廃墟に響く残響   作:ブルーな雛菊

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1日目最後!


ECHO

「いらっしゃいませ!お客様。本日はご来店いただき誠にありがとうございます!」

 

ニコニコと店舗に足を踏み入れた客に、愛想よく挨拶をする店員。

鏡の様に磨き上げられた床、透き通るようなガラス戸

半ば暴動の最中の様に荒らされた外の店舗とは打って変わって、ここ(Seon's)は整然としていた。

 

「ですが・・・大変申し訳ございませんが当店の営業は22時を持ちまして終了しております。」

 

あたりを見回すと店員の言葉通り、大半の照明は消灯されていた。

誘導灯と飲料水や冷凍食品の入ったガラス張りの冷蔵庫の明かりしかない薄暗い店内。

 

「またのご来店をお待ちしてます・・・」

 

モップを片手に眉を下げながら頭を下げる店員・・・

普段通りの対応・・・

まるで店舗の外で起こっている惨状が全く目に入っていないかのような対応に一種の不気味さを感じる。

 

「えっ・・・・非常事態?合衆国政府のエージェント・・・!?」

 

状況が呑み込めていない店員に簡潔に身分を明かす。

 

「私に協力してほしい・・・デスカ・・分かりました!本日は何をお求めで?」

 

店員は暫く考えこんだ後、切り替えたように笑顔を振りまく。

 

「ふむ・・・食料品・・・調理の必要のないものですか。当店は食料品は勿論!洗剤や雑貨などの日常品も幅広く取り揃えておりますよ~!保存食もございます。」

 

籠を2つ入れた大型のカートを押しながら、案内する店員の後を追う。

 

「保存食と言えば軍人の方が思い浮かぶのはコンバットレーション・・・つまりMREかと思います。レーションは合衆国で生まれました、日本の発明品ではありません。暫し遅れをとりましたが今は巻き返しの時です。」

「おや。レーションがお好き?結構!では、ますます好きになりますよ~」

「ささ!持ってみてください。」

 

手渡された缶詰を眺める・・・・

 

「レーションと言えば保存性を最優先に作ってしまった結果、それ以外のものが欠如してしまったという事が多々あります。ええ、仰る通り塩辛いや薬草の味が強いって感じですね。また、大戦時には食糧難から小麦とオガクズを混ぜたパンを作ったを支給するなどもあったと聞きます。マカノッチー?お客さんよくご存じですね・・・確かに、殺人級にマズイと評判のものも存在しましたね・・・」

 

「ですが時代は進歩しました。お客さんが持っているのは缶パンです。美味しそうでしょう?」

「ああ、仰らないで。乾パンを思い浮かべたと思いますが食べれば口の中はパサつくわ味は単調だわ碌なことはない。1つ開けてみてください、いい匂いでしょう?余裕の味だ。品質が違います!缶詰に密閉されている割にはしっとり、ふわふわ。これさえあれば1日3食で2週間以上常食は控えるべきと言われたMREともおさらばです。」

 

「随分商品に詳しいですって?ありがとうございます。ええ、勿論です。プロですから。」

 

ーーーーーー

 

カートに大量の水と保存食を入れた客、そして店員。

 

「お買い物は以上でしょうか?では、6番レジへどうぞ。」

 

ふと立ち止まる客

「?」

首をかしげる店員

「・・・・・・一番気に入ってるのは・・・・」

「なんです?」

 

「値段だ」

突如、出口の方へカートを押し、走り出す客に店員は慌てて後を追う。

 

「ああ、何を!?会計を終わらせないと駄目ですよ!待って!止まれ―――!!」

 

盗難防止のゲートをカートが通過し、防犯ブザーが店内に木霊する。

出入り口には、まるで盗人の逃走を援護するかのようにゾンビ達が群がり、道をふさぐ。

店内になだれ込むゾンビ。

 

「マイ・・・・・ストア・・・・」

 

倒される商品、荒らされる店内。

 

「マイ・・・・・・・」

長い間、夢だった。

自身の店舗を持つこと・・・他店に潰されないように仕入れる商品に気を使い、職員にも接客のあり方を教え込んだ。

モールのテナントの権利を勝ち取り軌道に乗ったと思った矢先だった。

盗人、暴徒・・・営業妨害。

こんな事があって許されるのか?

否。断じて否。

オーナーである私がこの店を守らなければ一体誰が店を守る?

「ストア!!!」

 

ーーーーーーー

 

 

「落ち着いたか?」

「ええ・・・・一通り泣いたから。」

「彼は勇敢に戦った、アンタを守る為にな。そのアンタが自ら死を望むことは彼の想いを踏みにじる行為だと考える。アンタは生きてこの町を出なきゃいけない・・・そうだろう?」

 

フランクは最後に物言わぬ亡骸を一瞥、立ち上がり店舗の入り口へと歩き始めた。

 

「ええ・・・そうね。」

「トーニャよ」

「俺はフランクだ。」

 

「守衛室に生存者を集めている。今からあんたを案内するが、その前にやっておかないといけない事があってな。少し付き合ってくれ。」

先ほどの靴屋から暴走するライドマシンの乗り場まで、そう遠くはない。先ほどの銃声に釣られたゾンビを警戒しながら通路の様子を伺うが不気味と思えるくらい周囲には感染者の姿は無かった。

・・・・何かがおかしい。

ライドマシンが暴走することも、音に呼び寄せられるはずのゾンビが周囲一帯に居ない事も。2階通路の端に転がっていた血の付いた人形が不気味さを際立てる。

フランクは近くの服屋(Kokonutz Sports Town)にトーニャを待機させて、一人ライドマシンの制御盤へと向かう。

 

カラカラと音を残し猛スピードで乗り場を通過していくライドマシン。

かなりの騒音を出しているにも関わらず。

 

「誰も居ない・・・か。」

 

制御盤の正面に立ちライドマシンを停止させようと手を伸ばした矢先、背後から笑い声が聞こえフランクの動作は硬直した。

甲高い笑い声。エンジン音。振り返ると()()はいた。

 

「駄目だよオジサン。」

 

回転する2つの小型のチェーンソーをまるでお手玉をするようにジャグリングしながら音の主はフランクに近づいてくる・・・

赤毛、アフロのカツラ、ちょこんと乗ったシルクハット。緑と黄色の独特な形状をした服。そしてペイントの施された顔に、中央の目立つ赤い鼻。

 

「みんなが僕で楽しんで・・・・僕も皆を楽しませたのに・・・なのに皆は・・」

くぐもる笑い声。泣きながら笑うピエロ。

「ゾンビが皆を食べちゃった!」

 

徐々にフランクに近寄り・・・通り過ぎた。

制御盤を背後にピエロは笑う。

 

「だけど皆は幸せさ。マシンに乗ってチョーご機嫌!」

 

猛スピードで通過するマシンに自然と目がいった。

胸元に大きな穴が開き、物言わぬ人形になった物が2つ・・・マシンの席にあった。

 

「だからマシンは止めさせない!」

「止めたらゾンビがすぐにでも皆に追いついちゃうからね!」

 

話し合いなどする段階はとうに過ぎていた。

小太りな体型からは予想できないようなフットワークでフランクの元に飛び込むピエロ。それに応じるかの様に踏み込むフランク。

振り下ろされる凶器よりも早くフランクの拳はピエロの腹部へと刺さる。

 

パンッ!という破裂音と共に空を舞うピエロ。

 

(やったか!?)

その問いの答えはフランク自身が分かっていた。

重力を感じさせないような滞空時間、ピエロはくるりと空中で回転し、危なげなく地面へと降り立った。

 

(先程のは中の詰め物が弾けた音か)

小太りの様に見せかけていたそれは今は無くなり、ダボダボな服だけが際立っていた。

 

(それに・・・あの感触は・・・)

詰め物の後ろにあったのは鋼の様な筋肉。

フランクの額からツゥーっと冷たい汗が流れ落ちる。

まともに相手にしたらいくら命があっても足りはしない。そう、フランクに感じさせるには十分な初手であった。

 

暴走するマシンを挟んで睨み合う人。

堪らず44口径リボルバーに手を伸ばすフランク、それと同時に走り始めるピエロ。

 

わずかな助走でコースターのレールを跳躍するピエロ/リボルバーのグリップに手を伸ばし引き抜くフランク

 

着地と共に前転し衝撃を逃がす/銃のサイトがポケットに引っ掛かかった感触に苦虫を嚙み潰した表情になる

 

前転の勢いをそのままに、チェーンソーをクロスさせフランクに目掛け切り込んだ。

 

 

己の不利を悟ったフランクは銃から手を放し、脚力任せのローリング(前転)で迫る鋸を回避する。

一瞬の攻防。逃げ遅れた靴底を舐めるように回転する鋸の歯が通過する。

 

フランクはすぐさま体制を立て直し隙を見せまいとピエロに向き直る。

(足に違和感はない、銃は何所に行った!?)

 

幸いフランクの靴を掠めるだけにとどまった事の安堵。

そしてポケットの中にあった筈の感触が喪失してるしている事に気づく。

 

(奴は接近()さえ気を付ければ問題ない)

致命的なのはチェーンソーによる斬撃、そして鍛え抜かれた体による体術。

裏を返せば強力な遠距離攻撃手段は無いと言える。切り札(44口径)は此方にある。

銃が人間にとって必殺であるように、このピエロも放たれた銃弾を避けることは出来はしない。

着弾したら最後、熊をも倒す事が出来る威力だ。いくら鍛えていようが関係ない。

 

相手の動きに気を付けながら銃を探す。

視線をピエロから外そうとした矢先に視界の片隅にナイフを取り出すピエロの姿が写った。

 

舌打ちをしながら再び飛び込み前転をせざるおえないフランク。

投げナイフから逃れるように近くの店舗に飛び込んだ。

 

「何なのよアイツ!」

「いい質問だ、トーニャ。あれは未来から来た殺人ロボットさ!違うのはシュワルツェネッガーが主演じゃない事くらいさ。」

「面白くもねぇし、笑えねぇ。勝算はあるの?」

 

フランクが元居た場所には深々とナイフが刺さっていた。()()()()()・・・

まるで回避するフランクの後を追うように1本、2本。もし3本目が放たれた先に店舗のショーウインドウが無ければフランクは今頃、痛みでのたうち回っていたところだろう。

硝子に深々と刺さったナイフを引き抜き、己の武器にする。

 

「2階の通路のどこかに銃が落ちてる筈だ!時間を稼ぐから見つけてきてくれ!」

 

店舗から飛び出しピエロに相対する。

的確かつ強力な遠距離の攻撃手段があると分かった以上トーニャが切り札を探す間、自身が安全を確保してやらなければならない。

隙を与えないように接近戦。手元にナイフがあるだけ先程よりは状況がマシになったと言えるだろう。

 

接近の際に投げナイフの狙いをつけさせない様にジグザグに・・・かつ速度を落とさないように最速で詰め寄るフランクに鋸を振り下ろすタイミングを合わせるピエロ。

至近距離で飛び散る火花。防御に使ったナイフは回転する刃に弾かれてフランクの手から離れた。

 

だがそれで十分だ、懐に入ってしまえば切り込む事は元より、殴る事すらままならない。

それは自身にも言えることなのだが・・・突撃する側には大きな手段が残されていた。

全身の重量、脚力を使ったタックル。そのエネルギーを肘を突き出すことで一点に集中させて相手の鳩尾に見舞う。

肘に伝わる衝撃、それだけでは足りないと更に踏み込み突き飛ばす。

 

床の上を転がるピエロを追うように再び助走をつけるフランク。口から血を零しながら鋸を体の前で交差させ防御態勢を整えるピエロ。

全体重をかけた飛び蹴り。

 

もしこの場にエコーが居合わせたのなら・・・

武器を持った相手に対して素手で挑むのは愚策と言っただろう。

それが()()()()()()()と・・・

 

ーーーーー

 

鋸を持ったピエロ…アダムは迷っていた。

戦闘が長引くほど頭の中がクリアになっていく感覚。これまでなら安直に飛び蹴りを鋸で防御し切り飛ばしていたであろう。

だが、自分の中で「気をつけろ。()()()()()()」と言っている冷静な自分が居るように感じた。

確かに防御は出来る、だが成人男性の質量を両手だけで吸収できるのか?と。

もし勢いに負けてしまった場合・・・回転する刃は相手を切り裂くだけにはとどまらず、そのまま自身に叩き込まれることになる。まさに、自爆覚悟の捨て身の特攻。

アダムは笑う。

(こいつも()()()()())のだと

 

当然、回避を選ぶアダム。自身はピエロであって騎士ではない。わざわざ正面から受けて立つ必要性など感じなかった。

身を翻すアダムの横をフランクの巨体が通過していく。

態勢を立て直せば武器を持つ自身が有利になると理解していた。

 

『ダン』と背後から衝撃音

続けて背中に痛みが走る。

転がり受け身を取る中でアダムは必死に状況を理解しようとした。

 

タックル紛いの全身全霊の攻撃。すれ違い、再び切り返すには()()()()

(ああ……背後の壁を使って無理矢理攻撃の方向を変えたのか……)

再び追撃するフランクに反撃を試みる。ただ、振りかぶるには間に合わない。故にアダムは回転鋸の先端を床に打ち付けた。

 

堅い床に食い込む刃。床に食い込んだ刃は抜けることはなく、代わりに本体を回転させるような挙動をとる。

毎秒10mの速度で回る刃。それに加速され跳ね上がる本体。キックバックと呼ばれる現象を利用してアダムは鋸を最速の速さで横凪にした。

ヒュツと男の息をのむ音を耳に残しながらアダムは2階から1階へと飛び降りる。

 

ーーーーー

 

キックバックにより加速され迫る鋸の刃。喉の奥からヒュッっと息を吸い損ねたような音が漏れる。

勢いの付いた体を静止させるのはもはや不可能、ならばと膝を曲げ体を無理やり捻じる。

フランクの耳のすぐ横をエンジン音と耳障りな金属音が通過した。

 

「嘘だろ!?」

 

戦いの主導権を奪われたと判断したのかピエロは2階の通路から姿を消していた。

通常飛び降りた際に、3~4階を境目に一気に死亡率が跳ね上がる。大きなショッピングモールの2階。

通常の建物よりも大きく作られたそれはビルの3階に匹敵する高さがあった。

それを躊躇なく飛び降りる。

状況を見極める判断力、それを実行する身体能力、激しい行動でも回転鋸で自身を傷つけないような注意力。

フランクは全てにおいて上方修正せざるおえなかった。

 

おおよそ人とは思えない速度で一階のゾンビの間を縫うように走るピエロ。

一瞬、振り返った姿を見て、慌てて通路の柱に身を隠す。同時に壁に突き刺さるナイフ。

 

殺人ロボットと茶化したがありがち間違いではないと笑いが零れた。

再び一階を覗くが既に姿は無い。

 

「フランク!銃よ!」

 

トーニャの声と真下(一階)からダンッっと激しい音が聞こえたのは同時だった。

階段も梯子もない宙にソレ(ピエロ)は居た。脚力だけで一階を飛び、壁を蹴り、再び宙を舞い2階へ。

意表を突かれながらもバックステップで距離を取るフランク、2階の手すりに着地したピエロはまるで猛獣が獲物へと飛び掛かるような緩慢な動きで身を屈めた。

 

「受け取って!」

 

宙を舞い投げ渡される無骨な鉄の塊のようなリボルバー、弾丸の様な速度で打ち出されるピエロ。

銃が手元に届くころにはフランクは細切れになっている・・・ならばと近くにあった物をピエロめがけて蹴り飛ばした。

鋸で切り飛ばすピエロ。再度振り抜いた鋸は堅い鉄の塊に拒まれる。

 

火花を散らす鍔迫り合い。刃を弾き、構え、撃つ暇はなく再び鋸の刃を銃身で防御する。

切られれば終わり。撃たれれば終わり。

互いに一撃必殺の応酬。

 

繰り返される攻防、命のやり取りのプレッシャーも相あまり両者ともに息が上がっていく。

 

銃口がピエロを捉え。逃げ切らないと悟ったピエロは鋸を盾にするようにその陰に身を隠すが・・・

 

「それを待っていたんだ!」

 

放たれる銃弾はチェーンソーのガイドバーを貫通し、アダムの肩へと突き刺さる。

取り落とされる凶器(回転鋸)。再び銃声が響き、反対の肩の骨を砕く。

 

「あんたは強かったよ・・・Hasta la vista, Baby!(地獄で会おうぜ)

 

胸を貫く弾丸。力なく己の凶器の上に倒れこみ刻まれるピエロ。

その命が消える瞬間まで笑いながら・・・・手を伸ばした先には先程切り飛ばしたモノ(血で汚れた人形)があった。

 

「あんたに守りたい物があったように・・・俺にも譲れない理由がある。だから・・・立ち止まる訳にはいかないんだよ」

 

全ての人と協力できるわけではない。話し合いで済むならそれが一番良い。だが、()()()()()()()()()

ゾンビとは違う。生きてる人間を殺した。

(結局・・あの子の言った通りだな・・・)

 

もう、後戻りはできない。

 

 

 

 

 

 

 

 

ECHOを検知。解析中・・・・・・

統合を完了しました。 再生を開始します

 

『あんた!写真の子を見なかったか?このモールに来てる筈なんだ!』

『この子は・・・・シエラ!?』

『知っているのか!?俺はクリフ・ハドソンこの子の義祖父だ。家族は無事なのか!?知ってる事があれば教えてほしい・・』

『・・このモールの近くまでシエラと2人で来ました。私をモールに入れるために自ら囮になって・・・その後は・・・分かりません。ごめんなさい、私のせいで・・・』

『なるほど、あの子らしいな。大丈夫だ、あの子には教えれることは全て教えた。あの子が大丈夫と言ったのなら問題はないだろう。近くに居ることが確認できただけで十分だ。』

『信頼…でしょうか?』

『ああ。家族が信じないでどうする。』

『そうですね…ありがとうございます。少し気が楽になりました。』

『それは何より、それよりも心配なのは幼い方の孫娘の方でね・・ここに来ると言ったきり連絡が取れない。』

『それなら一緒に探すのを手伝いますよ。』

『ああ、助かる。』

 

「ターゲットを確認、追跡を開始します。」

 

 

『あれはいったい何なんだ!』

『神は我々に怒りを抱いています。我々が過ごすにはあまりにも罪人が多すぎた。地獄は死者で溢れかえり・・・それでも収まり切れなかった為に、地上へと這い出してきたのです。悔い改めなさい。祈りましょう。さすれば汝は救われます。』

『神父さん・・神父さん!あんたの御託はうんざりだ!神が何だっていうのだ!これが神の意志とでも?ふざけるな!』

『迷える子羊よ・・・その腕を下ろしなさい。これ以上罪を重ねてはいけません。』

『もしアンタの言葉が本当ならアンタは俺が殴り殺す前に救いの手が差し伸べられるだろうよ!このペテン師が!』

 

目的の情報を辿る最中にも再生される人々の当時の記録に目をつむる。

 

電子機器に残った当時の記憶の断片。それらをかき集め、統合し、立体映像として再生する技術。ECHO・・・残響とはよく言ったものだ。

条件は携帯、PC.レコーダー、マイク、カメラなど電子機器が周囲にある事。

これらを全て排除することは時代が進むにつれて困難になってくる為、有効な追跡手段と言えよう。

 

半ば私刑(集団暴行)とも言える映像を通り過ぎて別の痕跡を探す。

「やり場のない怒りは何所で発散する?」

答えは簡単、己を正義として殴っても問題ない者を探すだ。ありえない事?世界中で起きてる事、知らないのならそれは目に入らないように背けているだけ。

こういう状況だからこそ内面が出てくる。誰かが責任を取らなければならない・・誰が?こいつが適任だろう。そういった具合にね。

 

「本当に薄汚い」

 

よくある景色。ゾンビがいようが居まいが末期にはこういう状況が起こることがある。

 

『ゾンビだ!!ゾンビが入って来たぞ!!』

『子供達を!子供達を守らないと!!なんで・・・子供達を見捨てるのか!?大人だろう!戦え!』

 

ピエロが子供達を守るようにゾンビの前に陣取っていた。

取り囲まれ端の方の子供達がどんどん犠牲になっていく。

 

『なんで・・・どうして・・・』

子供の手を引きゾンビの中をかき分けて進むピエロ。

『ここまでくれば大丈夫・・もう安全s・・・』

 

人形の握られた幼い手。()()しか残っていない子供の姿を見たピエロは嗤い始める。

 

 

『取り囲まれる!』

『俺が時間を稼ぐから扉の施錠を開けろ!』

『それじゃ貴方が!!『いいからやれ!!』』

 

先程会った靴屋のカップルの映像を通り過ぎた。

 

『この声は・・・何という事だ』

『クリフさん・・』

『おお・・神よ・・何故この子を見捨てたのです。この子に罪は無かったはずです!なぜこんな仕打ちを・・』

『クリフさん!!』

 

自身の服が汚れるにも関わらず幼い子供の亡骸を抱きしめる大男。

『これは・・夢だ・・まだ戦場は終わっていない。何も、終わってなどいない!』

『クリフ・・・さん・・?』

『お前は捕虜だ。一緒に来てもらうぞ。』

 

少女を引きずるように中庭の方へ向かう大男の映像を最後にECHOの記録は途切れている。

電子機材を媒体に記録を再生する為、それらが無い屋外などはどうしてもECHOのデーターが断片的になってしまう。

 

「対象、ロスト。引き続き痕跡を探す。」

 

ふぅと一息。時刻は2時を回っていた。

(これ以上の追跡は困難・・一旦休むべきか。)

 

不眠不休で起こる症状。幻覚、幻聴。そして瞬断とも呼ばれる突発的な眠り。

街を包囲する軍の動きが未知数である以上、休める時に休むべきだと感じた。

 

再度、ECHOの記録に目を向ける。大男、攫われる少女。

 

(彼女に執着するのは何故?)

自分の胸に問いかける。

確かに彼女がこの町の情報を自身の組織に送ったのかもしれない、だが全貌を知っているという点ではブラット、フランクと共に昼間に会った科学者の老人の方が把握しているはずだ。

(それでも彼女を追いかけているのは・・・)

 

言葉にしなくても分かっている。

情報提供者、保護対象とすることで自身が守るべき対象としたい為。

彼女には助かってほしい、そして己が命を懸けて戦う理由が欲しい。

(本部からの連絡が無いからとはいえ、随分無理やりな理由付けね・・)

 

だが、今はそれでいい・・・

(ええ、それでいい・・・私だって犬死には嫌だもの)

 

 

 

 

 

 




・・・というわけで皆のトラウマ!アダム戦!速度感を出そうと思って両者の行動を/をつかって表現してみました。
そしてゾンビの侵入時の状況をECHOを通じて確認する回!(サイコ達の全ての始まりw

MRE・・・アメリカの誇る戦闘食。その味は本文にあるように日本人向けではないらしい!発熱剤が装備されていて水を入れることで温かい食事が出来る等。開発当時に比べると改良が施されているとのこと。

乾パン・・THE非常食。本文でパサつくとか言っちゃってるけど普通に美味しいよ!ジャムとか用意すると尚良し!

缶パン・・・震災の時に試食させてもらいました。パサつきなくふわふわモチモチ!普通に美味しいです!賞味期限(消費期限)は3年、5年としっかり保存食になってます!

保存食・・・日本人なら米!色々缶詰あるようですよ!

店長・・・6番レジへどうぞ!!! まだ正気、今回の100%オフセールのせいで人間不信に

客…スーパーの商品を堂々と強奪した張本人。たしか、物資調達担当ってブラッ・・おっと、これ以上はいけない

トーニャ…前話で彼氏を殺された女性。ヘイトは全部エコーが持って行った為、フランクの説得に応じて行動するようになった。

アダム(ピエロ)・・・フランクのトラウマ。ゲームでの最初の壁といってもいい存在!かな?wこの小説では更に強化!小太りと見せかけて中身は筋肉モリモリマッチョマンの変態です。玉乗りやジャグリングなどで鍛えられた感覚も抜群!

神父・・・のちのあの人。「ああ・・・救済を信じぬ者よ」因みに本作で言ってることは全て出鱈目!(サイコが言いそうなことを適当に作っていますw)

クリフ・・・シエラの義祖父。シエラに色々と教え込んでいるもよう。その為かシエラを除く家族の心配ばかりしていた。

クリフの娘、孫娘…悲鳴を聞いてクリフが駆け付けた時には既に・・・

エマ・・・クリフと共に家族を探していたがクリフが発狂。戦時中、敵国の民間人と間違われ捕虜としてドナドナされている。

エコー…ちょっと皮肉が多い?でもこんな状況になったら愚痴の1つや2つ言いたくなるですよ~きっと!
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