体を両断した方が早いだろう。

 だが、これは陵辱され尽くされた若い命に対する敬意を込めて。

 

 一拍遅れて暴風が巻き荒れる。メルアの、いや、その体の勢いとそれは相殺し合い。そしてそれは意識を失ったように瞳を閉じながら、ゆっくりと姿勢を倒し。

 

 ──そして、()()()はにやりと口元を歪めた。

 

 

 「──大ハズレ……起動『六芒・烈光』」

 

 

 大きく目を見開いた《白剣》に極光が迫る。剣を振り切った無防備な姿勢であった彼女の腹部に、それは勢い良く激突し。

 

 

 ──そして、莫大な衝撃が弾け飛んだ。




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